ジョグシューを笑う者はジョグシューに泣く

こんにちは、ランマニアです。

さて、長らく故障ブログ、故障ツイートが続いていたランマニアですが、今週はようやく1週間まるまる「普通の」ランナーらしい1週間を送ることができました。

まだまだMペース以上のいわゆる「ポイント練」をやれるだけの回復ではないのですが、ジョグをしても患部が悪化しない、つまりジョグが怪我の回復を妨げないほどの強度になってきたというわけです。

ふくらはぎの肉離れは、意外と接地の仕方によって患部を守れてしまうのですが、しかしそれをやってしまうと別の場所に負担がかかりそっちを「やって」しまう、という悪循環を生じさせてしまうのですね。

そこで、今週はジョグをするにしても意図的に路面の柔らかいトレイルや芝生を選んで走ってみることにしました。

衝撃を吸収してくれる芝生

今週、久しぶりに長めに芝生を走って思ったのは、やはり地面が柔らかいということは、接地した際の衝撃を、想像以上に地面が受け止めてくれる、衝撃を吸収してくれる、ということ。

アスファルトの上では、重力によって下された脚が地面に着地した際、地面は全く沈み込んでくれませんので、空中に飛び跳ねることによって貯まった位置エネルギーを全て脚で吸収する必要があるのですね(全てというのは言い過ぎで、もちろん靴でも吸収してますが)。

なので、たとえジョグのようなゆっくりのペースであったとしても、片足で60kgもある体を着地のたびに受け止めているのですから、脚には相当な負荷がかかっているわけで。

それを芝生の場合は、地面の柔らかさによって、本来は脚で受け止めるべきエネルギーをだいぶ芝生が「肩代わり」してくれているということです。

今回、芝生を走りながら感じていたのは、あれだけキリキリしてくるふくらはぎが芝生の上では全くそのようなことはなく、ふくらはぎの患部を忘れてしまうくらい衝撃が軽かった、ということ。これは、想像以上でした。

路面と喧嘩することで速く走れるアスファルト

一方で、芝生区間の合間に通過するアスファルト区間を走って気づくのは、やはりその衝撃の大きさなのですが、しかし実は思いの外スピードに乗れてしまうのはこのアスファルト区間。

芝生は衝撃を吸収してくれる一方で、せっかく貯まった位置エネルギーを「無きもの」にしてしまうため、位置エネルギーを反発力に変えて走ることができなくなります。(なので、「楽な走り方」ができなくなり、大腿部まで使って大きなフォームで走る必要があるのです。それはとてもいい練習だと思っています。)

アスファルトは路面が硬い一方で、落下のエネルギーを反発力に変え、脚の筋肉を使って弾むように前に進むことを可能としているのですね。もちろん、ランニングシューズの高性能なソールのおかげも多分にありますが(あのメーカーのなんちゃらXというのがこの反発力を強大なものにしているのだそうです。)

なんちゃらXについて詳しくはこちら

https://www.nike.com/jp/zoomx

まあとにかく要は脚と路面が喧嘩しながら反発をもらって楽にスピードを出せてもらっている、ということでしょうか。変な話、アスファルトを走るということは、「楽をして(フォーム的に)」速く走っているのだとランマニアは思っています。

その代わり、フォーム的には楽をする代償として、その分脚への負担が大きくなるのですね。

そりゃそうです、着地のたびに喧嘩してるのですから。

だからジョグシューは大事

そうするとです、年間のほぼ毎日に行っている「ジョグ」において、何百何千何万回と地面と喧嘩する脚をノーガードで晒してしまっては大変なことになってしまうわけですね。

しかし、正直ランマニアもそうですが、やっぱり「ジョグ」を甘くみています。

もちろん、ジョグの生理学的効果はとても大きなものはあるし、ジョグの負荷だって侮れないのですが、どうしたってペースは楽でインターバルとかの日よりも気は楽なので、ジョグに行く時にはそんなに気合入りませんよね。

ペースが遅いのでどんな靴でもそれなりに走れてしまいます。レースやインターバルのように1分1秒を削り出す必要もないので、そこに2マンも3マンもするジョグシューに投資する、というのも「う、ちょ、ちょっと待てよ」とスマホ画面の「カートに入れる」ボタンを前に躊躇しますよね。

ええ、はっきり言ってしまえば「ジョグにそんな金はかけられねぇ」というのが本音です。

でもですよ、年間通して最も長く走っているのはジョグですし、本来一番投資すべきはジョグシューであって然るべきなのです。

「ジョグシューを笑う者はジョグシューに泣く」

安いオイルをこまめに替える

この「ジョグシュー問題」を考えていて思いついたのが、車のオイル交換。

ジョグシューも車のエンジンオイルも定期的に替えなければならないいわゆる「消耗品」なんですね。

交換をサボっても「すぐには」壊れない(故障しない)のですが、「後々、いつか」痛い目に遭う、というのも共通しています。

そして、安物を使っても高価なものを使っても、交換の頻度が変わるわけでもない、ということも共通です。

つまりです、どちらもお金をかけなきゃいけないのですが、それは一回の値段ではなく、「頻度」という観点において、なんだと考えました。

実は、ランマニアは一台とても手のかかる車を所有しているのですが、古い車でメカニズムが非常に単純なのでオイル交換くらいは自分で行っているのですね。

でもです、たまにしか乗らないこんな車に1マンも2マンもするエンジンオイルを投入するのは馬鹿馬鹿しいので、1リットル千いくらの激安オイルを半年ごとに交換しているのですね。

いやそれで十分なのです。

要はちゃんと定期的にこまめに交換することの方が大切で。

これと同じ理屈で、ジョグシューもそのために何マンもするものを用意する必要はなく、安いのを比較的短いサイクルで交換する(あるいは何足か用意してローテーションする)やり方で十分なのではないか、と思ったのです。

意外と少ない「安くてちゃんとした」ジョグシュー

そこで昨年、ジョグシュー探しの旅を続けた時期があり色々と気付かされたのですが、各メーカーこの「ジョグシュー」というものの考え方が意外と偏っていて(マーケティング的にだと思いますが)、「ちゃんとしたジョグシュー」「でも安い」というのがほんとんど見つからないのですね。

例えば、ランマニアが好きなadidasさんでジョグシューを探そうとすると、こんなのとか

こんなの

がヒットし、流石に数百キロで交換では高いなぁ、と感じ、結局これを買ったりしました。

このソーラーグライド、安くても一応ブーストフォーム、トルションシステム、コンチネンタルという「三種の神器」が搭載されているのですが、全体的に使われている素材が安っぽく。

いい靴なんですが、アディダスにしてはややフィット感がなくアッパー部の素材が安っぽい。謎に樹脂製の補強も入っていて・・・。

まあ、言ってみればビギナー向け、というやつなんでしょうか。

これなんかは、安くてもしっかりとシリアスランナーをも満足させられる性能を持っているのですけどね。

どうも「エリートランナーはジョグも速い」「だからエリートランナーはこういうのでジョグするでしょ?」っていう考え方なのかなぁ、と思ったり。

あるいは、「エリートランナーだから、ジョグシューも高くてもいいよね」なのかも。

当然、天下のNIKE様が用意しているジョグシューはみんな高く、唯一狙っているペガサスさんでも型落ちでようやく1万程度。

ようやく見つけた「安くてもちゃんとしたジョグシュー」

そんな時、意外なところにその答えはありました。

トレラン界の雄、サロモンさんです。

トレイルやってる人ならそっち系のシューズではとてもいいものを安く提供してくれているメーカーという印象は強いでしょうし、実際ランマニアもトレシューで愛用させてもらっています。

最近になって、ずいぶんロード用に手を広げてきたな、という印象ですが、実はかなり前からロードシューズを手がけていたようで、ランマニアも長年トレシューを使ってきて全く知りませんでした。

このサロモンさんのオンラインショップサイトでは、時折「とんでもない」セールを行うことがあるのですね。

もはや定価が「ぼったくり」と言われても仕方がないほどの「60%オフ」とか。

このタイミングが結構狙い目で、2世代ほどの型落ちモデルなのですが、それでも60%はデカい!ということで、昨年5月にこのセールに便乗して3足ほどロードシューズを「大人買い」してしまった過去が。

値段の安さとロードシューズではメジャーでないメーカーの靴ということで、当初はあまり期待はしていなかったこのサロモンさんのSONICシリーズですが、履いてみてその完成度の高さに驚いたものです。

このSONIC RAシリーズは基本的にMAX、無印、Proの3グレード展開で(現行モデルSONIC3は呼び名が変わっている)、MAXはガチなジョグ用、無印はスピードランナー向けのジョグ用(っぽい)、そしてProは一応「レース用」ということになっているようです。

ただし、ランマニア的にはどのモデルもクッション性能がしっかりしていて(特に前足部)、やや「フロントヘビー」な印象を受けているので、どれもインターバルやレースに使うのはちょっと厳しい、という感想です。

つまり全て「ジョグ用」ということになります。

逆にそうしてみるとこの3グレードはいずれもジョグ用としてはかなり優秀であることがわかります。

この3グレード全てに共通しているのは

  • クッション性能が高い(決して柔らかいのではなく適度に硬く衝撃をいなしてくれる)
  • 軽量である(MAXでさえ255g 27.0cm)
  • アッパー部にもお金をかけている(しかしデメリットあり、後述)

ことです。

特にProはレースシューズ並みに軽量(228g 26.5cm)であるにもかかわらず非常に高いクッション性能を持っています(もちろん、なんちゃらフライに比べれば大したクッション性能でもなければ軽量でもないですが、値段が違いすぎます。ポルシェとカローラほどの違い。)。

これは少し速いペースでジョグをしたいときや、芝生の上を走りたい時には非常に重宝する特性です。

2世代目はハード路線に

そんなジョグシューとしては十二分な性能を誇っていたこのサロモンのSONIC RAシリーズですが、昨年10月に購入した2世代目ではだいぶ「ハード」よりにシフトしました。

とにかく、「うり」の一つだったミッドソールの柔らかさがまさかの「硬め」に。

ただでさえ硬くて痛かった(これが唯一の不満点)アッパー部が、さらに硬く「改悪」されています。

2世代目MAX。外観は初代と変わらぬミッドソールですが、実際にはいてみると相当(感覚的に5割増し)硬めに設定されています。
そしてこのシリーズ最大の「謎」。つま先を覆うめちゃくちゃ硬い補強。100kmくらいまで確実に靴擦れします。

このミッドソールの硬さは、どのグレードも100kmを超えたあたりからだいぶ足に馴染んできまして、むしろこれくらいの硬さが安定感を増しているな、と好印象になってきました。あの独特の柔らかさも魅力的でしたが、確かに安定感には欠きましたからね。

しかし、どうしても理解できないのが初代からどのグレードにも採用されているつま先部分の強固な補強。おそらく樹脂でできているのでしょうけど、これがとにかく痛い。

トレシューじゃないんだからこんな硬い補強は必要なかろうに、と思うのですが、頑なにこれを入れてくるのがトレシューメーカーサロモンの「意地」なのか。

靴ベロがいい感じでクッション材が入っていて、履くほどに脚にフィットしてくるのですが、いかんせんこの補強がアッパー部の柔軟性を阻害していて、足のフィット性能をスポイルしているのですね。

これがサロモンさんのロードシューズ唯一にして最大の不満点です。(今度出るスーパーシューズでは改善していて欲しいなぁ)

足のフィット性を高めるクッション材入りの靴ベロ。Bostonほどのフィット性はないですが、この値段のジョグシューにしては優秀。

しかしセール中であれば五千円前後で買えてしまうこのクラスのジョグシューは他に類がなく、ミッドソールの性能はかなりいいものがあるので(サロモン渾身の「Vibe」フォームは個人的にboostフォームよりも好印象です)、慣らしが終わり、靴擦れの心配がなくなれば(と言ってもひどい靴擦れは生じませんが)ジョグでは相当活躍してくれるシリーズだと思っています。

眉唾だと思っていたVibeフォームは想像以上にいいフィードバックが得られます。

昨年5月から約7ヶ月間、初代のシリーズ3足をローテーションで履き続けましたが、結果故障はゼロ(ハムストリングス付着部炎はインターバルによるもの、ふくらはぎはレース)。

なので、少なくともこの靴が原因で故障をするということはなさそうでした。

その実績を買い、7ヶ月で履き潰した初代は2世代目へバトンタッチ。

今回も60%セール開始時にすぐに確保(でないと本当に売り切れる)。

2世代目はMAXと無印の差がだいぶなくなり、正直どちらを履いても変わらない印象になりましたが、今回の圧巻はProです。

初代よりさらに軽量化され、クッション性は落ちたものの足へのフィット性能が飛躍的に向上し、とにかくペースを上げるのが楽しくなるシューズ。

芝生の上では最強です。(そこかよ!って突っ込みたくなりますが、トレーシューメーカーゆえに、不整地が得意なのかも)

超高速ジョグシューとして考えるとProのような存在は貴重かもしれません(その存在をadizero Bostonに期待したのですが)。

奥からMAX、無印、Pro。同色で揃えたので区別がつきにくいですが、Proのヒール部だけは別物なのがわかります。

3足16000円程度で半年以上

先代モデルでは、3足ローテーション(途中からソーラーグライドも入りましたが)で7ヶ月近く持ちました。

高性能シューズだからといって長持ちするわけではないですから、怪我もせず快適にジョグができるならこれくらいのジョグシューで十分ではないかと思いますね。

我々の学生時代に使っていたジョグシューと比べれば雲泥の差ですからね。

2月にスーパーシューズ分野に参入するサロモン。

今後の展開に期待です。

SONIC3も安くなってきましたが、こちらも60%オフまで待ちます。

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