こんにちは、ランマニアです。
さて、昨日はここのところ3年連続で出走している「烏帽子スカイラン」のバーティカルを走ってきました。
JSA(日本スカイランニング協会)公認のジャパンシリーズの第4戦でもあります。
今年は、去年ほぼコンプリートしてきたこのジャパンシリーズには「上田(VK、SKY)」「嬬恋(SKY)」に出走するにとどまり、今回の烏帽子(VK)を含めても、VK2戦、SKY2戦という結果になりました。
このジャパンシリーズはエリート部門で30位までに入ればポイントが加算され、そのポイント数で年間シリーズを競います。
このポイントを獲得する30位以内にコンスタントに入れるようになったのが昨年だったことから、今年はさらに上位を狙うべく、シーズン序盤からかなり高いモチベーションでスカイレースに取り組んできたのですね。
そうした中で、この烏帽子スカイランのVK部門は、今年で3回目の出場となりました。
2年前の初出場時は、初めてジャパンシリーズでポイントがついたレースとして、自分にとっては相性の良いレースでした。
比較的走れる区間が多く、長距離のロードやトラックの実力が反映されやすいのがその要因だと思っています。
さて、そんな自身にとって好印象な烏帽子スカイランですが、去年は2分近く初回の記録を上回り、そろそろこのレースやバーティカル部門での記録更新も頭打ちになりそうな感覚を得ていました。
まして今年は、前半故障が長引き、まともな練習を継続できたのは直近三ヶ月。
強度の高いいわゆるQデーについても、昨年週2回取り入れていたところ、今年は週1で回せるようになったのがやっとと言う状態です。
そうした中でレース当日を迎えたこともあり、今回は2年前の記録を上まわれば良いくらいの心持ちでスタートすることになりました。
しかし、アップの時点で調子はかなり良く、スタート直後の急なロードを軽く走ってみても、かなりの力強さで脚が動き、軽々と登って行ける状態でした。
この時点で「今日はかなり調子がいいぞ」とかなり気持ちは高まってきたのでした。
そしてスタート。
案の定、初めの1.5kmほどのロード登りで、これまで経験したことのないような軽快な走りを体験することができました。
むしろ、これまでのレースでは、日々の練習の疲れやレース翌週の脚の重さが残っていたことがよくわかるほど、本来疲労のない状態というのはこう言う感覚なのか、と改めて知ることができました。
この脚の軽さと力強さはトレイルに入っても変わらず、呼吸は荒くなっていくものの、その呼吸の大きさのままぐいぐいと登山道を駆け上がっていくことができました。
この感覚は、去年の関所マラソンの感覚そのもの。
苦しいながらも脚で押していける感覚。
この感覚が得られると言うことは、有酸素能力のベースがしっかり積み上げられていて、その上にLTやVO2Maxがそこそこに高められ、それらがバランス良く調和されている状態。
かつ、疲労がしっかりと抜けている状態。
若干オーバーペース気味だろうなと自覚はありましたが、もうこうなるといくしかないな、と覚悟を決めました。
レースタイムは大体60分強と言うことで、負荷としてはハーフマラソンに近い状態ということもあり、しんどさとしてはLTレベルを参考にしました。
しかし、トレイルの難しいところは、路面状況は常に変化し続け、特に登り勾配が後半に向けてどんどん急峻になっていことです。
これはロードレースでは決してあり得ないシチュエーションで、同じペースを維持しようとすれば、強度的にはビルドアップしていくことを意味しています。
なので急な登りはペースを抑えたり、いざとなれば歩くなりして強度を調整していくのですが、それでも乳酸の除去が間に合わなくなっていけば、自然と体の動きは制限されていきます。
そして多くの酸素を使ってエネルギー供給を賄わなければならなくなり、トレイルの終盤はほぼVO2Maxレベルの強度が歩きを挟みながら繰り返される状態になっていくのです。
このフェーズがバーティカルの最も苦しい区間で、今回は初めて酸欠に近い状態でゴールをする羽目になりました。
結局、序盤しっかりとLT程度の努力度を維持して、ぐいぐい押していける状態を意識していたものの、結局ラストの20分くらいは、追い込めるだけ追い込んだら歩き、歩いて回復したらまた追い込む、の繰り返しになりました。
毎年のことですが、山頂直下のラスト200mの岩場は地獄の苦しみでした。
しかし、今回、脚の疲労がほとんどなかったことで、この最終盤のフェーズでもなんとか脚は動きました。
いえ、もっと手前の登山道が急峻になってくる段階でも、苦しさの中でも脚だけはしっかりと動かすことができました。
今回、昨年よりも1分以上自己ベストを更新できた要因は、ここにあると考えています。
では、なぜ今年はここまで疲労のない状態でトレーニングを継続でき、レース当日を迎えることができたのでしょうか。
まず、最大の要因は、Qデーを週1にしていたこと。
これは、故障明けで体力がまだ十分に戻っておらず、とても週2回もQデーを入れるのは無理な状態でした。
なので、最低でも週1回は心拍数を上げて、それぞれのゾーンに刺激を入れ、少しでも体の適応を図る意識で練習を続けてきました。
結果的に、これくらいの練習でも、最低限の適応を見ることはできたと考えています。しかも、大きな疲労を溜めることなく。
もう一つの要因は、週1回のロングジョグを30km(時間にして150分超)に伸ばしたことです。
昨年は、週に2回のQデーがあったため、週末のロングは120分固定でした。疲労の状態から、とても120分を超える時間走るのは限界でした。
しかし今年はQデーが1日と言うことで、割と週末のロングに余裕が生まれ、30kmまで距離を伸ばしても、その後の1週間の練習を、疲労なく継続することができました。
この30kmのジョグを6週近く繰り返すことができました。ひと月でも割と体は変わってきますが、6週も続けたことで、だいぶ脚ができてきた(要は疲労しにくくなってきた)印象を感じていました。
その自覚は、実際正しかったようで、週1のQデーでの平均タイムも少しずつ上がり、今回のレースもかなり疲労が軽い状態で臨むことができました。
つまり、絶対的な練習強度の問題で疲労が軽減され、ロングジョグの取り組みによって疲労しにくい脚になったことで、相対的に疲労が軽減された、と言う状態が今回のPBの要因だったと思います。
トレーニング効果と疲労との関係は、過去に上田スカイレースで述べました。
こうした、疲労を溜めずに練習を継続できたことが、PBを出せた最大の要因だと思っています。
これはなにもトレイルに限ったことではなく、通常の長距離トレーニングであっても非常に重要な要素であると思うのですね。
私たちは、「強くなりたい」強烈な願望のもと毎日ハードなトレーニングを積んでしまいがちですが、実のところ重要なのは、「ハードなトレーニングを積むこと」よりも「疲労を溜めないこと」なのではないかと、今回ほど強く感じたことはありませんでした。
何せ、昨年よりも練習が全くできていないのですから(疲労しにくい脚を作り、疲労なく練習を継続できるスケジュールで練習を継続することこそが良い練習であるならば、今年の方が練習はできている)。
今年度は、5月の上田、10月の烏帽子と、昨年度よりも練習が思うように積めていないにもかかわらず、昨年を上回るパフォーマンスを発揮することができました。
これは自分の中で、トレーニングに対する概念を大きく変える出来事になりました。
疲労が溜まらない程度のスケジュールを維持する。
疲労しにくい脚を作ってから強度の高い練習を取り入れていく。
この二つのポイントは、我々のような中高年ランナーには、こと重要な要素であると考えるに至りました。
ただし、今回初めて実戦投入した、サロモン「SENSE Pro」シリーズは相当な軽量シューズ+フォアフットが容易なトレイルシューズで、この恩恵を受けたことは否定できません。
あたかもロードシューズのような軽量さとフォアフットの反発性能は、膝下の足捌きを容易にし、バネの効く走りができたことは正直な感想です。PB1分更新のうち、30秒くらいは靴のおかげだったかもしれませんね。