引き伸ばされたら引っ張り返す。倍返しな筋収縮。

こんにちは、ランマニアです。

長らく万全な状態で走れず、悶々とした日々を過ごしていたランマニアでしたが、今日は久々にキロ4なんていう「ものすごく速い」ペースで走ってみて、やっぱりランナーは速く走ってなんぼだよな、と実感したところです(キロ4が速いというのに語弊がありそうですが)。

一昨年悩まされた足底底筋膜炎にしろ、ふくらはぎの肉離れにしろ、アキレス腱炎にしろ、そして今回のハムストリングス付着部炎にしろ、実はすべてある共通の傷め方があるのですね。

これらの部位はほぼ全てが筋の付着部(解剖学的には「起始」と「付着」は厳密に分けなければいけませんが、ここでは便宜上筋が骨にくっついているところを全て「付着部」と呼んでしまいます)の炎症で、つまりは筋が骨とくっついているところというのは非常に力がかかって傷めやすい場所なんですね(ふくらはぎの肉離れは付着部よりもう少し中よりですが)。

私たちは走る際に何度も何度も筋収縮を繰り返し、そうすると当然筋肉がくっついている部分には多大な力とストレスが繰り返されるわけで、それがその日のうちに回復すればいいのですが、次第にその回復が間に合わなくなっていくうちに炎症が引き起こされ、痛み、つまり故障が発生するわけです。

そして、そうした筋収縮には、その力の発揮の仕方によって幾つかのパターンがありそのパターンによっては比較的負荷のかかりやすい「あぶない」筋収縮があるのですね。

そのあぶない収縮の一つが「伸長性の筋収縮」、つまりエキセントリックな筋収縮です。

「収縮」なのに「伸長性」という文字通り矛盾をはらんだこの言葉通り、なんとなくヤバそうな表現ですよね。まさに「引っ張られながら縮もうとする」もんですから。

筋は収縮することで力を発揮するので、関節を折り曲げて筋の長さを縮めながら筋力を発揮するのが力学的には自然な状態です。

例えば、鉄棒にぶら下がって懸垂をするときを想像してみてください。鉄棒を逆手に握って懸垂をしようとすれば、おそらく多くの人は肘を曲げて上腕二頭筋(二の腕)を収縮させながら筋力を発揮するものと思います。このように筋を縮めながらの筋収縮を短縮性筋収縮(コンセントリック筋収縮)と言ったりして、筋にかかるストレスは比較的軽めだと言われているんですね。

一方で、肘を屈曲させて鉄棒に上り切った状態から今度はゆっくりと降りていく際にも実は上腕二頭筋がしっかりと機能しているのですね。腕には全体重が掛かっていますから、そのまま筋力を0にしてしまうとストーンと落っこちてしまいますから。それを防ぎながらゆっくりと降りてくるには、少なからず筋力を発揮しながら下さなければなりません。

しかし、この時の上腕二頭筋は肘の関節が開きながら筋力を発揮している状態、つまり「伸ばされながら」筋力を発揮している状態なので、筋は次第に引き伸ばされていきます。でも、筋力を発揮するには筋「収縮」を行わなければならないため、「伸ばされながら収縮する」結構無理なことを行っているわけですね。

こんな真逆なことを行えば当然筋には過大なストレスが掛かってしまうわけで、先ほど話した筋の付着部なんかにも大きな負荷が掛かってしまうわけですね。

つまり、このエキセントリックな収縮こそが「あぶない」収縮と考えています。

では、ランナーの「あぶない」筋収縮はいつどこで起こっているのでしょう。

教科書的には地面に足を接地した瞬間、そこから蹴り出す瞬間のふくらはぎがあたりが代表的なところでしょうか。

詳しくはバイオメカニクスや解剖学の教科書を見れば書いてありますが、要は着地の瞬間や蹴り出す際は、ふくらはぎの筋が伸ばされながら力を発揮しなければならないので、伸長性の筋収縮が起こっているはずですよね。だからフォアフット接地で走っていると肉離れをしやすくなるんですね。引き伸ばされてるのに「引っ張り返す」わけですから。

そんなことで、特にランマニアにとってのふくらはぎは、肉離れやアキレス腱炎に繋がるとっても危ない場所なのでとにかく走っている時には常に注意をしているところだったのですね。また、足裏のアーチを形成している足底筋膜炎もかかと部分の付着部に炎症が起こることから、やっぱり「接地」には気を使うわけでして。

しかし、今回ランマニアが故障してしまったハムストリングスの付着部というのは、ちょっと意外な場所だったのですね。というのも、ハムストリングスは基本、膝関節を屈曲する際に筋力を発揮する筋肉で、フェーズによってはエキセントリックな筋収縮が起こるでしょうが、基本的には関節を曲げながら力を発揮する場所だからです。

もちろん、コンセントリックな収縮が基本でも筋には負荷がかかるので、それで故障することも考えられますが、ランマニアくらいの走力、筋力でそこまで負荷をかけるのはむしろ難しい気がしていました。

ところが、足を痛めてからジョグをしようとした時にあることに気づきました。

痛みが発生する瞬間の脚の動きに注意を向けていると、どうやら蹴り上げる時ではなく、「脚を前に振り出す時」に痛むことに気づきました。

蹴り上げて一度たたんだ脚を再び「伸ばして」前に出そうとする時、ここが一番痛みが大きくなる瞬間でした。

「伸ばす時」

そうなんです、「伸ばす時」だったのです。やっぱり。

蹴り上げた後前に振り出した脚は、半分は重力の力を使って戻ってきますが、ある程度速く走るには、自分の力で脚を戻さなければなりませんね。つまり、「戻そうとして筋収縮が起こる」わけです。

でも、戻そうとする脚(膝関節)は比較的伸ばされているわけですから、やっぱり「伸ばされながら収縮する筋」の状態になっているわけです。

インターバルやレペティションなど、スピードが速く大腿部も比較的高く持ち上がる動きでは、かなりの強度の筋収縮が起こっていたはずで、それを毎週毎週繰り返すうちに、だんだん付着部に負担がかかってきてしまったのですね。

短距離が遅く、走りも小さめのランマニアでも、数ヶ月もこうした動きを繰り返せば、さすがに脚も音を上げてしまうんですね。

ということで、現在はこのフェーズでの筋力を極力抑えれば比較的問題なく走れる状態で、今日もキロ4くらいのペースであれば、脚を戻す際に無理に力を入れる必要がなく、患部を悪化させずに走ることができています。

1週間での回復量から考えると、来週あたりはキロ3分台で走れそうな感覚ですので今週もできるだけ負荷をかけないようゆっくり戻していこうと思います。

出力の左右差ってある気がします

こんにちは、ランマニアです。

先週から故障明けのリハビリ週間で、軽いジョグを毎日継続しているところです。

今回やってしまったところは、ちょっと今までの故障とはタイプが異なり(ある意味同じ面もありますが。後述。)、通常脚の接地時に力が掛かって脚が痛む故障が多かったのに対し、今回は前へ進む際の推進力を得ようとする際に痛む故障です。

なので、これまでの足底筋膜炎やふくらはぎの肉離れでは、とにかく着地に気を使い、治らずに練習を再開すると脚を着けば着くほど悪化していくのが常でした。

しかし今回の怪我は、大腿二頭筋を中心としたハムストリングスに力をかけた時だけ痛む故障なので、変な話、下り坂のような勝手に前へ進んでくれるような場所では全く痛まない変わった故障なのですね。

逆に、上り坂ではいまだに患部が張ってきて、最終的には痛みもまだあるので、極力上り坂を避けて走っているところです。

なので、平坦な道を走っている分には、ペースを上げさえしなければ、もうほとんど故障をしている自覚がなく、着地するときに無意識に脚を庇うとか、変に着地ポイントを変えて走るとか、そういった「二次障害」を誘発するような動きは全くないのが救いとなっています。

しかし、ただ一点、普段と違う走り方になっているのは、前に進む際に患部のある右足で思い切り踏ん張れない、ということです。

今回の故障は、前に進もうと力を入れたときに痛む場所なので、前に進もうとする力を当然弱めて走ることになります(つまりペースが落ちる、ということ)。

そうなると前に進む推進力をどこでカバーするかというと、今回は自分の利き脚でない「左脚」ということになります。

多分、多くのランナーがそうだと思いますが、走っている時の力の入り具合は、明らかに利き脚の方が大きくなっているのではないでしょうか。ランマニアも例外ではなく、ふくらはぎは右脚の方が圧倒的に太いですし、力も入りやすいです。逆に左足はうまく使えている感覚がなく、ベタベタとまるで反発が得られない劣化したバネのような走り方になってしまっています。

実際左右の筋力差を測ったことはありませんが、感覚的には右60の左40くらいは離れていそうな出力差です。

しかし、今のように利き脚が十分機能していないと、当然出力を100%発揮できず、その分逆の脚で前に進もうとしてしまいます。

ところがこうして右脚が制限されてみると、最低でも左脚をうまく使おうとして、自然とスムーズで高出力な脚の使い方を人間はするのだな、とちょっと感心しているところでした。

これまで嫌いだった左脚のベタベタした走り方がなりを潜め、軽快にタッタッタとフラットに接地をして短時間で蹴り上げまでの動作を終えられるようになっているのです。

両脚が使えていた時にはやろうとしたって全くできなかった走り方で、変な話右脚が左脚になったような不思議な感覚で脚を使うことができているのです。これにはちょっとした驚きがありました。

とはいえ、ここで最も気を付けなければならないのが、普段使っていなかった筋肉、使っていなかった脚にかなりの負荷がかかり始めているために、そっちの故障の心配が出てくることです。

これはふくらはぎを肉離れした時によくあるのですが、大抵やってしまった方を庇うために、逆の脚に負荷がかかり元々の方が治る頃に逆側をやってしまう、というパターン。

今回も、左脚を気持ちよく使え、これで右脚が復活すれば左右差がだいぶ縮まり、非常に効率の良い走りができそうな気がしていますが、ここで気をつけないとそうなる前に左をやってしまい、すべては1からやり直し、ということになりかねません。

なので、やはりどちらかの脚に不安がある時にはペースを上げない、というのが大原則なわけですね。

現状、故障の快復を妨げない程度の最低ラインはキロ5分30秒くらいのペースです。下りならもう少し上げても大丈夫。

しかし平坦コースでキロ5まで上げようとするとちょっと不安がありますし、上り区間では明らかに患部に張りが出てきます。

日々軽快はしている実感はありますが、やはり絶対的に時間は必要になりそうです。

なので今は焦らずにやれる範囲でのペース、距離の中で、今回の左右差のような普段では体感できないようなことを試していこうと思っています。

8月振り返り

こんにちは、ランマニアです。

ブログの方もご無沙汰してしまいました。

本当は、怪我の経過でも載せていこうかと思ってはいたのですが、やはり走れないとどうも無意識のうちにテンションが落ち、書きたい内容が思い浮かんでこないのですね。

「いい休養だ」と思って、せっかくの休みを楽しんでしまえば良いものを、そういう気持ちにならないところが、まあ一つのビョーキなんですね。ランナー病。

そして1週間休んでいる間に気温も一気に涼しくなり、季節が進み、8月も終わってしまいました。

で、恒例の月間振り返りです。

今月は、予定ではダニエルズさんのマラソントレーニング4週サイクルの1サイクル目でして、TペースやMペースの練習がどんどん入ってくるはずでした。

それがだいたい半分くらいしか消化できずに終わってしまったのですが、実際に8月を振り返ってみると、思ったよりも走行距離は走れた印象です(故障中のWalkも便宜上E練習に計上しました)。

最後の2週間は高強度が一気に減ってしまいました。

ペースごとに見てみると、圧倒的にEペースが多いのは当然として、今月から始まったM練習の割合が若干目立つところです。これはマラソントレーニングならではの練習内容ですね。

一応、Mは7割、Iは完遂したことになります。怪我をした週はTペースメインのRペースが若干入る予定でした。

今年に入るまで、ランマニアの月間走行距離は200台がデフォルトだったので、ここ数ヶ月続いた300kmオーバーはかなり異例のことで。以前なら今月の280kmでもわりと十分な感じでした。

8月は最後の10日で急速に走行距離が減ったので、月のトータルで報告するのはあまり意味がないのですが。

今回はダニエルズのゴールドプログラムが終わった時点で、もう少し長い休養を入れるべきでしたね。

臀部の痛みもあったわけですし、4ヶ月間の疲労はかなりのものがあったはずなので、最低1週間は休養を入れるべきでした。

しかしそのツケがここで回ってきて、結果的に1週間の休養、そして現在のリハビリジョグに至るわけです。高強度ができるまでに完治するにはトータルで数週間かかることを考えると、8月の頭に1週間休んでおけば、となるわけで。

とはいえ、患部が患部なだけに無理をしていたら肉離れの危険性もあった中、ダメージはギリギリ最小限に留められたかと思います。

今週は、ペースを抑えたジョグで様子を見て、その結果次第で来週以降徐々にペースを上げた練習を織り交ぜていこうと思います。

「ジョグならできる」は「ジョグでも痛む」の始まり

こんにちは、ランマニアです。

昨日、モチベーションが維持できてるみたいな記事を書いた矢先に、故障日記になってしまいました。まあ、以前からちょっと痛かったんですけどね。

かなり前の記事にも書きましたが、もともとランマニアはここ数年故障が多く、シーズンを通して無傷で練習をやり通せた1年がここのところなかったのですね。昨シーズンなどは、7月に痛めた足底筋膜炎を半年以上引きずりかなりパフォーマンスを落としてしまいました。

そんなことでしたので、今シーズンはかなりの練習を積んできた中でどこにも痛みが出ずに練習を継続することができ、自分でも驚いていたところだったのですね。

一方では、なぜ故障が無くなったのか、その理由もある程度自分の中では把握もしていました。

実はランマニアの故障は、競技を始めて30年以上になりますが、100%が膝から下の故障でした。特に、社会人になってからはほぼ3種類に限られ、ふくらはぎ肉離れ、アキレス腱炎、そして足底筋膜炎、だけでした。

このレパートリーを見て詳しい方ならすぐにわかると思いますが、この3種類はほとんど前足部から接地するいわゆるフォアフット走法でなりやすい故障です。特に、スピードを上げて取り組む練習を繰り返したり、少し距離の長いレースに出た後などには必ずどこかを痛めている状態でした。

今年4月から始めたダニエルズのゴールドプログラムも、始めてすぐのフェーズⅠの終盤に、一度右のふくらはぎが危なくなったことがありました。切れるまでは行かないにせよ、このまま負荷を加えると切れてしまう感覚がもう自分にはわかるので、これは危ないな、と。

そして同時に、このまま同じフォームで練習を続けるとやはりまた故障を繰り返し、練習を継続できないと考えました。

そこで、フェーズⅡからは、ジョグの日を中心に接地をかなり意識するようにして、足をできるだけフラットに地面に押しつけ、大腿部の裏側(ハムストリングス)を使いながら前へ進むようなフォームに変えていくことにしました。

これは思いのほかスムーズに移行でき、LT走ならともかく、Iペースのインターバルや慣れてくるとRペースのレペティションの時でさえ大腿部をうまく使ってスピードを出せるようになってきました。これは自分でも驚きましたね。

その結果、練習量が増えてきたフェーズⅡ、そしてフェーズⅢにおいても、以前のようにふくらはぎが張ることがほとんどなくなり、肉離れをしそうなとき特有のあの「チク」っていうような違和感も一度も感じずに練習を継続することができるようになってきたのです。

これはこのフォームを自分のものにしたな、という手応えを十分感じましたね。

そうして大腿部をしっかり使ってスピードを出せるようになると、以前のようにスピードを出して接地するインターバルやレペティションでも足を着くのが怖くなくなり、思い切りペースを上げて練習に取り組める喜びを感じていたところでした。

ところが、フェーズⅣの終盤、ある時、200mのレペが終わった後に家に帰ると右のお尻の下のほうがやけに痛むことがありました。その時は、ちょっと張るような、筋肉痛のような痛みだったので「ああ、しっかりお尻を使って走れてるんだな」とむしろその痛みに変な手応えを感じるくらい、あまり深刻に考えていなかったのですね。

何せ、ランマニアの故障は基本、膝から下ですからそんなところを故障するなどとは想像もしてませんでしたからね。

しかしその後も、とにかく「登り坂で右足をあげようとすると痛む」「速いスピードでダッシュをすると痛む」「膝を伸ばした状態で前にかがむと痛む」というある特定の動作が結構しんどい状態が続いたのですね。

でも、これらは基本、ジョグとか長距離の動作にはほとんど影響のないものですし、200mのような短距離練で痛めたものだから長距離練習を続けている分には問題ないだろう、と楽観的に捉えていました。何度も言いますが、こんなところが故障するとは思ってもいませんからね。

そしてフェーズⅣが終わって数日間休養をし、その後も十日ほどジョグだけの生活を続けていたので、もうこの痛みもほとんどなくなっていたところで、ダニエルズのマラソントレーニングで最初のインターバルの日を迎えました。

LT走とIペースインターバル、そしてレペティションが組み合わされたかなり負荷のかかる練習だったこともあり、最後のレペの時にこれまで感じた痛みを一歩超えたような痛み(故障をする時は大体分かりますよね、ああ、これは無理な痛みだ、っていうのが)を感じるようになったのですね。うーん、ちょっとまずいかな、と。

でも、翌週はMペースしかないからなんとかやり切れるだろうと、そのまま継続していたのですが、今日久々にTペースで走ったところ、やはりちょっと走り続けるのは危ない痛みになってきたので、ついに練習を中断することにしたのでした。

はじめの頃は、200mを33秒くらいで痛みました。次は36秒くらい。そして今日は42秒でも痛みました。より遅い速度で痛むのは悪化した証拠です。

ではなぜ今日いつも通りLT走をやろうとしてしまったのかと言いますと、実は日常生活の中での痛みは、ここ数日でだいぶ軽くなっていたからなのです。

先月の一番痛かった時は、「階段を登るのも痛い」「車から降りる時、右足をついて降りるだけで痛い」「座った状態でハムストリングスに力を入れると痛い」状態でした。

しかし、今は階段では痛まず、車から降りる時も大丈夫、そして座った状態で力を入れても痛みは軽くなった、という状態です。

なので、練習をしながらもよくはなってきてるのかな、と錯覚していたのですね。

これは想像なのですが、もともとはレペティションのような速いペースで使う部分を痛めたため、腿を上げるときや膝を曲げて地面を押し出すような力を発揮する時に痛みが出ていたのが、その状態で長距離練習を続けてしまったため、弱くなった部分に新たな損傷が生じ、これまで痛かった短距離走で使う部分が治ってきた反面、長距離走で使う部分に痛みが移行してしまったのかな、と考えています。

どの故障もそうですが、一度損傷が引き起こされるとその周辺にも損傷が波及するのがよくあるパターンです。

なので、ランマニアがかつてよくやらかしたのは、「ジョグならできる」と痛まない範囲で練習を継続した結果、「ジョグでも痛む」ようになってしまうこと。今回もまさにそうですね。

「ジョグならできる」のは、あくまで筋や腱が万全の状態な時であって、どこか一部が損傷したり炎症を起こしたりしていると、総合的に使える筋繊維が減ってしまっている状態なので「ジョグでも故障する」範囲が広くなってしまっていると考えた方がいいだろうな、ということです。ここは結構盲点だったりします。

さて、今回ランマニアの故障は、色々と調べたり「触診」したりしたところ、おそらく「ハムストリングス付着部炎」。こんなところは痛めたことがなかったので、恥ずかしながら聞いたこともなかった故障名です。

「登り坂で痛む」「膝を伸ばした状態で前かがみをすると痛む」に該当するのでおそらくこれでしょう。

大腿部を屈曲させる筋肉群の総称「ハムストリングス」が集まって付着している部分、「坐骨結節」が痛みます。

いずれにしても「酷使」によって傷んでいるわけなので、もうこれは「休養」しか選択肢がないわけで、しばらくここを使うような運動は控えた方が良さそうです。

ただ、逆にいうとここを使わない運動はできるわけで、できればここを使わない運動をして有酸素能力は維持したいと考えていて、それをどうしようか今思案中です。

間違っても「ジョグなら痛まない」と考えないように要注意です。

週替わりメニューが今のモチベーション

こんにちは、ランマニアです。

このブログもおかげさまで今日で100本目の記事になりました。

ブログを始めたときに参考にしたサイトには「まずは100本書きなさい」とあったので、少し時間はかかりましたが、ひとまずその目標は達成できました。

100本目だからといって何か特別なことがあるわけでもなく、いつも通り日々の練習で感じていることを今日も書こうと思います。

ダニエルズさんのマラソントレーニングに移行して今日で3週間が終わりました。

先月までの体力向上プログラムでは、一月ごとに一週間のメニューが変わっていく「月替り方式」で取り組みましたので、先月は同じ練習を4回やり通すという結構タフな毎日でした。

それに対して今回のプログラムは、一週間ごとにメニューを変えてそれを四週間取り組むいわば「週替わりメニュー」の形式となっています。例えば、一週目はジョグのみ、二週目は全ての心拍ゾーンの練習を組み合わせる練習、そして三週目はMペースでの練習を中心に、という具合です。

なので、一週間頑張れば来週からは違ったトレーニングが待っている、というように月替りメニューよりは心理的には楽で、練習もより楽しめるようになった気がしています。

しかし一方で、ある週のQデー(質の高い練習日)を失敗すると(体力向上プログラムでは結構ありましたし、今月もすでに一回)、その週に取り組むべきだった速度域の練習が翌月まで1ヶ月間取り組めなくなってしまうという危険もあります。体力向上プログラムでは「今日は失敗したけど来週こそは」とすぐに取り返せましたが、今回のプログラムでは1ヶ月間「リベンジ」の機会が巡ってきません。(まあ、スライドさせてもいいんですけどね)

そんな週替わりメニューですが、今週のQデーはMペースでのトレーニングが中心でした。前回のブログで書いたように1度目は暑さで撃沈してしまい距離は半分(6.5km)。しかし、2回目の方はどうにか完遂して合計12.8kmの距離を走れました。一週間当たりの距離で考えると、求められていた距離の4分の3はこなせた計算になります。なんとかギリギリ及第点かな、と。

そして、今回のメニューの最大の特徴は、今月このようにして1度取り組んだ速度域での練習が、翌月にはさらに距離が伸びることです。例えばランマニアの場合、今週のMペースは1度の練習で走る距離は12.8km(8マイル)でしたが、来月は16km(10マイル)、さらにその翌月は19.2km(12マイル)と言った具合にです。これは、その月のどの週の練習も同じように距離が伸びていくのです。

そうですね、ちょうど螺旋階段を登っていくようなイメージでしょうか。

そうやって徐々に体力を高めてより長い距離を走れる体(脚)を作っていくのですが、だからこそその月の1回の練習を失敗してしまうと次のステップに上がれない可能性もあるという、意外と恐ろしいプログラムだったりします。

なんだか、昔子供の頃にハマった1ステージクリア型のゲームのようなイメージですね。

でも、そんなこともあり、毎週求められたメニューをこなすと、翌月にワンランク上の練習ステージに上がれる、みたいな達成感があり、それが練習の楽しさにつながっている気もするんですね。自分自身のレベルが上がっていくかのような感覚。

これが今、レースがなくても練習に対するモチベーションが低下しない要因の一つなんだろうな、と。

とはいえ、明日から始まるTペース週間についても当然のようにレベルアップしていくわけで、数ヶ月後には3.2km×4とかになってしまい、果たしてそんなメニューがこなせるのか正直不安もあります。(Tペースで13kmとか・・・)

しかし、もともとある程度の疲労を抱えながらもダニエルズ練を続けてきた結果、明らかに以前よりも疲れにくくなり、また疲れてしまってもその回復に時間がかからなくなってきていることから、このようにしてスモールステップでトレーニングを継続していくことが重要なのだろうな、と。

今「やれる気がしない練習」でも、1ヶ月間「やれそうな練習」に取り組むことで、翌月のそれができるようになるんじゃないかと、まあちょっと淡い期待を抱いているところですね。

夏をあきらめて

こんにちは、ランマニアです。

連日37度とか40度とか、まあここ数年はこれくらいの暑さがやってくる夏が普通になってしまいましたが、それでも通常人間が耐えられるレベルを遥かに超えた気象状況になっていますね。

ランマニアの一応の基準としては、「気温35度を超えたら走らない」という条件を決めています。これは、とりあえず「体温」を超えた空気の中走るのは放熱できなくて危険だろう、ということと、仮に湿度が高くても35度未満ならギリギリセーフかな、という「自己判断」によるものです。

そして、このお盆休み中は、せっかくの休みで昼間や午後の時間を他のレジャーに当てたいこともあり、そうすると走る時間帯は自ずと「早朝」ということになるのですね。

先週の水曜日はその基準に合わせて朝からLT走やインターバルを組み合わせたQトレーニングを行いました。これは肉体的にも心理的にもかなりタフな練習でしたね。

気温は30度前後で日差しもあったので、ただでさえタフな練習がもう修行に近い練習になってしまいましたが、なんとかペースを落としながらやり切ることができました。

なので、真夏の高強度練習、ペースを落とせばなんとかやりきれそうだ、という手応えは掴んだ「つもり」だったんですが。

そして今日からダニエルズのマラソントレーニングが3週目に入ったんですね。先週は、1度だけでしたがT,I,R全ての速度域を走ってそれぞれのエネルギー供給系に刺激を入れました。マラソントレーニングはどうしても「ゆっくり目で長く」が基本になってきてしまうので、たまにこうして刺激を入れさせているのでしょう。

で、今週は2回のQデーは二日ともMペースです。ゆっくりとしてペースで、ただしマラソンのレースペースで走ることでフォームを整えたりペース感覚を養うためのMペース練習なのでしょう。

正直にいうと、「今週はボーナスステージだな」とかなり侮っていました。

ランマニアのMペースは一応キロ3分40秒前後で、暑さがなければかなり余裕を持って維持できるペースです。この暑さを考慮して3分50秒くらいに抑えれば楽にこなせる練習だろうと「油断」していたんですね。

はたして今朝は目覚めもよくアップの30分ジョグも快適で、スタート前から「これは確定だな」と本当に今にして思うとその自信はどこからくるんだというほど浅はかでした。

スタートすると、想像以上に足が動かず、はじめの1kmはまさかの4分11秒。しかもペースの維持がかなりしんどく。

もうこの暑さならキロ4でも良いんじゃないかと頭をよぎりましたが、なんとなくそれでは意味がない気がして少しずつペースを戻そうとしてしまたんですね。と言ってもキロ3分50秒。

しかしその後も思うようにペースが上がらず、3分58秒、51秒、その後ようやく48秒。もうこの辺りになるとMペースというよりLT走でもやっているかのようなしんどさに変わってきて、まだ半分もきてないことに絶望的になりました。

13kmの予定が約半分の6km過ぎで一度給水、と思いきやそのまま再び走り出せなくなってしまい、よもやのDNF。

気温30度はジョグでは大きな影響はなくてもマラソンペースを超えたあたりから急速に循環器系が追いつかなくなっていくのでしょう。(体温調節に血液が使われ筋肉に送られる血流が不足する、など)

とはいえこの暑さもまだしばらくは続きそうですし、循環器系に負荷のかかる暑さの中での中強度練習、高強度練習にもそれなりの効果はありそうですからなんとかやりくりしていきたいものです。

一つの意識としては、やはり「数字は追わない」ということかな、と思います。

数字、特に「ペース」ですね。ペースを上げればそれだけエネルギーが生成されますから筋温も急上昇します。筋温が上がればより多くの血流を体表面に流して体温を下げようとしますからさらに筋肉への酸素の供給が滞ります。つまり理論上VDOTが一時的に低下するのと同じなわけで。

なので、今日のキロ3分50秒が「LT走のようなきつさ(そして全く「快適なきつさ」ではない)」、というのはあながち間違えではなく、筋肉への酸素供給量を考えれば本当にLTペースに近かった可能性もあり、今日の気象条件でのMペースはもっと遅くなければならなかったのかもしれません。

そう考えると、とにかくこの「気温30度」状態が続くうちは、もう通常のVDOTペースは「あきらめて」数字は追わずに、呼吸のきつさ(気温の上昇で換気量は上昇するので)やペースの維持に対するしんどさのような体感的、主観的な指標に基づいて、練習を組み立てる必要があるのだろうな、と。

そして意外と大事なのは「日差しを防ぐ」こと。気温は30度でも、日差しが照り返している皮膚上はもっと高温になりますから、数十秒の間日差しの中で走っただけでも大幅なペースダウンは避けられない気がします。水で冷やすにも限界がありますし。

よって、走る時間は「やっぱり夕方以降」なんですね。

次のQデーは明々後日の水曜日。メニューは分割Mペース走。仕事があるので図らずも夜練になりますね。

怪我を防ぐ練習環境

こんにちは、ランマニアです。

ここのところ昼間の気温が外にいるだけで危険な状態で、もう走る時間は早朝か夜しか選択肢がない状況になっています。

大学生や実業団のように1週間も2週間も涼しい高地に滞在できれば良いのですが、通常一般的な社会人はなかなかそれは難しく、多くのランナーは暑い時間を避けたり水で冷やしながら走ったり様々な工夫を凝らして練習時間を確保していることと思います。

昨日はさすがにランマニアもこの暑さに辟易し、レジャーも兼ねて標高の高いところへ走りに行ってきたのですね(本当に涼しく、下界は異常とさえ思える快適さ)。

さて、そんな練習環境ですが、今のような真夏の暑い時期は例外として(この時期が快適であれば真冬は相当厳しいはず)、実は今住んでいる場所は比較的練習環境に恵まれた場所だと思っています。

平坦路が少ないという唯一の難点はあるものの、近くには1周12kmほどある完全クローズドな(車が入ってこれない)ジョギングコースがありますし、トレイルと言うほどではないにせよかなりの起伏のあるほとんど日陰のダートコース(10kmほど)もあり。そして4kmほど行けば完全フラットな公園コースも存在します。無料トラックも7kmほど離れていますがいけないことはありません。

こうして整理してみると、ほとんどのシチュエーションはカバーすることができ、本当に恵まれているな、と。

最も練習環境に苦労したのは高校時代。

たまたま高校が周囲が水田ばかりでほとんど起伏のない地域にあったため、普段のトラック練習は当然平坦路としても、ロードに出ても延々と平坦な河川敷を走るだけの変化に富まない単調な練習しかできませんでした。

高校駅伝の県予選がとても起伏のあるコースで開催されていたので、普段から起伏の多いところを走れる高校が羨ましく感じてたのを思い出します。

また、大学時代も都内の比較的23区に近いところにあったことで(実は23区内は起伏に富んだ場所が多いのですが)、こちらも顕著なアップダウンはなく、近くにある大きな公園や河川敷、水路沿いの平坦な道を延々と走る練習がメインとなっていました。

そうやって振り返ってみると、今置かれている環境は大変恵まれていて、疲れている時は平坦な道を中心にゆっくり走れ、元気であればアップダウンのあるロングコースに出てみよう、と臨機応変に対応できるのですね。

コースにバリエーションがあると何が良いかといえば、もちろんトレーニング効果や脚力の向上など「プラスの」側面もありますが、実は故障を防げるという「マイナスを防ぐ」側面も大きいのですね。

例えば、平坦な道を延々とゆっくりジョグをしているだけの練習が「安全」かといえば、意外とそうでもなく、基本的に長くなりがちな「ジョグ」の練習は、別の観点から見れば「同じ動作、同じタイプの筋収縮、同じ衝撃が、同じところに長い時間、多くの回数繰り返される」という「危険な」側面も持ち合わせています。ジョグしかしてないのに何故か故障をした、というのはそうした要因によるものであるかもしれません。

一方で、同じ距離をジョグするにしても、適度な上りや下りが繰り返されれば、その路面の変化によって使われる筋肉や衝撃の受け方が微妙に変化し、「同じダメージを受け続けない」というメリットがあります。もちろん、下り坂を延々と走り続ければ故障のリスクは一気に跳ね上がりますが、通常関東平野の市街地を走っていてそのような場面に出くわすことはほぼあり得ません。あくまでも「適度な」アップダウンです。

そして、路面「サーフェス」についても同じようなことが言えるでしょう。

例えばアスファルトは硬くて衝撃が強い一方で、グリップが良く大変走りやすい路面です。しかし、そのグリップの良さは逆の側面で見ると「力が逃げない(トラクションが高い)」ことにつながり、前に進もうとする力が脚に無駄なく伝わるということでもあります。つまりそれだけ負荷がかかるということですね。

これが砂利道やダート、トレイルであれば、前に進もうと脚に入れた力が適度に分散され(その分前に進みづらい)、脚への負担も軽くなります(路面が柔らかく衝撃も少ない)。

さらにいえば芝生なんかを走ってみれば気付くと思いますが、もうほとんどふわふわな状態で、「靴の反発力」や「ふくらはぎのバネ」を利用した走り方が通用しないことがわかります。前に進ませるためにはそれなりに工夫が必要になってきますね。ですが、それは別の見方をすれば「脚の使い方」「走り方」を変えていることにつながり、ロードで散々酷使してダメージを受けた筋肉を休ませることができるという側面もあります。

このような意味で、練習コースのバリエーションが多いということは、それだけ「脚の同じ場所だけを使いすぎない」ことにつながり、長い目で見て故障を減らすことに寄与していると考えています。

そうした観点から見て、今の練習環境は非常に恵まれていて本当に競技に打ち込んでいこうと考えている場合には「住環境」は決して軽視できないファクターなんだろうなとつくづく感じているところです(走るために家を借り替えた強者ランナーが知人にいますが・・・)。

あの「合宿効果」の功罪について「若さゆえの成功体験」から考えてみます

こんにちは、ランマニアです。

毎年この暑い夏の時期になると思い出すのが、やはりあの「夏合宿」ですね。

ランマニアは高校、大学とどちらもだいたい同時期に5〜7日程度の夏合宿が組まれていて、毎年この時期になるとやや標高の高い避暑地におもむきハードな練習に明け暮れたものです。

今よりもずっと考えが浅はかだったあの当時は、「きっと合宿に行けばたくさん走るから強くなるだろう」とか「標高が少し高いから高地トレーニングの効果が期待できる」とか「涼しい場所で追い込めるから間違いなく強くなる」みたいなことを考えてきつい練習に耐えていた気がします。

しかしそれとて満更でもなく、当時まだ10代半ばから20代前半くらいまではとにかく疲れもすぐに回復するし、体もすぐに応答するしで、たった1週間程度の陸上漬けの毎日を送ったくらいでもその効果を実感するには十分な結果をその後数週間以内に出すことができてしまうのですね。

比較的夏に強かったランマニアは、この夏合宿後の自己ベスト更新率が異常に高く、高校1年から大学1年までに自己ベストを出した月が、9月が3回、8月が1回と、ほぼ毎年のように夏合宿明けには5000mのベストが出ていたことになります。

まあ言ってみれば「合宿効果」抜群だったわけで。

ところがこの時の経験は、のちにしばらくランマニアを誤った道へ誘い込むことになります。

いえ、若い頃ならそれもそうだったのかも知れませんが、ある程度の年を重ねてからは同じ考えは通用しないのだということを痛感することになるのです。

この「合宿効果」を存分に味わい、多くの成功体験をしてしまった結果、ランマニアは「短期間にまとめてハードな練習をすれば体は変わる」という危険な信念をしばらく持ち続けることになってしまったのですね。

これが、ランマニア自身の体験による「合宿効果」における功罪の「罪」の側面です。

社会人になり、ようやく徐々に走れるようになってからも、この当時の華々しい「合宿効果」がいつまでも頭から離れず、何度か「短期集中」的に走力を回復しようと試みていた時期がありました。

「あの頃の合宿では3部練してたんだから、もう一度それをやればまた体が応答するだろう」

「この1週間頑張れば、疲労を抜いた後に一気に速くなるに違いない」

くらいのことを考えて、一時期しゃにむに走ろうとしていた時期があります。

当然結果は散々なもので、そんな練習は1週間はおろか三日すら続けることができず、挙げ句の果てには無駄に疲労を溜めてしまって数日間走れなくなる、なんていう本末転倒な状況に陥ることもしばしばでした。

これはのちに気付くことになるのですが、若い頃とは疲れやダメージからの回復力に大きな差があるし、そもそも一度競技から離れて走力も体力も「一般人」並に落ちている中で、それほどの負荷は相対的に体が耐えられるものではなくなっている、という厳然たる事実があったのですね。

さらに言えば、トレーニングの効果を得るにはしっかりとした段階や順序があり、その原理原則に則らなければ定着しない、という大前提も無視したものです。

こういう「若さゆえの成功体験」は、ことスポーツに関しては様々な場面、観点で至る所に存在している気がしていて、ランマニアのように若い頃から今まで、中年を過ぎても同じように競技を続けている状況では、意外とそれらに縛られるというトラップがある気がしています。

もちろん、「若さゆえの成功体験」は競技を続ける動機付けや、もっとマクロな視点で見ると「人生を生き抜く強いメンタル」などにも影響すると考えているので決して悪いことではないのですが(それが功罪の功の部分かもしれません)、その体験が年齢を重ねても通用する「普遍的事実」とは限らない、ということを常に疑ってかからなければならないとも考えています。

人間誰しも「若い頃にうまくいったこと」の思い出は強烈に記憶に残っていて、ランマニアのように現在の置かれた状況や肉体、メンタルなどを鑑みた臨機応変な対応や変化を恐れることも少なくないと思います。

こうした変化や新しい試みは、なかなか自分1人では着想できなかったり行動に移すことが難しかったりするので、たまには仲間と走ってみたり、書籍や文献から最新の知見を得たり、Twitterで様々な考えに触れたりすることがいかに重要かを最近痛感しているところです。

あえてペースを落として取り組んでみる

こんにちは、ランマニアです。

さて8月に入り3連休。疲れが体感的になくなるまで休もうと思い、無期限休養に入りましたが、思ったよりも回復が早く3日休んだところで練習を再開しても良さそうな状態になりました。

この休養の間に今後の練習計画について考えていたのですが、やはりせっかくこの4か月を通して走れる体を作ってきたこともあり、来年のフルマラソンに照準を合わせるべくダニエルズさんのトレーニングを参考にすることにしました。

ダニエルズさんのマラソンプログラムはいくつかのパターンがあり、どれをやってもそれなりに強くなりそうでしたが、ランマニア的には「4週間サイクル」プログラムを26週にわたって取り組むものが、最も自分に合ってそうだと感じこれを軸に計画を進めていこうと思いました。

このプログラムの特徴は、これまでのゴールドプログラムと同様、週に2回のQデーがあります。そしてそれ以外は基本的にジョグで繋ぐので、これまでの練習パターンを大きく崩さずスムーズに移行できそうに感じました。

しかし今回のメニューで大きく異なるのが、1週間の走行距離を自分で決定し、だいたいそれを目安にジョグの長さを調整する、と言うものです。

そしてその走行距離は週ごとにボリュームが異なっていて、例えば今週は80%、来週は90%と言った具合に、全てが100%ではありません。もちろん100%の週もありますが、毎週というわけではなく、あっても一月に1週か多くて2週。

ランマニアは先月、1週間におおよそ90km程度の走行距離で回していましたので、今回の週間最大走行距離を100kmに設定しておけば、おそらくこれまで通りの週間走行距離でサイクルを維持できるのではないかと考えています。

ところが今回のプログラムで最も問題となりそうなのが週に2回あるQデー(質の高い練習日)のメニューです。

さすがにフルマラソン対応メニューということもあり、全体的にボリュームが多いのですね。

例えば、来週2回のQデーは、1回目は100分ジョグとこれは「常識的」な練習なのですが、2回目の方はTペース1.6kmを3本走ったあとIペースで3分を3本、そしてそこでは終わらずとどめのRペース200mを6本と、一度の練習の中に3つの心拍ゾーンの練習が組み込まれている日があるのです(全てではないですが、どれも本数が多く、Mペース練も加わります)。

これを見てランマニアは直感的に「無理だな」と感じました。

前回のゴールドプログラムの時も、フェーズⅢは完遂できない練習が何度かありました。特にIペースの時間が伸びたり本数が増えたりすると、ランマニアの疲労には最も影響が出ることがわかりました(心理的にカバーできる時間を超えてしまう)。

しかし、これまでの練習の中で設定してきたTペースやIペースなどは実はランマニア的には少し無理のある速めのペースだったという事実があります。

ランマニアは基本的に練習中は多かれ少なかれ脚の疲労感を抱えたまま走らざるを得ない状態で練習を継続しています。これはもうある意味仕方がないことで、この疲労とうまく付き合っていかなければならないと諦めているのですが、問題はそれにより本来の生理的な機能が十分に発揮できず、VDOTなどの数値が実際よりも低く出てしまう難点があります。

例えば、ランマニアのVDOTでいうとTペースは3’30”/kmくらいなのですが、もしダニエルズさんの定義する「10km程度はもつペース」という努力度で走ってみると、だいたい3’25”/kmくらいのペースになってしまうのです(それでも脚の疲労がなければもっと速くなると思います)。

そうすると、多分生理学的には3’25”/kmの力はあるにもかかわらず、レースでは疲労の問題でタイムが伸びずVDOTが下がってしまっていると考え、練習では常に実際のVDOTよりも速めのペースで練習をしてしまっている、という実情がありました。

そして、今回のマラソンプログラムでは、これまでのメニューよりもQデーのボリュームが明らかに増えますので、おそらく今まで通りの調子で練習を続けていくと、疲労が一線を超えてしまい練習を継続できなくなると考えています。

そこで、今回のマラソンプログラムでは、思い切ってVDOT通りのペースで練習を行い、しっかりと求められている量をこなすように心がけてみることにしました。フルマラソンを走るにはどうしても絶対的な練習量は必要になってきますから、ペースを上げた結果距離が踏めなくなってしまっては元も子もないわけで。

確かに、Tペースでは3’30”/km、Iペースは3’15”/kmくらいというのは、ちょっと不安になるくらい余裕があるのですが、ここはあえて体に無理をさせず余裕を持たせて練習に取り組んだら体はどうなるのかを試してみようと思っています。

ゴールドプログラムで得られたもの

こんにちは,ランマニアです。

4月から4ヶ月にわたって継続してきたダニエルズさんの「体力向上のためのプログラム」。

そもそもこれを開始することになった経緯は,コロナ禍で大会が軒並み中止となり,しばらく練習にじっくり取り組める時間ができそうだったから,ということでした。

確かに改めて振り返ってみると,ランマニアの場合は9月10月はトレランやトラックレース,11月からはロードや駅伝,それが3月くらいまで続いて,また5月からトレランが始まる,という具合で,とにかく落ち着いてトレーニングを継続する生活をほとんど送れていなかったのですね。

それ以前に,ランマニアにとっては疲労との付き合い方が最大の課題ですから,本格的なトレーニングを積んで走力を着実に高めていく,という競技への取り組み方はもうできないものと思っていました。1000mのインターバルなんてよほど調子が良くなければ5本はできませんし,3本だってやっとの状態でしたから。

そんな背景があり,本来なら毎月のようにレースに出ているような時期に全くレースがない。逆にこれはこれまでしっかりと取り組めなかった練習に,もう一度向き合えるチャンスなのではないか,と思ったのですね。

そこでいつもお世話になっているダニエルズさんのトレーニング計画をもう一度読んでみたところ,そもそも本格的なトレーニングを開始する前の準備段階で行うと良い,という「体力向上プログラム」に目が止まりました。これは直感的なんですが,なんとなく,「これならやれそう」と感じるような内容だったんですね。

このプログラムには競技の経験値やレベルに応じて幾つかの段階があり,説明を読んでいると,どうやらランマニアは最もレベルの高い「ゴールドエリートプログラム」がちょうどいいことに気がつきます。「え,エリートかよ」って一瞬ひるみましたが,内容を見ていると,間のジョグのペースを抑えればギリギリ取り組めるのではないか,という本当にスレスレのラインでした。まあ,無理なら量を減らせばいいわけですし。

そんな経緯で始めたことのプログラム,もうその経過についてはこれまで何度も触れましたのでそちらを参照してもらえればと思いますが,では実際やってみて,「体は変わったのか?」これがとても大事ですよね。

フェーズⅠでは,4週目に右ふくらはぎに軽い痛みが出て大事をとってそこで終了。Rペース400mとTペース20分を週に一回ずつ繰り返す比較的軽めのフェーズ(走行距離も310km程度)であったにもかかわらず,ふくらはぎに来てしまったんですね。

次のフェーズⅡは,初めて全練習メニューを忠実にこなすことができました。これは自分でも驚きで,常に疲労状態を抱えていながらもどうにか1週間を回せるコツみたいなものが掴めたようにも思いました。そして何より大きかったのは,このサイクルで続けてもどこも足が痛まなかったことでしょう。このあたりからいわゆる「脚ができてきた」実感がわいてきました。

フェーズⅢはダニエルズさんが言うように,最もきついフェーズで,ランマニアの疲労状態では案の定全てをこなすことはできませんでした。特に,Hペース(きつペース)4分間を5本繰り返すインターバルはもうとにかく脚が動かなくなってしまい,久々に疲労によって練習をやめなければならない状態になりました。しかしそれでも,ようやく3週目で初めてこの4分H×5をやり切ることができたので,この時も体力がついたことを実感しましたし,疲労状態があってもこれをこなせるだけの回復力が身に付いたと感じました。

そしてフェーズⅣについては前回述べたとおり,フェーズⅡ以来のメニュー完遂でした。このフェーズは初めに内容を見た時から,今の体力ならそれほど苦労せずにやり切れるだろうと言うイメージは持てていました。

この「イメージをもてた」と言うのは,自分の中では結構重要だと思っていて,自分の「感覚」でこれはやれそうだ,このペースでは行けそうだ,と言うのが実感できるときは,実際にそうできてしまう,と言うのがこれまでもありました。詳しいことはわからないのですが,なんとなく,自分の身体的な状態について人間はある程度経験と照らし合わせて,大まかなイメージを持つことができる生き物なんじゃないかと,昔から思っていました。

この辺りのことを言葉にするのはとても難しいのですが,例えば,今日のインターバルを3分10秒で行け,と言われたときに,ああそれなら楽そうだ,と思える感覚や,3分05秒で行け,と言われると,いやそれはきついだろ,と感じる感覚。こう言うのは比較的ハードにトレーニングを積んでいる方ならなんとなくイメージできる感覚なのではないでしょうか。

そうやって色々と考えていると,結局,今自分の中で大きな変化があるとすればそうした「これくらいならやれそう」と言う練習の量なり質なりペースなりが,このプログラムを始める前よりも一段上に上がった気がするんですね。こう言うのを,もしわかりやすい言葉で表現するのなら「自信」に他ならないのかもしれません。

つまり,4ヶ月前と今が最も大きく違うのは「自信がついた」と言うことなのです。

なんだそれ!って思われそうですが,この「自信」と言うのは,何も「これだけの練習やったんだからもうフルで2時間30分切れんだろ」と言うような「根拠のない自信」みたいなものではなく,自分がイメージできるもののレベルが上がったと言う「経験からくる自信」なんですね。これは,最大の変化と言っても過言ではありません。

4ヶ月練習して変わったのはそんなことかよ,と思われそうなので,もう一つ明らかに変わったのは「脚が痛まなくなった」と言うことですね。これもランマニアにとっては非常に大きいことです。

確かに,ちょっと短距離ダッシュをやりすぎて右の臀部から二頭筋にかけてが今ものすごく痛いんですが,それ以外の,いわゆる「長距離ランナーがよく痛める場所」については毎日不安なく走れているのです。ふくらはぎとか足底筋とか。

フェーズⅢからⅣにかけての2ヶ月間は,IペースとTペースがバンバン入ってきて,これまでだったら確実にふくらはぎをやってもおかしくない状態でしたが,結局一度も「チクっ」と言う痛みは一度も出なかったです。

と言うより,こういう脚の状態になってみて初めて,これまではいかに脚ができていない状態でインターバルとかをガンガンやってしまっていたんだな,と今更ながら気がついたところです。

こうして振り返ると,このプログラムを通して得られたものは,「走れることをイメージできる自信」と「少々のことでは怪我をしない脚」だったようにも思えますね。

この辺りは,今後マラソンプログラムを開始したときにわかってくることでもありそうです。