こんにちは、ランマニアです。
4週連続レースだったこの10月もあっという間に過ぎ去り、昨日、一昨日はその最後の週で烏帽子スカイランに出場してきました。
同時に今年の山レースも今回がラストレース。今年はコロナの影響で数々のレースが中止になる中、10月だけで3度の山レースに出場できるとは、春先にはちょっと考えられない状況でした。
さて、そんな最後の山レースとなった烏帽子スカイランですが、実は今年からバーティカル部門に加えてスカイレース部門が新設されました。
昨年はこのバーティカルのみに参加し、翌日スカイレースのテストランが行われていたことは知っていました。写真を見る限り、素晴らしい景色に加えなかなか走りやすそうなコースで、来年の第1回大会は是非とも出走したいなと考えていたのですね。
しかしこの烏帽子のバーティカルのコースは、自分の走力や体力と大変相性のいいコース。ランマニアの距離特性や体調面などを加味すると、ちょうど絶妙な距離と累積標高のバランスの取れたコース設定のため、どうしてもバーティカルに出走したい、と。
となると、スカイレースに出るには2日連続で2種目を走る「コンバインド」しか選択肢はなく。
正直悩みましたね。昨年の烏帽子バーティカルの翌日に、果たして25kmものスカイレースを走れるか、と問われれば「かなり厳しい」と答えざるを得ないほど疲労は残っていて、流石に難しいだろう、と。
そこで、今年は10月の一発目のレースにちょうど同じバーティカル「尾瀬岩鞍バーティカルキロメター」が設定されていましたので、それに出場してみてから決めることにしました。
結果、あの急勾配の尾瀬岩鞍を走った翌日でも、それほどひどい筋痛は発生せず、肉体的な疲労度も軽かったので「これならやれそう」と、烏帽子でのコンバインドを決断したのでした。
さて、そんな中で迎えた烏帽子スカイラン。初日のバーティカルです。
このコースの特徴は、走行距離7.5km、累積標高差+1200mの、バーティカルレースとしてはやや緩やかな傾斜が続くことです。
実際走ってみますと、尾瀬岩鞍の「ジャイアントウォール」のような攀じ登る急坂は最後に少しだけあるだけで、後は頑張れば走り続けられる程度の坂道。しかしだからこそ最後まで一定の苦しさを継続しなければならない、タフなコースでもあります。
しかし、ランマニアにとってはこの距離と勾配が走力にちょうどいい相性で、去年は最後までほとんど歩くことなく走り通せたいい印象の残っているコースでした。順位も20位台でこの世界でやっていけそうな手応えを掴んでレースでもあります。
そんなこともあり、スタート前からとてもワクワクして迎えた本レース。
今年は1人ずつのウェーブスタートでさらにテンションが上がり、年齢を忘れてスタートからノリノリでしたね。
そんな状態でもあり、そして脚の疲労も割と少なめで調子が良く、あろうことかスタートから出し惜しみなくダッシュ。
このコース、意外と長いんだよ、と心の中でつぶやくも、「もう行っちまったもんはしょうがない」とそのままのペースで最初のロード登りをガシガシと進んで行きました。
ところが、当然といえば当然ですが、ロード区間が終わる2km過ぎで早くも呼吸が厳しくなり、「あ、これはまずいかも」と思った時にはすでに遅し。
オールアウトまでは行かないにせよ、とても60分以上走り続けるには厳しい努力感。そしてその後に襲ってきた脚に血液が送られてない感。
こりゃオーバーペースだわ、と残り5km以上を残して嫌な予感が。
確かに、ウェーブスタートで前後にものすごいランナーがいる状態で、それがプレッシャーとなってオーバーペース気味になったことは否めません。それが、想像以上に「オーバー」過ぎました。
序盤に何度か繰り返される少し急な坂道ですでに「歩き」が入り始め、「ああ、去年はここは走れてたよな」と徐々にネガティブな心境に。
さらに後ろから追い上げてくる自分よりもゼッケン番号の大きな選手に何人か抜かれ、やっぱり遅いんだな、と。
それでも、急坂は歩き、緩やかな登りは走り、を繰り返しているうちに、初めて前にランナーの背中が見えてきました。
良く見ると、ランマニアよりも2人早くスタートした、つまり1分早くスタートした選手で、これはだいぶ詰めたな、と、ようやくここで元気が出てきました。
一旦急坂を下ったところにあるエイドからがいよいよ本番です。ここからの傾斜が徐々に急になっていき、歩く頻度も多くなってきました。
それでも、とにかく呼吸はきつい。先週の5000mほどではないにせよ、ずっと苦しい。でも、苦しくなくなったらペースが落ちた証拠だから、苦しいのはペースを維持している証拠。苦しいけど残りはものの30分程度だから、と己を奮い立たせます。
そしてそうこうしているうちに樹林帯をぬけ、いよいよ山頂が見えてきます。去年は確かここから10分くらいでゴールした記憶が。
時計を見ると、55分強。
この時点で昨年のタイムが68分台だったことを忘れていて、なぜか「ああ、去年よりも遅いな」と思ってしまい、気持ちが折れかけます。
しかし、幸か不幸か、最後の岩登りに差し掛かったところで後ろからまた1人の選手に追いつかれます。ここで文字通り「尻に火がつき」予定していなかった最後のスパートを。
最後の岩場は両手両足を使いながらの、もはや「ランニング」ではない別のスポーツ。標高2000mを超え、酸素も厳しくなったところで苦しさも極限状態で最後の力を振り絞ります。
ゴール直前でその選手には抜かれてしまったものの、おかげで最後の一歩まで出し切ることができタイムもかろうじて67分切り。
しばらく呼吸困難で岩を背に仰向けにして寝転びましたが、すぐに記録が気になりその場で昨年のリザルトへアクセス。
自分の記録を確認すると、なんと68分58秒。
今回のタイムは66分50秒前後だから、まさかのPB2分更新。これはまさかの想定外。てっきりオーバーペースで撃沈かと思いきや、ペースが速くてしんどかったのね、と。
序盤から攻めに攻めたのは、それだけ脚の疲労が少なく巡航ペースを上げられていたのですね。
さらに、4月からのダニエルズ練や先週の5000mレースなどで自分自身の体の変化も感じていて、これまでであればすぐに苦しくなる登りでも良く脚は動くし呼吸も苦しいながらも押していける感覚があり、登りのペースも速くなっている自覚はありました。
それがしっかりタイムにも現れていたと知り、正直ほっとした面もありました。
この日は快晴に加えてほとんど風もなく、山頂の景色は昨年に続いて360度大パノラマビュー。山頂ゴールのバーティカルはこの景色を楽しめるのがなんといっても最大の魅力です。
何となく先に脚が終わってしまった印象が残り、もう少し序盤からペースを落としておけば、と思わなくもありませんでしたが、序盤のロードでリズムを作ったことがその後の展開を決めたことも事実です。
バーティカルの難しいところは、途中何度も勾配が変わるため、意外と休める場所があったり、オーバーペースと思っていても途中の下りで回復したり、予期せぬ展開が待ち受けていることですね。この日の序盤の状態がロードレースであれば、間違いなく大失速をして散々な目にあっているのですが、途中のシングルトラックで呼吸を整えられたこともあり終盤は持ち直しました。
なので、一概に「オーバーペース」と断定するには迷うところです。
いずれにしても2分のPBと順位も10番台というこれ以上無い結果で終われた以上、ひとまず今もちうる力は出し切れたのかなと思い、初日のバーティカルは満足いく結果に終わりました。
さて、この疲労が翌日どこまで影響するでしょうか。
明日はスカイレースのレビューです。