尾瀬岩鞍バーティカルキロメターに出場してきました

このスタートゲートを見るとやっぱりワクワクしますね。

こんにちは、ランマニアです。

さて、今日は今シーズン最初のレースに出場してきました。

昨年初めてチャレンジした「バーティカル」というスカイランニングのカテゴリーで、片道登りっぱなしの登山競走です。

ランマニアは実は下りが大の苦手で、かつ疲労の影響がもろに出てしまうロングコースのレースではまともに戦えないこともあり、このバーティカルという種目はほぼ登りだけのレースで距離もそれほど長くない(富士登山競走は別)ので、以前から密かに注目していた種目だったのですね。

昨年出走した初めてのバーティカルレースは「烏帽子スカイラン」のバーティカル部門。バーティカルとしてはやや長めのレースでしたが、想像したよりもかなりいい位置で走れ、この種目に対して好印象を残していました。

それ以来2度目のバーティカルが今回の尾瀬岩鞍バーティカルキロメター。

日本スカイランニング協会の日本選手権にも設定してある強豪ぞろいのハイレベルの大会で、今日は走る前からなんだかワクワク、そわそわしてしまい、「オーバーペースに気をつけろよ」と珍しくはやる気持ちを抑えるのが大変でした。

本コースの特徴は、なんといっても5kmで1000mを一気に登り切る急勾配。特に、レース中盤の通称「ジャイアントウォール」は斜度40度のまさに「絶壁」。5kmといってペース配分を間違えると、確実に終盤脚が止まってしまうのは明らかです。

そんな今回のコースは大きく3つのセクションに分けることができ、そのセクション間には下りや平坦の区間が一度ずつ存在します(なので5kmで1000m登るのではなく、もっと短い距離で1000mを登るのですね)。

序盤はこのような緩い斜面を登っていきますが、後半は遠くに見えるあの壁のような坂を登ります。序盤のハイライト。

初めのセクションは緩やかなゲレンデ登りから始まり後半急激な登りに変わる区間。ここはアップのつもりで抑えて走ろうと計画。

二つ目のセクションは、本コースの目玉ジャイアントウォールが登場する最難関エリア(後述しますが本当にきついのはこの後)。

そして最終セクションはフィニッシュまでのゲレンデ一気登り。

レース前の計画では、第1セクションで脚をためておき、ジャイアントウォール後に一気にスパート、なんて綺麗な展開を描いていました(その計画は20分で終了)。

また、今回のレースは50分前後の走行時間になるため、だいたい10000m程度のレースに出た時の負荷で押していければいいかなと思い、心拍数は160くらいを目安にしました。

そんなことを考えながら30秒おきの単独ウェーブスタートを待っていると、いよいよ順番が回ってきました。

こういうのは初めてなので意外と緊張します。

そして、10秒前のカウントダウンからスタート。

緊張してたので脚が軽くピッチも上がり、「序盤はアップのつもり」なんていう予定は一瞬で崩れ、ゲレンデの緩やかな上り坂でさえすぐに呼吸が深くなり、奇しくも10000mのレース並みの呼吸のキツさが襲ってきました。

しかし、今日はとにかく50分これを我慢すればよし。この呼吸と脚の疲れ方ならなんとか持つ気がする、と思い直し、ひとまず今の負荷、努力感を維持することに努めました。

最初のセクションは徐々に勾配を上げていき、最終的には走れないほどの相当な急勾配になり、累積400m以上を1.6kmほどで上り詰めていきます。

ランマニアはこうした急勾配でも歩いてしまうよりはふくらはぎの力を使って小刻みに駆け上がっていく方が疲れないため、この区間は努力感と呼吸の苦しさを一定に保って、とにかく歩かないようにピッチを狭めていきました。

それでも、この坂が終わる頃には結構脚と呼吸は一杯一杯になり、「思ったより使っちゃったなぁ」と残りの累積標高を考えると不安がよぎりました。

なんとか登り切ると、そこから折り返し、今来た急勾配を一気に降ります。ランマニアの最も苦手な急坂下りです。

なんといっても下りは想像以上に脚にダメージが来て次に待ち受ける登りにもろに影響しますから、ここはできるだけペースを抑えて駆け下りました。この区間で初めて後ろのランナー(30秒遅れでスタートしたランナー)に抜かれましたが、それでも慌てずに第二のセクションに備えます。

そして、いよいよ第二セクション。

ここは前半は急なゲレンデ登りです。この時はもう全て走り通すだけの脚は残っていなかったので、時折歩きも入れながら足を温存します(振り返ると、ここを走れれば50分切りも見えてくるんだろうな、と後から思いました)。

そしてゲレンデを登り切ると間髪入れず目の前に「壁」が立ちはだかります。いや、レースでなければこんなところを登ろうなどとは到底思わない、本当に恐ろしい斜面です。

「壁」に取り付くと、すぐに手で触れる距離に斜面が近づいてきます。しかし、実はここはきっとこうなるだろうな、と想像していた通り、登坂の力を両手にも分散できるため、坂の勾配に比して、思ったよりも脚だけには疲れは持って行かれないことに気づきました。

コツを掴むと、両手両足を使ってリズミカルに登っていくことができ、変な話、脚を休ませることすらできました(いや、休めたと思うくらいのペースならもっとペースを上げれば50分ぎりもできるのでしょうが)。

途中で1箇所、足場がない場所にルートをとってしまい、本当に滑落するかと思いましたが、どうにかそこをクリアし、壁を制覇。

さあ、残りは累積300m。「脚はギリギリだな」と考えながら最後のゲレンデまでの唯一快適に走れる平坦な区間をキロ4分台で疾走。

そして最後のゲレンデに辿り着き、最後の力を振り絞って一歩一歩脚を前に出します。

もうこの頃になると走り続けるのは不可能で(多分標高も上がり呼吸もきつかったのもあります)、少し走っては歩き、歩いては走りの繰り返し。時計を見ると心拍数は171。これは平地でVO2ペースでインターバルをやる時とほぼ同じ。そりゃあ苦しいわけです。

そうこうしているうちに目標としていた50分を経過。これ、50分切る人どんな体してんだ、と50分ぎりが全く想像できず。目標を55分切りに下方修正。

52分くらいから目の前にフィニッシュゲートがみえるも、なかなか差が縮まず。速く辿り着きたくて走ってもすぐに苦しくなり歩き、再び走る、を繰り返し。

ようやく最後まで走れそうな距離になり、まるで5000mのラストスパートのような苦しさの中一気に走りきりフィニッシュ。

そのままダウン。

レース後倒れたのって、いつ以来か。高校生以来かも、なんて思いながらしばらく起き上がれず。こんなに追い込んだのも本当に久しぶりで。

それでも、これだけ最後まで出し切れたレースは久しぶりで、まだまだこの年齢になってもここまで追い込めることに一安心。そして、ある種の爽快感と達成感とで、もうタイムや順位は二の次で満足感でいっぱいでした。

リザルトを見ると、50分を切っている人が思いのほか多く、ちょっと悔しい気持ちも出てきました。特に40代、しかも自分よりも年上で50分を切っている人もいて、自分もまだまだこんなレベルで満足してはいけないな、と早速気持ちを新たにしました。

しかし、やっぱりレースはいいですね。練習では絶対に追い込まないレベルまで体に負荷をかけますし、何より「全力」で勝負できる醍醐味があります。いってみれば「やり切れる」わけです。

今回のバーティカルに出場した目的は、高い負荷をかけて心肺、循環器系を追い込むこと。

一方で、来週の志賀高原エクストリームトレイルは、長い距離を走り通す有酸素能力や脚の耐性を身につけるためのレース。本当にきついのは来週です。

今回は自分の中ではうまく走れたレースになりましたが、来週は自分の苦手分野です。ここをうまく走れると、もう少し自信がつくんですけどね。

企画、運営をしていただいたスタッフの皆さんには感謝申し上げます。

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