5月振り返り

こんにちは、ランマニアです。

さて、今日で5月も終わり恒例の1ヶ月の振り返りです。

4月は練習量を落としたにもかかわらず、故障が再発してしまいこの1年では最も走行距離の短い月となりました。

特に、故障により2週間まるまる休養を入れたのはここ数年なかったことで、ランマニア自身この2週間はちょっとメンタルが落ち込んだ時期でもありました。

一方、そのおかげもありこの5月は上田のスカイレースなども含めて回復の兆しが見えた月になりました。

ここまで数ヶ月にわたってふくらはぎの肉離れ(実際には軽微な損傷で済んでいますが)の再発を繰り返してきたことから、今月の再開に当たってはかなり慎重に練習の計画を立てました。

最も大きな特徴は、やはり「1日おき練習」だったと思います。

上田スカイレースの疲労を抜いた後、ほぼ1日おきのペースで練習を再開しました

こうして振り返ると、練習日自体は18日足らずと、月に13日もレストを入れたことになりますが、それでも一度に走る時間は最終的に125分まで延び、距離としても23km前後を余裕を持って走れるようになりました(だいたいキロ5を切るくらいのペースまで上げています)。

また、スカイレースの頃はまだまだふくらはぎの違和感もあり、思い切りロードを走るのが心配になる状態でしたが、現時点では2時間近く走った後でもふくらはぎの「危うさ」みたいなものは消失している状態です。

この辺りは、ここひと月あまりのジョグの中で若干走り方(フォームではなく力の入れ方)を変えてきたことも大きかったと思います。このことについてはいずれ別記事にまとめようと考えています。

練習のボリュームを考える上で一つの参考になる「月間走行距離」についても、ここ4ヶ月は連続して落ち込み続けていましたが、今月はようやく前月を上回る距離を踏むことができました。

最も走れていた頃に比べれば7割程度ですが、それでも故障なくひと月走り通せたのは久しぶりで、走ることが日常になってきました。

先週あたりから、トレイルも含めて一度に走る距離がかなり伸びてきたので、久々に「走ることでの疲労」が増してきたように思います。

しかし、去年もそうでしたが、こうした疲労も少し我慢してジョグで繋ぐことで、「走ることへの耐性」が強化され、知らず知らずのうちに同じ練習をしても疲労度が軽くなっていきました。

一度体力が落ちてしまっている状態なので、どうしても長めに走ると疲れが出やすくなっていますが、徐々にボリュームを増やしていくことで同じ距離を走っても疲れにくくなっていくのは去年体験済みです。

また、今月はトレイルレースがあったことから、トータルのトレイル率は比較的多くなりましたが、実際の練習回数としてはロード(あるいはダート)ジョグがほとんどで、一定時間一定ペースを維持して走り続けるという「ランニング練習の基本」「有酸素運動の基本」に時間を割くことができました。

トレイル率20%はほとんど上田スカイレースです。

ふくらはぎに不安があったときは、どうしてもロードを避けたく、また歩きながらでも有酸素能力を維持したく、山へ行くことが多くなりましたが、脚の不安が徐々になくなるにつれロードを走ることが増えた印象です。

さて、1ヶ月間まるまるジョグだけで過ごしてきました。

ジョグだけでもかなり走力は回復しましたし、体感的な脚の頑丈さみたいなものも戻ってきたように思います。

6月からは、今の1日おき練習から若干頻度を上げ(週2レストくらい)、かつ週1でファルトレクを芝生で行うくらいの強度の練習を取り入れていこうと思います。

6月は、あくまでまだ「本格的な練習を始める前の体作り」くらいの意識で練習を継続しようと思います。

そもそも「危ないけどやる」のがスポーツ

こんにちは、ランマニアです。

昨日、トレイル界に衝撃が走った中国の事故。

ネットニュースを見る限りではまだ速報的な記事しか目にすることがなく、これだけをみてああだこうだいうのもどうかと思いますが、いずれにしても恐らくこれだけの死者を出してしまったスポーツ種目は過去類をみないのではないでしょうか(もしかしたら、トライアスロンとかで大規模な海難事故があったかもしれませんが)。

記事に対するコメントや何人かの方のブログを見ますと、本当に見え方、考え方は様々です。

ただ、現時点の情報量だけで、ある特定の観点からある側面だけを「断罪」するのもどうだろう、というのが正直な感想です。

確かに、運営側の杜撰なリスクマネジメントが原因だった可能性も否定できませんし、参加する側の山岳レースに対する意識の問題ももちろんあるのかもしれません。

しかし、今回の事故を、例えば列車の脱線事故や航空機の墜落事故のような「限りなくゼロリスクを目指さなければならないもの」と同じ観点、そしてそれらと同列で論じるのはどうなのだろう、というのが、現時点での私の考えです。

もちろん、今回事故に遭われた方や遺族の方、それから関係者の方々の心情は想像を絶するものがあり、そうした方々と同じ立場に置かれたとしたら、同じような考えはできないかもしれません。

立場が変われば考えも変わる

気分が変われば考えも変わる

これはどんなことにも当てはまることで、だからこそ、ある一つの出来事を一定の価値観や考えだけで断罪してはならないと思うのですね。

(そういえば、最近こんな秀逸なツイートがありました)

そう前置きした上で、いくつか自分の考えをまとめてみることにしました。

そもそも「死」は身近に存在する特別でないもの

本当に事故に遭われた方や遺族の方の心情を無視して言ってしまっていますが、私自身、最近特にこれを感じるようになっています。

20代、30代の初め頃にはまだまだこんなことは考えたこともなかったのですが、40を過ぎた頃でしょうか。やはり生きていると色々なことが起こるのですね。「よくここまで生きて来られたな」と思うようなことに、そこそこ頻繁に遭遇するわけで。

また、周囲でも何もかも順調にことが進んでいる人なんて1人もおらず、変な話「ここまで生きてこられただけでも幸運なこと」に思えてしまうほど、本当に身近な人の人生一つとっても色々あるわけです。もちろん、若くして亡くなった知り合いもいます。

とにかく、生きていればもう死は避けられず、それをいかに防ごうと予防線を張ったとしても、予期せぬことで命を落としたり、危ない目にあったりするのが人生だと思っているのですね。

これは、何も「危ないこと」をやらずに、普通に生活していたってそうだということです。

人間は「生きているから死ぬ」のです。何で死ぬかは誰も予想ができず、それは生きている以上いつ訪れてもおかしくない。そう考えているのです。

行動することは「死のリスクを高める」こと

そうした前提に立った上で毎日の生活を送っていると、もう「行動することは死に向かうこと」と言えなくもない状況だとわかってきます。

例えば、様々な状況下における「死の確率」みたいなものがあるとして、それが家にいる時が1%くらいだとすると、多分、車を運転するなどということはそれが数十倍に跳ね上がると考えられます。

あるいは、リビングで横になってTVを見ているその時の確率が0.5%くらいだったとして、その後我々が大好きなランニングをしに行ったとすれば、それだけで死に遭遇する(心臓発作、交通事故等)確率は30%くらいになるのではないかと、というくらい、死ぬ確率は跳ね上がりますよね。

しかし、じゃあ死ぬリスクが高まるなら何もしないのかと言えば、決してそうではなく「危ないかもしれないけどそれを言い出したら何もできないから、そんなことを考えずに色々と行動する」というのが現実だと思います。

スポーツをするということは、それだけで死と隣り合わせ

そんな身の回りが「危険だらけ」な人生ですが(ていうか、野生の生き物は基本そう)、その中でも相当に「危険な行為」が実はスポーツだったりします。

スポーツは「身体活動」です。

身体を動かすのがスポーツであれば、もうそのものが物理的に「危険」を伴いますし、体の生理的なバランスを著しく崩しながら取り組むことになるのです。

特に、「走る」なんて行為は「いつ死んでもおかしくない行為」とさえ思える運動だと思っています。

なので、もう本当に縁起でもないことを言ってしまうと、ランマニアはかれこれここ10数年、毎日走りにいこうと玄関を出て扉を閉める際には「これが最後になるかもしれない」ということは、常々考えてしまいます。

走り出して数歩で心臓が止まるかもしれないし、その道の角を曲がったら車に轢かれるかもしれない。

そうした「危険」の数々をくぐり抜けて帰って来れれば、今日も幸運だった。そう思うようにしているのですね。

で、何が言いたいか、もうお分かりですよね。

そもそも、そうした日々のジョギング・ランニングだって十分危険な行為なのに、それを2000m級の山々で行うトレイルランニングはもちろんのこと、肉体の限界ギリギリのペースを攻めて42kmも走り続けてしまうフルマラソンだって、もう文字通り「死ぬ覚悟」で取り組むほどのスポーツだということです。

リビングで寝っ転がっていることに比べれば、恐らく死のリスクが100倍くらいに跳ね上がるほどのことをやっていると言っても過言ではありません。

「正常性バイアス」でやれてしまう私たち

では、なぜそんな危険なことを、こうまでして普通にやれてしまうのか。

ここには、私たち人間が陥りやすい「楽観的思考」、「正常性バイアス」というものがあります。

人間は、何か危機的な状況が迫りつつある時でも、何の根拠もなく「自分は大丈夫だろう」「まあ、なんとかなるだろう」という楽観性が優先されてしまう傾向があります。

これから「起こるかもしれない」目に見えない「異常」よりも、今目の前に見えている「正常」な状態の方に思考が支配されやすく、この正常な状態が想像もできない危機的な状況に変貌するなどということが、文字通り「想像できない」のですね。

特に、いつも走りに行くたびに無事に帰って来れれば「今日も大丈夫だろう」と無意識のうちに考えるわけで、それが「死ぬかもしれない」という危険性を、いつの間にか忘れさせてしまっているのです。(いや、だからこそ人間は色々なことにチャレンジできるのですが)

この人間の、誰もが持つ傾向を「さも自分だけはそうでないような物言い」で非難するのは、果たしてどうだろう、ということなのです。

今回の事故の様子を見ていますと、運営側も選手側も同様に、この正常性バイアスが強く働いてしまっていたのではないかと、色々推測しているのですね(予測が非常に難しい気象条件もそれを後押しした可能性が高い)。

山における正常性バイアス=「山を舐める」

こう短絡的に考えるのは、果たしてどうだろう、ということです。

電車に乗ることや飛行機に乗ることとは根本的に違う「参加」

そしてもう一つ、いくつかのコメントから考えたことがあります。

それは、今回の事故を「列車が脱線した、どうしてくれるんだ!」「飛行機が墜落した、安全基準はどうなってるんだ!」と同じような理屈で語られている記事があったということです。

電車や飛行機などの公共交通機関を利用する際は、色々な危険性はあるものの、ある程度「ほぼ100%の安全」を前提としてこちら側も利用しています。

乗る前に「脱線するかもしれませんよ」「堕ちるかもしれませんよ」などと注意されてから乗る電車や飛行機なんかありませんからね。

一方で、トレイルランニングなんていうスポーツは、「死ぬかもしれませんよ」と暗黙に言われているスポーツだと思っています。

そして、そのことを「参加者も理解している」という点が大きな違いだと思っているのです。

電車に乗る際、誰も「死ぬかもしれない」などと思って利用する人はいないと思います。

しかし、トレイルレースは「死ぬ危険性のあるレース」という認識のもと「参加」をするわけです。

それは、運営側が個人の体の状態や天候などに代表される自然の力を、全てコントロールすることは不可能だからです。

ですから、今回の事故の原因全てを運営側の責任にすることは、列車の脱線や航空機の墜落などと同列に捉えているのではないかと勘繰ってしまうのですね。

最も恐れているのが「危ないことはやらなければいい」

今回の事故の責任については、もうそれは法廷が決めることで、我々外野がどうこういうものではないと思っています。

亡くなった方は気の毒だったし、その遺族の方にしてみれば運営側を追及したくなるのは当然のことだと思います。

ですが、我々はそれについてこうだと断罪できかねる理由は今まで書いてきた通りです。

一方ここで、私自身最も危惧しているのが「こんな危険なスポーツはやめた方が良い」という風潮が蔓延ってしまうことです。

もうすでに、別のところでも「トレイルレースは禁止」という意見もありました。

もちろん、人それぞれ様々な考えがあるのはわかるし、それはそれで否定するものではありません。

しかし、もし、この「危ないからやめる」理屈が通ってしまうと、もうほとんどありとあらゆる「スポーツ」自体ができなくなってしまうのですね。

波や海水温の影響を受けるからトライアスロンは危険だ。

時速100kmを超えるスピードが出るアルペンスキーは死ぬ可能性がある。

そのほかにも、スキーのジャンプ、乗馬、ラグビー、アメフト、等々、上述した通り、スポーツはみんな危険で「死と隣り合わせ」なんです。

確かに、今回の事故は一度に多くの死者を出してしまった異例の出来事でした。

当然、運営側の対策で防ぐことができた部分もかなりあると思います。

だからこそ、もう一度その危険性を再確認して対策をし、参加者側も運営側も「正常性」に振られたバイアスを「異常性」にシフトさせる機会にしなければならないと考えています。

そして危険を理由に活動をやめるのではなく、危険性を最小限に止める努力を、参加者のできること、運営側のやるべきことを整理して行い、活動を継続していかなければならないと思っています。

わかり始めたマイレボリューション

こんにちは、ランマニアです。

のっけから40代未満の方を置き去りにするタイトルですが、ようやく安定的に練習を継続できるようになって「わかり始めた」今の心境をタイトルにしたらコレになりました。

今日は久しぶりに「フルアスファルト」ジョグを行いましたが、まあとにかく以前のふくらはぎのやばかった頃に比べて、だいぶ下腿(膝下)の「剛性感」が増してきた印象です。

正直、まるで自分の脚がガラスでできてるんじゃないかと思えるほど、何かのきっかけで「ピキ」って言ってしまうんじゃないかとヒヤヒヤする状態でしたね、一時は。

「イケてる」時は、足裏でバシバシ路面を叩いて豪快に進めるんですが、そんなことをしようものならふくらはぎが粉々になるんじゃないかと。

さすがに前足部でバシバシ路面を叩けるほどの剛性感ではないものの、今日のロードジョグはまたそういう走りが戻るんじゃないかと予感させるくらい脚の頑丈さを実感できた練習になったのですね。

しかしここに至るにはやはりそれなりの苦労があったのも事実です。

最も大きなターニングポイントは、やはり4月下旬に設定した2週間のノーラン期間でしょうか。

あそこで一旦、微細な損傷・断裂してしまった筋繊維を修復させ、そこから改めて筋を鍛え直していったことが大きかったように思います。

それまでも、ノーランデーを何日か設けてはいたのですが、わずか数日の休みでは「回復」はしても「修復」には至らない状態であったのだな、と改めて感じます。

筋繊維がしっかり「修復」されなければ、少しの刺激でまた損傷してしまい、痛みは生じないものの体感できないレベルでのダメージが残っていて、少しの刺激(ジョグ)でもその弱っている部分からじわじわと「亀裂」が広がっていくイメージでしょうか。

そして実際にはもう糸が数本でつながっている状態になった時、なんでもないジョグの最中の「次の一歩」でピキっとなるのですね。

とにかく、一度筋肉の状態をある程度健全な状態に戻し、その上で本当に少しずつ刺激を与え、適応を促す、という言われてみれば当たり前の過程を踏まなければならないのが故障からの復帰なのです。

初めは山歩き。数日おいて、歩くようなペースでの軽いジョグ。しかも頻度も1日おき。

途中上田スカイレースというとんでもなく危ないイレギュラーなイベントが入り込みましたが、本来であればああいうことはないほうがベストです(結果的に何もなくて良かったですが)。

そして先週からは少し長めのジョグを1日おきに入れてきました。

走行時間が100分を超えたあたりで、さすがに疲労が溜まりましたが、そこから回復したあたりで心なしか「脚の頑丈さ」「疲れにくさ」が徐々に戻ってきた感じを受けました。

ウォーキングを含め練習を再開して大体ひと月くらいでしょうか。総走行距離にしておよそ200km弱といったところ。

この10年、もうこのふくらはぎの肉離れは幾度となく繰り返していますが、どうしても「やめ時」「始め時」が掴めないんですよね。

痛けりゃやめればいいのに、って思うのですが、本当にやばい痛みでない気もしたり(実際そういう時もあり)、痛くないから走ったらキレたり。

そういうのがわかってくれば、文字どおり「マイレボリューション」なんですけどね。

とにかく、今年に入っての練習継続期間が最長の1ヶ月に近づきつつあります。前回4月は最短の二週でキレましたから、一日置き練習が基本とはいえようやく脚の状態も元に戻りつつあるのではないかと。

明日は久々の「連日練」を入れ、その後練習頻度を距離を抑えながら元に戻し、5月を乗り切れれば6月からいよいよファルトレクなんかを入れていこうと思います。

隔日練で見えてきたこと

こんにちは、ランマニアです。

大きな山場だった上田スカイレースもどうにか無事走り終えることができ、ひとまず腰を据えてじっくり体力を戻そうという気分になってきたところです。

やはりどんなレースでも、競技会が控えていると気持ちは昂りますし、万全でない時ほど焦りが出てくるものです。

さて、4月下旬に練習を再開してからここまでずっと続けていることがあります。

それは「隔日練」です。

今年に入って繰り返されるふくらはぎ痛からの練習再開では、徐々に距離やペースを伸ばしていくいわば「漸増型再開法」(勝手に作った造語です)を取り入れてきましたが、これがどうもふくらはぎの「再生」にあまり良い感じがせず、4月からはちょっと別のアプローチで体力を戻す方法を取りれてみたのですね。

別に、特段たいした取り組みではないのですが、要は単純に「1日おきに練習する」という方法です。

トレーニングの効果を規定する要素としては、主に「強度(ペース)」「時間(距離)」「頻度(単位時間あたりの練習回数)」があると考えていますが、今回はそのうちの「頻度」を落とすことに着目して練習を再開しようと考えました。

というのも、これまでは「強度」と「時間」を徐々に増やすということしか頭になく、この「頻度」という観点を全く考えていなかったからなのです。

疲労させた組織の回復にはどうしても時間がかかるため、どんなに強度の低い練習をしたとしても、筋繊維を使ってしまった以上は一定の時間休ませる必要があるのは当然のことです。

特に、現在の状態のように損傷からの「再生」の途中にある筋繊維であれば、その回復のための時間は普段よりも多く必要であるでしょうし、何よりランマニアはそこそこの「老体」ですから、昔のような「食って寝れば治る」ような若々しい筋肉の状態でもないことから、「回復の時間」を意識して確保しなければならないと考えを新たにしたのですね。

なので、以前なら、30分走ってまた翌日30分、とかをするくらいなら、45分走って翌日はまるまる休養、というようなパターンに変更をしてみたのです。

昔なら低負荷の練習を毎日続けているうちに「そういえば治ってる」みたいなことがほとんどでしたが、最近はまるまる一日休むような時間がないと、筋の再生が間に合っていない感覚を感じていました。

そんなことで、30分走ったら翌日休み。山を走っても翌日休み。次は45分に伸ばしたところで一旦翌日休み。

このような流れで練習を継続してきました。

練習再開後から今日までの練習内容。都合により隔日になってないところもあります。

4月24日からランを再開してからここまでですが、走行距離的には概ね105kmほどです。

日数にして20日間。20日で105kmですから、いわゆる「月間走行距離」的には相当少ない距離ですね。

しかし、今日は久しぶりに90分もの時間をそこそこのスピードで走ってみたところ(16km強)、特に終盤ばてたり、距離的にしんどい感覚を感じたりすることもなく、快適に走ることができました。ふくらはぎへの負担もそれほど大きくなく。

これはやはり「一度に走る時間を確保」して、「回復に当てる時間も十分確保」してきたことが大きかったと考えています。

もちろん、この先もこんなペースで練習をしていく予定ではありませんが、筋の状態が万全でなく、健全な状態と同じ負荷をかけた場合の回復に時間がかる時期では、

「故障が再発しない程度のかけられる負荷」をかけ、「筋繊維が元に戻るかそれ以上の回復を果たせるだけの時間を確保」することが、結果的に確実に走力を戻していけるのではないかと考えたのですね。

さて、今のところこの方法で練習を継続してきて、ひとまずふくらはぎは大丈夫そうです。もう一週くらいこの隔日ペースで練習を続け、脚の状態と相談してその翌週くらいから練習の頻度も上げていければと思っています。

ちなみに、この1日おきの練習にすると、「練習する日」が「特別な日」になってくるので、「練習するのが待ち遠しくなる」というこれまで感じたことのないような感覚を得られたのはちょっとしたメリットでした。

上田バーティカルレース【検証編】

こんにちは、ランマニアです。

さて、前回報告したレース結果とそれまでの練習内容から、なぜ今回はこのような想定外の結果になったかという話。

いきなり結論から言いますと、

  • スカイランニングの特異性にアプローチできた
  • 慢性疲労症状が落ち着いていた
  • スカイレースのペース配分と栄養補給を意識した

この三つに行きつきました。

順に説明します。

スカイランニングの特異性にアプローチできた

これはもうこの「スカイランニング」という競技種目がマラソン・長距離種目に必要な能力を応用できる部分に加えて、特異的な能力が必要な種目であり、その部分にアプローチをして準備してきたから、という考えに至っています。

はい、自分で書いていながらよくわからない表現になってしまっているので、めちゃくちゃ大雑把な図で説明すると、

厳密なデータがあるわけでなく、概念的な模式図だと思ってください。

この3種目に必要とする能力は、概ねこんなイメージで考えています(あくまで自分が走りながら感じている感覚的な印象です)。

簡単に言えば、純粋に前に進むだけの持久的運動であるマラソン・長距離種目は、ほとんどがその「一定ペースをできるだけ長く維持する力」に依存している状態だと考えていて、一方で変化に富む山岳地帯を走るトレイルランニングではそれ以外にもいくつかの影響要因があるということですね。

特に、マラソンや長距離種目で走る場所には存在しないような「急な坂道」「登山道」をできるだけ速く、長く走るためには、もちろん持久的種目に必要な有酸素系の能力は必須なのですが、それに加えてもっと絶対的な「筋パワー(収縮速度も加味した筋力)」なども必要になってくると考えています。

それが上のグラフで示したグレーの部分で、登り一辺倒の「バーティカル」ではその割合がとても多くなってくると推測しています。

(ちなみにこのパワー系の筋力は速筋系の筋繊維が関係しているので、あまり鍛えすぎると筋肥大が起こりやすく、それがトレイルランナーの大腿部が太い原因なのではないかと思っています(もちろん脚が細くて速い人もいます。おそらく走り方やもともと持っている筋繊維のタイプによる違いだと思われます)。)

つまり、この上田までの3週間はほとんどランは入れなかったものの、山歩きやトレランはそこそこの頻度で入れた結果、ランの練習だけでは鍛えることのできないグレーの部分(スカイランニングに特異的な部分)をトレーニングする機会が確保され、また副次的ではあるものの、長く山を歩き続けることで、青や緑の部分も最低限維持するだけの刺激を入れることができたものと考えられます。

特に、単なる「山歩き」でさえ、歩行時の心拍数は下りを除けば120を超えることもザラで、これを3時間も4時間も続ければそれなりのトレーニングになることは容易に想像がつきます。

これが一つ目の「スカイランニングの特異性にアプローチできた」ということの根拠です。

ちなみに余談ですが、以前記事にした「クロストレーニング」の有効性に関連して、トレイル練習はランの走力を上げるか?という「命題」をこのグラフから考えてみると、個人的には「なし」だと考えます。

やはり、トレイルを走ってみればわかると思いますが、とにかく山では同じサーフェスが1分たりとも続かず、一定の「走る」という動作を安定して確保することが難しいからです。「走ること」は「走ること」でしか鍛えられないものがあると考えていますので、同じ60分のジョグをするなら山で走るより平地のロードや緩やかなクロスカントリーで行った方が、間違いなく効率も効果も高いと考えています。

また、急な山道を駆け上がるとそれなりに苦しく、平地のインターバルなどの代わりになるのではないかと思われがちですが、実際には使っている筋や筋力の発揮の仕方が違いますし、何より心拍数の上がり方も違います。もしVO2MaxやLTなどを鍛えたいのであれば、これも間違いなく平地で一定時間負荷をかけた方が効率も効果も高いと考えています。

ただ、故障明けや休養明けで1から基礎体力を身につけていくときなどに、いきなり平地でインターバルをやるようなことをするよりは、芝生でのファルトレクなどと同様、呼吸器・循環器系に刺激を入れたり、糖代謝や無酸素性の代謝能を鍛える目的で、トレイルやバーティカルを走るというのは「あり」だと思っています。

一方、逆のアプローチとして平地で鍛えた有酸素代謝能力やVO2Max、LTなどは、トレイルランニングにも応用することができると考えています。なぜなら、これらの力が影響する割合は、長距離・マラソンよりもトレイルランの方が少ないと考えているからです(先程のグラフ参照)。

それほど頻繁に山へ通わずとも、いきなりトレイルを走ってそこそこ速く走れるのはそのためだと思っています。

なので、話はそれましたが、スカイレースやバーティカルを速く走るには、①平地の長距離・マラソン用のトレーニングで徹底的に青や緑を鍛える、②山に通ってグレーの部分を鍛える、というアプローチが最も効率が良いのではないかと考えています。

今回の経験から痛感したのは、トレーニングの「分業制」

一見、山を速く走りたければできるだけ山に通う方が良さそうに思われますが、ここは鍛える要素によって「分業」したほうが効率が良いと思うのですね。

今回上田でそこそこ走れたのも、昨年取り組んだランのトレーニングで、青や緑の部分の「ため」が残っていた(有酸素系の能力はそこそこ維持されるため)ところに、山通いでグレーの部分が鍛えられたことが大きかったのかな、と思っています。

慢性疲労症状が落ち着いていた

さて、好走できた二つ目の要因です。

これは自分自身に特有な問題なのですが、今回はとにかく「疲れていなかった」というのが想像以上に良い結果をもたらした、ということです。

もともとランマニアは慢性的な疲労症状を抱えていますので、少しハードな練習を積んでしまうとそれによって引き起こされた疲労が、パフォーマンスにかなり影響してしまうのですね。

なので、「ハードな練習を重ねて走力を高めるか」「そこそこの練習で体調を維持するか」を天秤にかけて、どっちのメリットの方が上回るかを常に考えながらトレーニングする必要があります。

今回は、かなりの長い期間まともな練習ができなかったことで、結果的に慢性疲労症状が悪化することなく、とてもいいコンディションでレース当日を迎えることができたと考えています。

確かに、今回山を走ってみて、いつもはもっと足のだるさを感じることが多く、億劫でしんどい感じがしていたことを思い出しました。この差は大きかったと思っています。

つまり、「トレーニング効果ー疲労の程度=当日のパフォーマンス」という概念を用いると、今回はそのバランスが以下のようなイメージで、結果的に発揮できたパフォーマンスに大きな差が出なかったものとみています。

今回はトレーニング効果は少なかったものの、トレーニングによる疲労の程度も軽かった。あくまで概念図。
発揮できるパフォーマンスは、トレーニング効果が疲労の程度によって相殺されたものと考えると、残った部分(赤)がレースでのパフォーマンス、という考え方。

このようにして考えると、トレーニングによって得られるパフォーマンスが微々たるものでも、疲労の程度も小さかったため、結果的にトレーニングを積んだ時と同じくらいのパフォーマンスが発揮できたものと推測されます。

ペース配分と栄養補給を意識した

最後はスカイレースに限って言える要因、ペース配分と栄養補給についてです。

一昨年同じスカイレースを走った時は、とにかく前半からぶっ飛ばしてしまい、最後は本当に倒れる寸前でゴールというかなり危ない状態に陥ってしまいました。

今回は、ふくらはぎの状態もよくなかったこともあり、とにかく序盤から慎重に、ペースを抑えてレースを進めたのですね。

具体的には「息が上がらない程度」という目安、心拍数で言うと「140を超えない」という目安を守りながら走りました。

この上田のコースは、走り通すと通常5時間近くはかかるコースです。

フルマラソンですら3時間程度ですから、よくよく考えれば相当なペース配分を考えなければならないことが分かりますよね。

例えば、フルを走るときに序盤から「ハアハア」息が上がることってあるでしょうか。

そんな状態で初めの10kmを走ろうものなら、もう30km手前でどうなるかは想像つきますね。

スカイレースも全く同じで、最近ようやくこのことに気付いたのですが、初めの1時間で「ハアハア」言ってたら、もう確実に撃沈します。

呼吸が上がる、と言うことは、それだけ多くのエネルギー(糖分、グリコーゲン)を使ってしまっていると言うことですから、終盤に使える栄養を無駄に消費してしまっていることになります。

スカイレースは、序盤からいきなり急な登りが始まります。なので、息が上がるのは当然、と以前なら考えていたのです。

しかし、これが大きな落とし穴。

4時間も5時間も走る中で、マラソンならこんなことはありえない。そう考えたときに、いくら急な上りでも、絶対に息を上げて走ってはいけない、と言うことに昨年のエクストリームトレイルあたり(10月)から気づきました。

なので、今回も序盤の登りから無理に走らず常に呼吸の状態に注意を払い、苦しくならないように慎重に登っていったのですね。

こう言うところもゆっくり登り呼吸を上げない(ていうか道じゃないよね、これ)

また前半、唯一気持ち良く走れる尾根伝いの区間があるのですが、そこでもペースは極力抑えました。

前半の尾根道はかっ飛ばしたいのを我慢してゆっくりとジョグ。一昨年は調子に乗ってのちに地獄を見ることに。

とにかく、このことを意識したことで終盤のペースダウンを最小限に防ぐことができ、およそ1時間余りの記録更新につながったと考えています。

そしてもう一つは栄養補給です。

この重要さに気づいたのも昨年のエクストリームトレイル。

実はトレイルランニングを始めて10年近くになりますが、つい最近までランマニアはほとんど補給をしないで走る人でした。

自分では補給食を持たずにエイドだけで軽く食べる程度。

もともと陸上競技から入った人なので、「レース中に食べる」と言う感覚にいまいち抵抗があったのですね。

しかし、昨年のエクストリームトレイルで補給食を摂りながら走って驚きました。

最後まで急な登り坂でしっかりと脚が動くのですね。

特に、比較的序盤(レース時間の3分の1くらい)から食べ始めると調子がいいように感じました。

今回も、レース開始後100分あたりから食べ始め、あとは30分毎に何かを口にするようにしました。

なぜ栄養の摂取がトレイルレースで重要なのかと言うのは、これだけでものすごい文章量になりそうなので別の機会に記事にしようと思います。

と言うことで、今回の上田バーティカルレースを想定外の結果で終えられた要因を振り返ってみました。

実際に振り返ってみると、意外としっかりとした根拠があることに気づき、むしろ「想定内」の結果であった気もしてきます(故障が悪化しなかったことは本当に大きな想定外でしたが)。

今回の検証で今後のトレーニングに関して参考にしたいのは、とにかく「一度高めた有酸素能力の力を信じて、その後一旦は疲労を抜く期間を設定した方が良い」と言うこと。

ランマニアの場合は、慢性疲労がパフォーマンスに大きく影響してしまうため、欲張って練習量を確保するよりは、一度追い込んだ後にはしっかりと休む期間を設定して、疲労を抜いてしまった方が結果的に高いパフォーマンスを発揮できる気がしています。

レベルは全く違いますが、あの日本選手権で優勝した伊藤選手にしても、おそらく故障期間中のリフレッシュが大きく影響したのではないかと考えています(あれだけの期間練習を休むと言うのは、エリートランナーなら尚更意図的にやるのは難しいはず)。

そして、強度の高い練習も、そんなに高頻度で取り入れなくてもある程度は力を維持できと考え、故障や調子を崩すことを考えると、疲れているときに無理してやるほどのことではない気もしてきます。

今回「あの程度の練習」で走れてしまったことで、「やりすぎないこと」の重要性に気づけたようにも思います。

とはいえ、今回の結果はそれ以前の「しっかりやり込んだ時期」に裏付けされたものである可能性もあり、「やらなければならない時期」もしっかり存在していることも考えなければならない気もします。

上田バーティカルレース【記録編】

こんにちは、ランマニアです。

12月に故障したふくらはぎが、結局4月になっても再発を繰り返している中で、ついにこのレースを迎えることになりました。

12月の時点で、まさかこのレースに影響を及ぼすほどの故障になるとは想像もしてなかっただけに、ギリギリまで出走を迷っていたのが本音でした。

ところが、結果は以下の通り。

バーティカル エリート【猿飛佐助コース】   記録 53分50秒 SJS 28位

累積1000mを5kmの距離で一気に駆け上がる「バーティカル」。途中両手を使う「攀じ登り」もあり。

スカイレース エリート【塩尻山城コース】   記録 4時間55秒21(PB) SJS 20位

国内屈指のテクニカルなコース。短い距離で標高を稼ぐためコースのほとんどが急峻な坂道。

4月上旬に再びふくらはぎを痛め、そこから2週間はランを封印。

ただ、今回はこれまでのうちで最も軽症なうちに走行を中止したため、走りさえしなければ確実に回復すると見込み、最低でも上田バーティカルを「歩いて参加」が可能な状態には戻したい、という思惑がありました。

そこで、その2週間のうちに2〜3回は山歩き(状態次第では登りだけ小走り)を入れてみて、脚の状態はどうなるのか、数時間歩く体力は維持できるのか、その辺りを確認しようと考えました。

初めは、累積標高1000mほどの登山をゆっくり行い、脚が問題ないのを確認したのち、次は20km以上の山歩きを数時間かけて行いました。この間は2日ほど空けました。

20kmもの距離ではありましたが、全て歩きで通したため、ふくらはぎにはほとんど負荷をかけることなく、しかも数時間もの間心拍数は120前後を維持できるという発見もありました。今にして思うと、この経験が「基礎体力の維持」に一役買っていたように思います。

その後も、累積標高1500m、2000mと獲得高度を上げ、脚の状態と相談しながら登りでは少しずつランも入れ、心拍数も170近くまで上げられるようになりました。

ただし、ふくらはぎの回復を確実に促すため、これらの「山練習」の間は必ず2〜3日は空けるというマイルールを設定。

また、この2週間はまるまるロードを走ることは控え、2週間の休養を経た後も1日おきに30分〜60分までの時間をキロ7分から、上げても6分までのペースでジョグをしたにとどめました。

脚を痛めて以降の4月の練習内容。3週間でロードランニングは僅かに3回。しかもキロ7分〜6分。

この後、5月は1日に50分ほどキロ6で走ったのみです。つまり、今回の上田バーティカルレースの前3週間は、ロードのジョグを4回、登山やトレイルランニングを5回行ったのみで、正直なところレースになど出てはいけない練習内容だったと改めて感じます。

ちなみに、これ以前の練習はといえば、3月もほぼジョグのみで月間200km程度、2月はファルトレクを少々、Mペース(と言ってもキロ4)を2度入れたのみ、1月はファルトレクを数回入れた以外はほぼジョグで月間300km越えです。心拍数を上げ、LT以上のペースを維持した時間はこの4ヶ月では微々たるものでした。

この4ヶ月間の練習まとめ。LT走を定義する「黄色」はファルトレクがほとんど。

2月以降圧倒的に練習のボリュームが減ってきたことから、今回の上田では「駆け登り」のみの「バーティカル」はまだしも、通算走行距離が25kmを越え、累積標高差が3000mにも及ぶ国内屈指の難コースである「スカイレース」の方は、間違いなく最後まで走れないだろう(故障の再発も含め)という予想のもと当日を迎えたわけです。(以下スカイレースのダイジェスト動画。日本スカイランニング協会制作。)

このコースを無事走り切れたことがいまだに信じられません。

しかし結果は報告の通り。

バーティカルの方はコースの難易度と出走メンバーから考えて、総合31位、SJS順位で28位というのはかなり走れた方だと考えています。

VO2Maxや解糖系など、かなり「パワー系」に振られた競技であり、そっちの練習(例えばVO2ペースのインターバル、時間の長めなLT走)を全くしていない中で、昨年のバーティカル日本選手権(尾瀬岩鞍VK)に近いくらいの結果(集団内での順位位置的な意味で)が出せたことは驚きでした。

そして、小手先のごまかし(今回のような何度か山へ行って練習したつもりになるような)が通用しないスカイレースの方は、さらに意外な結果で、総合21位、SJS順位20位という想像もしていなかった位置で走り切ることができました。

そもそも、このジャパンシリーズに参加するようになってから、30位以内のポイント獲得順位に入ること自体なかなか難しく、始めてしばらくはポイントを取るのがやっとの状態でした。

特に、この上田は屈指の難コースである上に、今回の出場メンバーから考えれば事実上ほぼ「日本代表」選手権に近く、その中で20位というのは自分でも何が起きたかよくわからない状況です。

また、自分自身の中で比較してみても、一昨年に比べ1時間近い記録の更新がありました。

もちろん、ペース配分等かなり意識した部分はあります。しかし、それだけでこの変化はあり得ないでしょう。

ではなぜ、今回「あの程度」の練習でここまでの結果を残すことができたのか。

これについては、次回の【検証編】で詳しく分析しようと思います。