戸倉三山を走ってきました

こんにちは、ランマニアです。

さて、昨年に引き続き今年も正月休みを利用しての初トレイル練習に行ってまいりました。

昨年は真冬の美ヶ原に里から走って登る、というアホみたいな練習(当然雪上トレイル)をしてしまったのですが、今年はダニエルズのマラソントレーニング中ということもあり、1週間を通しての負荷をどうするかと考えた時に、2回あるQデーを両方こなせる程度の負荷で行う、という観点から少し軽めのトレイルを選択したつもりだったのですね。

今週のQデーは、初回がロングジョグ(130分)、2回目がLTインターバルとVO2インターバルを組み合わせた最も苦手な練習、という内容です。

当然ながらこの2回目のQデーが勝負の日なのですが、せっかくのまとまった休みで一度も山に行けないのも残念なので、初回のQデーをロングトレイルジョグに充ててみたということなのです。

最後にトレイルを走ったのはもう2ヶ月も前になる烏帽子スカイレース。あれ以来、全く山を走っていなかったですし、関所マラソンの疲労も皆無ではなく、さらには数日後には最もきついインターバルが待っていると考えれば、今日は比較的ゆったりと時間をかけてのんびり走れるトレイルがいいな、と近場はあきる野市にある低山(山のキツさは標高とは無関係です)を目指したのですね。

このあきる野市にある「瀬音の湯」という温泉施設は以前一度利用したことがあり、非常に泉質がいい割にリーズナブルで、自宅からアクセスしやすい場所でして、今度行く時は山を走ってそのままドボンしたいと強く思った場所でした。

さて、そんな温泉めあてのトレイル練習ですが、ここを拠点にした場合どのあたりまでの山へ行けるか考えてみました。

まず真っ先に思い浮かんだ「大岳山往復コース」はあまりにも距離が長すぎるので却下。

大岳山は先日東京バーティカルレースが行われ、ランマニアも昨年その試走を行った場所なので、もう一度行きたいなと思ってはいたのですが、流石に瀬音の湯から片道15km超は今回の練習の趣旨とは外れます。

次に候補に上がったのが、「戸倉三山」と呼ばれるこの地域(戸倉地域)を代表する三つの山を縦走するトレッキングコース。一部があの「ハセツネ」のコースの一部にもなっていて、地元ではかなりメジャーなトレッキングコースです。

三山はどれも標高が800m前後ですから、まあ最初だけ急登を登ればあとは気持ちのいい尾根づたいの気持ちのいいシングルトラックだろうと、超甘く見積もりました。

距離も山岳区間だけで15km弱ですから、大体2時間ちょっとで回れるだろう、うん、今日の練習の趣旨にぴったり、と、とにかく完全に舐めてかかってこのコースを選択したのですね。

さあ、久しぶりのトレイルランニング、楽しみ楽しみ、と温泉施設を後にして最初の登山口まで足取り軽やかにジョグで向かいます。

瀬音の湯から登山口までは秋川渓谷を渡る吊り橋を通ります。ここは絶景。温泉に立ち寄った際には必ず訪れてほしい場所です。

実はこの三山巡りの前に少し寄り道したいところがあり、それが稜線まで登ったところから500mほど逸れたところにある「城山」と呼ばれるかつての山城のあと。

事前の調査でかなり景色が良かったので、まずはアップがてらそこまで行ってみようと、久しぶりの急登をガシガシ登ります。

城山からの眺め。五日市方面を一望でき、遥か彼方の群馬の山々まで見渡すことができます。ここまで登って引き返して温泉、だけでも十分楽しめそうです。

しかし、もう2ヶ月も山を走っていなかったからか、とにかく脚に力が入りません。なんというか、絶対的なパワーがない感じなんですね。呼吸はそれほどでもないのに。

もしかしたら、レースの疲労もあるのかもしれません。しかしそれにしても、すぐに一杯一杯になってしまい、10月のトレイルシーズンにはなんでもなかった勾配も、すぐに歩きが入ってしまい、自分の衰えに軽くショックを受け。

城山からの眺めは最高だったのですが、この疲れ具合から先行きが不安になってきました。

しかしせっかくの休日、こんなところで引き返して温泉ドボンはもったいない。そう思い、予定通り稜線を進むことにしました。

ここから先が、本当に想定外でした。

まあとにかくアップダウンが凄まじいこと。

同じくランマニアの地元に近い奥武蔵地域によくみられるような、岩場だらけの幾度もピークを超えながら尾根を進んでいく、あの特有のコースがそこにはありました。

このような岩場だらけなのでとにかくペースが上がらず。道も細く、油断すると滑落の恐れも。

もう幾つの山を越えたのだろう、と数えるのも嫌になる程軽い山登りを幾度となく繰り返し、まだ最初の臼杵山にたどり着く前から累積標高が1000に近づいてきたので目を疑いました。

そして、山慣れしていない脚の疲れが次第にひどくなり、完全に登りは止まってしまいました。ああ、情けない。

ただ60分ほど走ると、一度急激に溜まった乳酸が代謝され、脚のPHも酸性から中性に近付いたのか、ようやくエンジンがかかってきた印象になりました。ああ、これならまだしばらく走れるぞ、と。

三山の一座目は最も標高の高い臼杵山
標高が1000に近いと空気感が変わります。

本当はこんなことをするはずじゃなかった、と思うほどの急激な登りが延々と続いた先に、ようやく一座目の臼杵山に到着。

こんなはずじゃないかった坂

その後も似たようなトレイルが延々と続きましたが、若干走りやすいシングルトラックに変わり、徐々にペースも上がってきました。

本当はこれくらいの尾根道が続けば良かったのですが、こういう道は長くは続きません。

臼杵山から二座目の市道山までは約3kmほど。山道の3kmは意外と長く大体キロ10分で行ければ良い方。

若干標高は下がりましたが、アップダウンが繰り返されたので下がってきた感覚は全くなし。

それにしても東京都の登山道は本当によく整備されています。こんな百名山でもない小さな山にこの立派な山名板。地元埼玉では絶対にあり得ないですね。さらにかなり短い間隔で道標も設置されていて(しかも新しい)、ほぼ迷うことなくルートを進むことができます。お金あるんだろうなぁ、と。

出ましたハセツネ。以前青梅の山でもこれを見かけましたが、とんでもない広範囲にわたって走るんですね、このレース。ここを走ってみて、絶対にエントリーしない、と確信しました。

市道山から三座目の刈寄山まではなんと5km。初め「5km」という表示を見た時は「マジかー!」と誰もいない山中で叫んでしまいました。

何せここまでの道のりは大体9km強。それを約2時間かけて走ってきましたから、まだあと1時間かよ、と愕然としたのですね。

ちなみに、この市道山からはあの八王子の「陣馬山」まで尾根道づたいに行くことができます。こちらも約5km。さらにその陣馬からは、かなり遠いですがあの「高尾山」へもアクセス可能です。体力に余裕があり、本格的にトレイルの練習をする機会があれば、一度やってみたいコースではあります。

長かった市道山からの繰り返されるアップダウンも、この入山峠でようやく一区切り。ここから後500m。激坂が続きますが、最後の登りです。

その後途中のキロ表示が3kmを切ったあたりからやはり気持ちもだいぶ楽になり、そうなってくると体も元気がみなぎってくるのですね。

これまでは先のことを考えてどうしても体をセーブしがちになっていましたが、残り2km台ならアクセル踏んでも大丈夫だろう、という感覚が無意識のうちに頭に浮かびます。

これは、ロードレースなんかでも同様で、なんというか現時点で残されている自身の体力が、あとどれくらい頑張っても大丈夫か、というのが感覚的にわかるのです。もちろん、最終的には「アクセル踏むのが早すぎたか!」ともくろみが甘い時もあるのですが、しかしそういう肉体的な限界は心理的にカバーして走ってしまいますし。

ようやく3座目の刈寄山に到着。標高はかなり下り600m台。ただし、ここまでの累積標高は1500mに迫るほど。

最後の力を振り絞って(本当は振り絞っちゃいけなかったのですが)ようやく最後の刈寄山に登り、あとは五日市の町まで一気に下るだけ。

この下山道はあまり利用されていないらしく、かなり荒廃していて一度ロストしてしまいましたが、どうにか無事に下山を果たしました。

本来のQデーとしての練習は130分または27kmの短い方、というロングジョグでしたが、今日はトレイルの22km、累積標高は大体1500m。走行時間は3時間半。おそらく、予定していた体への負荷は大幅に越えてしまいました。しかも、久しぶりのトレイルで体にかかった負荷も以前より大きめになった気がします。

登山道のような通常身の回りにあるような上り坂とは比べものにならないほどの勾配を登ったり、駆け降りたりする際の筋力の発揮の仕方は、おそらくロードをジョグするのとは全く違うパターンだと思います。

おそらく平地をジョグするよりも速筋を優位に使っているのだと思いますが、こうした山練習の後は必ず「バネ」がなくなった状態がしばらく続きます。つまり、スピードを出して走れなくなるのですね。

なので、次のQデーで予定している比較的ペースの速いインターバルには結構影響が出てしまうものと思っています。

とはいえ、2ヶ月山から遠ざかるだけでこれほどまでに筋力、筋持久力が衰えてしまうことを考えると、やはりこのタイミングで一度入れておかなければならなかった練習だったと改めて気付かされたところです。


箱根駅伝を見て考えたこと

こんにちは、ランマニアです。

みなさん改めまして本年もよろしくお願いいたします。

ブログの方は2021年最初の投稿となります。

さて、今日はランナーでない人にとっても衝撃の箱根駅伝となりましたね。

毎年この1月3日の昼前からの時間というのは、もうだいたい優勝チームが独走状態になっていて、「ああ、もうこのまま◯◯大学が優勝かぁ。ああ、休みが終わってしまうなぁ」というなんともいえない時間が流れていくのですが、今年は最後の10kmあたりから「おいおい待てよ、これこのまま終わらんぞ」と、ランナーやってればなんとなく危うい雰囲気を察せられるくらい状況が一変してきたのですね。

ハーフマラソンを走ったことのあるランナーであれば、もうあの小野寺くんの心境は決して他人事では済まされない状態、まさに手に取るようにわかるしんどさだったと思います。

おそらく彼の実力から想定されるハーフマラソンの1kmあたりの巡航ペースからは30秒くらい落ちてしまっていたと思いますが、自分も含め、ハーフマラソンのレース終盤でキロあたりのペースが30秒も落ちたと考えたら、まあ正直なところ「大撃沈」なわけで。もう完全に脚が止まった状態ですよね。気合いとか根性とかでどうにもならない状態。

そんな状況で後ろから日本学生界を代表するくらいのエリートランナーが猛追してきているなどと想像したら、そりゃもう泣きたくなりますよ。あと数キロで優勝できるかどうか、しかも個人ではなくチームが、という状況で。

ランマニアは、実はプロ野球にも思い入れの強いチームがあり、もう40年来そのファンをやってきているのですが、シーズン通して野球を見ていると必ずあるのが「クローザーが打たれて逆転負け」というパターン。

このパターンの負けは選手はもちろんのこと、見ているファンにとってもかなり後を引くしんどい負け方なのですが、今日の創価大学を見ていてまず頭に浮かんだのはこのことだったのですね。

野球はどうしても「ピッチャー優位」のスポーツですので、無意識のうちに「抑えて当たり前」の心境で試合を見てしまっているのです。

一方、マラソン・駅伝はその日の体調やレース運びによっては大どんでん返しがあるスポーツだとは分かっているのですが、例年のようにアンカーに数分差で襷がわたって独走状態なら、まあ多くの場合は「逃げ切って当たり前」という頭でレースを見てしまうと思うのです。

この「抑えて当たり前」の状態で投げるピッチャー。「逃げ切って当たり前」と思われてタスキを受け取るランナー。

こういう十中八九成功が約束されていると期待される立場の人のプレッシャーというのは計り知れないものがあると思うのですね。

幸か不幸か、ランマニアはあまりこういう経験はしたことがないのですが「できて当たり前」のことを失敗しないでやるというのは、どんな些細なことでもプレッシャーを感じるだろうなと想像します。

だからもう当然なんですが、彼を責めたり彼に落胆したりする人なんて誰もいないと思うのです。まあ、SNSで勝手なこと言っている人たちは誰にでもそうする悲しい人たちなので放っておけば良いのですが、少なくともランニングの経験がある人であれば、むしろあの状況でよくやったよね、と。

しかし、かつては高校駅伝や箱根駅伝(の予選会)にも関わったことのある人間の立場から想像するに、やっぱり今日の結果を一番悔いているのは本人だと思うのですね。レースとしてはおそらくオーバーペース気味で失敗レースとなってしまったわけですし。周囲がどんなに励ましたりフォローしたりしても、自身の納得とはなかなか結びつかないもので。

ただ、ブラウン管越し(いや、今は液晶越しって言うのかな)に見ていたおじさんが感じたことを一つだけ伝えるとしたら、それはもうとにかく駒澤大学は強かったです、ということ。

いや、もっというと東洋大学も青山学院大学も相当強かった。メンバーの持ちタイム、走り方、そういうものから推測するに、おそらく戦力では申し訳ないけど創価大学は全く歯が立たなかったはず。

優勝なんてとんでもない。申し訳ないけど、できるわけがない。

東洋や青山にだって勝てはしなかったはず。

だから、チームとしての成績は2位でも出来過ぎなんです。途中まで1位にいたから2位が残念に感じるし、なんだか9回の裏サヨナラホームランみたいな感覚になってしまっているけど、9区までの展開次第では2位も3位も、4位だって難しくなった可能性は十分あったはずで。

とにかく、10人の合計タイムで見てみたら二番目だった。東洋よりも青山よりも上にいた。

だからすごい、本当によくやった。

っていうのではなく、駒澤大学が13年間も優勝できないんだから、そんなに簡単なことじゃないんだよ、っていうこと。

それを伝えますかね。

自分の失敗でチームの優勝を手放した、って思うのは当然でしょうけど、そんな失敗一つ防いだくらいで優勝できてしまうほど、箱根駅伝で優勝するなんてそんな簡単なことではないよね、っておじさんは思うのですね。

1人の力でどうにかできるほどそんな簡単なことじゃないんだろうな、と。

「お前1人の力でどうにかなったと考えるのはむしろ自惚だ!」くらいのことを言われた方が、本人は救われるのかもしれませんけど。

いや今日は本当はこんなこと書くつもりではなかったんですよね。

駅伝の途中で外に散歩しに行って、その間に全然別のこと思いついて、それをブログにしよう、って考えていたのですね。

高度に商業化した箱根駅伝という「ビジネスコンテンツ」についてとか、関東学生陸上界の箱根駅伝至上主義が生み出す日本の長距離界の功罪とか、そんなものを思い描いていたのですがね。

そうしたものが、最後の大逆転でぜーんぶぶっ飛んでしまいました。