厚底を履かなかったわけ

こんにちは、ランマニアです。

ついに厚底シューズがレースで履けなくなるようですね(トラック、クロカンに限る)。

ランマニア的にはこれまで一度もいわゆる厚底シューズで練習もレースも走ったことがなかったので、今回の件はあまり影響しないと言えばそうなのですが。

厚底シューズを頑なに履かないランナーというのも相当数いると思います。いろいろなこだわりや理念があり、あえてそこには手を出さない、という方々。

ランマニアも、おそらく自分を知る周囲のランナー達からはそうみられていたかもしれません。確かに、「頑なに」履いてこなかったですからね。

正直に言うと、「なんでその靴でそんなに速く走れるの?」とか「なんでそのタイムで走る人なのにそのカッコなの?」みたいな、いわゆる「羊の皮を被った狼」的存在に少しの憧れがあるのは事実です。特に、服装みたいな「本質」ではない部分(もちろんレース中の服装はそれが大きく影響しますけど)にこだわっている割に遅い、みたいなスタイルはちょっと嫌だな、っていうのが自分にはあります。(ランマニアは基本レース会場には私服で行きます。夏なんかはいきなりGパン脱いでランパンになるのでラン仲間は驚きます。)

そんな、ちょっとした天邪鬼的な心理で厚底を履いてこなかったというのは、無いといえば嘘になります。

しかし、最も大きな理由は別にあるのですね。

それは、やはりちょっとマニアックな視点になるのですが、ランマニアにとって、トレーニングというのはある種の「実験」、研究なんですね。自分で色々と試行錯誤して「最適解」を探し出していく過程。

もちろん、速くはなりたいんです。PB大好きです。いや、そのために練習しています。

でも、実は「それまでの過程」にもちょっとしたこだわりがあって、そこすらも楽しみたい、という気持ちがあるのです。

で、研究や実験、そして統計なんかにちょっと詳しい方なら誰でも知っているように、こうした何らかの取り組みが本当に効果があったかどうかを調べるときというのは、その影響を及ぼしているであろうこと(ここではトレーニングですね)意外の条件を変えてはいけない、という大原則があるのですね。いわゆる「条件を統制する」というやつです。

つまり、トレーニング内容をいじったのであれば、それ以外の条件は変えてはいけない。変えてしまうと、万が一PBが出た時に、何が効果があったかが分からなくなってしまうからなんですね(トレーニング内容なのか、靴なのか、という具合に)。

そう考えると、ランマニアにとって、毎日のトレーニングはある意味「実験段階」にあるわけで、この実験からトレーニング効果があったかどうかを知るには、以前のレースと大体同じ条件で走らなければならないんですね。

ただ、これは相当に難しいことです。

生身の人間が集まって、さらに変動の激しい気候条件で同じ条件を作り出すなんていうことは、ほぼ不可能です。

比較対象としたいレースとは、まず気候条件が違うかもしれない。走る人数も、その人数を形成する走力も、その日の体調だって、何もかも同じであることはほぼあり得ませんね。

ですから、そこまでの厳密さを求めてしまうと、そもそものトレーニング効果って何?ということになってしまいます。

しかし、これまでPBを出したことのあるみなさんならお分かりのとおり、PBが出た時というのは、そうした変動する条件などを一切超越して、本当に自身の実力の向上によって記録が伸びたことを実感できると思います。

その日、たまたま調子が良かった、とか、気温がちょうど良かった、とか、確かにそういうのもあるかもしれませんが、そういうのを抜きにしても走っていて同じペースが明らかに楽になった、いうのは誰しも感じたことがあるものだと思います。

なので、個人の体調、形成する集団の走力、気候条件などは、影響は0では無いにしても、体感的にはあまり考えなくても良い条件なのかな、と個人的経験からそう思っています。

ところがです。

今回の厚底シューズだけは、そうした「微々たる差」とは到底思えないほどの圧倒的アドバンテージをもたらすシューズであろうことは、もう明白ですね。何しろ、どんな路面、どんな距離、どんな年齢層、どんな実力レベルの集団によるレースであっても、明らかにこの靴の影響としか考えられないような記録の向上が見られますから。

そんな靴ですから、当然ランマニアとてこれを履いてレースを走ればある程度のその恩恵を受けれるはずなのです。

で、話は初めの「条件を統制する」に戻ります。

もしランマニアが、あるトレーニングの効果を試そうと思って、新しいトレーニングを開始した。(変更した条件)

そのトレーニングをした後にレースを走った。

その結果記録が伸びていたら、それはそのトレーニングの効果が現れたと判断しても、まあ良さそうなものです。

しかし、新しいトレーニングを開始した。

プラス、厚底シューズを履いてレースを走った。(変更した条件2)

その結果記録が伸びた、ということになれば、それは果たして新しいトレーニングの影響なのか厚底の影響なのかが分からなくなってしまいますよね。

この辺の理屈は小学生でも理解できる子がいそうな、とても単純な理屈です。

なので、これまでランマニアは厚底シューズを履いてこなかったのです。本当に単純な理由で。

ランマニアは、トレーニングを色々試して自分の走力が上がっていくのがとても楽しいのですね。練習の段階で、「何だか最近速くなった気がするぞ」と感じられた時のあの喜びは、ランナーにしか分からない喜びですよね。

で、今回のトレーニングはうまくいった、よしレースで証明するぞ、という時に、厚底履いてもしPBでも出してしまったら、「なんだそんなもんか」というちょっと面白く無い結果になりそうで不安なんですね。(いやPBはPBだから嬉しいんでしょうけどね)

なので、ランマニアが仮に厚底を履くとしたら、一度厚底なしで走ってみて、トレーニングの効果を実感してから、と思っていたのです。履くのが嫌なのではなく、履くことでトレーニング効果を検証できないことが嫌なのですね。

いや、こんなこと自分で書きながら、何てめんどくせえやつなんだと思いますよ、本当に。職場でもいつも言われます、「めんどくさいなぁ、全く!」って。

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