慢性疲労症候群 その3

こんにちは,ランマニアです。

今回は,服薬をしてそこから徐々に容体が好変していった話です。

快復の兆し

社会人1年目は、
体のしんどさと、
その状態で毎日の仕事をこなすことに精一杯で、
ついに、走る意欲も失いました。

全く走らなかった期間は、
後にも先にもこの時期だけですが、
この時は、もう走ることを諦め、
何か違うことに生きがいを見出すしかないと、
いろいろと模索していた時期でした。

疲労感」という、脳で感じる不快感なのであれば、
意欲や覚醒を司る、神経伝達物質の、
あるいは中枢神経細胞そのもの不全なのではないか、
という仮説を考えていました。
体のだるさもそうですが、
とにかく眠気と、何かをするのが億劫な「気分」のしんどさが、
主な主訴だったからです。

ちょうどその頃、
何かの番組でこの疾患が取り上げられており、
最新の研究で、
ちょうどこの頃認可のおりた、新しい抗うつ薬SSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が、
本疾患にも有効であったとする報告が紹介されていました。
セロトニン作動性のシナプスにある、セロトニン受容体に作用し、
セロトニンの再取り込みを阻害させ、
シナプス間隙のセロトニン濃度を高める作用があります。

直感的に、「これだ」と思いました。

精神科を受診するのは、
それなりの勇気がいりましたが、
これで治るのであれば、そんなことは気にしてはいられないと思い、
近くにあった小さな精神科を訪ねました。

後になって知ることになりますが、
この時担当してくれた医師は、
その道(気分障害)では有名な医師で、
症状と、最近の研究動向を伝えると、
こちらの意思を尊重してくれ、薬を処方してくれました。

帰宅して服用すると、
翌朝には、信じられない出来事が起こりました。

これまで、目覚ましなしでは起きれないほどの過眠。
起きたとしても、いつまでも目が開かないほどの眠気に悩まされていた起床時。
それがこの日は、
数年ぶりに目覚ましなしで朝5時に目を覚ますことができ、
起きた後の、ここ数年味わったことのない覚醒状態を体感することができました。

体のだるさは残っていて、
眠さやまぶたの重さも相変わらずあったものの、
何かをするのが億劫な、独特の倦怠感のようなものが、
だいぶ軽減された気がしました。

こうした、自覚症状に対する服薬にあたっては、
少なからずプラセボの可能性が否定できませんが、
それまでも、漢方薬やビタミンC粉末などの摂取をしてきた中で、
そのようなことは体験できなかったことから、
この薬は少なからず生理的機能の改善に寄与したものと考えられました。

これも、後でわかったことですが、
当時の自覚症状は、
うつ病エピソード(当時診断基準)に酷似しており、
SSRIは、そうした抗うつ薬の働きとして、
慢性疲労症状の、一つの側面に効果があった、
ということであったのではないか、と推測されました。

いずれにしても、
これを機に、生活の中の様々なことに意欲が回復し、
仕事を含めた、1日の生活をかなり楽に送れるようになりました。

そして、ある時、
この状態であれば、ひょっとして走ることも可能なのではないか、
と思い立ち、
勤務時間の終わった夕方、
職場の建物の周り、300mほどを、軽くとぼとぼと走ってみたのが、
全ての始まりでした。

走った後も、いつもの倦怠感は発現せず、
むしろ、相当な長い間感じることのなかった、
運動をする爽快感を感じることができました。

翌日は、2周、
次は3周と、日に日に周回が伸びていく楽しさを味わいながら、
いつの頃か、久しぶりにランニングシューズを購入し、
走ることが日課となっていきました。

こうして、
気がつくと、自分の生活の中に「走る」という行為が組み込まれ、
薬の力を借りながら、自身の体力が少しずつ戻っていくのを実感しました。

そして、中枢神経系に作用する薬にありがちの、
「慣れ」による効き目の低下が現れたところで、
服薬を終了しました。
投薬を続けたのは,2年ほどだったと記憶しています。

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