慢性疲労症候群 その2

こんにちは,ランマニアです。

前回の続き,今日は発症した後色々と模索していた時期の話です。

いうことを聞かない体との付き合い方

始めはひと月、
長くても半年ほど休めば元に戻ると思っていました。

しかし、夏休みが明けても、
起床時に、体全体が布団に張り付いたような体の重さ、
数分と立っていられない足のだるさ、
そういった症状は一向に改善に向かいませんでした。

症状が長引き、
それを自覚している時間が長くなると、
しだいに、この疲労感はどこからくるのか、
当時はまだ、今ほどネット検索が進んでいなかったため、
様々な本をあさったり、自分の体の感覚から推し量ったりして、
カニズムを探求するようになりました。

大学の講義レベルの浅い知識では、
疲労」と「疲労感」は違う、ということは、
自分の感覚からも理解できました。
(最近になって、実はここに大きな落とし穴がありました)

数分歩いたり、数十分立っていたりすると、
(そもそも、そういった行為をする意欲がないほど、
常に倦怠感に襲われているのですが、)
足のだるさが急速に増していきます。
この状態では、別に筋が損傷したり、
グリコーゲンが枯渇したりしているわけではないので、
「筋疲労」ではないことは明らかでした。

意識を数秒間だけ集中させ、一時的に筋力を発揮しようと思えば、
なんとかそうすることはでき、少しの時間は走ることはできました。
しかし、すぐに体に力が入らなくなるのです。

だから、これは疲労感、
つまり脳が疲労を感じている状態に過ぎないのだ、
という結論に至り、
学生時代は、その仮説を支持していました。

確かに、常にしんどいのは、
目がはっきりと開けられないような、
何時間寝ても改善しない眠気。
何かをしたいと思えない倦怠感。
それが主訴であったため、
脳の中の何かが壊れたのだろうと考えるのは、
自然なことでした。

そして、
肉体的な疲労ではないと結論づけると、
そうした倦怠感に打ち勝てば、
筋肉や走力、持久力だけを高めることは可能なのではないか、
と考え、残されたわずかな学生競技生活を、
少しでも走ることで終えたいと思うようになりました。

日常的に、激しい睡魔と倦怠感に襲われながらも、
それを心理的に押さえ込み、
最初は100mから、
そして、毎日少しずつ距離を伸ばし、どうにか6kmまで、
ジョグを継続することができるようになりました。

つまり、仮説通り、
疲労感は改善しないものの、
筋力や持久力は着実に戻っていくことに気づきました。
しかし、そうした倦怠感を気持ちで抑え込めるのも限度があり、
少し無理をすれば、翌日の倦怠感は増幅し、
また走れなくなる、ということを繰り返していました。

それでも、こうして体力を戻すことで、
疲労感への耐性も徐々に高まり、
「常に眠い自分」「常いだるい体」が当然の状態で、
その中でどう生活するか、どう走ることと折り合いをつけるか、
という状態になりました。

昼間は、講義の間や、上手く時間を見つけて仮眠をとり、
なんとか体力を回復させては、生活の中でできることをする。
そうした生活習慣が身につき、
結局、それが卒業まで続きました。

それでも、4年の時には、
なんとか部活の練習の半分くらいはこなせるようになり、
数年ぶりに、国公立系の大会(5000mで16分半くらい)や、
箱根駅伝予選会(1時間14分近くかかった)にも出場でき、
大学の競技生活を終えました。

はじめ、こうした現実を受け入れるのはなかなか厳しいものがありましたが、
自分の人生の中で、何らかの意義があるのではないかと、自分を納得させ、
相変わらずいうことを聞かない体との付き合い方を模索しながら、
新しい、社会人としての生活が始まりました。

慢性疲労症候群について

こんにちは,ランマニアです。

今日から何回か,これまでのトレーニング論から離れて,ランマニア自身のことについて少し触れたいと思います。

ランマニアは,大学時代に慢性疲労症候群という病気になり,走ることを断念せざるをえなくなりました。

当時,慢性疲労症候群はかなりマイナーな病気で,症例も少なく周囲の理解も得られず精神的にもかなり苦しんだ記憶があります。

最近,Twitterの方で関心を持っていただき,いくつかお問い合わせもあり,私と同様苦しんでいる方がたくさんいるのだなと改めて実感したところでした。

今回は,ランマニアが過去に書き留めておいた自分自身の発症の経緯と回復までの道のりをこちらに掲載し,皆さんの参考にしてもらいたいと考えました。

発症の経緯は様々ですし,おそらくこの病気は一人一人によって原因も異なると思いますので,あくまで私ランマニアのケースでは,という観点で読んでいただければと思います。

発症の経緯

ランマニアは,大学2年の5月に走れなくなりました。

医者を6~7件回って様々な検査をしましたが、
結局、どこへ行ってもはっきりとした病名や原因は分からず、
最終的には、当時「慢性疲労症候群」の研究で有名だった、
帝京大学病院で、そう診断され、薬を処方されました。

結論を先に言えば、現在もそれが根治しておらず、
自分のランニングパフォーマンスに大きく影響していることは、
まぎれもない事実です。

当時から、「心理的問題」と指摘する多くの方がいましたが、
もし、モチベーションや情熱、エフォートの問題であるならば、
こうして20年以上も同様な症状を自覚することはないでしょう。

慢性疲労症候群は、
ある共通した症状を持つ疾病、あるいは自覚症状の一群であるため、
それを決定づける生化学的、神経学的な指標や、特効薬などは存在せず、
同じような症状を抱える患者でも、
その発症機序や改善の過程は皆違います。

私の場合、発症のきっかけだけは、はっきりしています。

大学2年の5月、関東インカレの応援で、
一日中、季節外れの炎天下にさらされ、
その日の夜に熱中症を発症しました。

当時は、その重大さに気がつかず、
全く下がらなくなった体表面の温度を、氷嚢で冷やすのみ。

最近になって分かったことですが、
こうした体温調節機能の不全は、体内の電解質バランスを崩し、
水分を体外に排出しようとする働きが高まるようです。

その結果、翌日から経験したことのない下痢が24時間続くようになり、
簡単な流動食と水分だけを摂る生活が4~5日続きました。
この間の減少体重は4kg。
明らかに異常でした。

ようやく下痢はおさまり、食事も普通にとれるようになりましたが、
この1週間の衰弱は激しく、体に力が入らない状態が続いたため、
ひとまず病院で点滴だけは打つことにしました。

ここで本来、ひと月ほどはしっかり休むべきでした。

しかし、今と違って、学生時代は一月どころか、
一週間のブランクですら耐えがたいものがあり、
競技を再開したい焦りばかりが先行しました。

すぐにジョグを再開し、ジョグができれば次はポイント練と、
今から考えると非常に危険な行動をとりつづけていました。

案の定、6月からは原因不明の微熱が一月以上続きました。
免疫機能が極端に低下し、何らかの感染症が発症していたと考えられます。
それでも練習を継続し、
ついにある時、ジョグペースの練習であっても、途中で立ち止まるようになりました。

その後、症状は悪化を続け、
5分の立位ですら維持できず、
日常的に過眠の状態に陥りました。

何時間寝ても朝は起きれず、
日中は何をしていても眠気が襲います。
何をするのも億劫で、生活をする意欲すら消失していきました。

幸い、大学は夏休みに入り、
その年の8月は、ほとんどを家で寝て過ごすことになりました。

こうして、いわゆる慢性疲労状態が続いていくわけですが、
おそらく、この時の自分の体には、
細胞レベルでの、不可逆的な
非常に大きな損傷が生じていたことが推測されます。

栄養不良の状態で激しい身体活動を行い、
本来栄養素によって修復されるべき損傷した(後になって分かったのは、酸化した)細胞が、
完全に修復されないまま次の損傷が生じ、
結果的に、元に戻らなくなった状態です。

閾値トレーニング

こんにちは、ランマニアです。

持久的能力を決定するもう一つの要素、無酸素性作業閾値。今日はその高め方をお話しします。

何度も言いますが、こういうことを知りたければ、ダニエルズさんの本を読むのが手っ取り早いです。そこに書かれている以上のことをランマニアは書けません。

さて、ダニエルズさんは、このATを高めるための練習として「閾値トレーニング」というのを考案しています。まんまの名前ですね。

私たちが走るペースを上げていくと、やがて血中乳酸濃度が高まるポイントがあると言いました。

そのペースがダニエルズさんがいうところの「閾値ペース」ということになります。

で、このペース、どんなペースかというと、

最高心拍数の88%〜92%程度まで高まるペースだということです。

このペースで走ると、私たちはだいたい最低でも30分程度、長ければ1時間程度は走り続けられるとダニエルズさんは言っています。このペースで一定時間走る練習が「閾値トレーニング」というわけです。

中学から陸上を始めたランマニア、恥ずかしながら30代になるまでこのトレーニングを知らず、一度も取り入れたことがありませんでした。いえ、結果的にこのペースになって走る練習はありましたが、初めからこのペースでの練習を意図して取り入れたことは一度もありませんでした。

なので、ランマニアはこの練習を取り入れた後に劇的に体が変わり、ハーフとフルマラソンの記録が一気に短縮されました。自分に欠けていたのはこのペースでの練習だったわけです。

ダニエルズさんは、自分が目標にしているレースによって、どれくらいの時間や距離をこのペースで走ればいいかについても書いています。

例えば、フルマラソンであれば、閾値ペースで20分間、それを2本とか、その程度です。ただ、普段の練習でこのペースで20分間走り続けるのは結構しんどいです。慢性疲労を抱えているランマニアでは、やはり20分+10分くらいが限度です。

ただ、やらないよりはやた方があきらかに効果はあります。

どの程度しんどいか、まずは試しに走ってみて、そのあとでどれくらいなら続けられそうか、ご自身で決めていけば良いと思います。

無酸素性作業閾値(乳酸性作業閾値)

こんにちは,ランマニアです。

前回は最大酸素摂取量を高めるための練習,インターバルトレーニングについて述べました。最大酸素摂取量は人間の持久的能力の中でも,酸素消費量に着目した能力。できるだけ多くの酸素を取り込み,それを消費できる力。それが高い方が,できるだけ速いペースで走ることができる。そういう理屈です。

今日紹介するのは、人間の持久的能力のもう一つの指標。それが

「無酸素性作業閾値(AT)」です。

ランマニア,大学時代は一応運動生理学を専門にしていて,主にこのATのことを調べている時期がありました。なので多少詳しいはずなんですが,こういう理論は日進月歩ですから,ランマニアが学んだ頃よりはだいぶ知見が蓄積されてきているかもしれません。詳しくは以下の厚労省のサイトを参照ください。

無酸素性代謝閾値 / AT

前回も話した通り,人間はエネルギーを得るために酸素を必要とします。筋肉中のミトコンドリアという細胞が酸素を使って糖や脂肪からエネルギーを作り出します。高校で生物を選択した人はATPがどうのこうの,クエン酸回路どうのこうの,っていうものを学んだと思います。

このエネルギー供給系が優れもので,一度に得られるエネルギー量はたいしたことはないものの,十分な酸素量と栄養があればかなりの長時間エネルギーを供給し続けることができるのです。

つまり,我々はこのエネルギー供給系を働かせて長時間走っていることになります。

ところが,もっとたくさんのエネルギーが必要な場面,例えば,800mとか400mとか,さらに言えば一瞬の爆発力で走るような短距離走とか,こういった場面ではこの「のんびり系」のエネルギー供給系ではエネルギーの量が全く足りなくなるのです。そして,これが人間のまた凄いところなのですが,そういう場合に働くエネルギー供給系も別に存在しているのです。それが,解糖系とかクレアチンリン酸系とか,爆発的なエネルギーが得られるものの,一瞬で枯渇してしまうタイプのエネルギー供給系です。

我々はゆっくりと走って,こののんびり系のエネルギー供給系を使えているうちはいいのですが,次第にペースを上げていくと,こののんびり系でエネルギーが足りなくなる場面がやってきます。するとエネルギー供給系を切り替えてさらに素早く多くのエネルギーを供給できる解糖系を使い始めます。そうすると,もうそのスピードで走れるのには限りが出てきます。なぜなら,解糖系はそれほど長くは持たないからです

そして,重要なのは,我々が長距離を走る際に使っているのんびり系のエネルギー供給系ではたくさん酸素が使われるのに対し,解糖系ではそれほど酸素を必要としないことです。しかし酸素なしでエネルギーを発生させると,「乳酸」という物質が血中に大量に現れます。(乳酸が疲労物質であるかどうかは議論されていて、最近では再び脳などのエネルギーに利用されるため、疲労物質という概念ではなくなりつつあるようです)

長い距離をいつまでも走れるペースで走っていたところから、次第にペースを上げていくと、あるところからこの血中の乳酸濃度が急激に上昇するポイントがありますのんびり系から解糖系も使われるようになるポイントです。この境目のことを、

無酸素性作業閾値(AT)または乳酸性作業閾値(LT)

と呼んでいるのです。

つまり、このATが高い人ほど、より速いペースで長く走れる力がある、ということです。

なぜでしょう。

ATが高い、ということはそれだけ速いペースでも解糖系が使われない、ということです。逆にいうと、ATの高い人は、ATが低い人にとって速いと感じられるペースで走っていても、のんびり系のエネルギー供給系を使い続けて走り続けることができる、ということです。

みなさんも、トップアスリートがフルマラソンを走っている時のペースを見たことがあると思います。もう信じられないスピードです。テレビ中継で横を走る子供たちがあっという間にバテているのに、あたかもジョギングのような涼しい顔でいつまでも走り続けています。なぜなら、彼らにとってあのスピードはATのペースにもなっていないのんびり系のエネルギー供給系を使っているペースだからです。

みなさんもうお分かりだと思います。

長い距離をできるだけ速く走りたければ、ATを高めること。

これが必須の条件になります。

次回は、このATを高めるための練習について話します。

インターバルトレーニング

こんにちは、ランマニアです。

長距離やマラソンを始めると必ず避けては通れないトレーニング、「インターバルトレーニング」

ランマニアも中学から陸上を始め、以来、最も嫌いな練習の一つです(笑)

一流のエリートランナーでさえ、おそらく嫌いであろうこのインターバルトレーニングは、まあとにかく苦しいのです。

通常、人間はスピードを上げて走ろうとすればそれに応じた酸素が必要となります。なぜなら、スピードを上げて走るためにはより多くのエネルギーが必要となり、そのエネルギーを生み出すためには酸素が必要となるからです。

その酸素をどうやって筋肉に送り込むか、が問題です。

一つは、息を吸って酸素を肺に送り込み、肺胞から血中に酸素を取り込み筋肉へ届けます。だから、速く走ると呼吸が苦しくなるんですね。たくさん酸素を吸おうとしますから。

もう一つは心臓です。できるだけ大量の酸素を筋肉に届けるには、できるだけ速く多くの血液を全身に行き渡らせなければなりません。だから、速く走ると心拍数が上がるのですね。

つまりです。心拍数を上げるには速く走らねばならんのです。そして、悪いことに、心拍数を上げるような運動は苦しさも伴います。

「インターバルトレーニング」は、要は「心拍数を上げ続けるトレーニング」と言い換えることもできます。だから、とても苦しいトレーニング、でも、長距離を速く走るにはどうしても避けて通れないトレーニングです。

ダニエルズさんは、このインターバルトレーニングを使って最大酸素摂取量を高めることを想定しています(ダニエルズさんだけでなく、おそらく世界中のコーチ、選手たちも)。

しかし、ダニエルズさんがすごいのは、このトレーニングはだいたいどの程度行えばもっともトレーニング効果が得られるか、ということを、たくさんのデータを集めて証明しているところです。

子供から大人まで、このインターバルトレーニングの代表格はおそらく「1000mのインターバル」だと思います。長距離選手なら誰しも行ったことのある定番トレーニングです。ではなぜ、1000mなのか。

これについては実はダニエルズさんが証明しています。

最大酸素摂取量を高めるためには、「最低でも3~5分間、最大心拍数の98%以上の心拍数を維持しなければならない」と。

通常、私たちが全力で1000mを走るとだいたい3分そこらです(エリートは2分台ですが)。つまり、「最低でも3分間」の条件を満たすには、だいたい1000mくらいは走らないとならん、ということなんです。だから、1000mなのです。

しかも、その人の最大心拍数の98%以上ということは、ランマニアであれば185かそれ以上。これを3分以上継続。

こんな拷問のような練習、想像しただけで嫌になります。

そして極め付けは、この1000mのインターバル、みなさん走ってみればわかりますが、1000mを一本走っただけでは、そこまで心拍数は上がらないのです。二本、三本、と繰り返すうちに徐々に心拍数が上がり、三本目くらいからようやく目指すところまで上がってきます。

1000mのインターバルは、一本と一本の間は軽いジョギンングを入れ、決して立ち止まって休むことはしません。休んでしまうと、せっかく上げた心拍数がまた元に戻ってしまうからです。心拍数が戻る前にもう一度1000mを走ることで、その前の一本よりもさらに心拍数を上げることができるのです。こうして徐々に高めた心拍数がある一定の高さで止まり、安定したら、さらにその心拍数をできるだけ長く維持して走り通す。

なので、どうしても三本以上、できれば五本程度は必要になってくるのです。

これ、何をしているかというと、

要は「心臓の筋トレ」です。

もっといえば、心筋の筋トレ。

心臓は鍛えると、心拍数を上げやすく下げやすい心臓に変わってきます。

インターバルトレーニングを始めると、一本目はやけに苦しいのに、二本目以降は苦しさの中にも余裕が出てきます。これは心臓がウォーミングアップし終え、より速く動けるようになるからです。

ところが、鍛えまくったエリートランナーは、もう、一本目から心臓は全開まで動いてくれます。だからエリートランナーは、最初から結構なペースで押していけます。ここらへんが、ランマニアのような普通のランナーとエリートランナーとの違いです。

1000mのインターバルをどれくらいのペースで行えば良いかについては、各ランナーの走力ごとに違いがあります。それについては、ダニエルズさんのランニングフォーミュラに詳しい計算式があります。ネット上にも計算式がありますが、本を参考にした方がわかりやすくて良いでしょう。

ある程度ジョギングを継続でき、少しずつペースが上がってきたら、ぜひ、このインターバルトレーニングに挑戦してみてください。

心拍数を上げよ 〜最大酸素摂取量〜

こんにちは,ランマニアです。

前回話した,持久力に影響する要素の一つ「最大酸素摂取量」

これがどう言う値で,どうやって測るかは,各サイトを見れば一目瞭然なので,そちらを参考にしてください。

我々ランナーがこの能力をどのようにして高めれば良いのか,それが重要です。

最大酸素摂取量は,その人が消費できる最大の酸素量です。

マラソンや長距離走のような長時間の運動では,酸素をたくさん使ってエネルギーを産出しているため,できるだけ多くの酸素を使える人の方が断然有利になります。

できるだけ多くの酸素を使える人の方が,できるだけ長く,多くのエネルギーを生み出せるので,より速いペースでも長い時間走れることになります。

そして,人間は酸素を肺で取り込み,心臓のポンプ作用で全身に送り届けます。

つまり,最大酸素摂取量は,肺の機能と心臓(血管)の機能に非常に影響されると言うことになります。

肺は肺活量,心臓は心拍数や心拍出量(心臓から送り出される血液の量)などによってその性能が表されます。

ここでは,主に心臓の機能について簡単に述べます。

実は,人間の最大心拍数(その人の心臓がどれだけ速く動けるか)は理論的にある計算式で推定されます。これが大変ショックな現実で・・・

最大心拍数=220ー年齢

年齢ですよ,年齢。

ここから何が言えるかというと,

最大酸素摂取量は年齢とともに確実に衰える

ということです。

だから,1500mとか5000mとか,最大酸素摂取量がものをいう種目では,おじさんたちがどんどん活躍できなくなっていくのはそのためです。フルマラソンやウルトラマラソンなどで,ある程度年齢を重ねてもおじさんが強いのは,5000mなどに比べて最大酸素摂取量の影響を受けにくい種目だからです。

ちなみに,ランマニアは今45歳なので,最大心拍数は理論的には175ということになります。

しかし,これはあくまで理論値。実際,ランマニアは心拍計をつけて走っていますが,インターバルトレーニングなどをすると,まだまだ190近くまで心拍上がります。

私の知り合いの45歳ランナーも,この前「192まで上がった!」って喜んでいました。

つまり,私たち人間はトレーニング次第でまだまだこの年齢の限界を引き上げることが可能だということです。これ,超重要な事実です。

そして,最大心拍数を上げるということは,心臓の機能を高めたり維持したりすることです。心臓の機能を高めるのですから,心臓をたくさん使う必要があります。

前にも言いました。人間は,その環境に適応しようとしてしまう,と。

心臓も同じです。

毎日,最高でも100くらいしか心拍数を上げなければ,「もうそれくらいでいいや」と思ってしまい,どんどん最大心拍数も下がってきてしまいます。

だから,私たちは,日常生活でできるだけ心臓を速く動かす必要があるのです。できるだけ心拍数を上げる必要があるのです。

そのために必要なトレーニングが,

インターバルトレーニング

「持久力」って何?

こんにちは、ランマニアです。

マラソンや長距離走の練習をして、次第に走力がついてくると、自分の持久力が高まったからだ、と考えるでしょう。

実は、「持久力」というのは非常に曖昧な概念で、その言葉で表しているものは具体的に何か、と問われると、よくわからないものです。

小学校の頃は「持久走」なんていう言葉があり、短距離走と対照的な扱いで、ひたすら長く走る種目みたいな扱い方をされていました。

まあそれもあながち間違いではないのですが、この「持久」というのは、つまり「一定のスピードでできるだけ長く走り続ける力」ということになるでしょう。

この「一定のスピードでできるだけ長く走り続ける力」は、何によって決まるのでしょう。

これもよく言われる曖昧な概念として「心肺機能」とか「筋持久力」といった要素が挙げられています。

これらも間違いではないのですが、若干曖昧な言葉です。

ダニエルズさんの本にも書かれていますが、こうした「心肺機能」は、専門的にはおおよそ「最大酸素摂取量」という言葉と大体同義で捉えられます。また、「筋持久力」に似た概念として「無酸素性作業閾値」または「乳酸閾値」といった言葉が使われます。

「最大酸素摂取量」は、文字通り、人間の体が単位時間あたりに摂取できる酸素の量を表していて、これが高い人ほど長距離を速く走れると言われています。いわば、長距離ランナー版「戦闘力」みたいなものです。この力には、心臓の力や肺の機能、毛細血管の量などが関係していると言われています。

「無酸素性作業閾値」は、その人が「持久的なエネルギー供給系」を使って走れる最大スピード、みたいなものです。難しい言い方しましたが、要は、その人の「長距離を走るペース」の高さです。こちらも「戦闘力」みたいに、数値が高い方が長距離を速く走れると言われています。この値は、その人の筋肉の質やミトコンドリアの量、毛細血管の量などが影響していると言われています。

さあ、ここまでくると、本当にマニアックな話になってきました。いや、競技志向レベルのガチな長距離ランナーならこうした知識はまあ常識の範囲なのですが、一般的な市民ランナーには耳慣れない言葉だと思います。

しかし、この持久力を規定する要素についてはどうしても押さえておかなければなりません。

なぜなら、「練習する」ということは、これらを高めることだからです。

あなたの今日のトレーニングは、何を伸ばす練習なのか?

最大酸素摂取量を高めるため?無酸素性作業閾値を高めるため?はたまた、毛細血管を増やすため?

その目的を理解したうえで練習をすることが、その練習の効果を倍増させます。なぜなら、その効果を得るための絶対条件が決まっているからです。

次回から,自分の経験も含めてその辺の話を詳しくしていこうと思います。

速くなるとは「適応」するということ

こんにちは、ランマニアです。

ところで、なぜ人は練習すると速く走れるようになるのでしょう。

体の生理学的な変化や筋肉の発達など、科学的なメカニズムを説明しようとすれば、いくらでも学説が広まっていますが、ここではそういう次元の話ではありません。

もっと、低次元な(笑)話です。

人間(生物全般)は、その置かれた環境に出来るだけ適応しようとする仕組みが備わっています

毎日走らずに過ごせば、「走らずに済む環境」に適応しようとします。

だから、「無駄な持久力」「無駄な筋力」は必要となくなり、次第に体から消えていきます。

しかし、ある時から、1日の中で30分だけ「走る」という行為を取り入れたとしましょう。

すると体は「1日30分は走らなければならない環境に置かれたぞ」と判断し、それに適応しようとする変化を起こそうと、スイッチが入ります。

これがいわゆる「トレーニング効果」です。

つまり、「環境に適応としようとする変化」が「トレーニングの効果」ということになります。

なので、毎日同じことを続けていても、次第に体はその環境に適応し「慣れて」きてしまうので、それ以上の変化を起こそうとはしなくなります。

例えば、1週間、毎日10kmずつ走ったとします。

おそらく、この1週間で体は「毎日10km走らなければならない体に変えなければ」と変化を起こします。

ところが、次の1週間、もう一度毎日10kmずつ走り続けたとしても、その変化が2倍になることはありません。なぜなら、体はもうその生活にすっかり慣れてしまったからです。

また、ランニング初心者の人は、はじめにちょっと練習しただけで、あっと驚くような体の変化が起こり、急に走力がつきます。

しかし、もう何年も練習を積んで様々なトレーニングを重ねてきたランナーは、ちょっとやそっと練習したくらいでは、今更速くはなりません。なぜなら、もう体がその練習にすっかり慣れてしまっているからです。

何が言いたいかといえば、毎日、毎週、毎月、毎年、同じことの繰り返しでは、それ以上に速くはなれない、ということなのです。

ある程度同じような練習を積んで強くなったら、そこから先はそれを繰り返すのではなく、また新たな取り組みを始めなければならないのです。

「強度を変える」「頻度を変える」「長さを変える」

自分にとって、何が効果があるかは模索するしかないですが、必ず本人に合った変化のポイントがあるはずです。あるいは、まだ適応し切れていない領域が存在するはずです。

いつまでも記録を伸ばし続けられる人は、その領域、そのポイントをよく理解している人なんだと思います。

ジャック・ダニエルズ

こんにちは、ランマニアです。

おいおい、ランマニア、今度は何言い出すと思ったら酒かよ酒、って言われそうですが、お酒ではありません。それ、「ジャックダニエル」。

ランナーやってりゃ言わずと知れた神と崇める存在、ジャック・ダニエルズ

この人は、もう神ですよ、神。

断言しますが、世にごまんとあるランニング本の中で、ホンモノはこの「ダニエルズのランニングフォーミュラ」ただ1冊です。

こんなふざけたブログを読んでいる暇があったら、この本を読んでください。それで十分。それだけで、

確実に速くなります。

それぐらいすごい本なのですよ、この本は。

実は、ランマニアのこのブログのネタは、ほとんどがこの本の理論に基づいています。それを、ランマニア的に噛み砕いているだけです。

インチキ臭い、どうせランマニアの経験論だろう、と思われそうなブログタイトルですが、わたし自身、このランニングフォーミュラの理論によって速くなれた一人です。

ジャック・ダニエルズの凄いところは、膨大なランナーのデータを集め、そこから得られたある法則を数値化して、

どんなレベルのランナーにも通用する

トレーニング理論を構築したところです。

また、「持久力」を構成する要素を細分化し、それぞれの要素に適した練習メニュー、いわゆる「目的別の練習メニュー」を考案しているところが、他の指南本とは一線を画す存在です。

いずれ、この本から学んだことはこのブログでも紹介しようと思っていますが、今すぐ速くなりたいのなら、これをすぐに読むべし。

ダニエルズの回しもんと思われようがどう思われようが関係ありません。事実は事実です。

間違いなく速くなります。

トレーニングは「強度」「頻度」「時間(距離)」

こんにちは、ランマニアです。

普段からたくさん練習しているランナーの皆さんはすでにお分かりだと思いますが、レースペースで練習さえすれば速くなるというようなことは、絶対にありません。まして、ランニング初心者の方がいきなりそんな練習をすればすぐに怪我をしてしまうでしょう。

たぶん、多くのブログやサイトで言われているオーソドックスなトレーニング法で、こうしたアプローチで述べられているものはほとんどないと思います。

ランニング初心者は、初めはゆっくりとしたジョグから始め〜、といったものがほとんどだと思います。

まさにその通りです

ランマニアは、トレーニング効果を決定する要素は、大別すると主に3つに絞られると考えています。それは、

  • 「強度」
  • 「頻度」
  • 「時間(距離)」

です。

今回ランマニアが重要性を説いた「レースペース」の話は、このうちの「強度」に関するものでした。

なので、レースペースで走りさえすればそれで十分というわけではなく、他にもやらなければならないことがいくつかある、ということです。

そして、多くの市民ランナーの皆さんの練習内容を聞くと、この「頻度」と「時間(距離)」についてはもう十分すぎるほど取り組まれている方ばかりです。ほんと、自分にはできないレベルですから、心の底から尊敬します。

一方で、この「強度」については、なかなか意識が向かず「今月は○○km走りましたよ」「この数ヶ月、完全休養日は設けてないんですよ」的な話はたくさん聞くことはあっても、どれくらいのペースで走ったか、という話はあまり聞きません。

だから、あえて最初に「強度」の話をしたのです

また、日々忙しいサラリーマンランナーにとって、「頻度」や「時間(距離)」を増やしていくことは、並大抵のことではなく、それに比べて「強度」をあげることは、時間に影響されないという点では、一般市民ランナーにとってはうってつけのアプローチなのです。

そして、その「強度」の目安となるのが、何度も言いますが、

「レースペース」