こんにちは、ランマニアです。
さて今回は、烏帽子スカイランの「SKY」部門のレースレビューです。
「SKY」部門は、JSA的にはいわゆる「スカイレース」の部門で、累積標高差がだいたい1000m〜3000m、移動距離が30km程度までの山岳レースを指します。
今回の烏帽子は、移動距離25km、累積標高差1550mという、SJSの中ではおそらく最も「走りやすい」スカイレースの部類に入ります。
個人的に最難関は、上田バーティカルレースにおけるスカイレース(塩尻コース)で、こちらは移動距離は25kmと変わらないものの、累積標高差はなんと3000m。
通常のランナー感覚からすると、「なんだ距離は変わらないじゃないか」と思われるかもしれませんが、同じ移動距離で累積標高差が倍近くあることに注目です。
スカイレース(バーティカルもですが)では、移動距離に対する累積標高差の比率がかなり重要でして、1kmあたり100mの獲得標高をはるかに上回る上田のコースは、それだけ急峻なコース設定がなされていることを意味します。
こうしたスカイランニングの特徴を考えると、先日の烏帽子はかなり楽に走れる部類に入り、レース時間も2時間から3時間に収まる程度の、高速コースとなっています。
この烏帽子スカイレースの最大の特徴は、なんといっても、後半に相当な距離の「ロード区間」が待っていることですね。
通常、スカイレースでは一般的なトレイルランニングに比べて、林道やロード区間、あるいは快適に走れる平坦区間が限りなく少ないのが特徴ですが、この烏帽子に限っては、終盤はあたかもロードレースさながらの展開が待ち受けています。
一昨年は、そのあまりにも長いロード区間で完全にやられてしまい、序盤の烏帽子岳を登った爽快な気分が、ゴールではすっかり消えてしまったのを覚えています。
そんな苦い経験のある烏帽子スカイレースであったため、今回はある対策をしてみました。
それは、思い切ってロードシューズで走ってみよう、ということでした。
前半の烏帽子岳登山を含むトレイル区間は、総距離の約半分、12km程度です。
しかも、ほとんどが落ち葉が堆積した非常に走りやすい足場で、硬い岩場が現れるのは、山頂付近にとどまり、あとはトレイルシューズでなくとも思い切り着地のできるサーフェスが続きます。
一方、トレイル区間が終わった先は、2〜3km続く砂利道の林道区間、そしてその後はほぼ全てがロード区間となります。
つまり、走る距離の半分、時間にしても半分以上は砂利&ロードなのですね。
しかも、その後半の一般道区間はほとんどが下りで、足へのダメージもかなりのものがあります。
山頂から下ってくる急坂下りでやられた脚にとって、その後10km以上続く一般道は相当なダメージが上乗せされる嫌な区間です。
なので、一昨年はクッション性の低いトレイルシューズが終盤あだとなり、せっかくの高速区間がただのジョギングと化してしまったのでした。
果たして今回、この作戦はかなり功を奏しました。
序盤の烏帽子岳登山で、相当にペースを抑えたというのもありますが、山頂を過ぎてからの激坂下りも、足場の悪い林道区間も、全く恐怖はなく、思い切り膝下を前に出して豪快に飛ばすことができました。
もしかすると、スカイレースの下り区間で、ここまでぶっ飛ばしたのも初めてだったかもしれません。
それほど脚の動きも良く、また、着地の恐怖も軽減されていました。
そして、問題のロード区間についても、一昨年のようなジョギング大会ではなく、明らかに「レースしてるぞ」といったイメージで、現在のLT付近のペースを維持できていた印象です。
ただ、今回唯一失敗したのは、このロード区間で地味に繰り返されるアップダウンによって、思いの外脚を使わされてしまい、最終盤の「山登り」で脚が終わってしまったことでした。
せっかく、下り区間まで脚を取っておいたのに、これは非常にもったいなかったです。
スカイレースにありがちな、最終盤の登り区間。
このコースにも、最後の最後に3つの急登が用意されているのです。
禰津(ねつ)城。
お姫様の巨石。
そして、フィニッシュ地点に向かう最後の石段。
この3箇所に加え、ロード区間でも一旦登り区間があり、トータルで累積100m近くにはなる侮れない急登です。
今回は、ロードを飛ばし過ぎた結果、この3箇所の登りで、一気にペースダウンをしてしまったのが悔やまれます。
最終的なタイムは2時間32分14秒。
一昨年よりも2分近くタイムを縮め、やったPBだと喜んだのも束の間、実は今回からスタート地点がこの石段ではなく、それよりも数百m進んだ先にある登り坂だったため、縮めた2分はちょうどその分であったことに気づきました。
とはいえ、一昨年よりも練習が積めていない状態でほぼ同タイムで走れたことはかなりの収穫で、これは多少なりともレースに向けた対策が生きた結果となりました。
一つは、序盤の登りをかなり抑えたこと。
もう一つはロードシューズで走ったこと。
この2点の工夫が、今ある限られた実力を最大限に発揮できた要因だったと思います。
トレイルは、ロードレースやトラックレースに比べて、結果に影響する因子が膨大に上るため、ロード・トラックのようなシビアな世界ではありません。
単純に走力や登坂力だけでなく、ペース配分などの工夫をするだけで、かなりネガティブな要素を打ち消すことができる競技ですね。
そうした意味では、まだまだ自分の実力を開拓する余地は残されていますし、トレーニングのアプローチも工夫できそうに感じています。
いずれにしても、練習が十分積めていない状態で参加しても楽しめてしまうスカイレースは、トレーニングの中でちょうど良い気分転換になる種目であると、改めて感じた二日間でした。