こんにちは、ランマニアです。
昨日のレースは地面がアスファルトのロードレース。しかも距離が10kmとそこそこ長いこともあり、当然のことながら走力を問わずほとんどのランナーが厚底シューズでレースに臨んでいました。
知り合いも皆ナイキやアディダスの厚底で、みなさん一様に「ランマニアさんは厚底履かないんですか?」と心配され。
確かに、こうして底の厚い靴に見慣れてくると、手にもつランマニアの「Takumi戦」シリーズの底の薄さは本当に頼りなく感じ、自分で選択しておきながら「本当にこれで大丈夫か?」と自分で心配になるほど。
しかし、実際にアップシューズからTakumi戦に履き替えて流しを入れてみると、やっぱりこのビュンビュンスピードが上がる感じは自分にはぴったりだな、と結局ここに落ち着いてしまうのですね。
ランマニアが本格的に陸上を始めた高校時代のレースでは、アシックスの「ソーティーマジック」という靴が席巻していて、他の練習シューズに比してはるかに高価な(12000円くらいだった記憶、なんという安さ!)レースシューズで、レースのような特別な時に履く靴、といった他のシューズとは一線を画す存在でした。
ランマニアも高校3年の頃に初めてこのソーティーマジックを購入し、以降大学生までこのソーティーシリーズでロードレースを走っていました。
このシューズ最大の特徴はその軽量さで、当時どの練習シューズよりも軽く、今のシューズで重視されているクッション性や反発力などほとんど皆無、とにかく軽さだけを追求したシューズでした。
また、それ以前からよりプロフェッショナルな雰囲気を醸し出していた「ソーティジャパン」シリーズよりもアウトソールのグリップ力が強化され、「軽くて物凄く力が加わる靴」というイメージの強いレースシューズでした。
以降、ランマニアは大学時代の箱根駅伝予選会20kmレースまでこのソーティーシリーズでロードレースを戦いました。20kmも!と思われるかもしれませんが、当時はソーティーでフルマラソンを走るのでさえ当然の世の中でしたから、20kmぐらいはなんでもないことだったのですね。当然、ラスト5kmあたりから物凄く足裏や下腿が痛くなってくるのですけど。
しかしとにかく、このソーティーシリーズの「空を飛ぶような軽さ」は、当時レースが特別なものとして実感できるツールの一つでして、練習では決して味わうことのできない「自分の本当の速さ」を体感できる貴重な時間だったわけです。本来なら、練習の時から短距離や中距離の選手がスパイクで練習をするように、我々もソーティーで練習する機会を持っていればよかったのですけどね。
そしてこの時のロードレースの体験がいつも頭にあるため、厚底が主流となった今となっても、どうしてもあの「飛ぶような走り」(厚底は“跳ぶような“走りなのでしょうか)を再現したく、今でもダイレクトに地面を掴んで蹴り上げることのできる底の薄い靴を選んでしまうのでしょう。
そうですね、ちょうどスポーツカーのホイールがタイヤいっぱいまでインチアップして、路面の感触がダイレクトに運転手に伝わってくる感覚、コーナーで全くゴムがたわむことなくボディをロールさせずに旋回するような感覚。ああいった感覚を走りの中でも得たい気持ちがどこかにあるのだと思います。
昨日も流しを入れながら、接地した瞬間に前足部が路面に吸い付き(Takumi戦シリーズは前足部にブーストフォームが入っていて接地の際路面に足裏がしっかり密着するようにできています)、アスファルトと相性のいいアウトソールのぶつぶつが路面をしっかり捉えて蹴り進むことができるのです。この感触がたまらなく気持ちが良く、「やっぱり今日もこれで走りたい」と思ってしまうのでした。
このスピードの出し方に慣れてしまっているランマニアが、もし厚底に移行しようとすれば、まず確実に走り方を変えなければならなくなります。厚底シューズを実際にしっかりと履いたことがないのでなんともいえませんが、あの形状と柔らかさから推測するに、おそらく足裏のトラクションをフルに利用して前に進もうとする今の走り方では、全く通用しないシューズであると考えられます。
しかし、やはり、というか当然というか、昨日のレースでも終盤の脚へかかる強い負荷は薄いソールならではのダメージの大きさで、次第に脚が止まってくるのも事実です。
しっかり路面を捉えて蹴り進む、ということは、それだけ力がロスしない、ということでもありますからね。下腿にかかる負荷、ダメージの大きさは想像以上のものがあります。
仮に、序盤の軽やかにかつ力強く地面を蹴れる状態が最後まで全く衰えることなく継続できるのであれば、昨日のタイムはもっと良かったに違いありません。それを可能にするのが厚底シューズなのでしょうけど。
その最後まで衰えない脚力、ダメージ耐性を靴で得るか、それとも練習によって得るか。
練習によって得ようとするのは並大抵のことではありません。あんなに練習したって、最後は脚が止まるのですから。
そう考えると効率よくタイムを向上させるには、厚底を選択することはとても手っ取り早い手段です。
しかし、ランマニアはこの最後まで衰えない脚力を、練習によって獲得したいと考えているのですね。その理由は昨日のブログに示した通りです。
薄底シューズは、そうした練習によって獲得されたダメージ耐性みたないものをとてもよく感じやすいシューズなのです。
まあ、簡単にいってみれば自己満です。もともとスポーツなんてものは自己満足の世界ですから、それでいいんだと思います。
しばらくレースもなく、また薄底シューズを試す機会もあまりない状況ですが、ひとまずしばらくは厚底シューズを購入してレースで使用する予定はありません。
とはいえ、昨今のランシュー事情を鑑みると、そんなランマニアが「まさかの厚底に」といった記事を書く日が来るのも時間の問題かもしれません。