志賀高原エクストリームトレイルに出場してきました

うっすらと雪化粧をまとった横手山

こんにちは、ランマニアです。

さて、昨日は先週末に引き続きレースに出場してきました。

それも二週連続のトレイルレースとなる「志賀高原エクストリームトレイル」ミドルの部(32km D+2000m)です。

このレースは今年で3回目となるのですが、初出場の2年前は途中でコースロストしてしまい40分ものタイムロスを喫した苦い経験をした大会。

さらに、昨年は序盤のオーバーペースと体調不良がたたって、最終盤に体が完全に動かなくなり、それに伴い両足が痙攣して30分以上動けなくなってしまった、なんというかランマニアにとっては鬼門のような大会だったのですね。

そして極めつけは去年、一昨年と、スタート前から冷たい雨で、コースも水濠のようになってしまっている場所もあり、距離32kmの累積標高差2000mという数字だけでは計り知れない「エクストリームな」大会であることを思い知らされたレースでした。

そんなあまりいい思い出のないこの大会ですが、なぜかそれでもまた走りたくなる不思議な魅力のあるレースで、今回も懲りずにまた申し込んでしまったのですね(JSAの日本選手権ですし)。

3年目で初めて晴れた志賀高原

さて、今回のレースで最も気をつけたこと(というか唯一気をつけたこと)は、とにかくオーバーペースを防ぐこと。

一昨年はコースロストをしたために、それを挽回しようとかなりのペースアップをし、終盤のサンバレー以降ほぼウォーキング状態に。

昨年は、十分抑えたつもりが、体調もあまり良くなく、同じくサンバレーのはるか手前から上りは走れなくなり、残り5km手前で撃沈。

いずれも最後は脚を使い切ってしまい最終盤にタイムがかさんだレースが続いていました。

ラスト7km地点に待ち受ける最終盤の難所「サンバレースキー場」

そんなことで、今回のテーマは「サンバレーまでは自重せよ」

本コースの特徴は、前半の山岳区間でかなりの累積標高を稼ぎ、後半はほとんど走れるコースの中に罠のようにゲレンデの急登が組み込まれている、どこまで脚を残して終盤を迎えられるかが勝負になる、非常に経験値が必要となるコースです。

過去2年間を思い返すと、兎にも角にも、初めの元気なうちに登り切ることになる横手山のゲレンデと登山道で調子に乗ってぐいぐい押してしまったことが、その後の展開を決めてしまったな、と。

スタート直後はよく脚が動くので、なんとなく「いけんじゃね」という気持ちになりやすいのですね。どんどん標高を上げていくので気持ちがいいですし(高低差の図を見ると、なんとなく横手山を登って終えば、後はなんとかなる、みたいな印象を受けます)。

横手山の途中で来た道を振り返ると絶景が。こういうところでテンションが上がってペースアップしてしまいがちです。

そこで今年は、ペースではなく自身の感覚、特に呼吸と脚のしんどさに最大限注意を向け続け、「あ、これ以上は頑張ってはいけない」という、いわば車で言う「イエローゾーン」くらいの手前で出力をセーブする感覚を維持しながら坂を登り続けました。

だいたい心拍数で言うと140未満、といったところです。

きつさで言うと、ジョグに毛が生えた程度の努力感、Mペースで走るくらいのしんどさになればすぐに出力を抑え(ときには歩きに変えて)、しんどさを調整しました。

その結果、毎年最後まで走り切っていたこの横手山では、3分の1くらいの区間を歩きました。

なので、登り切ってゲレンデ下りに転じた際にも脚にはかなりの余裕があり、「ああ、本当はこれくらいの余力がないとダメなのね」と、これまでいかに飛ばしすぎていたかを実感しました。

横手山を登り切った後の北斜面は、なんと一面の銀世界。文字通り「ゲレンデ」でした。

その後、一ノ瀬の第1エイドまでの山岳区間では、何度も山登り山下りを繰り返すのですが、ここも同じように出力をイエローゾーン手前で調整し(実は意外に重要なのが下りのペースを抑えることで、これが今回は大いに効いた気がしています)、ほとんど脚に疲れを残さずに前半を終えることができました。

例年ガスがひどくてこんな景色があったことを今年初めて知ることに。
レースでなければしばらく景色を眺めていたくなる絶景。今年初めて志賀高原の真の姿を見ることができました。

さて、後半戦がはじまると、ゲレンデの登り下りや走れるトレイル区間、快適に飛ばせるロード区間などを経て、徐々に最後の難関「サンバレー」が近づいてきます。

例年、この区間ですでに脚が動かなくなりつつあり、ジャイアントスキー場の長い登りや琵琶池周りのちょっとした登りでさえも走れなくなっていました。

それが今年は、これらの区間は全て走り通すことができ、サンバレースキー場が見えるところまでかなりのペースを維持することができ、まだまだ何キロでも走れそうな余裕すらありました。

琵琶池を抜けると、遠くに巨大なゲレンデが見えてきます。遠近法でそれはまさに「壁」に見えるほど。

そして、今回はこの坂のためにここまで走ってきたといっても過言ではないほど「満を侍して」迎えたサンバレー。果たして脚は、どれほど残っているのでしょうか。

驚いたことに、これまで一度も、もっと言えば「一瞬も」走ることができなかったこの急登を走って登り始める自分がいました。脚を残す、ってこう言うことか、と。

さすがに中盤で何度か歩きを織り交ぜることになりましたが、最後まで走って歩き、歩いて走りを繰り返して、おそらくここ3年では最速でサンバレーをクリアすることができたはずです。

しかし、実は最も恐ろしいのは、このサンバレーで脚を使いすぎてしまうと、その後のラスト5kmで脚が痙攣して緩やかな登りで止まってしまうこと。このコースの難しいところは、こんな急登の後でも、ほとんど登り優位でフィニッシュへ向かうと言うところなのです。

それが心配だったので、ラスト2kmの緩やかな登りの続くシングルトラック区間までは、脚に余裕があっても十分に温存して走り続けることにしました。

そして、昨年両足が痙攣してハイカーさんに助けてもらった場所も今年は快調に駆け抜け、いよいよ最後2kmの緩やかな登り区間。その時のタイムが4時間19分だったので、キロ5分台で行けばもしかしたら30分を切れるかも、と俄然燃えてきました。

初めの1kmはなんとかキロ5分台でカバーすることができました。

しかし、次の1kmは勾配もキツくなり、さすがにこれをキロ5で走るのは不可能、脚もいっぱいいっぱいになってしまい、フィニッシュタイムは4時間30分57秒。

これまでの自分のタイムを考えると十分満足できるPB達成です。

ここまで楽しく走れたトレイルレースは初めて。

今回、最後まで脚を温存でき、ほとんどの区間であまり苦しまずに走り通すことができました。景色も綺麗で、こんなに気持ちの良いトレイルレースは初めてといってもいいほどで。

やはり、長距離レースにおけるペース配分は大事な要素なのだな、と改めて実感。

実は、直前に読んだ本で、65%VO2Maxペースで走り続けるとだいたい4時間を超えたあたりで筋グリコーゲンが枯渇し、その後は血液由来のエネルギーを使うことになるということを知り。

ちょうど今回のレースがそれくらいの運動継続時間になると踏んでいたので、途中かなりこまめに栄養補給を行っていたのですね。これはどれほどまでに効果があったか未知数ですが、全く影響がなかったとは言えないのではないかと実感しています。

そんなことで、今回自分が最も苦手としていた比較的距離の長いトレイルレースを、最後までペースを落とさずに走れた要因として考えられることを以下にまとめてみました。

・しんどさを調整して、序盤からペースを抑えた(これ以上はまずい、というきつさを心拍数140あたりで調整した)

・1時間ごとに栄養補給を行った

・下りを抑えた

・前日軽くジョグをして高地順応を行った

・春から取り組んだダニエルズゴールドプログラムによって疲れにくい脚が出来上がった

今回、ゆっくり走ったつもりでも、意外と巡航ペースは高めに維持できたのは、ダニエルズ練のおかげもあった気がします(去年まではここまで楽ではなかった)。

また、ほとんど山練を入れていないにもかかわらず、翌日にも筋痛がほとんど残っていないことも、ダニエルズ練によって疲れにくい脚ができたものと考えています。

さて、来週はいよいよトラック5000mです。

これは山レースと違って誤魔化しが効かず、現在の力量(特にVO2Max)が如実に現れてしまう、とてもシビアな距離ですね。もう現実をドーンと突きつけられてしまうような。

当然昨日の疲れも抜け切らないまま迎えてしまうため、それほど驚くようなタイムで走れないことは目に見えています。

それでも、現在の自分の力の目安を知る意味でも一度ここでトラックを走っておきたいと思っています。

紅葉真っ盛りの志賀高原。良い観光にもなりました。

今回も寒い中レースをサポートしていただいたスタッフの皆さん、ありがとうございました。

尾瀬岩鞍バーティカルキロメターに出場してきました

このスタートゲートを見るとやっぱりワクワクしますね。

こんにちは、ランマニアです。

さて、今日は今シーズン最初のレースに出場してきました。

昨年初めてチャレンジした「バーティカル」というスカイランニングのカテゴリーで、片道登りっぱなしの登山競走です。

ランマニアは実は下りが大の苦手で、かつ疲労の影響がもろに出てしまうロングコースのレースではまともに戦えないこともあり、このバーティカルという種目はほぼ登りだけのレースで距離もそれほど長くない(富士登山競走は別)ので、以前から密かに注目していた種目だったのですね。

昨年出走した初めてのバーティカルレースは「烏帽子スカイラン」のバーティカル部門。バーティカルとしてはやや長めのレースでしたが、想像したよりもかなりいい位置で走れ、この種目に対して好印象を残していました。

それ以来2度目のバーティカルが今回の尾瀬岩鞍バーティカルキロメター。

日本スカイランニング協会の日本選手権にも設定してある強豪ぞろいのハイレベルの大会で、今日は走る前からなんだかワクワク、そわそわしてしまい、「オーバーペースに気をつけろよ」と珍しくはやる気持ちを抑えるのが大変でした。

本コースの特徴は、なんといっても5kmで1000mを一気に登り切る急勾配。特に、レース中盤の通称「ジャイアントウォール」は斜度40度のまさに「絶壁」。5kmといってペース配分を間違えると、確実に終盤脚が止まってしまうのは明らかです。

そんな今回のコースは大きく3つのセクションに分けることができ、そのセクション間には下りや平坦の区間が一度ずつ存在します(なので5kmで1000m登るのではなく、もっと短い距離で1000mを登るのですね)。

序盤はこのような緩い斜面を登っていきますが、後半は遠くに見えるあの壁のような坂を登ります。序盤のハイライト。

初めのセクションは緩やかなゲレンデ登りから始まり後半急激な登りに変わる区間。ここはアップのつもりで抑えて走ろうと計画。

二つ目のセクションは、本コースの目玉ジャイアントウォールが登場する最難関エリア(後述しますが本当にきついのはこの後)。

そして最終セクションはフィニッシュまでのゲレンデ一気登り。

レース前の計画では、第1セクションで脚をためておき、ジャイアントウォール後に一気にスパート、なんて綺麗な展開を描いていました(その計画は20分で終了)。

また、今回のレースは50分前後の走行時間になるため、だいたい10000m程度のレースに出た時の負荷で押していければいいかなと思い、心拍数は160くらいを目安にしました。

そんなことを考えながら30秒おきの単独ウェーブスタートを待っていると、いよいよ順番が回ってきました。

こういうのは初めてなので意外と緊張します。

そして、10秒前のカウントダウンからスタート。

緊張してたので脚が軽くピッチも上がり、「序盤はアップのつもり」なんていう予定は一瞬で崩れ、ゲレンデの緩やかな上り坂でさえすぐに呼吸が深くなり、奇しくも10000mのレース並みの呼吸のキツさが襲ってきました。

しかし、今日はとにかく50分これを我慢すればよし。この呼吸と脚の疲れ方ならなんとか持つ気がする、と思い直し、ひとまず今の負荷、努力感を維持することに努めました。

最初のセクションは徐々に勾配を上げていき、最終的には走れないほどの相当な急勾配になり、累積400m以上を1.6kmほどで上り詰めていきます。

ランマニアはこうした急勾配でも歩いてしまうよりはふくらはぎの力を使って小刻みに駆け上がっていく方が疲れないため、この区間は努力感と呼吸の苦しさを一定に保って、とにかく歩かないようにピッチを狭めていきました。

それでも、この坂が終わる頃には結構脚と呼吸は一杯一杯になり、「思ったより使っちゃったなぁ」と残りの累積標高を考えると不安がよぎりました。

なんとか登り切ると、そこから折り返し、今来た急勾配を一気に降ります。ランマニアの最も苦手な急坂下りです。

なんといっても下りは想像以上に脚にダメージが来て次に待ち受ける登りにもろに影響しますから、ここはできるだけペースを抑えて駆け下りました。この区間で初めて後ろのランナー(30秒遅れでスタートしたランナー)に抜かれましたが、それでも慌てずに第二のセクションに備えます。

そして、いよいよ第二セクション。

ここは前半は急なゲレンデ登りです。この時はもう全て走り通すだけの脚は残っていなかったので、時折歩きも入れながら足を温存します(振り返ると、ここを走れれば50分切りも見えてくるんだろうな、と後から思いました)。

そしてゲレンデを登り切ると間髪入れず目の前に「壁」が立ちはだかります。いや、レースでなければこんなところを登ろうなどとは到底思わない、本当に恐ろしい斜面です。

「壁」に取り付くと、すぐに手で触れる距離に斜面が近づいてきます。しかし、実はここはきっとこうなるだろうな、と想像していた通り、登坂の力を両手にも分散できるため、坂の勾配に比して、思ったよりも脚だけには疲れは持って行かれないことに気づきました。

コツを掴むと、両手両足を使ってリズミカルに登っていくことができ、変な話、脚を休ませることすらできました(いや、休めたと思うくらいのペースならもっとペースを上げれば50分ぎりもできるのでしょうが)。

途中で1箇所、足場がない場所にルートをとってしまい、本当に滑落するかと思いましたが、どうにかそこをクリアし、壁を制覇。

さあ、残りは累積300m。「脚はギリギリだな」と考えながら最後のゲレンデまでの唯一快適に走れる平坦な区間をキロ4分台で疾走。

そして最後のゲレンデに辿り着き、最後の力を振り絞って一歩一歩脚を前に出します。

もうこの頃になると走り続けるのは不可能で(多分標高も上がり呼吸もきつかったのもあります)、少し走っては歩き、歩いては走りの繰り返し。時計を見ると心拍数は171。これは平地でVO2ペースでインターバルをやる時とほぼ同じ。そりゃあ苦しいわけです。

そうこうしているうちに目標としていた50分を経過。これ、50分切る人どんな体してんだ、と50分ぎりが全く想像できず。目標を55分切りに下方修正。

52分くらいから目の前にフィニッシュゲートがみえるも、なかなか差が縮まず。速く辿り着きたくて走ってもすぐに苦しくなり歩き、再び走る、を繰り返し。

ようやく最後まで走れそうな距離になり、まるで5000mのラストスパートのような苦しさの中一気に走りきりフィニッシュ。

そのままダウン。

レース後倒れたのって、いつ以来か。高校生以来かも、なんて思いながらしばらく起き上がれず。こんなに追い込んだのも本当に久しぶりで。

それでも、これだけ最後まで出し切れたレースは久しぶりで、まだまだこの年齢になってもここまで追い込めることに一安心。そして、ある種の爽快感と達成感とで、もうタイムや順位は二の次で満足感でいっぱいでした。

リザルトを見ると、50分を切っている人が思いのほか多く、ちょっと悔しい気持ちも出てきました。特に40代、しかも自分よりも年上で50分を切っている人もいて、自分もまだまだこんなレベルで満足してはいけないな、と早速気持ちを新たにしました。

しかし、やっぱりレースはいいですね。練習では絶対に追い込まないレベルまで体に負荷をかけますし、何より「全力」で勝負できる醍醐味があります。いってみれば「やり切れる」わけです。

今回のバーティカルに出場した目的は、高い負荷をかけて心肺、循環器系を追い込むこと。

一方で、来週の志賀高原エクストリームトレイルは、長い距離を走り通す有酸素能力や脚の耐性を身につけるためのレース。本当にきついのは来週です。

今回は自分の中ではうまく走れたレースになりましたが、来週は自分の苦手分野です。ここをうまく走れると、もう少し自信がつくんですけどね。

企画、運営をしていただいたスタッフの皆さんには感謝申し上げます。