ロング寄りにシフトしたVDOT

こんにちは、ランマニアです。

さて今日は、以前から予定していた地元の市の選手権大会へ行き1500mとマイルリレーに出場してきました。

去年は別のクラブ対抗大会で、同じように今日のメンバーと4×100mリレー、通称「4継」に出場してきたのですね。

この4継やマイルリレーは、言ってみれば「大人の遊び」で、まあ普段から地味で根気のいる長距離練習を続けていると、たまには短い距離をスパーンと走ってみたい衝動に駆られるわけなんですね。そんなマラソン練習の「息抜き」にみんなで楽しもうよ、というようなノリで長距離ランナーだけでオーダーを組んで走ってるのです。もちろん、スタブロも使ってですよ(ランマニアは昨年4継の1走を任されました。1人だけ40代なのに!)。

そんなスプリントトレーニングなど皆無な我々が短距離種目に出場するなどというのは、ある意味短距離種目への「冒涜」みたいなものなんですが、それでも組でビリにはならない程度には走れているので、毎年こうした楽しみ方は今後も続けていきたいと考えているところです。

さて、そんなリレーのことは置いておいて、今日大変な事実に直面したのは1500mの方だったんですね。これは正直悪い意味でのびっくり。

前回1500mのトラックレースに出たのは今から約4年半前。年齢で言うとまだ41歳の頃でした。この頃の練習のアプローチは、「40を過ぎたところでこれからどんどんスピードが落ちていくだろうから、あえて練習の量を減らしてスピードを重視し、本数をこなせなくてもできるだけ速いスピードで走るぞ」といったものでした。

当時は、たとえば1000mのインターバルなんかは1本1本を全力で走りました。本数は気にしません。とにかく全力で走れる本数だけやるというアプローチでした。一番速い時は、3分00秒、2分59秒、3分02秒とかで行ってた時期もありました。

この取り組みを続けていたときは、1500は4分20秒以内で走れてましたし、5000mも15分52秒とかで走った時もありました。ランマニアのVDOTが64あたりというのは、この時の記録からなのですね。

ところが、この全力インターバルも、年々スピードが出せなくなっていき最後にやった時には3分07秒くらいで行うのが精一杯になってきました。去年の9月ごろでしょうか。

こうなってくると、普段の練習でもなんとなく自分の走力(速いスピードを維持する走力)が落ちている気がしていて、1000mを全力で走るなんて言う作業も億劫になっている自分がいました。考えてもみると、平日仕事の後の公園で暗闇の中1人で1000mの全力走なんて想像しただけでゾッとしますね。

そうしていつの間にかこの練習をやらなくなり、気づけば数年が経ち、久しぶりに1500mに出てみようという気持ちになりました。単純に、もう本当の意味でのスピード練をやらなくなり、マラソン練習だけを続けている状態でセンゴをどこまで走れるのか、と言うのを試したくて。

結果は想像を遥かに上回る(悪い意味で)ものでした。

4年半前の4分15秒を大幅に下回る4分27秒。

前回は入りの1000mを2分48秒あたりで通過できていたのが、今日は2分56秒くらいがやっと。400mのラップも72秒とかが入ってきたので、もうこれはほとんど5000mみたいなラップです。

身体的な苦痛も遥かに大きく、ゴール後はしばらく咳き込むほどの呼吸困難に陥るほど。

ああ、体は確実に衰えているのだな、と現実を受け入れるのがちょっとしんどい感じがしたのは事実です。

しかし、一つの比較として面白いデータがあります。

この1500mを4分10秒代でガシガシ走れていた頃は、いわゆるMペースの距離走は、いつもどんなに調子が良くても3分50秒を超えるペースで行っていたのですね。いや、むしろ調子がいい時でそれくらいなので、通常は55秒とかかかっている状態でした。距離も20kmももたいないことが多く。

ところが、先月に行ったMペース走は3分46秒前後をかなり余裕を持って走ることが出来ました。これは、本来VDOTが64くらいの時に維持できなければいけないペースでした。

なのに、現在推定62くらいにまで落ちているVDOTの状態で、MペースはVDOT64くらいのものを楽に維持できるようになっているのですね。

そして、先日の5000mのタイム16分11秒でVDOTを見るとやはり64くらいの位置に相当します。

つまり、1500mのタイムでVDOTを算出するよりも5000mのタイムで算出する方がより正確に今の生理学的能力を測れるのではないかと言うことです。(実は4年前は1500m、5000m、ハーフと、大体が一致していたのですけどね)

これはやはり年齢を重ねるうちに(というかスピード練から遠ざかっているうちに)距離特性が若干長めにシフトしてきてしまい、短い距離を速いペースで走り続ける能力に衰えが見えてきた紛れもない事実なのだと思います。

とはいえ、今はとにかくフルマラソンをしっかりと走りきれるだけの脚を作りたくてそれに長い時間をかけて取り組んでいる時期です。当然スピード持久力は落ちていくでしょうし、そこを高めようとは考えていません。

しかし、長い距離をゆっくり走る力よりも、短い距離を速く走る力の方が急速に衰えていく実感はあります。これは、時間を空けば空けるほど顕著になると考えています。

今日のように、たまには若い人たちと一緒に限界ギリギリのスピードを出して走る機会も取り入れなければならないと考えています。

いずれ、今のマラソントレーニングがひと段落したあたりで、また以前のような超高強度のインターバルトレーニングなども再開したいと考えています。

今はフルマラソンを本当の意味で走り切るだけの脚作りを行いつつ、またいつの日か再開したいと考えている強度の高い練習をコンスタントに行えるだけの体づくりも同時に進めていきたいと思っています。

烏帽子スカイランに出場してきました【スカイレース編】

2日目も晴天に恵まれ、まさにスカイレース日和となった烏帽子スカイラン。お寺の石段がスタート・フィニッシュ地点というこのセンスの良さ。

こんにちは、ランマニアです。

さて、今回の烏帽子スカイランでは人生初となる2日跨いでの2種目出場、通称「コンバインド」に挑戦することになりました。

昨年のJSAジャパンシリーズでは、正式にコンバインド順位も算定されるレースがいくつかあり、ランマニアの大撃沈した「上田スカイレース」でも2種目制覇、さらにコンバインド部門でも優勝し3冠をとってしまうようなランナーもいて、スカイレースだけでもやられてしまったランマニア的にはまさに「信じられない」といった心持ちでした。

そんなランマニアが今年一つの目標としていたのが、比較的短めのレースでそのコンバインドに出走すること。

残念ながらそれが可能となったレースはこの烏帽子スカイランのみとなってしまいましたが、昨日のブログでも書いたように、なんとかそのスタートラインには立てるほどの体力を身につけて今年最初で最後の唯一の機会にそれを達成できる状態になりました。

前日のバーティカルでは、序盤からハイペースで飛ばし、終盤もギリギリまで出し切りましたので、そこそこの疲労や筋痛を心配していたのですが、一晩明けて朝の状態ではレースを走れる程度の脚の状態であることは確認でき、まずはひと安心。

おそらく今年一番の冷え込みだった気もしますが天気も良く、これはもう疲れがなんだといってられないコンディション。お寺の石段を見上げて「これはやるしかないな」と気持ちも高まりました。

スタートは今回もウェーブスタート。ただし2人一組のペアによる30秒ごとのスタート。そしてペアになった方はトレラン界ではとっても有名な一流選手の方で、もうスタート待ちしている段階で昨日に続いてテンションMAXといった感じでした。

ウェーブスタートのいいところは、一人一人スタートラインでMCの方に紹介をされること。今回は感染症対策でこうなりましたが、もう毎回これでもいいのでは無いかと思うほどいい演出だと思います。

そしてお寺の長ーい石段の最上段からスタート。

スタートしていきなり急な石段を直滑降するのって初めての試みですし、そもそもそんなレースがいくつ存在するんだ、という話で。

今回のスカイレースは走行距離25kmの累積標高差+1550m(実際には1600mを超えましたが)、こちらも比較的緩やかな勾配を想像できるコース。

計3段階の石段を下り終えると、すぐさま急な登りが始まります。とはいえ、しばらくはロードやダート区間なのでまだ登山道のような急勾配ではなく、キロ6分台でも押していけるような上り坂。今回はこの区間をアップと捉えていたので、登山道に入るまでは前日のようにかっ飛ばさずにやや自重してマイペースを徹底しました。

さすがにスタート順が「オーバースペック」だったので、この区間で早くも数人のランナーに抜かれ、スカイランナーの登りのペースの速さに圧倒されました。

いつもスカイレースやバーティカルではどこでタイムに差がつくのだろうと疑問に思っていましたが、今回のようなウェーブスタートだとその原因をリアルに体験できました。

全く別物ですね、あのスピードは。登りの速さがランマニアなんかとは比べものにならないほど別物の速さです。

とにかく、一歩の推進力がまるで違い、平地であればランマニアの登りはジョグくらいのペースで、追い越していくランナーはもはやMペース並み。自分でもそこそこ登りが走れるようになったと感じていましたが、この差を体感してしまうと全く太刀打ちできないな、と。

そうこうしているうちに登山道に入り、いよいよスカイレースらしくなってきました。

ただ、やはり距離のわりに累積標高が低めなので勾配はなんとか走れるレベル。歩幅を狭めて疲労を溜めないように小刻みに登ります。

この登山道は、昨年このコースを開拓するにあたり、廃れていた登山道を復活させたとのことです。

しかし、実際に走ってみるととても廃道だったとは思えないほど素晴らしいトレイルで、危険な岩場や足場の悪いところは全くなく、柔らかなサーフェスでとても走りやすいシングルトラックが続きました。

登り続けて約60分。樹林帯を抜け空がひらけてくると、一度稜線に出て遠くに烏帽子岳が見えてきました。

初めに烏帽子だと思ったのは小烏帽子岳。あのピークの先に、もう一度岩場があります。

この時点で脚はまだ残っていましたが、呼吸がかなり苦しかったので思うようにペースが上がらず、烏帽子山頂へ向かう岩場でだいぶ後ろのランナーに詰められました。

前日登った烏帽子岳山頂。この時点で85分。前日よりも風が冷たくとても山頂にはいられないほど。

ここで折り返し、前日のバーティカルコースを逆にたどります。

途中まではよく知ったコースなので大体の距離感覚はあり、さらにゴールまでまだ14km近くあることから、下りとはいえ調子に乗って飛ばさないように慎重に下山。

のつもりが、後ろから猛烈なスピードで駆け降りてくる若いランナーに一瞬で次々と抜かれ、これはもうランマニアのような下りの筋力が全く鍛えられていないランナーでは相手にならないな、と諦めモード。

トレイルレースに出始めた頃から思っていたのは、やはりこの手のレースは下りのペースが実力差を決定する、ということ。登りでのタイム差など、下りであっという間にひっくり返ります。

最大酸素摂取量や乳酸閾値に代表されるいわゆる持久的能力があまり影響されない、どちらかというと「スキル」、技術的な要素が大きく影響するスピードなので、正直なところ本格的に練習しなければこっちのスピードを上げるのは無理だと常々感じています。

なので、ランマニアのように普段は平地のロードやトラックをメインにしているランナーにとっては、下りで詰められたタイムは登りで取り返すしか無いのですね。

ところが、今回の烏帽子スカイレースのコースは、この下りトレイルが終わった後にとても長いダートとロードコースが待っていたのでした。これは全くの想定外。

登山道からダートコースに入ると、もう走り方がほとんどロードレースのようなフォームに変わってきます。そして車両が入ってこれるくらいの勾配なため、下りの得意なランナーにとってはいくらでも飛ばせるわけですね。

ランマニアはこういう下りが大の苦手で、とにかく脚が前に出ていかないのです。もちろん、ここまでの登りと下りの筋疲労の影響もありますが、そうでなくても下りではたいしてスピードを出すことができません。

案の定、この区間でさらに数人のランナーに抜かれてしまい、ここまで登りで蓄えた貯金はなんだったのかと、ちょっと虚しくなりました。

とはいえ、もうこのロード区間は最後まで続くのでしょうから、走りをロードレースのそれに変え、なんとかスピードを出せるように意識しました。その結果、どうにか1km4分を切るくらいのペースにまで上げることができ、ここでだいぶ距離を稼ぐこともできました。

さあ残り3km。キロ4で行っても12分で終わる・・。

わけがないのがスカイレースの常です。最後にもうひと山、いえ二山三山あり、あと少しというところで大いにメンタルをやられるのですね。

1km4分を切るような猛スピードでロードを駆け降りてきたところで、あろうことか突然再び山道に引き摺り込まれ、とんでもない急登を登らされます。

長い下りで相当脚にはきているので、こういう時の急坂はまともに登ることができません。それでも残りは2kmあるかないかなので、もう気持ちで登り切るしかないのですね。

ようやく最後の「登山」を終えると、見覚えのあるスタート地点が見えてきました。よし、残りは「あの石段」だけだ。

フィニッシュまでの石段は全部で3段階。これは後半の2段階で、この手前にこれの倍くらいの石段が待ち構えています。

頭ではこの石段のために脚力を取っておいたつもりでしたが、実際に階段を駆け上がろうとすると、もう10段ほどで走行不能に。数段歩いてまた走って、これの繰り返し。

こういう時、上を見るとなかなか距離は縮まらないので、足元だけを見て一歩一歩階段を登っていきます。

前半の長大な石段を上り切ると、いよいよフィニッシュまでの後半の石段。

前半は歩き、フィニッシュまでの後半はMCの方に名前を呼ばれて多くの人に見られているので「見栄を張って」死に物狂いで駆け上がります。決して江戸っ子じゃないけど、江戸っ子魂みたいな、ほぼ痩せ我慢状態。

そして、最後の1段を上り切り、どうにかフィニッシュ。

タイムは2時間34分50秒。思ったよりも短時間でゴールでき。

それでもトップは2時間13分台とかですから、ちょうどフルマラソンのレースくらいのレースタイムです。確かに自分のタイムもそれくらい。これ、フルのタイムと比べたら結構な一致率になるんじゃないかと。

スカイレースのコースから振り返ると一望できる上田の街。ここまでの登山道は快適なトレイルが続きます。

最終的な順位もなんとかギリギリ20位に入ることができ、目標としていたコンバインド達成と、20位以内というオマケまでつき、晴天に恵まれた烏帽子スカイランを好印象のうちに終えることができました。

いや本当に楽しかったです。

本大会も開催に漕ぎ着けていただき、当日も万全のサポートをしていただいた主催者さんやスタッフの皆さんには大変感謝をしております。

烏帽子スカイランに出場してきました【バーティカル編】

雲一つない晴天に恵まれた烏帽子バーティカル

こんにちは、ランマニアです。

4週連続レースだったこの10月もあっという間に過ぎ去り、昨日、一昨日はその最後の週で烏帽子スカイランに出場してきました。

同時に今年の山レースも今回がラストレース。今年はコロナの影響で数々のレースが中止になる中、10月だけで3度の山レースに出場できるとは、春先にはちょっと考えられない状況でした。

さて、そんな最後の山レースとなった烏帽子スカイランですが、実は今年からバーティカル部門に加えてスカイレース部門が新設されました。

昨年はこのバーティカルのみに参加し、翌日スカイレースのテストランが行われていたことは知っていました。写真を見る限り、素晴らしい景色に加えなかなか走りやすそうなコースで、来年の第1回大会は是非とも出走したいなと考えていたのですね。

しかしこの烏帽子のバーティカルのコースは、自分の走力や体力と大変相性のいいコース。ランマニアの距離特性や体調面などを加味すると、ちょうど絶妙な距離と累積標高のバランスの取れたコース設定のため、どうしてもバーティカルに出走したい、と。

となると、スカイレースに出るには2日連続で2種目を走る「コンバインド」しか選択肢はなく。

正直悩みましたね。昨年の烏帽子バーティカルの翌日に、果たして25kmものスカイレースを走れるか、と問われれば「かなり厳しい」と答えざるを得ないほど疲労は残っていて、流石に難しいだろう、と。

そこで、今年は10月の一発目のレースにちょうど同じバーティカル「尾瀬岩鞍バーティカルキロメター」が設定されていましたので、それに出場してみてから決めることにしました。

結果、あの急勾配の尾瀬岩鞍を走った翌日でも、それほどひどい筋痛は発生せず、肉体的な疲労度も軽かったので「これならやれそう」と、烏帽子でのコンバインドを決断したのでした。

さて、そんな中で迎えた烏帽子スカイラン。初日のバーティカルです。

このコースの特徴は、走行距離7.5km、累積標高差+1200mの、バーティカルレースとしてはやや緩やかな傾斜が続くことです。

実際走ってみますと、尾瀬岩鞍の「ジャイアントウォール」のような攀じ登る急坂は最後に少しだけあるだけで、後は頑張れば走り続けられる程度の坂道。しかしだからこそ最後まで一定の苦しさを継続しなければならない、タフなコースでもあります。

しかし、ランマニアにとってはこの距離と勾配が走力にちょうどいい相性で、去年は最後までほとんど歩くことなく走り通せたいい印象の残っているコースでした。順位も20位台でこの世界でやっていけそうな手応えを掴んでレースでもあります。

そんなこともあり、スタート前からとてもワクワクして迎えた本レース。

今年は1人ずつのウェーブスタートでさらにテンションが上がり、年齢を忘れてスタートからノリノリでしたね。

そんな状態でもあり、そして脚の疲労も割と少なめで調子が良く、あろうことかスタートから出し惜しみなくダッシュ。

このコース、意外と長いんだよ、と心の中でつぶやくも、「もう行っちまったもんはしょうがない」とそのままのペースで最初のロード登りをガシガシと進んで行きました。

初めの2kmは緩やかなロードの上り坂が続きます。上田シリーズはこの旗がかっこいい!

ところが、当然といえば当然ですが、ロード区間が終わる2km過ぎで早くも呼吸が厳しくなり、「あ、これはまずいかも」と思った時にはすでに遅し。

オールアウトまでは行かないにせよ、とても60分以上走り続けるには厳しい努力感。そしてその後に襲ってきた脚に血液が送られてない感。

こりゃオーバーペースだわ、と残り5km以上を残して嫌な予感が。

確かに、ウェーブスタートで前後にものすごいランナーがいる状態で、それがプレッシャーとなってオーバーペース気味になったことは否めません。それが、想像以上に「オーバー」過ぎました。

序盤に何度か繰り返される少し急な坂道ですでに「歩き」が入り始め、「ああ、去年はここは走れてたよな」と徐々にネガティブな心境に。

さらに後ろから追い上げてくる自分よりもゼッケン番号の大きな選手に何人か抜かれ、やっぱり遅いんだな、と。

それでも、急坂は歩き、緩やかな登りは走り、を繰り返しているうちに、初めて前にランナーの背中が見えてきました。

良く見ると、ランマニアよりも2人早くスタートした、つまり1分早くスタートした選手で、これはだいぶ詰めたな、と、ようやくここで元気が出てきました。

一旦急坂を下ったところにあるエイドからがいよいよ本番です。ここからの傾斜が徐々に急になっていき、歩く頻度も多くなってきました。

それでも、とにかく呼吸はきつい。先週の5000mほどではないにせよ、ずっと苦しい。でも、苦しくなくなったらペースが落ちた証拠だから、苦しいのはペースを維持している証拠。苦しいけど残りはものの30分程度だから、と己を奮い立たせます。

そしてそうこうしているうちに樹林帯をぬけ、いよいよ山頂が見えてきます。去年は確かここから10分くらいでゴールした記憶が。

時計を見ると、55分強。

この時点で昨年のタイムが68分台だったことを忘れていて、なぜか「ああ、去年よりも遅いな」と思ってしまい、気持ちが折れかけます。

しかし、幸か不幸か、最後の岩登りに差し掛かったところで後ろからまた1人の選手に追いつかれます。ここで文字通り「尻に火がつき」予定していなかった最後のスパートを。

最後はこの岩場をよじ登ります。見えてからが長い!

最後の岩場は両手両足を使いながらの、もはや「ランニング」ではない別のスポーツ。標高2000mを超え、酸素も厳しくなったところで苦しさも極限状態で最後の力を振り絞ります。

ゴール直前でその選手には抜かれてしまったものの、おかげで最後の一歩まで出し切ることができタイムもかろうじて67分切り。

しばらく呼吸困難で岩を背に仰向けにして寝転びましたが、すぐに記録が気になりその場で昨年のリザルトへアクセス。

自分の記録を確認すると、なんと68分58秒。

今回のタイムは66分50秒前後だから、まさかのPB2分更新。これはまさかの想定外。てっきりオーバーペースで撃沈かと思いきや、ペースが速くてしんどかったのね、と。

序盤から攻めに攻めたのは、それだけ脚の疲労が少なく巡航ペースを上げられていたのですね。

さらに、4月からのダニエルズ練や先週の5000mレースなどで自分自身の体の変化も感じていて、これまでであればすぐに苦しくなる登りでも良く脚は動くし呼吸も苦しいながらも押していける感覚があり、登りのペースも速くなっている自覚はありました。

それがしっかりタイムにも現れていたと知り、正直ほっとした面もありました。

バーティカルのご褒美はなんといってもこの絶景。ゴールが山頂だからゆっくりと景色を堪能できます。

この日は快晴に加えてほとんど風もなく、山頂の景色は昨年に続いて360度大パノラマビュー。山頂ゴールのバーティカルはこの景色を楽しめるのがなんといっても最大の魅力です。

何となく先に脚が終わってしまった印象が残り、もう少し序盤からペースを落としておけば、と思わなくもありませんでしたが、序盤のロードでリズムを作ったことがその後の展開を決めたことも事実です。

バーティカルの難しいところは、途中何度も勾配が変わるため、意外と休める場所があったり、オーバーペースと思っていても途中の下りで回復したり、予期せぬ展開が待ち受けていることですね。この日の序盤の状態がロードレースであれば、間違いなく大失速をして散々な目にあっているのですが、途中のシングルトラックで呼吸を整えられたこともあり終盤は持ち直しました。

なので、一概に「オーバーペース」と断定するには迷うところです。

いずれにしても2分のPBと順位も10番台というこれ以上無い結果で終われた以上、ひとまず今もちうる力は出し切れたのかなと思い、初日のバーティカルは満足いく結果に終わりました。

さて、この疲労が翌日どこまで影響するでしょうか。

明日はスカイレースのレビューです。

レースが早めに終わり、午後は上田の街を堪能しました。

M×Kディスタンスチャレンジ(5000m公認)に出場してきました

こんにちは、ランマニアです。

さてレース月間も三週目となり、いよいよ最も「過酷な」5000mトラックレースの日を迎えました。

トレイルやフルマラソンなどと違って、とにかくこのトラック5000mというのは(というかこれ以下の距離のトラックレースは)スタートからゴールまで一瞬たりとも休む間がなく、極端な話「ずっときつい」時間が続く、過酷レースなんですね。

もちろん、100kmや100マイルのウルトラマラソンだって、最終盤ではこの世の地獄が待ってるのでしょうが(ランマニアに経験はありません)、この5000mという距離はギリギリVO2Maxペースを最後まで維持するのでとにかく苦しい。水の中で呼吸をしているかのような、猛烈な苦しさがずっと続くのですね。

いえ、若い頃はそうでもなかったんです。ほどほどの苦しさのまま最後まで押し通せるような余裕があったのですが、30代後半になったあたりから、この5000mという距離が猛烈に苦しくなってきました。脚はそうでもないんですけどね。

そんな苦しくて仕方がない種目なので、とにかく正直なところずっと気が重くてですね、トラック走って今の純粋な実力を把握しなくちゃな、という気持ちがある反面、早く終わってくれないかな、っていう気持ちもずっとあったのですね。

そして、その苦しさに加え、この種目はランマニアの長距離ランナーとしての今の実力を知る上でのいわば「ベンチマークテスト」みたいな位置付けで、とにかく「失敗するとかなり凹む」という、結果を知るのが恐ろしい側面も持っているのです。

なので、とにかくこのトラック5000mはメンタル的にタフな種目だったのですね。

ここ数年必ず毎年1回はトラックで5000mを走るようにしていますが、4年前の15分52秒をピークに、3年前の15分55秒、去年に至っては16分29秒と急激に走力の低下を目の当たりにしていて、正直、年齢による影響を疑い始め、自信をなくしかけていたところでした。

そんな中、今年は一念発起してダニエルズのゴールドプログラムに取り組み、もう一度基礎体力を高めて15分台を狙ってみたいと、考えていました。

Twitterで何度か書きましたが、ランマニアの中では1000mのインターバルを5本やった時の合計タイムが、大体その時ピーキングして迎えた5000mのタイムに相当する、という傾向があり、その観点では今シーズンは1000mのインターバルを3分12、3秒で行っていたので、ちょとギリギリなのかな、と思ってはいました。

なので、今日のレースも最初の1kmは絶対に飛ばし過ぎずに、どんなに速くても3分10秒まで、現実的には3分12秒くらいかな、というイメージで走りました。

スタートして1周目は75秒後半。ちょっと速めだけどむしろ最初の脚の軽さで遅めだと調子が悪い証拠なので、これくらいのオーバーペースはちょうどいいくらいと前向きに。

2周目は77秒くらいまで落ち着いたので、このままこのペースを楽に維持したいと考えながら1000mの通過が3分11秒。

しかし、絶妙なペース配分なのでこれはいいぞ、と思った矢先、ちょっとこのペースを維持するのがキツくなってきました。

呼吸も苦しいし、脚も動きが鈍くなってきて、このまま一生懸命このペースを維持してしまうと、間違いなく3000m手前から一気にペースダウンするのは目に見えていたので、仕方なくその集団につくのをやめて、後方から様子を伺うことにしました、っていうほど余裕はなく、もうすでに前についていくのが精一杯で。

2000mは苦しすぎて時計を押すこともできず、推定ですが6分25秒前後。

しかし、ここでの「休憩」で若干苦しさが和らぎ、またマラソントレーニングで鍛えられたせいか、脚は全く問題なく動くのでもう一度集中力を立て直しました。

3000mはアナウンスを聞き9分40秒。

この時点で15分台は詰んだので、残り3分15秒でいけば16分一桁もまだあるか、と目標を修正。

余談ですが、レース中(まあ練習もそうですが)、目標を持つということは非常に重要で、◯◯分が切れるぞ、というような目安があるだけで、かなりキツさに耐えられるようになるんですね。これは嘘のような本当の話で、脳科学の観点からもエビデンスがあるみたいで。なので、「15分台は無理だ、終わった」と思うのではなく「16分一桁台を目指そう」と気持ちを切り替えることは、その後の展開を大きく変えると思っていました。

さらに、もう一つ気持ちを切り替える方法として、我々のようにフルマラソンのような距離感覚に慣れているランナーですと、1kmとか2kmとかいう距離は、結構短く感じる傾向がありますね。

確かに5000mレースでの2km、1kmはとてつもなく長いんですが、比較的我々は脚ができていますから、苦しさだけ耐えられれば、どうにか脚の方は動かすことができるのです。

なので、5000mのような「短い」距離では、「残り7周」と見えても「残り2.8km」と置き換えるだけでだいぶ気持ち的に優位に立てる時があります(本当に僅かですが・・・)。

こうして、3000mを過ぎてからはいかに気持ちを切らさずに苦しさを我慢するかがテーマになり、今日も猛烈な苦しさの中ペースを維持したのですが、どうにか次の1000mも3分15秒でカバーすることができました。

そしていよいよラスト1000mです。

もうここからはいかに自分の「脳をだますか」ですね。「苦しいのは気のせいだ」とか、「16分一桁で走れば、限りなく15分台に近づくのだからゴール後の印象が違うぞ」とか、とにかく色々と問答して「諦めそうになる心」と戦うのですね。いや、本当しんどい。

さらにラスト1000mからの200mを走り終わったあたりが最もきついのです。うわ、まだ2周もあるのかよ、と絶望するのですね。でも、ここは勢いで1周回ってしまいます。1周回ってしまえさえすれば、残り1周なんですから。

さあ、そんなことで遥か先でラスト1周の鐘が鳴ります。この苦しさとの戦いも、残り80秒弱。そう思って、両手両足をひたすら動かします。

途中、選手の付き添いの方達がタイムを読み上げているのを聞いて、流石に16分一桁は厳しくなりましたが、それでも最後の直線で力を振り絞ります。もうすでにしんどさは限界。まるでこの世の終末です。

タイムが読み上げられながらフィニッシュラインを通過。「16分10秒」と読まれた時にはライン手前だった気がするので、一桁は無理だったか、と。

それでも、去年の16分29秒に比べれば大きな進歩。ここ数年では久しぶりに16分台前半でトラック5000mを走れたので素直に嬉しかったですね。

後ほど正式タイムを確認して16分11秒1。まあ、こんなものでしょう。

ちなみに、またまた余談ですが、この織田フィールドは今を遡ること27年前におそらくランマニアの生涯自己ベストとなるであろう5000mのベストを出した記念すべきトラックでして、それ以来の公認レースだったのですね。

そして、帰りながら色々と振り返り冷静に事実を分析してみると、

・ここ数ヶ月、圧倒的にVO2インターバルが不足していたのは事実。この苦しさはその影響を無視することはできない。

・しかし、その中でもLTが維持できていたことで苦しくなった時にペースを抑えれば撃沈することなくそのままのペースで押していける。

・ダニエルズ練のアプローチは間違っていない(5000mに特化していないので)。

・正直なところ、先週の志賀高原の疲れはあり脚の回転が鈍かった。

こんなところでしょうか。

もしこの先本当に15分台を狙うのだとすれば、今のマラソントレーニングの中に、もう少し1000mのインターバルを入れていくこと、しかもVO2ペースよりも若干速い3分一桁台で、といったところでしょうか。

4年前は毎週のように1000mのインターバルを入れていましたが、今のように厳密なIペースではなく、もっと速いペースで3本とかでした。なんというか、自分の体にかけられる最大負荷で走り通すというイメージで、本数少なく強度高め、といった具合です。

しかしこれはかなり脚に来てしまうので怪我のリスクは跳ね上がりますし、ただでさえ最近走行距離が伸びているので、果たして体が耐えられるか、というところです。

とはいえ、ひとまず最大の懸念事項だった現在の「ベンチマークテスト」も無難に終えることができ、ホッとしているところです。

来週はいよいよレース月間最終週で、烏帽子バーティカル、スカイレースのコンバインドです。きっとしんどい二日間になるでしょうが、ここは「山頂の景色と温泉と食事を楽しむ回」と割り切っているので比較的楽しみにしているレースです。

夕暮れ時の渋谷方面へ。今日も貴重な記録会を開催していただいたMKのスタッフの皆さん、ありがとうございました。

志賀高原エクストリームトレイルに出場してきました

うっすらと雪化粧をまとった横手山

こんにちは、ランマニアです。

さて、昨日は先週末に引き続きレースに出場してきました。

それも二週連続のトレイルレースとなる「志賀高原エクストリームトレイル」ミドルの部(32km D+2000m)です。

このレースは今年で3回目となるのですが、初出場の2年前は途中でコースロストしてしまい40分ものタイムロスを喫した苦い経験をした大会。

さらに、昨年は序盤のオーバーペースと体調不良がたたって、最終盤に体が完全に動かなくなり、それに伴い両足が痙攣して30分以上動けなくなってしまった、なんというかランマニアにとっては鬼門のような大会だったのですね。

そして極めつけは去年、一昨年と、スタート前から冷たい雨で、コースも水濠のようになってしまっている場所もあり、距離32kmの累積標高差2000mという数字だけでは計り知れない「エクストリームな」大会であることを思い知らされたレースでした。

そんなあまりいい思い出のないこの大会ですが、なぜかそれでもまた走りたくなる不思議な魅力のあるレースで、今回も懲りずにまた申し込んでしまったのですね(JSAの日本選手権ですし)。

3年目で初めて晴れた志賀高原

さて、今回のレースで最も気をつけたこと(というか唯一気をつけたこと)は、とにかくオーバーペースを防ぐこと。

一昨年はコースロストをしたために、それを挽回しようとかなりのペースアップをし、終盤のサンバレー以降ほぼウォーキング状態に。

昨年は、十分抑えたつもりが、体調もあまり良くなく、同じくサンバレーのはるか手前から上りは走れなくなり、残り5km手前で撃沈。

いずれも最後は脚を使い切ってしまい最終盤にタイムがかさんだレースが続いていました。

ラスト7km地点に待ち受ける最終盤の難所「サンバレースキー場」

そんなことで、今回のテーマは「サンバレーまでは自重せよ」

本コースの特徴は、前半の山岳区間でかなりの累積標高を稼ぎ、後半はほとんど走れるコースの中に罠のようにゲレンデの急登が組み込まれている、どこまで脚を残して終盤を迎えられるかが勝負になる、非常に経験値が必要となるコースです。

過去2年間を思い返すと、兎にも角にも、初めの元気なうちに登り切ることになる横手山のゲレンデと登山道で調子に乗ってぐいぐい押してしまったことが、その後の展開を決めてしまったな、と。

スタート直後はよく脚が動くので、なんとなく「いけんじゃね」という気持ちになりやすいのですね。どんどん標高を上げていくので気持ちがいいですし(高低差の図を見ると、なんとなく横手山を登って終えば、後はなんとかなる、みたいな印象を受けます)。

横手山の途中で来た道を振り返ると絶景が。こういうところでテンションが上がってペースアップしてしまいがちです。

そこで今年は、ペースではなく自身の感覚、特に呼吸と脚のしんどさに最大限注意を向け続け、「あ、これ以上は頑張ってはいけない」という、いわば車で言う「イエローゾーン」くらいの手前で出力をセーブする感覚を維持しながら坂を登り続けました。

だいたい心拍数で言うと140未満、といったところです。

きつさで言うと、ジョグに毛が生えた程度の努力感、Mペースで走るくらいのしんどさになればすぐに出力を抑え(ときには歩きに変えて)、しんどさを調整しました。

その結果、毎年最後まで走り切っていたこの横手山では、3分の1くらいの区間を歩きました。

なので、登り切ってゲレンデ下りに転じた際にも脚にはかなりの余裕があり、「ああ、本当はこれくらいの余力がないとダメなのね」と、これまでいかに飛ばしすぎていたかを実感しました。

横手山を登り切った後の北斜面は、なんと一面の銀世界。文字通り「ゲレンデ」でした。

その後、一ノ瀬の第1エイドまでの山岳区間では、何度も山登り山下りを繰り返すのですが、ここも同じように出力をイエローゾーン手前で調整し(実は意外に重要なのが下りのペースを抑えることで、これが今回は大いに効いた気がしています)、ほとんど脚に疲れを残さずに前半を終えることができました。

例年ガスがひどくてこんな景色があったことを今年初めて知ることに。
レースでなければしばらく景色を眺めていたくなる絶景。今年初めて志賀高原の真の姿を見ることができました。

さて、後半戦がはじまると、ゲレンデの登り下りや走れるトレイル区間、快適に飛ばせるロード区間などを経て、徐々に最後の難関「サンバレー」が近づいてきます。

例年、この区間ですでに脚が動かなくなりつつあり、ジャイアントスキー場の長い登りや琵琶池周りのちょっとした登りでさえも走れなくなっていました。

それが今年は、これらの区間は全て走り通すことができ、サンバレースキー場が見えるところまでかなりのペースを維持することができ、まだまだ何キロでも走れそうな余裕すらありました。

琵琶池を抜けると、遠くに巨大なゲレンデが見えてきます。遠近法でそれはまさに「壁」に見えるほど。

そして、今回はこの坂のためにここまで走ってきたといっても過言ではないほど「満を侍して」迎えたサンバレー。果たして脚は、どれほど残っているのでしょうか。

驚いたことに、これまで一度も、もっと言えば「一瞬も」走ることができなかったこの急登を走って登り始める自分がいました。脚を残す、ってこう言うことか、と。

さすがに中盤で何度か歩きを織り交ぜることになりましたが、最後まで走って歩き、歩いて走りを繰り返して、おそらくここ3年では最速でサンバレーをクリアすることができたはずです。

しかし、実は最も恐ろしいのは、このサンバレーで脚を使いすぎてしまうと、その後のラスト5kmで脚が痙攣して緩やかな登りで止まってしまうこと。このコースの難しいところは、こんな急登の後でも、ほとんど登り優位でフィニッシュへ向かうと言うところなのです。

それが心配だったので、ラスト2kmの緩やかな登りの続くシングルトラック区間までは、脚に余裕があっても十分に温存して走り続けることにしました。

そして、昨年両足が痙攣してハイカーさんに助けてもらった場所も今年は快調に駆け抜け、いよいよ最後2kmの緩やかな登り区間。その時のタイムが4時間19分だったので、キロ5分台で行けばもしかしたら30分を切れるかも、と俄然燃えてきました。

初めの1kmはなんとかキロ5分台でカバーすることができました。

しかし、次の1kmは勾配もキツくなり、さすがにこれをキロ5で走るのは不可能、脚もいっぱいいっぱいになってしまい、フィニッシュタイムは4時間30分57秒。

これまでの自分のタイムを考えると十分満足できるPB達成です。

ここまで楽しく走れたトレイルレースは初めて。

今回、最後まで脚を温存でき、ほとんどの区間であまり苦しまずに走り通すことができました。景色も綺麗で、こんなに気持ちの良いトレイルレースは初めてといってもいいほどで。

やはり、長距離レースにおけるペース配分は大事な要素なのだな、と改めて実感。

実は、直前に読んだ本で、65%VO2Maxペースで走り続けるとだいたい4時間を超えたあたりで筋グリコーゲンが枯渇し、その後は血液由来のエネルギーを使うことになるということを知り。

ちょうど今回のレースがそれくらいの運動継続時間になると踏んでいたので、途中かなりこまめに栄養補給を行っていたのですね。これはどれほどまでに効果があったか未知数ですが、全く影響がなかったとは言えないのではないかと実感しています。

そんなことで、今回自分が最も苦手としていた比較的距離の長いトレイルレースを、最後までペースを落とさずに走れた要因として考えられることを以下にまとめてみました。

・しんどさを調整して、序盤からペースを抑えた(これ以上はまずい、というきつさを心拍数140あたりで調整した)

・1時間ごとに栄養補給を行った

・下りを抑えた

・前日軽くジョグをして高地順応を行った

・春から取り組んだダニエルズゴールドプログラムによって疲れにくい脚が出来上がった

今回、ゆっくり走ったつもりでも、意外と巡航ペースは高めに維持できたのは、ダニエルズ練のおかげもあった気がします(去年まではここまで楽ではなかった)。

また、ほとんど山練を入れていないにもかかわらず、翌日にも筋痛がほとんど残っていないことも、ダニエルズ練によって疲れにくい脚ができたものと考えています。

さて、来週はいよいよトラック5000mです。

これは山レースと違って誤魔化しが効かず、現在の力量(特にVO2Max)が如実に現れてしまう、とてもシビアな距離ですね。もう現実をドーンと突きつけられてしまうような。

当然昨日の疲れも抜け切らないまま迎えてしまうため、それほど驚くようなタイムで走れないことは目に見えています。

それでも、現在の自分の力の目安を知る意味でも一度ここでトラックを走っておきたいと思っています。

紅葉真っ盛りの志賀高原。良い観光にもなりました。

今回も寒い中レースをサポートしていただいたスタッフの皆さん、ありがとうございました。

尾瀬岩鞍バーティカルキロメターに出場してきました

このスタートゲートを見るとやっぱりワクワクしますね。

こんにちは、ランマニアです。

さて、今日は今シーズン最初のレースに出場してきました。

昨年初めてチャレンジした「バーティカル」というスカイランニングのカテゴリーで、片道登りっぱなしの登山競走です。

ランマニアは実は下りが大の苦手で、かつ疲労の影響がもろに出てしまうロングコースのレースではまともに戦えないこともあり、このバーティカルという種目はほぼ登りだけのレースで距離もそれほど長くない(富士登山競走は別)ので、以前から密かに注目していた種目だったのですね。

昨年出走した初めてのバーティカルレースは「烏帽子スカイラン」のバーティカル部門。バーティカルとしてはやや長めのレースでしたが、想像したよりもかなりいい位置で走れ、この種目に対して好印象を残していました。

それ以来2度目のバーティカルが今回の尾瀬岩鞍バーティカルキロメター。

日本スカイランニング協会の日本選手権にも設定してある強豪ぞろいのハイレベルの大会で、今日は走る前からなんだかワクワク、そわそわしてしまい、「オーバーペースに気をつけろよ」と珍しくはやる気持ちを抑えるのが大変でした。

本コースの特徴は、なんといっても5kmで1000mを一気に登り切る急勾配。特に、レース中盤の通称「ジャイアントウォール」は斜度40度のまさに「絶壁」。5kmといってペース配分を間違えると、確実に終盤脚が止まってしまうのは明らかです。

そんな今回のコースは大きく3つのセクションに分けることができ、そのセクション間には下りや平坦の区間が一度ずつ存在します(なので5kmで1000m登るのではなく、もっと短い距離で1000mを登るのですね)。

序盤はこのような緩い斜面を登っていきますが、後半は遠くに見えるあの壁のような坂を登ります。序盤のハイライト。

初めのセクションは緩やかなゲレンデ登りから始まり後半急激な登りに変わる区間。ここはアップのつもりで抑えて走ろうと計画。

二つ目のセクションは、本コースの目玉ジャイアントウォールが登場する最難関エリア(後述しますが本当にきついのはこの後)。

そして最終セクションはフィニッシュまでのゲレンデ一気登り。

レース前の計画では、第1セクションで脚をためておき、ジャイアントウォール後に一気にスパート、なんて綺麗な展開を描いていました(その計画は20分で終了)。

また、今回のレースは50分前後の走行時間になるため、だいたい10000m程度のレースに出た時の負荷で押していければいいかなと思い、心拍数は160くらいを目安にしました。

そんなことを考えながら30秒おきの単独ウェーブスタートを待っていると、いよいよ順番が回ってきました。

こういうのは初めてなので意外と緊張します。

そして、10秒前のカウントダウンからスタート。

緊張してたので脚が軽くピッチも上がり、「序盤はアップのつもり」なんていう予定は一瞬で崩れ、ゲレンデの緩やかな上り坂でさえすぐに呼吸が深くなり、奇しくも10000mのレース並みの呼吸のキツさが襲ってきました。

しかし、今日はとにかく50分これを我慢すればよし。この呼吸と脚の疲れ方ならなんとか持つ気がする、と思い直し、ひとまず今の負荷、努力感を維持することに努めました。

最初のセクションは徐々に勾配を上げていき、最終的には走れないほどの相当な急勾配になり、累積400m以上を1.6kmほどで上り詰めていきます。

ランマニアはこうした急勾配でも歩いてしまうよりはふくらはぎの力を使って小刻みに駆け上がっていく方が疲れないため、この区間は努力感と呼吸の苦しさを一定に保って、とにかく歩かないようにピッチを狭めていきました。

それでも、この坂が終わる頃には結構脚と呼吸は一杯一杯になり、「思ったより使っちゃったなぁ」と残りの累積標高を考えると不安がよぎりました。

なんとか登り切ると、そこから折り返し、今来た急勾配を一気に降ります。ランマニアの最も苦手な急坂下りです。

なんといっても下りは想像以上に脚にダメージが来て次に待ち受ける登りにもろに影響しますから、ここはできるだけペースを抑えて駆け下りました。この区間で初めて後ろのランナー(30秒遅れでスタートしたランナー)に抜かれましたが、それでも慌てずに第二のセクションに備えます。

そして、いよいよ第二セクション。

ここは前半は急なゲレンデ登りです。この時はもう全て走り通すだけの脚は残っていなかったので、時折歩きも入れながら足を温存します(振り返ると、ここを走れれば50分切りも見えてくるんだろうな、と後から思いました)。

そしてゲレンデを登り切ると間髪入れず目の前に「壁」が立ちはだかります。いや、レースでなければこんなところを登ろうなどとは到底思わない、本当に恐ろしい斜面です。

「壁」に取り付くと、すぐに手で触れる距離に斜面が近づいてきます。しかし、実はここはきっとこうなるだろうな、と想像していた通り、登坂の力を両手にも分散できるため、坂の勾配に比して、思ったよりも脚だけには疲れは持って行かれないことに気づきました。

コツを掴むと、両手両足を使ってリズミカルに登っていくことができ、変な話、脚を休ませることすらできました(いや、休めたと思うくらいのペースならもっとペースを上げれば50分ぎりもできるのでしょうが)。

途中で1箇所、足場がない場所にルートをとってしまい、本当に滑落するかと思いましたが、どうにかそこをクリアし、壁を制覇。

さあ、残りは累積300m。「脚はギリギリだな」と考えながら最後のゲレンデまでの唯一快適に走れる平坦な区間をキロ4分台で疾走。

そして最後のゲレンデに辿り着き、最後の力を振り絞って一歩一歩脚を前に出します。

もうこの頃になると走り続けるのは不可能で(多分標高も上がり呼吸もきつかったのもあります)、少し走っては歩き、歩いては走りの繰り返し。時計を見ると心拍数は171。これは平地でVO2ペースでインターバルをやる時とほぼ同じ。そりゃあ苦しいわけです。

そうこうしているうちに目標としていた50分を経過。これ、50分切る人どんな体してんだ、と50分ぎりが全く想像できず。目標を55分切りに下方修正。

52分くらいから目の前にフィニッシュゲートがみえるも、なかなか差が縮まず。速く辿り着きたくて走ってもすぐに苦しくなり歩き、再び走る、を繰り返し。

ようやく最後まで走れそうな距離になり、まるで5000mのラストスパートのような苦しさの中一気に走りきりフィニッシュ。

そのままダウン。

レース後倒れたのって、いつ以来か。高校生以来かも、なんて思いながらしばらく起き上がれず。こんなに追い込んだのも本当に久しぶりで。

それでも、これだけ最後まで出し切れたレースは久しぶりで、まだまだこの年齢になってもここまで追い込めることに一安心。そして、ある種の爽快感と達成感とで、もうタイムや順位は二の次で満足感でいっぱいでした。

リザルトを見ると、50分を切っている人が思いのほか多く、ちょっと悔しい気持ちも出てきました。特に40代、しかも自分よりも年上で50分を切っている人もいて、自分もまだまだこんなレベルで満足してはいけないな、と早速気持ちを新たにしました。

しかし、やっぱりレースはいいですね。練習では絶対に追い込まないレベルまで体に負荷をかけますし、何より「全力」で勝負できる醍醐味があります。いってみれば「やり切れる」わけです。

今回のバーティカルに出場した目的は、高い負荷をかけて心肺、循環器系を追い込むこと。

一方で、来週の志賀高原エクストリームトレイルは、長い距離を走り通す有酸素能力や脚の耐性を身につけるためのレース。本当にきついのは来週です。

今回は自分の中ではうまく走れたレースになりましたが、来週は自分の苦手分野です。ここをうまく走れると、もう少し自信がつくんですけどね。

企画、運営をしていただいたスタッフの皆さんには感謝申し上げます。