明暗を分けた嬬恋と竜王

こんにちは、ランマニアです。

さて、先週までは2週連続のトレイルレース(厳密にはスカイランニング)に出場してきましたが、先々週は登りと下りのあるスカイレースで、翌週は登りだけのバーティカルでした。

初めのスカイレースは、嬬恋スカイランのスカイリッジ40km ±2700mに対し、バーティカルは竜王の4.5km +1000mと、全く違うカテゴリーと距離特性の種目でした。

そしてその結果も、スカイが最後はDNFに近い酷いレース展開であった一方、バーティカルはかなり手応えを感じる過去最高順位と、はっきりと明暗が別れたのですね。

嬬恋スカイランの、スカイリッジ。登りと下りのを繰り返すのがスカイレースの特徴です

JSAのスカイランニングジャパンシリーズを転戦している人や、世界選手権を一緒に走ったランナーからすると、なぜこれほどまでにスカイとバーティカルで成績が大きく変わるのか、理解に苦しむだろうな、と思います。

世界選手権では日本チームでは完走した中で最下位でしたし、嬬恋にしても先日のバーティカルの順位から比べると、あまりにも結果が悪すぎます。

しかし、当の本人はというと、この結果には全く疑問を感じておらず、むしろ当然こうなるであろうなと、完全に想定内の成績なのですね。

ジャパンチームでも最下位だった世界選手権

古くからこのブログを読んでいる方や、Xのフォロワーさんならご存知だと思いますが、ランマニアは学生時代の慢性疲労症状が完治しておらず、練習やレースにおいてかなりの影響を受けている状態です。

特に、距離や走行時間が伸びれば伸びるほどその影響は顕著になり、本来の各種有酸素能力や持久的能力からすると、あまりにも走れなさすぎることで、よく周囲から疑問を持たれます。

一番目立つ成績は、ハーフマラソンがそのタイムなのに、なぜマラソンはその程度なの?ということですね。

同じ理屈で、スカイレースでも同様な状態が起こります。

バーティカルではしばしば一桁順位に食い込む一方で、距離の長いスカイレースになると一気に順位を落とす、ということも。

5月に40kmのトレイルレースで棄権をしたのもこれが原因ですね。

なので、世界選手権の55kmなどは、大袈裟でなく、完走はほぼほぼ無理だと思っていたため、自分にとっては限りなく奇跡に近い結果でした。

繰り返しますが、とにかくこの影響は、走行時間や距離が伸びれば伸びるほど顕著になります。

バーティカルが得意なのは、登りが強いのではなく、単純に時間が短いからなのです。スカイが苦手なのは、下りが苦手なのではなく、時間が長いからで。

距離が30kmを超えるようなスカイレースでは、疲労症状がてきめんに現れます

このことについては、初期の頃のブログに詳細に書いてあります。興味のある方は参考にしてください。

この2つの記事では「神経系(脳)」の疲労について仮説を立てています

このような、筋を長時間にわたって何度も収縮させる運動を続けると、当然筋肉は疲労します。また、筋収縮のためのエネルギーが徐々に減っていき、最後は枯渇します。

通常、特に健康上問題のないランナーであれば、走りのパフォーマンスの低下は、これらによって引き起こされます。

筋の物理的ダメージかエネルギーの枯渇、また筋繊維の酸化によってももしかしたら走運動が困難になるかもしれません。

ところが、何らかの要因で、筋を収縮させるための電気刺激を発生させる神経系、そのスタート地点は脳にありますが、そこがダメージを受けていると、筋などの抹消組織よりも先に神経系が機能不全を起こすことが、ある程度わかってきました。

これについては、先日Xで 竹井尚哉さんがかなり詳しく解説してくれていました。

ランマニアが学生時代に患ったのは、おそらくオーバートレーニングによるこれであると思われ、以降、長距離種目に対してかなりのハンデを追うことになったのですね。

しかし、竹井さんも言及している通り、この疲労は短距離走ではあまり発現しないとのこと。

これで、今回のランマニアのスカイランニングでの結果にもある程度説明がつきます。

短時間で、しかも比較的速筋繊維が動員されやすいバーティカルにおいてはそこそこの結果が残せ、ほぼ遅筋繊維と有酸素能力を使い続けるスカイレースでは終盤の疲労症状が猛烈に悪化するという現象についてです。

4月からそこそこの距離を走り込み、トレイルの距離も伸びてきたことから、ある程度の有酸素能力や山耐性はできてきたはずです.

なので、世界選手権で55kmを走った後でもそれほど脚のダメージ、肉体的なダメージは残っておらず、練習の効果は実感できました.

それでも、神経系の疲労にはどうしても勝てずに、レース終盤は走ることもできないほどの疲労感に襲われていました.

筋のダメージやエネルギーの枯渇ではなく、神経系が機能しなくなってしまった状態.ここが改善しない限りは、距離の長いスカイレースで満足いく結果を残すのはなかなか難しいだろうなと感じています.

なお、このような神経系の疲労は、努力度とも密接に関係していると考えていて(努力度≒神経系の電気信号の強さ、と考えています)、長い時間を走るには、できるだけ努力度を抑えてペースを維持することが重要であるとも思っています.

筋の出力を上げるには電気出力を上げる必要があり、それこそが「努力度」ではないかと仮説を立てました

一方、ジョグを通して長い距離を走り、心・血管系、呼吸器系、さらにはミトコンドリアなどを適応させていけば、同じペースで走るにも努力度を抑えることができることは変わりありません.

なので、神経系の機能不全があったとしても、長距離能力を高めることは、速く走る為のアプローチとしても変わりはなく、実際、過去そのアプローチでマラソンで2時間40分を切るところまでは到達することができたのですね.

そして、逆に短期決戦で終わるバーティカルなら、まだまだ上位と張り合える力は発揮できることがわかり、現在の状態でも十分競技を楽しめることはできそうだなと感じます.

今年、世界選手権とその後の比較的疲れていた状態で走った嬬恋のレースでは、正直、この体の状態でこの競技を続けるのはかなり厳しいのではないかと思ったのは事実です.

あまりのしんどさに「引退」の二文字もよぎった今年の嬬恋

とはいえ、やれないこともない、というのも事実であり、つまるところ「やるか」「やらないか」なのですね。

今シーズンのスカイレースは、残すところあと1試合(びわ湖バレイ)。

若干走時間が短いとはいえ、かなりの難コース。それまでのトレーニングでどこまで対応できるかを試してみたいと思っています。

なお、明後日は久々のトラック5000mへ出場します。

「短期決戦」ですし、主な強度はVO2 Maxレベルなので、現在の持久的能力のベンチマークとして参考にしたいと思います。

上田バーティカルレース【検証編】

こんにちは、ランマニアです。

さて、前回報告したレース結果とそれまでの練習内容から、なぜ今回はこのような想定外の結果になったかという話。

いきなり結論から言いますと、

  • スカイランニングの特異性にアプローチできた
  • 慢性疲労症状が落ち着いていた
  • スカイレースのペース配分と栄養補給を意識した

この三つに行きつきました。

順に説明します。

スカイランニングの特異性にアプローチできた

これはもうこの「スカイランニング」という競技種目がマラソン・長距離種目に必要な能力を応用できる部分に加えて、特異的な能力が必要な種目であり、その部分にアプローチをして準備してきたから、という考えに至っています。

はい、自分で書いていながらよくわからない表現になってしまっているので、めちゃくちゃ大雑把な図で説明すると、

厳密なデータがあるわけでなく、概念的な模式図だと思ってください。

この3種目に必要とする能力は、概ねこんなイメージで考えています(あくまで自分が走りながら感じている感覚的な印象です)。

簡単に言えば、純粋に前に進むだけの持久的運動であるマラソン・長距離種目は、ほとんどがその「一定ペースをできるだけ長く維持する力」に依存している状態だと考えていて、一方で変化に富む山岳地帯を走るトレイルランニングではそれ以外にもいくつかの影響要因があるということですね。

特に、マラソンや長距離種目で走る場所には存在しないような「急な坂道」「登山道」をできるだけ速く、長く走るためには、もちろん持久的種目に必要な有酸素系の能力は必須なのですが、それに加えてもっと絶対的な「筋パワー(収縮速度も加味した筋力)」なども必要になってくると考えています。

それが上のグラフで示したグレーの部分で、登り一辺倒の「バーティカル」ではその割合がとても多くなってくると推測しています。

(ちなみにこのパワー系の筋力は速筋系の筋繊維が関係しているので、あまり鍛えすぎると筋肥大が起こりやすく、それがトレイルランナーの大腿部が太い原因なのではないかと思っています(もちろん脚が細くて速い人もいます。おそらく走り方やもともと持っている筋繊維のタイプによる違いだと思われます)。)

つまり、この上田までの3週間はほとんどランは入れなかったものの、山歩きやトレランはそこそこの頻度で入れた結果、ランの練習だけでは鍛えることのできないグレーの部分(スカイランニングに特異的な部分)をトレーニングする機会が確保され、また副次的ではあるものの、長く山を歩き続けることで、青や緑の部分も最低限維持するだけの刺激を入れることができたものと考えられます。

特に、単なる「山歩き」でさえ、歩行時の心拍数は下りを除けば120を超えることもザラで、これを3時間も4時間も続ければそれなりのトレーニングになることは容易に想像がつきます。

これが一つ目の「スカイランニングの特異性にアプローチできた」ということの根拠です。

ちなみに余談ですが、以前記事にした「クロストレーニング」の有効性に関連して、トレイル練習はランの走力を上げるか?という「命題」をこのグラフから考えてみると、個人的には「なし」だと考えます。

やはり、トレイルを走ってみればわかると思いますが、とにかく山では同じサーフェスが1分たりとも続かず、一定の「走る」という動作を安定して確保することが難しいからです。「走ること」は「走ること」でしか鍛えられないものがあると考えていますので、同じ60分のジョグをするなら山で走るより平地のロードや緩やかなクロスカントリーで行った方が、間違いなく効率も効果も高いと考えています。

また、急な山道を駆け上がるとそれなりに苦しく、平地のインターバルなどの代わりになるのではないかと思われがちですが、実際には使っている筋や筋力の発揮の仕方が違いますし、何より心拍数の上がり方も違います。もしVO2MaxやLTなどを鍛えたいのであれば、これも間違いなく平地で一定時間負荷をかけた方が効率も効果も高いと考えています。

ただ、故障明けや休養明けで1から基礎体力を身につけていくときなどに、いきなり平地でインターバルをやるようなことをするよりは、芝生でのファルトレクなどと同様、呼吸器・循環器系に刺激を入れたり、糖代謝や無酸素性の代謝能を鍛える目的で、トレイルやバーティカルを走るというのは「あり」だと思っています。

一方、逆のアプローチとして平地で鍛えた有酸素代謝能力やVO2Max、LTなどは、トレイルランニングにも応用することができると考えています。なぜなら、これらの力が影響する割合は、長距離・マラソンよりもトレイルランの方が少ないと考えているからです(先程のグラフ参照)。

それほど頻繁に山へ通わずとも、いきなりトレイルを走ってそこそこ速く走れるのはそのためだと思っています。

なので、話はそれましたが、スカイレースやバーティカルを速く走るには、①平地の長距離・マラソン用のトレーニングで徹底的に青や緑を鍛える、②山に通ってグレーの部分を鍛える、というアプローチが最も効率が良いのではないかと考えています。

今回の経験から痛感したのは、トレーニングの「分業制」

一見、山を速く走りたければできるだけ山に通う方が良さそうに思われますが、ここは鍛える要素によって「分業」したほうが効率が良いと思うのですね。

今回上田でそこそこ走れたのも、昨年取り組んだランのトレーニングで、青や緑の部分の「ため」が残っていた(有酸素系の能力はそこそこ維持されるため)ところに、山通いでグレーの部分が鍛えられたことが大きかったのかな、と思っています。

慢性疲労症状が落ち着いていた

さて、好走できた二つ目の要因です。

これは自分自身に特有な問題なのですが、今回はとにかく「疲れていなかった」というのが想像以上に良い結果をもたらした、ということです。

もともとランマニアは慢性的な疲労症状を抱えていますので、少しハードな練習を積んでしまうとそれによって引き起こされた疲労が、パフォーマンスにかなり影響してしまうのですね。

なので、「ハードな練習を重ねて走力を高めるか」「そこそこの練習で体調を維持するか」を天秤にかけて、どっちのメリットの方が上回るかを常に考えながらトレーニングする必要があります。

今回は、かなりの長い期間まともな練習ができなかったことで、結果的に慢性疲労症状が悪化することなく、とてもいいコンディションでレース当日を迎えることができたと考えています。

確かに、今回山を走ってみて、いつもはもっと足のだるさを感じることが多く、億劫でしんどい感じがしていたことを思い出しました。この差は大きかったと思っています。

つまり、「トレーニング効果ー疲労の程度=当日のパフォーマンス」という概念を用いると、今回はそのバランスが以下のようなイメージで、結果的に発揮できたパフォーマンスに大きな差が出なかったものとみています。

今回はトレーニング効果は少なかったものの、トレーニングによる疲労の程度も軽かった。あくまで概念図。
発揮できるパフォーマンスは、トレーニング効果が疲労の程度によって相殺されたものと考えると、残った部分(赤)がレースでのパフォーマンス、という考え方。

このようにして考えると、トレーニングによって得られるパフォーマンスが微々たるものでも、疲労の程度も小さかったため、結果的にトレーニングを積んだ時と同じくらいのパフォーマンスが発揮できたものと推測されます。

ペース配分と栄養補給を意識した

最後はスカイレースに限って言える要因、ペース配分と栄養補給についてです。

一昨年同じスカイレースを走った時は、とにかく前半からぶっ飛ばしてしまい、最後は本当に倒れる寸前でゴールというかなり危ない状態に陥ってしまいました。

今回は、ふくらはぎの状態もよくなかったこともあり、とにかく序盤から慎重に、ペースを抑えてレースを進めたのですね。

具体的には「息が上がらない程度」という目安、心拍数で言うと「140を超えない」という目安を守りながら走りました。

この上田のコースは、走り通すと通常5時間近くはかかるコースです。

フルマラソンですら3時間程度ですから、よくよく考えれば相当なペース配分を考えなければならないことが分かりますよね。

例えば、フルを走るときに序盤から「ハアハア」息が上がることってあるでしょうか。

そんな状態で初めの10kmを走ろうものなら、もう30km手前でどうなるかは想像つきますね。

スカイレースも全く同じで、最近ようやくこのことに気付いたのですが、初めの1時間で「ハアハア」言ってたら、もう確実に撃沈します。

呼吸が上がる、と言うことは、それだけ多くのエネルギー(糖分、グリコーゲン)を使ってしまっていると言うことですから、終盤に使える栄養を無駄に消費してしまっていることになります。

スカイレースは、序盤からいきなり急な登りが始まります。なので、息が上がるのは当然、と以前なら考えていたのです。

しかし、これが大きな落とし穴。

4時間も5時間も走る中で、マラソンならこんなことはありえない。そう考えたときに、いくら急な上りでも、絶対に息を上げて走ってはいけない、と言うことに昨年のエクストリームトレイルあたり(10月)から気づきました。

なので、今回も序盤の登りから無理に走らず常に呼吸の状態に注意を払い、苦しくならないように慎重に登っていったのですね。

こう言うところもゆっくり登り呼吸を上げない(ていうか道じゃないよね、これ)

また前半、唯一気持ち良く走れる尾根伝いの区間があるのですが、そこでもペースは極力抑えました。

前半の尾根道はかっ飛ばしたいのを我慢してゆっくりとジョグ。一昨年は調子に乗ってのちに地獄を見ることに。

とにかく、このことを意識したことで終盤のペースダウンを最小限に防ぐことができ、およそ1時間余りの記録更新につながったと考えています。

そしてもう一つは栄養補給です。

この重要さに気づいたのも昨年のエクストリームトレイル。

実はトレイルランニングを始めて10年近くになりますが、つい最近までランマニアはほとんど補給をしないで走る人でした。

自分では補給食を持たずにエイドだけで軽く食べる程度。

もともと陸上競技から入った人なので、「レース中に食べる」と言う感覚にいまいち抵抗があったのですね。

しかし、昨年のエクストリームトレイルで補給食を摂りながら走って驚きました。

最後まで急な登り坂でしっかりと脚が動くのですね。

特に、比較的序盤(レース時間の3分の1くらい)から食べ始めると調子がいいように感じました。

今回も、レース開始後100分あたりから食べ始め、あとは30分毎に何かを口にするようにしました。

なぜ栄養の摂取がトレイルレースで重要なのかと言うのは、これだけでものすごい文章量になりそうなので別の機会に記事にしようと思います。

と言うことで、今回の上田バーティカルレースを想定外の結果で終えられた要因を振り返ってみました。

実際に振り返ってみると、意外としっかりとした根拠があることに気づき、むしろ「想定内」の結果であった気もしてきます(故障が悪化しなかったことは本当に大きな想定外でしたが)。

今回の検証で今後のトレーニングに関して参考にしたいのは、とにかく「一度高めた有酸素能力の力を信じて、その後一旦は疲労を抜く期間を設定した方が良い」と言うこと。

ランマニアの場合は、慢性疲労がパフォーマンスに大きく影響してしまうため、欲張って練習量を確保するよりは、一度追い込んだ後にはしっかりと休む期間を設定して、疲労を抜いてしまった方が結果的に高いパフォーマンスを発揮できる気がしています。

レベルは全く違いますが、あの日本選手権で優勝した伊藤選手にしても、おそらく故障期間中のリフレッシュが大きく影響したのではないかと考えています(あれだけの期間練習を休むと言うのは、エリートランナーなら尚更意図的にやるのは難しいはず)。

そして、強度の高い練習も、そんなに高頻度で取り入れなくてもある程度は力を維持できと考え、故障や調子を崩すことを考えると、疲れているときに無理してやるほどのことではない気もしてきます。

今回「あの程度の練習」で走れてしまったことで、「やりすぎないこと」の重要性に気づけたようにも思います。

とはいえ、今回の結果はそれ以前の「しっかりやり込んだ時期」に裏付けされたものである可能性もあり、「やらなければならない時期」もしっかり存在していることも考えなければならない気もします。

オーバーヒート

こんにちは、ランマニアです。

このブログとTwitterを始めてからは初の事態でしょうか。

今日、ついに「走れない」という状況に陥りました。

一昨年まではかなりの高頻度でこういうことはあったのですが、ダニエルズ練を始めてからはなんだか体(おそらく脳の組織も)が丈夫になった気がして、今日のように「全く頑張れない」「踏ん張りが効かない」という状態はほとんどなかったのですね。

脳のオーバーヒート

実際の生理学的なメカニズムの真相は別として、今日のような状態になってしまった時の、自身の感覚、イメージとしては、「脳がオーバーヒート」している状態です。

パソコンのCPUの温度が上がりすぎてしまって処理がもたつく現象、ってみなさんも遭遇したことがあるかと思いますが、ちょうどあんなイメージです。

もう、脳がすっかり疲弊しきって、抹消(筋)に指令を送れなくなっている状態。そんな状態です。

こうなってしまうと、もう何をするにも億劫で、何かを考えたり、ちょっとした作業をしたりすることすら力が入らなくなってしまいます。

なので、大きく多数の筋肉を動かす、つまりそれらに指令を出さなければならない走る=全身運動などもってのほかなわけで。

原因を考察してみる

では、なぜ急にこんなことになったのか。

ランマニアは脳科学者ではありませんし、仮にそうだったとしても中枢神経系の疲労のメカニズムはまだまだ明らかになってはいないことが多くありますので、どうしたって推測の域を出ないわけで。

ここは自身の経験上こうなるパターンをいくつか複合的に考えてみました。

仮説1:遅れてきたレース疲れ

まず考えられるのは関所マラソンの疲れでしょうか。

今から4年ほど前になりますが、東京マラソンで念願の2時間40分切りを果たし、数年来の目標を達成した後、なんと一月以上も今日のような状態が続き、全く走れなくなったことがありました。

レース後数日は、もちろん興奮していて元気だったのですが、1、2週間経ったあたりから、経験したことのないような無気力感、脚の重さに見舞われ、丸々1ヶ月軽いジョグしかできなくなったことがありました。

なので、その時の体の状態で、持っている力をフルに発揮してしまった後の神経系の疲労というのは若干遅れてやってきて、しかもそれがかなり重篤だということですね。

今回は、それに加え、そこまで取り組んできたダニエルズ練の疲れもかなり蓄積していたと考えられます。

そうした「気持ちでカバー」してきた部分が、軽く脚を痛めて全力で走れなくなった結果、無意識のうちに「解放され」、気が抜けてしまったことは十分考えられます。

「ああ、もう休んでしまっていいかな」

そんなことを意識せずに考えた結果、踏ん張っていたものが一気に緩み、疲労感となって現れたのかな、と。

仮説2:年末年始休みの反動(脳の「筋痛」)

今年の年末年始休暇はかなり自由に過ごし、好きなことばかり(たくさん走ってたくさん食べる)を繰り返してきました。本当にここまで気持ちが楽になって充実した休暇は久しぶりで、心も身体も相当リフレッシュされたのですね。

ところがそうした生活にすっかり慣れてしまっていると、普段仕事で使っているような脳領域(人相手の仕事では特に、社会性を発揮するような領域)を突然使うことになった時、ものすごく疲弊してしまうのです。

ちょうど先日、しばらく使っていなかったトレイルの筋肉を突然使って、猛烈な筋痛が発生してしまったように、脳の部位も普段使っていないところを突然全開で使わせようとすると、慣れない分疲労度も大きくなってしまうのですね(まあ、脳の筋痛みたいな感じで)。

要はこれが脳のオーバーロードを生み、一気に疲れさせてしまった可能性は十分あります。

確かに、昨日、一昨日、そして今日も、脚の筋肉自体はほとんど疲れてなく、力を込めれば軽やかに走れる状態であったにもかかわらず、今日はその「力を込める」ことができず、結果的に走れなくなってしまいました。

脚の筋肉とは別の疲労、つまり中枢部の疲労であった可能性は高そうです。

突然仕事が通常運転で始まり、これまでしばらく使っていなかった脳領域をフルに働かせた結果、急激に疲弊してしまったことは十分考えられます。

仮説3:怪我によるストレス

仮説1にも関係することですが、やはり今はふくらはぎを痛めているため、満足な走りができません。

フォームも大きな走りができませんし、気持ちよくどこも気にせず走る、ということができない状態にあります。

こうした状態ですと、気持ちに「抑制」がかかり、脚の全てに出力を送って走ることが難しくなってきます。

これ、体験した人にしかわからないと思いますが、意外と疲れるんですね。

「痛み」は人の気力を奪います。QOLを著しく低下させます。

今回のような、激しい痛みではなくても、ちょっと気になるところがあるだけで、心理的には結構負担がかかるのですね。

こうした状態で走っていると、そうでない時に比べて想像以上に脳は疲弊してきてしまいます。

そうした「ストレス由来」の疲れである可能性も否定できません。

全ての疲労は「睡眠」に通ず

こうした「脳のオーバーロード」をきたした場合、もうとにかく寝るしかありません。

こんなブログを書いている場合ではなく、さっさと寝るのが最優先です。

あらゆる疲労の対処には睡眠が第一選択肢であることは言うまでもありません。

いえ、さっき少しうたた寝しただけでかなり元気になったのですけどね。

幸い、今日の練習も「強制終了」させられたことで、だいぶ脚の方を休ませることができました。

危なくなっていたふくらはぎもかなり回復したと思います。

まあ、ちょっと走れそうだとすぐにやりたがるこの「ランナー病」にはいい薬だったと思うことにします。