M×Kディスタンスチャレンジ(5000m公認)に出場してきました

こんにちは、ランマニアです。

さてレース月間も三週目となり、いよいよ最も「過酷な」5000mトラックレースの日を迎えました。

トレイルやフルマラソンなどと違って、とにかくこのトラック5000mというのは(というかこれ以下の距離のトラックレースは)スタートからゴールまで一瞬たりとも休む間がなく、極端な話「ずっときつい」時間が続く、過酷レースなんですね。

もちろん、100kmや100マイルのウルトラマラソンだって、最終盤ではこの世の地獄が待ってるのでしょうが(ランマニアに経験はありません)、この5000mという距離はギリギリVO2Maxペースを最後まで維持するのでとにかく苦しい。水の中で呼吸をしているかのような、猛烈な苦しさがずっと続くのですね。

いえ、若い頃はそうでもなかったんです。ほどほどの苦しさのまま最後まで押し通せるような余裕があったのですが、30代後半になったあたりから、この5000mという距離が猛烈に苦しくなってきました。脚はそうでもないんですけどね。

そんな苦しくて仕方がない種目なので、とにかく正直なところずっと気が重くてですね、トラック走って今の純粋な実力を把握しなくちゃな、という気持ちがある反面、早く終わってくれないかな、っていう気持ちもずっとあったのですね。

そして、その苦しさに加え、この種目はランマニアの長距離ランナーとしての今の実力を知る上でのいわば「ベンチマークテスト」みたいな位置付けで、とにかく「失敗するとかなり凹む」という、結果を知るのが恐ろしい側面も持っているのです。

なので、とにかくこのトラック5000mはメンタル的にタフな種目だったのですね。

ここ数年必ず毎年1回はトラックで5000mを走るようにしていますが、4年前の15分52秒をピークに、3年前の15分55秒、去年に至っては16分29秒と急激に走力の低下を目の当たりにしていて、正直、年齢による影響を疑い始め、自信をなくしかけていたところでした。

そんな中、今年は一念発起してダニエルズのゴールドプログラムに取り組み、もう一度基礎体力を高めて15分台を狙ってみたいと、考えていました。

Twitterで何度か書きましたが、ランマニアの中では1000mのインターバルを5本やった時の合計タイムが、大体その時ピーキングして迎えた5000mのタイムに相当する、という傾向があり、その観点では今シーズンは1000mのインターバルを3分12、3秒で行っていたので、ちょとギリギリなのかな、と思ってはいました。

なので、今日のレースも最初の1kmは絶対に飛ばし過ぎずに、どんなに速くても3分10秒まで、現実的には3分12秒くらいかな、というイメージで走りました。

スタートして1周目は75秒後半。ちょっと速めだけどむしろ最初の脚の軽さで遅めだと調子が悪い証拠なので、これくらいのオーバーペースはちょうどいいくらいと前向きに。

2周目は77秒くらいまで落ち着いたので、このままこのペースを楽に維持したいと考えながら1000mの通過が3分11秒。

しかし、絶妙なペース配分なのでこれはいいぞ、と思った矢先、ちょっとこのペースを維持するのがキツくなってきました。

呼吸も苦しいし、脚も動きが鈍くなってきて、このまま一生懸命このペースを維持してしまうと、間違いなく3000m手前から一気にペースダウンするのは目に見えていたので、仕方なくその集団につくのをやめて、後方から様子を伺うことにしました、っていうほど余裕はなく、もうすでに前についていくのが精一杯で。

2000mは苦しすぎて時計を押すこともできず、推定ですが6分25秒前後。

しかし、ここでの「休憩」で若干苦しさが和らぎ、またマラソントレーニングで鍛えられたせいか、脚は全く問題なく動くのでもう一度集中力を立て直しました。

3000mはアナウンスを聞き9分40秒。

この時点で15分台は詰んだので、残り3分15秒でいけば16分一桁もまだあるか、と目標を修正。

余談ですが、レース中(まあ練習もそうですが)、目標を持つということは非常に重要で、◯◯分が切れるぞ、というような目安があるだけで、かなりキツさに耐えられるようになるんですね。これは嘘のような本当の話で、脳科学の観点からもエビデンスがあるみたいで。なので、「15分台は無理だ、終わった」と思うのではなく「16分一桁台を目指そう」と気持ちを切り替えることは、その後の展開を大きく変えると思っていました。

さらに、もう一つ気持ちを切り替える方法として、我々のようにフルマラソンのような距離感覚に慣れているランナーですと、1kmとか2kmとかいう距離は、結構短く感じる傾向がありますね。

確かに5000mレースでの2km、1kmはとてつもなく長いんですが、比較的我々は脚ができていますから、苦しさだけ耐えられれば、どうにか脚の方は動かすことができるのです。

なので、5000mのような「短い」距離では、「残り7周」と見えても「残り2.8km」と置き換えるだけでだいぶ気持ち的に優位に立てる時があります(本当に僅かですが・・・)。

こうして、3000mを過ぎてからはいかに気持ちを切らさずに苦しさを我慢するかがテーマになり、今日も猛烈な苦しさの中ペースを維持したのですが、どうにか次の1000mも3分15秒でカバーすることができました。

そしていよいよラスト1000mです。

もうここからはいかに自分の「脳をだますか」ですね。「苦しいのは気のせいだ」とか、「16分一桁で走れば、限りなく15分台に近づくのだからゴール後の印象が違うぞ」とか、とにかく色々と問答して「諦めそうになる心」と戦うのですね。いや、本当しんどい。

さらにラスト1000mからの200mを走り終わったあたりが最もきついのです。うわ、まだ2周もあるのかよ、と絶望するのですね。でも、ここは勢いで1周回ってしまいます。1周回ってしまえさえすれば、残り1周なんですから。

さあ、そんなことで遥か先でラスト1周の鐘が鳴ります。この苦しさとの戦いも、残り80秒弱。そう思って、両手両足をひたすら動かします。

途中、選手の付き添いの方達がタイムを読み上げているのを聞いて、流石に16分一桁は厳しくなりましたが、それでも最後の直線で力を振り絞ります。もうすでにしんどさは限界。まるでこの世の終末です。

タイムが読み上げられながらフィニッシュラインを通過。「16分10秒」と読まれた時にはライン手前だった気がするので、一桁は無理だったか、と。

それでも、去年の16分29秒に比べれば大きな進歩。ここ数年では久しぶりに16分台前半でトラック5000mを走れたので素直に嬉しかったですね。

後ほど正式タイムを確認して16分11秒1。まあ、こんなものでしょう。

ちなみに、またまた余談ですが、この織田フィールドは今を遡ること27年前におそらくランマニアの生涯自己ベストとなるであろう5000mのベストを出した記念すべきトラックでして、それ以来の公認レースだったのですね。

そして、帰りながら色々と振り返り冷静に事実を分析してみると、

・ここ数ヶ月、圧倒的にVO2インターバルが不足していたのは事実。この苦しさはその影響を無視することはできない。

・しかし、その中でもLTが維持できていたことで苦しくなった時にペースを抑えれば撃沈することなくそのままのペースで押していける。

・ダニエルズ練のアプローチは間違っていない(5000mに特化していないので)。

・正直なところ、先週の志賀高原の疲れはあり脚の回転が鈍かった。

こんなところでしょうか。

もしこの先本当に15分台を狙うのだとすれば、今のマラソントレーニングの中に、もう少し1000mのインターバルを入れていくこと、しかもVO2ペースよりも若干速い3分一桁台で、といったところでしょうか。

4年前は毎週のように1000mのインターバルを入れていましたが、今のように厳密なIペースではなく、もっと速いペースで3本とかでした。なんというか、自分の体にかけられる最大負荷で走り通すというイメージで、本数少なく強度高め、といった具合です。

しかしこれはかなり脚に来てしまうので怪我のリスクは跳ね上がりますし、ただでさえ最近走行距離が伸びているので、果たして体が耐えられるか、というところです。

とはいえ、ひとまず最大の懸念事項だった現在の「ベンチマークテスト」も無難に終えることができ、ホッとしているところです。

来週はいよいよレース月間最終週で、烏帽子バーティカル、スカイレースのコンバインドです。きっとしんどい二日間になるでしょうが、ここは「山頂の景色と温泉と食事を楽しむ回」と割り切っているので比較的楽しみにしているレースです。

夕暮れ時の渋谷方面へ。今日も貴重な記録会を開催していただいたMKのスタッフの皆さん、ありがとうございました。

志賀高原エクストリームトレイルに出場してきました

うっすらと雪化粧をまとった横手山

こんにちは、ランマニアです。

さて、昨日は先週末に引き続きレースに出場してきました。

それも二週連続のトレイルレースとなる「志賀高原エクストリームトレイル」ミドルの部(32km D+2000m)です。

このレースは今年で3回目となるのですが、初出場の2年前は途中でコースロストしてしまい40分ものタイムロスを喫した苦い経験をした大会。

さらに、昨年は序盤のオーバーペースと体調不良がたたって、最終盤に体が完全に動かなくなり、それに伴い両足が痙攣して30分以上動けなくなってしまった、なんというかランマニアにとっては鬼門のような大会だったのですね。

そして極めつけは去年、一昨年と、スタート前から冷たい雨で、コースも水濠のようになってしまっている場所もあり、距離32kmの累積標高差2000mという数字だけでは計り知れない「エクストリームな」大会であることを思い知らされたレースでした。

そんなあまりいい思い出のないこの大会ですが、なぜかそれでもまた走りたくなる不思議な魅力のあるレースで、今回も懲りずにまた申し込んでしまったのですね(JSAの日本選手権ですし)。

3年目で初めて晴れた志賀高原

さて、今回のレースで最も気をつけたこと(というか唯一気をつけたこと)は、とにかくオーバーペースを防ぐこと。

一昨年はコースロストをしたために、それを挽回しようとかなりのペースアップをし、終盤のサンバレー以降ほぼウォーキング状態に。

昨年は、十分抑えたつもりが、体調もあまり良くなく、同じくサンバレーのはるか手前から上りは走れなくなり、残り5km手前で撃沈。

いずれも最後は脚を使い切ってしまい最終盤にタイムがかさんだレースが続いていました。

ラスト7km地点に待ち受ける最終盤の難所「サンバレースキー場」

そんなことで、今回のテーマは「サンバレーまでは自重せよ」

本コースの特徴は、前半の山岳区間でかなりの累積標高を稼ぎ、後半はほとんど走れるコースの中に罠のようにゲレンデの急登が組み込まれている、どこまで脚を残して終盤を迎えられるかが勝負になる、非常に経験値が必要となるコースです。

過去2年間を思い返すと、兎にも角にも、初めの元気なうちに登り切ることになる横手山のゲレンデと登山道で調子に乗ってぐいぐい押してしまったことが、その後の展開を決めてしまったな、と。

スタート直後はよく脚が動くので、なんとなく「いけんじゃね」という気持ちになりやすいのですね。どんどん標高を上げていくので気持ちがいいですし(高低差の図を見ると、なんとなく横手山を登って終えば、後はなんとかなる、みたいな印象を受けます)。

横手山の途中で来た道を振り返ると絶景が。こういうところでテンションが上がってペースアップしてしまいがちです。

そこで今年は、ペースではなく自身の感覚、特に呼吸と脚のしんどさに最大限注意を向け続け、「あ、これ以上は頑張ってはいけない」という、いわば車で言う「イエローゾーン」くらいの手前で出力をセーブする感覚を維持しながら坂を登り続けました。

だいたい心拍数で言うと140未満、といったところです。

きつさで言うと、ジョグに毛が生えた程度の努力感、Mペースで走るくらいのしんどさになればすぐに出力を抑え(ときには歩きに変えて)、しんどさを調整しました。

その結果、毎年最後まで走り切っていたこの横手山では、3分の1くらいの区間を歩きました。

なので、登り切ってゲレンデ下りに転じた際にも脚にはかなりの余裕があり、「ああ、本当はこれくらいの余力がないとダメなのね」と、これまでいかに飛ばしすぎていたかを実感しました。

横手山を登り切った後の北斜面は、なんと一面の銀世界。文字通り「ゲレンデ」でした。

その後、一ノ瀬の第1エイドまでの山岳区間では、何度も山登り山下りを繰り返すのですが、ここも同じように出力をイエローゾーン手前で調整し(実は意外に重要なのが下りのペースを抑えることで、これが今回は大いに効いた気がしています)、ほとんど脚に疲れを残さずに前半を終えることができました。

例年ガスがひどくてこんな景色があったことを今年初めて知ることに。
レースでなければしばらく景色を眺めていたくなる絶景。今年初めて志賀高原の真の姿を見ることができました。

さて、後半戦がはじまると、ゲレンデの登り下りや走れるトレイル区間、快適に飛ばせるロード区間などを経て、徐々に最後の難関「サンバレー」が近づいてきます。

例年、この区間ですでに脚が動かなくなりつつあり、ジャイアントスキー場の長い登りや琵琶池周りのちょっとした登りでさえも走れなくなっていました。

それが今年は、これらの区間は全て走り通すことができ、サンバレースキー場が見えるところまでかなりのペースを維持することができ、まだまだ何キロでも走れそうな余裕すらありました。

琵琶池を抜けると、遠くに巨大なゲレンデが見えてきます。遠近法でそれはまさに「壁」に見えるほど。

そして、今回はこの坂のためにここまで走ってきたといっても過言ではないほど「満を侍して」迎えたサンバレー。果たして脚は、どれほど残っているのでしょうか。

驚いたことに、これまで一度も、もっと言えば「一瞬も」走ることができなかったこの急登を走って登り始める自分がいました。脚を残す、ってこう言うことか、と。

さすがに中盤で何度か歩きを織り交ぜることになりましたが、最後まで走って歩き、歩いて走りを繰り返して、おそらくここ3年では最速でサンバレーをクリアすることができたはずです。

しかし、実は最も恐ろしいのは、このサンバレーで脚を使いすぎてしまうと、その後のラスト5kmで脚が痙攣して緩やかな登りで止まってしまうこと。このコースの難しいところは、こんな急登の後でも、ほとんど登り優位でフィニッシュへ向かうと言うところなのです。

それが心配だったので、ラスト2kmの緩やかな登りの続くシングルトラック区間までは、脚に余裕があっても十分に温存して走り続けることにしました。

そして、昨年両足が痙攣してハイカーさんに助けてもらった場所も今年は快調に駆け抜け、いよいよ最後2kmの緩やかな登り区間。その時のタイムが4時間19分だったので、キロ5分台で行けばもしかしたら30分を切れるかも、と俄然燃えてきました。

初めの1kmはなんとかキロ5分台でカバーすることができました。

しかし、次の1kmは勾配もキツくなり、さすがにこれをキロ5で走るのは不可能、脚もいっぱいいっぱいになってしまい、フィニッシュタイムは4時間30分57秒。

これまでの自分のタイムを考えると十分満足できるPB達成です。

ここまで楽しく走れたトレイルレースは初めて。

今回、最後まで脚を温存でき、ほとんどの区間であまり苦しまずに走り通すことができました。景色も綺麗で、こんなに気持ちの良いトレイルレースは初めてといってもいいほどで。

やはり、長距離レースにおけるペース配分は大事な要素なのだな、と改めて実感。

実は、直前に読んだ本で、65%VO2Maxペースで走り続けるとだいたい4時間を超えたあたりで筋グリコーゲンが枯渇し、その後は血液由来のエネルギーを使うことになるということを知り。

ちょうど今回のレースがそれくらいの運動継続時間になると踏んでいたので、途中かなりこまめに栄養補給を行っていたのですね。これはどれほどまでに効果があったか未知数ですが、全く影響がなかったとは言えないのではないかと実感しています。

そんなことで、今回自分が最も苦手としていた比較的距離の長いトレイルレースを、最後までペースを落とさずに走れた要因として考えられることを以下にまとめてみました。

・しんどさを調整して、序盤からペースを抑えた(これ以上はまずい、というきつさを心拍数140あたりで調整した)

・1時間ごとに栄養補給を行った

・下りを抑えた

・前日軽くジョグをして高地順応を行った

・春から取り組んだダニエルズゴールドプログラムによって疲れにくい脚が出来上がった

今回、ゆっくり走ったつもりでも、意外と巡航ペースは高めに維持できたのは、ダニエルズ練のおかげもあった気がします(去年まではここまで楽ではなかった)。

また、ほとんど山練を入れていないにもかかわらず、翌日にも筋痛がほとんど残っていないことも、ダニエルズ練によって疲れにくい脚ができたものと考えています。

さて、来週はいよいよトラック5000mです。

これは山レースと違って誤魔化しが効かず、現在の力量(特にVO2Max)が如実に現れてしまう、とてもシビアな距離ですね。もう現実をドーンと突きつけられてしまうような。

当然昨日の疲れも抜け切らないまま迎えてしまうため、それほど驚くようなタイムで走れないことは目に見えています。

それでも、現在の自分の力の目安を知る意味でも一度ここでトラックを走っておきたいと思っています。

紅葉真っ盛りの志賀高原。良い観光にもなりました。

今回も寒い中レースをサポートしていただいたスタッフの皆さん、ありがとうございました。

尾瀬岩鞍バーティカルキロメターに出場してきました

このスタートゲートを見るとやっぱりワクワクしますね。

こんにちは、ランマニアです。

さて、今日は今シーズン最初のレースに出場してきました。

昨年初めてチャレンジした「バーティカル」というスカイランニングのカテゴリーで、片道登りっぱなしの登山競走です。

ランマニアは実は下りが大の苦手で、かつ疲労の影響がもろに出てしまうロングコースのレースではまともに戦えないこともあり、このバーティカルという種目はほぼ登りだけのレースで距離もそれほど長くない(富士登山競走は別)ので、以前から密かに注目していた種目だったのですね。

昨年出走した初めてのバーティカルレースは「烏帽子スカイラン」のバーティカル部門。バーティカルとしてはやや長めのレースでしたが、想像したよりもかなりいい位置で走れ、この種目に対して好印象を残していました。

それ以来2度目のバーティカルが今回の尾瀬岩鞍バーティカルキロメター。

日本スカイランニング協会の日本選手権にも設定してある強豪ぞろいのハイレベルの大会で、今日は走る前からなんだかワクワク、そわそわしてしまい、「オーバーペースに気をつけろよ」と珍しくはやる気持ちを抑えるのが大変でした。

本コースの特徴は、なんといっても5kmで1000mを一気に登り切る急勾配。特に、レース中盤の通称「ジャイアントウォール」は斜度40度のまさに「絶壁」。5kmといってペース配分を間違えると、確実に終盤脚が止まってしまうのは明らかです。

そんな今回のコースは大きく3つのセクションに分けることができ、そのセクション間には下りや平坦の区間が一度ずつ存在します(なので5kmで1000m登るのではなく、もっと短い距離で1000mを登るのですね)。

序盤はこのような緩い斜面を登っていきますが、後半は遠くに見えるあの壁のような坂を登ります。序盤のハイライト。

初めのセクションは緩やかなゲレンデ登りから始まり後半急激な登りに変わる区間。ここはアップのつもりで抑えて走ろうと計画。

二つ目のセクションは、本コースの目玉ジャイアントウォールが登場する最難関エリア(後述しますが本当にきついのはこの後)。

そして最終セクションはフィニッシュまでのゲレンデ一気登り。

レース前の計画では、第1セクションで脚をためておき、ジャイアントウォール後に一気にスパート、なんて綺麗な展開を描いていました(その計画は20分で終了)。

また、今回のレースは50分前後の走行時間になるため、だいたい10000m程度のレースに出た時の負荷で押していければいいかなと思い、心拍数は160くらいを目安にしました。

そんなことを考えながら30秒おきの単独ウェーブスタートを待っていると、いよいよ順番が回ってきました。

こういうのは初めてなので意外と緊張します。

そして、10秒前のカウントダウンからスタート。

緊張してたので脚が軽くピッチも上がり、「序盤はアップのつもり」なんていう予定は一瞬で崩れ、ゲレンデの緩やかな上り坂でさえすぐに呼吸が深くなり、奇しくも10000mのレース並みの呼吸のキツさが襲ってきました。

しかし、今日はとにかく50分これを我慢すればよし。この呼吸と脚の疲れ方ならなんとか持つ気がする、と思い直し、ひとまず今の負荷、努力感を維持することに努めました。

最初のセクションは徐々に勾配を上げていき、最終的には走れないほどの相当な急勾配になり、累積400m以上を1.6kmほどで上り詰めていきます。

ランマニアはこうした急勾配でも歩いてしまうよりはふくらはぎの力を使って小刻みに駆け上がっていく方が疲れないため、この区間は努力感と呼吸の苦しさを一定に保って、とにかく歩かないようにピッチを狭めていきました。

それでも、この坂が終わる頃には結構脚と呼吸は一杯一杯になり、「思ったより使っちゃったなぁ」と残りの累積標高を考えると不安がよぎりました。

なんとか登り切ると、そこから折り返し、今来た急勾配を一気に降ります。ランマニアの最も苦手な急坂下りです。

なんといっても下りは想像以上に脚にダメージが来て次に待ち受ける登りにもろに影響しますから、ここはできるだけペースを抑えて駆け下りました。この区間で初めて後ろのランナー(30秒遅れでスタートしたランナー)に抜かれましたが、それでも慌てずに第二のセクションに備えます。

そして、いよいよ第二セクション。

ここは前半は急なゲレンデ登りです。この時はもう全て走り通すだけの脚は残っていなかったので、時折歩きも入れながら足を温存します(振り返ると、ここを走れれば50分切りも見えてくるんだろうな、と後から思いました)。

そしてゲレンデを登り切ると間髪入れず目の前に「壁」が立ちはだかります。いや、レースでなければこんなところを登ろうなどとは到底思わない、本当に恐ろしい斜面です。

「壁」に取り付くと、すぐに手で触れる距離に斜面が近づいてきます。しかし、実はここはきっとこうなるだろうな、と想像していた通り、登坂の力を両手にも分散できるため、坂の勾配に比して、思ったよりも脚だけには疲れは持って行かれないことに気づきました。

コツを掴むと、両手両足を使ってリズミカルに登っていくことができ、変な話、脚を休ませることすらできました(いや、休めたと思うくらいのペースならもっとペースを上げれば50分ぎりもできるのでしょうが)。

途中で1箇所、足場がない場所にルートをとってしまい、本当に滑落するかと思いましたが、どうにかそこをクリアし、壁を制覇。

さあ、残りは累積300m。「脚はギリギリだな」と考えながら最後のゲレンデまでの唯一快適に走れる平坦な区間をキロ4分台で疾走。

そして最後のゲレンデに辿り着き、最後の力を振り絞って一歩一歩脚を前に出します。

もうこの頃になると走り続けるのは不可能で(多分標高も上がり呼吸もきつかったのもあります)、少し走っては歩き、歩いては走りの繰り返し。時計を見ると心拍数は171。これは平地でVO2ペースでインターバルをやる時とほぼ同じ。そりゃあ苦しいわけです。

そうこうしているうちに目標としていた50分を経過。これ、50分切る人どんな体してんだ、と50分ぎりが全く想像できず。目標を55分切りに下方修正。

52分くらいから目の前にフィニッシュゲートがみえるも、なかなか差が縮まず。速く辿り着きたくて走ってもすぐに苦しくなり歩き、再び走る、を繰り返し。

ようやく最後まで走れそうな距離になり、まるで5000mのラストスパートのような苦しさの中一気に走りきりフィニッシュ。

そのままダウン。

レース後倒れたのって、いつ以来か。高校生以来かも、なんて思いながらしばらく起き上がれず。こんなに追い込んだのも本当に久しぶりで。

それでも、これだけ最後まで出し切れたレースは久しぶりで、まだまだこの年齢になってもここまで追い込めることに一安心。そして、ある種の爽快感と達成感とで、もうタイムや順位は二の次で満足感でいっぱいでした。

リザルトを見ると、50分を切っている人が思いのほか多く、ちょっと悔しい気持ちも出てきました。特に40代、しかも自分よりも年上で50分を切っている人もいて、自分もまだまだこんなレベルで満足してはいけないな、と早速気持ちを新たにしました。

しかし、やっぱりレースはいいですね。練習では絶対に追い込まないレベルまで体に負荷をかけますし、何より「全力」で勝負できる醍醐味があります。いってみれば「やり切れる」わけです。

今回のバーティカルに出場した目的は、高い負荷をかけて心肺、循環器系を追い込むこと。

一方で、来週の志賀高原エクストリームトレイルは、長い距離を走り通す有酸素能力や脚の耐性を身につけるためのレース。本当にきついのは来週です。

今回は自分の中ではうまく走れたレースになりましたが、来週は自分の苦手分野です。ここをうまく走れると、もう少し自信がつくんですけどね。

企画、運営をしていただいたスタッフの皆さんには感謝申し上げます。

たまには全力を出して走らないとね

こんにちは、ランマニアです。

昨日は雨の中でしたが久しぶりに自分の力をMAXまで出し切って走ってみようと思い、1kmのタイムトライアルをやってみました。

なぜこのタイミングで行ったかと言いますと、先週はE週間でジョグしかしておらず、比較的疲労状態が軽い上に、今週もVO2Max以上のペースで走ったのは日曜のみ。それもおよそひと月半ぶり。

少し体がなまっている気がしたのと、この疲労状態なら全力を出して走ってもそこそこのタイムで走れそうだと思ったからなんですね。

さらに週末のレースにしても、片道山登りのバーティカルなので、それほど調整をしなくてもなんとか走り切れるだろうなという見込みもあり、ちょうど今のタイミングならタイムトライアルでもあまり影響が出ないだろうと踏んだからです(さすがにトラックレースが控えている時は、一気に調子を崩す可能性もあるためおいそれとはできませんが)。

個人的には、こうしたある一定の距離を「その時点での限界ギリギリで走り切る」練習は、たまに入れておく必要があると考えています。

人間の体は、どうしても楽をしようとしてしまう傾向があり(そりゃそうですよね。生存のためにはできるだけ効率よく、省エネで生きた方がいいわけですから。)、体の機能をフルに使う機会がなくなっていけば、自ずと脳は「ああ、こいつはこの程度の負荷までしかかけない生活してるんだな。」と判断してしまい、限界ギリギリの能力を使わずに済ませようとする体に適応させてしまうのですね。

それは、たとえ毎週のようにインターバルのような高い負荷の練習をやっていても、継続していくうちにそれには慣れてしまい、いつの間にか「高い負荷」ではなくなり「いつもの負荷」になってしまうからです。あれだけきついVO2Maxペースのインターバルとて、それを1km維持して5本くらい繰り返せるのですから、意外と「限界ギリギリ」のペースというほどでもないのですね。

しかし実際5000mくらいのレースを走ってみると、2000mあたりから、練習では感じたことのないようなしんどさに見舞われ、それをかなりの時間維持しなければならなくなります。練習だったら絶対に継続できないようなキツさでも、レースともなると不思議とそれをある程度は我慢できてしまいます。

そうやって我慢して維持している「しんどさ」を、練習で再現するのはなかなか難しく(特に社会人ランナーは仕事の疲れなどで練習で追い込むのが難しい)、練習の追い込み方と試合での追い込み方との差が、学生ランナーよりも大きく開いている印象を持っています。

とはいえ、そうやって常に「この辺でいいや」とぬるま湯に浸かっていると、われわれのような中年ランナーはどんどん身体機能が衰えていってしまいますので、たまには体にムチを入れて、全身から脳まで身体機能の限界近くの能力を発揮する機会を確保しないといけないな、と常々思っているのですね。

で、そういう練習は、少し疲労が抜けていてなんとか頑張れそうな時がチャンスなわけで。

社会人んランナーにとって、こういう機会は千歳一遇というと言い過ぎかもしれませんが、一度逃すと次に巡ってくるのはいつになるかわかりません。やれそうと思ったら、やってしまわないとまたしばらくの間「体に刺激が入らない状態」が長く続いてしまうのです。

なので、昨日は寒い雨の日で若干怪我のリスクもありましたが、むしろ公園には人が誰もいないしジョグで温めればそれほど寒さも気にならないと踏んで、いつものコースへ赴きました。

こんな個人的なボッチタイムトライアルでもやはりスタート前は緊張するもので、なんというか、自分の現在の力がわかってしまう怖さがあります。言ってみれば、入試の前の模試みたいなもんですね。

今回は手頃にできる1kmのタイムトライアル。

1kmと言っても、いきなり全力疾走では持ちませんから、この距離でも一応のペース配分があります。なんとなく「このペースでいけばなんとか1kmは持つだろう」という感覚的なペース配分ですね。

意を決してスタートすると、初めは脚が軽やかに動き気持ち良くペースを維持できるのですが、300mをすぎたあたりから徐々に呼吸が苦しくなってきて、体が硬直し始めます。

500mを過ぎるともう脚が結構動かなくなり、上体を使ってなんとか推進力を得ようとします。

そして残り200mを切ると、ほぼ呼吸は限界で脚も動かないのですが、最後は気持ちでカバーします。こういう時、もう1段階ペースを上げるぞ、と踏ん張ると人間は心理的な力で肉体的な力を補うことができるのですね。

もうこれ以上は無理、というところでフィニッシュ。

時計を見ると「3分05秒」。

思わずその場で「おそっ」って言ってしまいましたが、まあこれが今の実力ですね。

それでも、仕事の終わった後の雨の中、上にはウィンドブレーカーを着てのタイムですから、条件としては限りなく悪く、久しぶりの1km全力走の割にはよく走れたのかな、と思いました。

そして肝心なのが翌日の走りで、今日のジョグはとにかく脚がよく動くのですね。ペースに余裕ができた感触があり、軽やかにジョグを行うことができます。

要は、昨日の「全開走行」で体の機能をフルに使い、今日のような余裕のあるペースがさらに余裕を持って走れるようになるイメージです。

もちろん、相当な負荷をかけているので1本でやめておかないと今度は逆に疲労の方が上回ってしまい、こうした良い方の効果を相殺してしまう可能性があります。特にランマニアの場合は、2本以上やってしまうと、おそらく翌日は脚が重くて仕方がなくなると思っています。

たった1本の1km全力走でしたが、普段から遅いペースばかりで走っているランマニアにとっては間違いなく「新しい刺激」として脳は認識したはずです。

なかなか日常的にこれを取り入れるのは至難の業ですが、これから涼しくなっていき体が元気でいられる状態が長くなった時には、たまにQデーの合間などに入れていこうと思っています。

トラック練はシビアです

こんにちは、ランマニアです。

今日は怪我明け最初のVO2Maxインターバル、しかも休日ということで久しぶりに競技場へ行ってきました。

競技場といっても近場の公園にある自由に使えるくたびれたタータントラックですが、それでもレーンが引かれたあの景色を見るとテンションが上がってしまうものです。それに、高校生もたくさん練習していて、自然とジョグのペースも上がってしまう自分がいます。

さてメニューの方は、ダニエルズさんのマラソントレーニングの中で、LT走とVO2Maxインターバル、そしてショートのレペティションが全て含まれたとてもタフなメニューです。

前回はちょうど故障のきっかけとなってしまった8月下旬にこのメニューを実施し、なんとかやり切ったものの相当な負荷がかかったのを覚えています。

特に、初めのLT走で無理をするとVO2やレペが全く行えなくなってしまうため、元気なうちのLT走を慎重に行うことがポイントだと思っています。

そんなつもりで、最初の1.6km LT走×3は、極力無理をしないようペースを抑えて入ったのですが、同じ時間に練習していた高校生につられて、やはり若干ペースは上がり気味。初めこそ、キロ3分33秒ほどにペースを抑えたものの、3本目にはキロ3分28秒ほどまで上がってしまいました。

前回もそうでしたが、このLTペースくらいでもランマニアは結構疲労が出てしまい、その後の練習に大きく響いてしまうのですが、今日も楽に終えたつもりでも、次の3分Hペース(きついペース。要はIペース)インターバルでは1本目から脚が動かなくなっしまったのですね。

なんとかキロ3分10秒ペースは維持したいと思い、最初の200mを38秒で入りましたがその後すぐに脚が重たくなってきてしまい1kmのフィニッシュから相当手前で3分が経過してしまいました。

2本目はさらに脚が止まりましたが、なんとかこのペースで2本はやりたいと思い、かなり無理して2本目を最後まで行いました。

3本目をやろうにも、おそらく3分20秒ペースくらいまで落ちそうでしたので、一旦ここで休憩を入れました。少し休むとなんとか200mくらいは我慢できそうなくらいまで回復したので最後のレペを再開。

本来レペは動きを整えたりスプリント能力を維持するための練習なので、心拍数がどうこうの練習にはしていないのですが、今日はVO2Maxインターバルが4本完遂できなかったので、この200mのレスト区間(200m)のジョグを少し頑張って心拍数を落とさないようにアレンジしました。

それでも、Rペース(35秒)は維持でき、なおかつ心拍数も180以上を維持できたのでまあまあ体に刺激を入れることができたかなと、それなりに満足できました。

それにしても、久しぶりにトラック練を入れてみると、とにかく200mや400mごとにペースが確認できてしまうがゆえに、ペースダウンは厳密に分かってしまいますし、普段走っているロードのコースのように「登りだったからしょうがないよな」的な言い訳も全く通用しません。

ほんと、トラックでの練習はシビアだなと痛感させられた日曜の昼でした。