こんにちは、ランマニアです。
さて今日は久々の平日休みということで、思う存分山を走ってきました。
場所は山梨県は鳳凰三山。比較的走りやすいコースと絶景とでトレイルランナーの練習場所としては人気のある定番トレイルですね。
少し話は逸れますが、ランマニアは時間の取れる時はできるだけ「日本百名山」に走りに行くことにしています。
もともと収集癖傾向があるランマニアですから、こうしたコンプリートするのが楽しみになるテーマは好きなのですが、流石に百名山は北は北海道から南は鹿児島県の離島にまで存在するため手間と時間とお金がかかり過ぎるので、正直やろうとは思っていないのですね。
それでも百名山に登るのはある理由があります。
それは、百名山は基本的に人が多く、登山道がしっかり整備されていて比較的安全だからです(百名山でも危険な山、ルートはいくらでもありますが)。
以前、地元の近場の低山に登った際にコースロストしてとても怖い思いをしたことがあります。本当に「こんな山で?」と思える場所だったので、正直舐めていたのですが、とにかくマイナーな山、地元の知る人ぞ知るような山というのは、登山道の整備状況がお世辞にもいいとはいえず、歩いているならまだしも、走るようなペースで通過すると一瞬でコースを見落としたりするのですね。
地元のように地理的にある程度わかっている場所でも危うく遭難しかけるのですから、県外のやや深い山で同じような目に遭えば、本当にただでは済まないと思います。同時に、基本的に百名山以外の山の多くは休日でも人は少なく(そういう雰囲気が好きな人もいますが)、熊などと遭遇する危険性もかなり高くなると思っています。
ランマニアが山を走りに行くのは基本的にはトレーニングのためなので、要はある程度の距離と累積を稼げるのであれば、できるだけ安全な山がいいわけですね。
そんなことで、今回も自宅から日帰り可能な人気の百名山ということで、まだ未踏の鳳凰三山を選びました。
さて、この鳳凰三山はトレイルランナーに人気の山で、検索するとブログや登山レポートがちらほら見かけることができます。その中では、本来深田久弥が登った「ドンドコ沢ルート」がど定番なのですが、ランナー的には走れないほどの急登が少ない方が都合が良く、そうなるとある程度の水平距離のある「夜叉神峠ルート」が候補に上がってきます。
小学生でも理解できる理屈で、同じ標高を登るなら水平距離が短い方が坂は急になり、長い方が緩くなります。
ランマニアが10月に予定しているバーティカルレースは主に前者のパターンが多いので本当はそちらの練習をしなければならないのですが、ここのところ全然山道を走れていないのと、怪我が治ったばかりなので無理のないペースを維持できる後者のパターンを選んだわけです。
この夜叉神峠コースのレビューを見ると、「上りは緩やかで快適」だとか「今日は初心者が同伴だったので楽に走れる夜叉神ルートで」とか、あたかも「簡単に登れる」コースであるかのような書き方が散見されました。
ランマニアは、すっかりこれを鵜呑みにしてしまったのですね。
今回のルートは片道10km以上のロングコースなので序盤からできるだけ脚は温存し、歩幅を詰めてゆっくりと登り始めました。とはいえ、トレイルを走る練習をしにきているので、ある程度の勾配までは歩かないように気をつけ、勾配が急になればペースを落としてできるだけ歩かないように意識しました。
しかし、そこはやはり登山道。楽な登りばかりであろうはずもなく、小さなピークをいくつも超えたり、距離が長い分延々と続くそこそこ急な登りが登場したりして、気がつくとあっという間に累積が1000mに近づきました。
10kmかけて登るといっても標高は軽く2000mを超えますから、ピークに近づけはそれなりに勾配は急になるわけで。特に、薬師岳までの岩場はほぼクライミング。ここは流石に走るのを諦めて、大腿部を思い切り使って一歩一歩登っていきました(これが命取り)。
最初のピーク薬師岳に到着すると、運よく晴天に恵まれ、これほどの絶景にはなかなかお目にかかれないというほどの見事な眺望。こういう時、やっぱり山はいいなぁと思うわけですね。
さて、様々な山系のレポートを見ると、ここから三山を巡るのが鳳凰三山のハイライトでランマニアも楽しみにしていたのですね。とにかく360度を一望できる眺望の中真っ白な2000m級の稜線を走るなんてトレイルランナーなら誰もが憧れる体験。
写真で見ると、とても気持ちよく走れそうなこの稜線。ところが、実際にはかなりの高低差があり、その後の観音、地蔵の両山頂までは険しい岩場でここでかなり脚を使ってしまいました。
観音岳まではまだしも、そこから眺めた地蔵岳までは手前に一つ大きなピークがあり、2段階で(いや3段階)山を越えなければならなず、その深い谷を見た瞬間「これはまずいかもしれない」と一瞬引き返すことも考えたほどです。
ところがこの地蔵岳まで含めた「三山をまとめて鳳凰山と呼ぶのが妥当」みたいなことを深田さんが言ってしまったが為に、これを目の前にして引き返してしまえば、次に「鳳凰山」に登頂できるのはいつになるやら、となんだかもったいない気がして、目の前の岩場を降り始めてしまったのですね。
一度深い谷をくだり、そのあと同じだけの高低差を登り、そこからさらに急坂を降ったところが地蔵岳山頂。
ここで、当然のことながら改めて重大な事実に気がつくことになります。
今回のルートはピストンですから、来た道を引き返すわけです。ということは、今通ってきた道を戻るということで、もちろん、あの何度も駆け降りた岩場をもう一度登り直さなければならないことはわかっていました。
しかし、改めて気づいたのは「三つの山を2回ずつ登る」という事実。
これ、実はかなりハードな行程なんじゃないか、と。
一つ目の薬師岳までは片道約10kmで累積標高差が1500m弱。ここまでだいたい2時間10分くらい。
しかし、そこから地蔵岳までは、途中写真撮影をしていたとはいえ、1時間近くかかっているのです。距離としてはだいたい2kmから3km程度。累積も2000mに近づいてしまいました。
この鳳凰三山の登山コース。実は本番はこの三山巡りだったのです。
この三山を往復してしまうとかなりの急登の登り下りが待っていて、相当な負荷が脚にかかってしまうことがわかりました。
いろんなブログや山レポを見ましたが、こんなことを書いているものはほとんど目にしたことがなく、みな「ここまできたら地蔵岳まで巡りましょう」みたいな。
また、ランマニア個人の問題として、「走れる登り」はあくまで「走る動き」なので普段からよく使う筋肉を使えるため、それほど負荷はかかりません。
ところが、急登では膝を思い切り上にあげて、大腿部の力でぐいっと体を引き上げるため、普段使わない筋肉と力の入れ方をすることになり(最大筋力を発揮するので速筋優位)全く鍛えていないランマニアの脚はあっという間に終わってしまうのです。
こうなると、帰りの3つの山はもう苦行でしかなく、二つ目の観音岳は本当に登れなくなり(足が攣り)帰れなくなるんじゃないかと本気で思いました。
つまり、この夜叉神峠からの地蔵岳往復コースは、薬師岳までの累積1500mの登りをやった後に、6回の登山ができる体力、脚力がないと無事に帰ってこれない大変過酷なコースであるという事実が判明しました。
もし、これからトレーニングでこのコースを使おうと思っている方は、ぜひ薬師岳の時点での疲れ具合から慎重に判断してください。観音まで行くと、目の前に地蔵岳が見えて思わず登りたくなってしまいますが、帰りの10数キロの道のりを踏破できるか検討した方が良いと思います。
なお、今日は幸い帰りの下りコースでなんとか体力が回復し、無事下山することができましたが、途中にもういくつかピークがあったら危なかったかもしれません。
山頂では絶景が拝めましたが、無事帰還できてこその絶景ですので。
ちなみに、下山後の夜叉神ヒュッテのお風呂は最高でした。