引き伸ばされたら引っ張り返す。倍返しな筋収縮。

こんにちは、ランマニアです。

長らく万全な状態で走れず、悶々とした日々を過ごしていたランマニアでしたが、今日は久々にキロ4なんていう「ものすごく速い」ペースで走ってみて、やっぱりランナーは速く走ってなんぼだよな、と実感したところです(キロ4が速いというのに語弊がありそうですが)。

一昨年悩まされた足底底筋膜炎にしろ、ふくらはぎの肉離れにしろ、アキレス腱炎にしろ、そして今回のハムストリングス付着部炎にしろ、実はすべてある共通の傷め方があるのですね。

これらの部位はほぼ全てが筋の付着部(解剖学的には「起始」と「付着」は厳密に分けなければいけませんが、ここでは便宜上筋が骨にくっついているところを全て「付着部」と呼んでしまいます)の炎症で、つまりは筋が骨とくっついているところというのは非常に力がかかって傷めやすい場所なんですね(ふくらはぎの肉離れは付着部よりもう少し中よりですが)。

私たちは走る際に何度も何度も筋収縮を繰り返し、そうすると当然筋肉がくっついている部分には多大な力とストレスが繰り返されるわけで、それがその日のうちに回復すればいいのですが、次第にその回復が間に合わなくなっていくうちに炎症が引き起こされ、痛み、つまり故障が発生するわけです。

そして、そうした筋収縮には、その力の発揮の仕方によって幾つかのパターンがありそのパターンによっては比較的負荷のかかりやすい「あぶない」筋収縮があるのですね。

そのあぶない収縮の一つが「伸長性の筋収縮」、つまりエキセントリックな筋収縮です。

「収縮」なのに「伸長性」という文字通り矛盾をはらんだこの言葉通り、なんとなくヤバそうな表現ですよね。まさに「引っ張られながら縮もうとする」もんですから。

筋は収縮することで力を発揮するので、関節を折り曲げて筋の長さを縮めながら筋力を発揮するのが力学的には自然な状態です。

例えば、鉄棒にぶら下がって懸垂をするときを想像してみてください。鉄棒を逆手に握って懸垂をしようとすれば、おそらく多くの人は肘を曲げて上腕二頭筋(二の腕)を収縮させながら筋力を発揮するものと思います。このように筋を縮めながらの筋収縮を短縮性筋収縮(コンセントリック筋収縮)と言ったりして、筋にかかるストレスは比較的軽めだと言われているんですね。

一方で、肘を屈曲させて鉄棒に上り切った状態から今度はゆっくりと降りていく際にも実は上腕二頭筋がしっかりと機能しているのですね。腕には全体重が掛かっていますから、そのまま筋力を0にしてしまうとストーンと落っこちてしまいますから。それを防ぎながらゆっくりと降りてくるには、少なからず筋力を発揮しながら下さなければなりません。

しかし、この時の上腕二頭筋は肘の関節が開きながら筋力を発揮している状態、つまり「伸ばされながら」筋力を発揮している状態なので、筋は次第に引き伸ばされていきます。でも、筋力を発揮するには筋「収縮」を行わなければならないため、「伸ばされながら収縮する」結構無理なことを行っているわけですね。

こんな真逆なことを行えば当然筋には過大なストレスが掛かってしまうわけで、先ほど話した筋の付着部なんかにも大きな負荷が掛かってしまうわけですね。

つまり、このエキセントリックな収縮こそが「あぶない」収縮と考えています。

では、ランナーの「あぶない」筋収縮はいつどこで起こっているのでしょう。

教科書的には地面に足を接地した瞬間、そこから蹴り出す瞬間のふくらはぎがあたりが代表的なところでしょうか。

詳しくはバイオメカニクスや解剖学の教科書を見れば書いてありますが、要は着地の瞬間や蹴り出す際は、ふくらはぎの筋が伸ばされながら力を発揮しなければならないので、伸長性の筋収縮が起こっているはずですよね。だからフォアフット接地で走っていると肉離れをしやすくなるんですね。引き伸ばされてるのに「引っ張り返す」わけですから。

そんなことで、特にランマニアにとってのふくらはぎは、肉離れやアキレス腱炎に繋がるとっても危ない場所なのでとにかく走っている時には常に注意をしているところだったのですね。また、足裏のアーチを形成している足底筋膜炎もかかと部分の付着部に炎症が起こることから、やっぱり「接地」には気を使うわけでして。

しかし、今回ランマニアが故障してしまったハムストリングスの付着部というのは、ちょっと意外な場所だったのですね。というのも、ハムストリングスは基本、膝関節を屈曲する際に筋力を発揮する筋肉で、フェーズによってはエキセントリックな筋収縮が起こるでしょうが、基本的には関節を曲げながら力を発揮する場所だからです。

もちろん、コンセントリックな収縮が基本でも筋には負荷がかかるので、それで故障することも考えられますが、ランマニアくらいの走力、筋力でそこまで負荷をかけるのはむしろ難しい気がしていました。

ところが、足を痛めてからジョグをしようとした時にあることに気づきました。

痛みが発生する瞬間の脚の動きに注意を向けていると、どうやら蹴り上げる時ではなく、「脚を前に振り出す時」に痛むことに気づきました。

蹴り上げて一度たたんだ脚を再び「伸ばして」前に出そうとする時、ここが一番痛みが大きくなる瞬間でした。

「伸ばす時」

そうなんです、「伸ばす時」だったのです。やっぱり。

蹴り上げた後前に振り出した脚は、半分は重力の力を使って戻ってきますが、ある程度速く走るには、自分の力で脚を戻さなければなりませんね。つまり、「戻そうとして筋収縮が起こる」わけです。

でも、戻そうとする脚(膝関節)は比較的伸ばされているわけですから、やっぱり「伸ばされながら収縮する筋」の状態になっているわけです。

インターバルやレペティションなど、スピードが速く大腿部も比較的高く持ち上がる動きでは、かなりの強度の筋収縮が起こっていたはずで、それを毎週毎週繰り返すうちに、だんだん付着部に負担がかかってきてしまったのですね。

短距離が遅く、走りも小さめのランマニアでも、数ヶ月もこうした動きを繰り返せば、さすがに脚も音を上げてしまうんですね。

ということで、現在はこのフェーズでの筋力を極力抑えれば比較的問題なく走れる状態で、今日もキロ4くらいのペースであれば、脚を戻す際に無理に力を入れる必要がなく、患部を悪化させずに走ることができています。

1週間での回復量から考えると、来週あたりはキロ3分台で走れそうな感覚ですので今週もできるだけ負荷をかけないようゆっくり戻していこうと思います。

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