10月振り返り

こんにちは、ランマニアです。

今回は恒例の月間振り返りですが、もう2日も過ぎてしまいました。

ちょっと時間が取れないので、簡単にグラフと結果だけ紹介します。

今月はトレイルが2回入ったため、それをロングジョグにしていた時に比べ30kmほど距離は減りました。

今月は週1でVO2Maxインターバルを軽めに取り入れ、ひと月ほど体に刺激を入れました。

4週目にはだいぶ体がこなれてきた印象で、呼吸が苦しいながらも、脚でぐいぐい押していける感覚が戻ってきました。

振り返ると、これが烏帽子のバーティカルに効いていた気もします。

一方で、週1のロングジョグを30kmくらいまで伸ばしていたのが、今月は2回トレイルに変更したので、走行距離としては「大の月」の割にだいぶ少なくなりました。

2度のトレイルでおおよそ30kmほど本来の距離から減ってしまったので、トレイルを入れずにロードジョグをしていれば370kmは超えていたと思います。

昨年、一度だけ400kmを超えた月がありましたので、370kmであればかなり走った月になったと思います。

とはいえ、走行時間としては30kmを走るのとさほど変わらない時間走り続けましたので、週にかけた負荷としては同じくらいだったと思います。

トレイル12%のうち三分の一は烏帽子なので、VO2域にも刺激は入ったと思います。

今月はVO2インターバルを取り入れたのに加え、最後の週末はバーティカルレースだったこともあり、最大強度としてはここ数ヶ月では最も高い強度で走った月になりました。

ここまで心拍数を上げることも、もう半年近く遠ざかっていたことから、今月は大きく体が変わるきっかけになる月になったと思います。

今月は345km。ようやく昨年度の体力強化期間並みに戻ってきました。

月間の走行距離としては345km程。昨年度の最も多かった時期に比べるとパッとしない距離ですが、トレイルを挟んだのと、ロングを30kmに増やしたことで、体にかかった負荷としては、昨年と遜色ないものだったと思います。

11月は、ここで距離を少し伸ばそうと考えています。

週末のロングはそのまま維持し、そこにMペースのロング走(と言ってもキロ4くらいで20kmほど)を平日に入れていこうと思っています。

一方で、絶対的スピードがかなり落ちた印象を受けているので、週の中で一日はジョグもせずWSだけを取り入れる日を設けてもいいかなと思っています。

烏帽子スカイラン バーティカルに参加してきました

こんにちは、ランマニアです。

さて、昨日はここのところ3年連続で出走している「烏帽子スカイラン」のバーティカルを走ってきました。

JSA(日本スカイランニング協会)公認のジャパンシリーズの第4戦でもあります。

今年は、去年ほぼコンプリートしてきたこのジャパンシリーズには「上田(VK、SKY)」「嬬恋(SKY)」に出走するにとどまり、今回の烏帽子(VK)を含めても、VK2戦、SKY2戦という結果になりました。

このジャパンシリーズはエリート部門で30位までに入ればポイントが加算され、そのポイント数で年間シリーズを競います。

このポイントを獲得する30位以内にコンスタントに入れるようになったのが昨年だったことから、今年はさらに上位を狙うべく、シーズン序盤からかなり高いモチベーションでスカイレースに取り組んできたのですね。

そうした中で、この烏帽子スカイランのVK部門は、今年で3回目の出場となりました。

登頂後は絶景が味わえる、これぞ「ザ・バーティカル」な烏帽子スカイラン

2年前の初出場時は、初めてジャパンシリーズでポイントがついたレースとして、自分にとっては相性の良いレースでした。

比較的走れる区間が多く、長距離のロードやトラックの実力が反映されやすいのがその要因だと思っています。

さて、そんな自身にとって好印象な烏帽子スカイランですが、去年は2分近く初回の記録を上回り、そろそろこのレースやバーティカル部門での記録更新も頭打ちになりそうな感覚を得ていました。

まして今年は、前半故障が長引き、まともな練習を継続できたのは直近三ヶ月。

強度の高いいわゆるQデーについても、昨年週2回取り入れていたところ、今年は週1で回せるようになったのがやっとと言う状態です。

そうした中でレース当日を迎えたこともあり、今回は2年前の記録を上まわれば良いくらいの心持ちでスタートすることになりました。

しかし、アップの時点で調子はかなり良く、スタート直後の急なロードを軽く走ってみても、かなりの力強さで脚が動き、軽々と登って行ける状態でした。

この時点で「今日はかなり調子がいいぞ」とかなり気持ちは高まってきたのでした。

そしてスタート。

案の定、初めの1.5kmほどのロード登りで、これまで経験したことのないような軽快な走りを体験することができました。

むしろ、これまでのレースでは、日々の練習の疲れやレース翌週の脚の重さが残っていたことがよくわかるほど、本来疲労のない状態というのはこう言う感覚なのか、と改めて知ることができました。

この脚の軽さと力強さはトレイルに入っても変わらず、呼吸は荒くなっていくものの、その呼吸の大きさのままぐいぐいと登山道を駆け上がっていくことができました。

この感覚は、去年の関所マラソンの感覚そのもの。

苦しいながらも脚で押していける感覚。

この感覚が得られると言うことは、有酸素能力のベースがしっかり積み上げられていて、その上にLTやVO2Maxがそこそこに高められ、それらがバランス良く調和されている状態。

かつ、疲労がしっかりと抜けている状態。

若干オーバーペース気味だろうなと自覚はありましたが、もうこうなるといくしかないな、と覚悟を決めました。

バーティカルとしては比較的なだらかなコースとはいえ、走るのが困難な急登も繰り返されます

レースタイムは大体60分強と言うことで、負荷としてはハーフマラソンに近い状態ということもあり、しんどさとしてはLTレベルを参考にしました。

しかし、トレイルの難しいところは、路面状況は常に変化し続け、特に登り勾配が後半に向けてどんどん急峻になっていことです。

これはロードレースでは決してあり得ないシチュエーションで、同じペースを維持しようとすれば、強度的にはビルドアップしていくことを意味しています。

なので急な登りはペースを抑えたり、いざとなれば歩くなりして強度を調整していくのですが、それでも乳酸の除去が間に合わなくなっていけば、自然と体の動きは制限されていきます。

そして多くの酸素を使ってエネルギー供給を賄わなければならなくなり、トレイルの終盤はほぼVO2Maxレベルの強度が歩きを挟みながら繰り返される状態になっていくのです。

このフェーズがバーティカルの最も苦しい区間で、今回は初めて酸欠に近い状態でゴールをする羽目になりました。

結局、序盤しっかりとLT程度の努力度を維持して、ぐいぐい押していける状態を意識していたものの、結局ラストの20分くらいは、追い込めるだけ追い込んだら歩き、歩いて回復したらまた追い込む、の繰り返しになりました。

毎年のことですが、山頂直下のラスト200mの岩場は地獄の苦しみでした。

山頂直下、ラスト200mは累積100mを一気に駆け上がる文字通りバーティカル(垂直)

しかし、今回、脚の疲労がほとんどなかったことで、この最終盤のフェーズでもなんとか脚は動きました。

いえ、もっと手前の登山道が急峻になってくる段階でも、苦しさの中でも脚だけはしっかりと動かすことができました。

今回、昨年よりも1分以上自己ベストを更新できた要因は、ここにあると考えています。

では、なぜ今年はここまで疲労のない状態でトレーニングを継続でき、レース当日を迎えることができたのでしょうか。

まず、最大の要因は、Qデーを週1にしていたこと。

これは、故障明けで体力がまだ十分に戻っておらず、とても週2回もQデーを入れるのは無理な状態でした。

なので、最低でも週1回は心拍数を上げて、それぞれのゾーンに刺激を入れ、少しでも体の適応を図る意識で練習を続けてきました。

結果的に、これくらいの練習でも、最低限の適応を見ることはできたと考えています。しかも、大きな疲労を溜めることなく。

もう一つの要因は、週1回のロングジョグを30km(時間にして150分超)に伸ばしたことです。

昨年は、週に2回のQデーがあったため、週末のロングは120分固定でした。疲労の状態から、とても120分を超える時間走るのは限界でした。

しかし今年はQデーが1日と言うことで、割と週末のロングに余裕が生まれ、30kmまで距離を伸ばしても、その後の1週間の練習を、疲労なく継続することができました。

この30kmのジョグを6週近く繰り返すことができました。ひと月でも割と体は変わってきますが、6週も続けたことで、だいぶ脚ができてきた(要は疲労しにくくなってきた)印象を感じていました。

その自覚は、実際正しかったようで、週1のQデーでの平均タイムも少しずつ上がり、今回のレースもかなり疲労が軽い状態で臨むことができました。

つまり、絶対的な練習強度の問題で疲労が軽減され、ロングジョグの取り組みによって疲労しにくい脚になったことで、相対的に疲労が軽減された、と言う状態が今回のPBの要因だったと思います。

トレーニング効果と疲労との関係は、過去に上田スカイレースで述べました。

こうした、疲労を溜めずに練習を継続できたことが、PBを出せた最大の要因だと思っています。

これはなにもトレイルに限ったことではなく、通常の長距離トレーニングであっても非常に重要な要素であると思うのですね。

私たちは、「強くなりたい」強烈な願望のもと毎日ハードなトレーニングを積んでしまいがちですが、実のところ重要なのは、「ハードなトレーニングを積むこと」よりも「疲労を溜めないこと」なのではないかと、今回ほど強く感じたことはありませんでした。

何せ、昨年よりも練習が全くできていないのですから(疲労しにくい脚を作り、疲労なく練習を継続できるスケジュールで練習を継続することこそが良い練習であるならば、今年の方が練習はできている)。

直近半年は、昨年同時期に比べ圧倒的に練習が足りてません。

今年度は、5月の上田、10月の烏帽子と、昨年度よりも練習が思うように積めていないにもかかわらず、昨年を上回るパフォーマンスを発揮することができました。

これは自分の中で、トレーニングに対する概念を大きく変える出来事になりました。

疲労が溜まらない程度のスケジュールを維持する

疲労しにくい脚を作ってから強度の高い練習を取り入れていく

この二つのポイントは、我々のような中高年ランナーには、こと重要な要素であると考えるに至りました。

ただし、今回初めて実戦投入した、サロモン「SENSE Pro」シリーズは相当な軽量シューズ+フォアフットが容易なトレイルシューズで、この恩恵を受けたことは否定できません。

あたかもロードシューズのような軽量さとフォアフットの反発性能は、膝下の足捌きを容易にし、バネの効く走りができたことは正直な感想です。PB1分更新のうち、30秒くらいは靴のおかげだったかもしれませんね。

継続するための工夫

こんにちは、ランマニアです。

本来、自身の本命としているフルマラソンのレースがない中、相変わらず練習だけはいつものペースで継続しているランマニアです。

よく、レースがないと練習を継続するモチベーションが低下するという話も聞きますが、自身の場合はあまりそういったことがなく、最近では練習自体が「趣味」みたいな感覚にもなってきています。

もともと走ることが好きでなければここまで(35年も)続けてこれないわけですし、レースの有無で練習が中座するようなら、こうしたコロナ禍でとっくに競技をやめているでしょう。

レースが無くなったこの2年間でも練習そのものへの興味や楽しさが失われないのは、やはりそもそも「走る」という行為そのものに楽しさを見出せているからだと思います。

とはいえ、そうしたメンタルな面とは裏腹に、体はもうかなりのおじさんなので「気持ち」だけで練習を継続できるほど甘くはありません。

実際、昨年の暮れに故障して以来、結局今年は7月あたりまでどこかに痛みを抱えたまま練習をする羽目になり、脚を気にせず走れるようになったのも、ここ数ヶ月の話です。

7月の下旬にジョグを再開してからだいたい三ヶ月になりますが、走っている感覚では、体がワンランク上の力を備えてきたかな、と思えるには、一つの能力にターゲットを絞った練習を最低でも一月は続けなければならない印象です。

具体的には、LTを強化したければ、それを目指したトレーニングを最低週1日は取り入れ、そのサイクルを約一ヶ月。

VO2Maxを戻したければ、同じくそれを週一で取り入れて一ヶ月は継続する。

そんな塩梅です。

そう考えますと、体が長距離ランナーとして一通りの力を身につけ、ある程度の強度で練習を継続できるようになるには、だいたい三ヶ月ほどが必要になるな、と今年の故障からの復帰でイメージできるようになりました。

いやいや、故障して練習から遠ざかっても、ひと月ほど毎週インターバルやればすぐに戻るだろう、そう考えていた時期もありました。

数年前までは、二、三週間故障で練習を休んでも、二週間ほどジョグをしたらもうそこからインターバルをやってレースの準備をしていたこともありました。

まあ、駅伝など自分の都合だけで走れないレースが続いている場合には、そうした戻し方も致し方ない点はありますが、これでは再び故障を繰り返すことは目に見えています。

今年は、2月以降走行距離が一気に減少し、強度の高い練習も半年近くできなくなったことから、1から体を作り直すことを意識して取り組みました。

その意識とは、先ほど言ったように、「ある能力へのアプローチは、同じサイクルで最低でも一ヶ月」というマイルールです。

先月のLTへのアプローチも、週1という結構少ない頻度であっても一月も続けるとだいぶ体が応答して走力・体力の向上が見られました。

同じく週一で入れていた30kmのジョグに関しても、3週目あたりからかなりの余裕度が見られるようになりました。

30km走れたから翌週は35km、というようにすぐに増やすのではなく、ある程度(自分の場合は一月程度)その練習を繰り返してから量や強度を上げていくというアプローチをとりました。

こうした取り組みをここまで約三ヶ月継続してきて、今体に明確な変化が見られるようになってきました。

最も大きな実感できる変化は、走行中の脚の「強靭さ」です。

路面から拾われる衝撃が明らかに伝わりにくくなりましたし、ジョグの最中でもかなり終盤まで脚のダメージを感じにくくなってきています。

また、最も大きな取り組みの一つが、ロングジョグと高強度練習の合間のジョグは全て「不整地」「芝」を走るようにしたことです。

いわゆる「平日のジョグ」をこれに変えてから、ふくらはぎのなんともいえない張りや刺すような痛みのようなものがほとんど出なくなったのには驚いています。

以前までのアスファルトのジョグが、如何に脚にとって危険な練習であったか再認識しているところです。

さて、とは言えこうした練習をいつまで続けるか、という話になりますが、今のところ12月あたりに一度トラックレースか10km程度のロードレースに出ることを考えていて、大きなレースとしては来年の4月、長野マラソンあたりを目指そうかと考えています。

ここのところの地方マラソンの開催具合(実際にはまだですが)を見ていますと、「長野ならやってくれそう」な印象を抱いています。

まだまだ時間はありますし、もう一段階練習のボリュームを増やす余裕もありそうです。

さすがにここまでレースから遠ざかっていると、フルマラソンを走り切るだけでもかなり不安がありますが、今はまだフルを走るには練習の絶対的な量が不足している段階なので、徐々にマラソン仕様の練習を重ねて自信をつけたいと思っています。

9月振り返り

こんにちは、ランマニアです。

少し遅くなりましたが、9月の練習を振り返ろうと思います。

8月は、久しぶりに一月を通じて安定した練習を積むことができ、月間距離で言えば300kmを約半年ぶりに超えた月でした。

今年はほぼ半年間故障を繰り返して、ここまでまとまった練習が積めたのは、おそらく今年初であったと思います。

8月は月300kmを超える程度のボリュームを維持しつつ、週1で短めのレペティションを本当に軽く入れた程度の一ヶ月になりました。

そして、9月はその辺りのボリュームは維持しつつ、今月は閾値ペースで走る練習を入れ、かなり衰えてしまったLTを元に戻す目的で練習を組み立てました。

週1回、計4回のLTインターバルをこなすことができました。

週1回のペースで、合計疾走時間が最低20分に達する程度のLTインターバル(クルーズインターバル)を行いました。

9月8日に約半年ぶりにこの速度域で走りましたが、その時は3分40秒を切るのが精一杯で、走力の衰えに愕然としましたね。

それでも、急に元通りに戻るわけはないと開き直り、遅いなりに最低20分間は走ろうと、無理なく継続しました。

その結果、2週目、3週目と回を重ねるごとに、平均ペースも目に見えて速くなり、9月28日の4回目にはついに同じ努力度で3分20秒台で1.6kmを走り続けられるようになりました。

去年順調に走れていた時のLTペースが大体これくらいでしたので、事実上この速度域の力は戻ってきたように感じています。

今月は、このクルーズインターバルの日は週1回とそれほど多い頻度ではなく、かつペースも3分30秒を大きく上回るペースで行い、1回の練習でも合計6.4kmほどの疾走距離でしたから、特に無理をした感じはありませんでした。

にもかかわらず、約ひと月で狙ったゾーンの走力をある程度回復させることができました。

かつて自分が一度身につけた走力に戻すくらいの練習であれば、その速度域の練習をそれほど無理に詰め込んだりペースを上げたりすることをせずとも、十分目的は達成できることが改めてわかりました。

トータルで24kmほどの走行距離となったLTペース

全体の走行距離326kmに対して、LTペースは24kmほどです。これくらいの負荷でも体は十分応答してくれることがわかりました。

もちろん、あくまで「以前の自分」に戻すまで、という条件ではありますが。

しかし、ここからステップアップするにはまずは一度身につけたものを取り戻さなければならないわけで、そのステップを端折っていきなりPBを狙おうなどという行為は、即故障に直結します。

8月も9月もそうでしたが、練習は常に物足りないくらいがちょうどよく、それが1回の練習の効果よりも遥かに効果をもたらす「練習の継続性」につながるのですね。

月間走行距離は七ヶ月ぶりに二ヶ月連続300km越えです。

さて、どうにか二ヶ月継続でき、次なる目標ですが、今月はいよいよVO2Max域への刺激を少し入れたようと思っています。

ランマニア的には(多くの人がそうかもしれませんが)最も心理的にキツく感じる練習です。

LTペースは(LT2であっても)、ダニエルズさんの言葉を借りれば「快適なキツさ」の範囲で練習を行うことができ、練習前は憂鬱でも始めて仕舞えば思ったよりも気持ちよく走れるのですが、VO2Maxペースでは、走行中の苦しさはそこそこなものになります。

特に、仕事を終えた後にこれをやるのは本当にメンタルがきつい。

とはいえ、いつかはこのペースで走って体を適応させなければトータルで考えた走力は間違いなく伸びてこないですので、そろそろ一度体にスイッチを入れなければなりません。

ただ、9月と同様、あくまで「体にきっかけを与える」だけに過ぎず、無理に本数を追ったり、数字的なIペース(VO2Maxペース)を厳密に守ったりするのではなく、自身のキツさを頼りに「だいたいのIペース」で走れれば十分と考えています。

その方が練習が嫌になりませんし、効果という面でも十分なものが得られると思っています。

休む期間より休むタイミング

こんにちは、ランマニアです。

さて、Twitter上ではここのところレースの調整法についてが話題です。

特に「前日1000m×1」についてとても盛り上がっていて、かつてランマニアも「これをやらなきゃレースは迎えられない」、とまで盲信していた時期があっただけに、大変興味深く見させてもらっています。

レースの調整法については、おそらくランナーそれぞれのタイプや経験から様々なパターンがあると思われ、それらは皆それぞれのランナーに適したものとなっているでしょうから、これは正解、これは間違い、みたいなものはないと思っています。

というのも、自分自身に置き換えてみると、ランマニアの調整法はかなり特殊であり、ここにたどり着くために相当な年月を要したからですね。

今回は、ランマニア自身が最終的に行き着いたレースの調整法を簡単に紹介したいと思います。

まず、大前提として、ランマニアの場合はもともと抱えている持病のような慢性疲労症状がレースの成否に大きく影響してくる、というものがあります。

この疲労が抑えられている時と、悪化してしまった時とでは記録に大変な差が生まれてしまうのですね(フルでいうならば、PBに近い走りができたと思うと、20kmで棄権してしまう時もある、くらいの落差)。

なので、この疲労症状をどうコントロールするかが非常に重要な鍵を握っています。

以前、まだこの辺りを自分自身でうまく制御できていなかった時期には、レース1週間前まで通常通りそこそこハードな練習を積み、1週間前の週末に思い切って2連休でしっかり休む。その後、1週間は軽めに練習してレースを迎える。というパターンで臨んでいました。

しかし、このスケジュールで調整をしようとしたところ、1週間前の2連休で体を休ませることで「頭が休みモード」に入ってしまい、体全体が一種の「休眠モード」のような状態になってしまうのですね。

こうなると、体はもう完全に休養期間に入ってしまうので、数日から1週間ほどは体がだるく走っていても脚が重くて仕方がない状態になってしまいます。

そしてその状態のまま週末のレースを迎えてしまい、せっかくいい練習を積めてきても全くレースで走れないという経験を数多く重ねてきました。

ところが、この1週間前の休養は、そのレースの後徐々に効果を現し始めます。

経験上、大体レースの翌週から2週後あたりにピークが来てものすごく調子が良くなってくる印象です。

そこで、この経験から、練習の疲労を抜くタイミングを思い切ってレースの3週前からひと月前くらいにシフトして、一旦体を完全に休眠状態に落とし、そこでしっかりと休養期間を入れてからレースまでの残りの期間で徐々に調子を上げていく、というパターンに変更してみました。

この調整方法は、ほぼ確実に成功するようになり、特にフルのような体への負荷の非常に高いレースの場合ほど効果が高いように思えました。

数年前に、ほぼ毎年フルでPBが出るようになった頃、この調整方法で大体うまくいっていました。

フルマラソンを走るためのトレーニングは、ただでさえ体には大きな負担がかかっているので、疲労症状が出やすい自分のような場合は、トレーニングの疲労が想像以上に大きくなってしまうのですね。

それを一旦リセットするには、1週間前では到底間に合わず、できればひと月ほどはその期間を確保したいところです。

なので、本当に狙ったレースに向けて調整する際の、まず絶対に守らなければならないマイルールは、この「一ヶ月前には確実に疲労を一旦抜いておく」というものがあります。

これらを踏まえて、レース直前までの練習内容は、大体以下のようなものになります。

一ヶ月前までに能力を向上させるためのトレーニングは大体終えておく

一ヶ月前に、一旦3〜4連休を入れて体を「休眠モード」に入れる

3週前からジョグを再開

2週前はLTやMペース、VO2ペースの練習を適度に織り交ぜて軽く負荷をかける

最後の1週間はジョグが中心(60分まで)、頻度は3回から4回

レース3日前に、目指すレースのレースペースで1000mを走り疲労度を確認(設定ペースで楽に入れれば問題なし)

前日は絶対レスト(もちろん1000m×1などは一切やらない)

前日1000m×1をやらなくなってもう15年近くになり、ここ10年は練習すらしてないですが、大体その時のベストのパフォーマンスは発揮できていますね。

むしろ、何もしないのが一番調子がいいです。

とはいえ、ここ2年はフルマラソンが全く開催されず、こうしたピーキングをやる機会すらないので、こうやってまとめながら「そういえば、疲労と折り合いをつけるのに苦労してたな」と懐かしくなるほど、レースから遠ざかってしまいましたね。

ボストン買いました。ただし9。

こんにちは、ランマニアです。

さて、今日は久しぶりにシューズレビューです。

8月に入りようやく故障も完治し、どこも痛くない状態で練習を続けられることになり、久しぶりにジョグではない、ペースを上げた練習を取り入れられるようになってきました。

8月は主に短距離をRペースで走る機会を設け、9月はLT域のペースを重点的に取り入れるようにしています。

このLTペースでの練習は、これまでアディゼロジャパン5を履いてきたのですが、この半年の走力の低下からLTペースが以前のマラソンペース(Mペース)ほどに落ちてきてしまっていることから、9月の1回目は去年Mペース走で多用していたアディゼロボストン8で走ってみました。

このボストン8は、かつてのアディゼロジャパン的な立ち位置で、そこそこの軽量さとそこそこのクッション性能、そしてそこそこの反発力という、ランマニアの大好きな「全部中途半端な」靴だったのですね。

しかし先日この靴を履いてLTペース(去年のMペースくらいのスピード)で走ってみたところ、前足部のクッション性が相当に低下していることに気づき、これは危険と判断し新品と入れ替えたのでした。

購入したのはボストン8の後継モデル、ボストン9です。

懐かしのboostフォームが誇らしげな旧世代のアディゼロシリーズ末裔

Amazonさんでなんと破格の6500円ポッキリ

愛用していたアディゼロジャパンシリーズも、ずっとこの値段でした。

実は、このボストンシリーズも、ジャパンシリーズも(もっと言えばタクミセンシリーズも)、現行モデルでは大幅なモデル再編が行われていて、これまでのシリーズの位置付けとは全く別物になってしまっているのですね。

ビジネス的には致し方ない流れだと思いますが、アディダスにも「厚底化」「炭素化」の流れが到来し、主力商品は全てカーボン入り、厚底化がなされてしまいました。

そして、おそらく商品力の高かったボストンがかつての人気商品であるジャパンシリーズよりも、より高性能化、レース向けに入れ替わり、値段と性能のバランス的に最も売れ筋モデルに位置付けられた点が大変興味深いです。(ジャパンの人気が落ちたのは、アディダス自身がジャパンのコンセプトを変えてしまったからなんですけどね)

言ってみればボストンのネームバリューが上がり(ジャパン化させたことで)、ブランディングに成功したということでしょう。昔からのボストンを知る私からするとずいぶん出世したなぁ、と(笑)。

さて、そんなアディゼロシリーズですが、まあとにかく「お高いんでしょう?」なラインナップになってしまい、そんなにポンポンと2万も3万もする靴を買うわけにはいかないランマニアは、いにしえのアディゼロシリーズの末裔、ボストン9がいまだAmazonさんで売られているのを知り、買えなくなる前に「抑えて」おいたのですね。

では、この9は8からどの程度進化(変化)しているのでしょうか?

まずは気になる重さは。

見えにくいですが、8が237g
9が234.5g

と、僅かに9が軽量化されていますね(同じ27.0cm)。ただ、ほぼ誤差の範囲。

続いてアウト、ミッドソール。

boostフォームとLIGHTSTRIKEフォームのバランスは全く変わらず
底面も全く同じ。

はい、つまり履いて走れば地面からのフィードバックは全く一緒ということですね。

続いてアッパー部分。

最も大きな変化はこのシュータン部分。8からすでにアッパー部分と一体化しましたが、9ではよりフィット性が高められています。

ヒール部の処理もかなり変わっています。
メッシュ素材も変更され、軽量化に影響しているのかもしれません。

というように、8から9で最も大きく変更されたのはアッパー部分ですね。

特に、履き心地に関する点としては、アッパーと一体化したシュータン部分の素材がソックスのようになり、フィット性が高められている点です。

これは変更されたメッシュ部分と合わせて、だいぶ快適に走れる進化なのではないかと期待大です。

まだ実際に履いて走ってはないので、具体的な履き心地はわかりませんが、8の素性の良さを考えれば、そうそうハズレはないだろうなと。

ちなみに、発売時よりずっと忘れられない気になる「あの子」はと言えば、

だいぶ安くなってきたとはいえ、いまだ12000円近いプライスタグが。

そして値段以上に「厚底」+「カーボン」がね。

おじさん的には、もう少し抵抗してみようと思います。

ジョグが遅すぎる人

こんにちは、ランマニアです。

さて、今日は毎回Twitterに上げている練習記録ですが、そのペースが遅過ぎる件について。

古くからブログを読んでいただいている僅かな方々はご存知だと思いますが、ランマニアは少し通常のランナーとは違った事情を抱えていて、それが競技に対して相当に影響しているという現状があります。

簡単に言えば、学生時代に発症した慢性疲労症状がほぼ完治しない体になってしまい、その症状の軽重によってパフォーマンスが大きく変動する、というものです。

疲労がそこそこ抜けて体が軽い時にはそれなりのタイムで走れるのですが、少し負荷の高い練習を続けてしまった時などに疲労が一気に溜まると、途端に信じられないほどパフォーマンスが低下してしまいます。

一例を挙げると、直近では昨年末に走った「川内杯栗橋関所マラソン」の10kmでは、非公認ながら33分45秒と、そこそこのタイムで走ることができました。

言ってみれば、この辺りがここ数年のベンチマークとして妥当なところだろうと思います。

単純にこのタイムをダニエルズさんのVDOTに当て嵌めますと、だいたい63前後になります。同年の5000mは16分11秒というのがあり、これでも64に行くかどうか。

まあ、この辺りに自身の持久的能力の壁がありそうです。

そこで、このVDOT64とか63で例えば「Eペース」を参照してみますと、3’59”〜4’34”/kmという恐ろしいペースが弾き出されます。

いくらダニエルズさんのEペースが速いと言ったって、これはランマニアにとっては衝撃的なペースです。

ここで白状すると、いつもランマニアがTwitterで報告している「Eランニング」のペースは、通常1km5分を普通に超えるペースです。

はい、Eペース詐欺ですね。

この要因の一つは、最初に述べた疲労症状の影響が大きく、通常の鍛錬期における練習内容では、普段の疲労症状がかなり大きくなり、本来の「VDOT」レベルを発揮することができなくなるからなんですね。

疲労がすっかり抜けて、疲労症状が限りなく少ない時などは、ジョグの終盤に軽々1km4分30秒くらいで巡航できることはあります。これはかなり稀なことですが。

なので、このVDOTの数値とペースは、多少のずれはあるものの、だいたい自分の持久的能力をうまく表していると考えています。

一方で、そこそこハードな練習を積んで疲労を抱えた状態で普段のジョグを行おうとしても、とてもじゃないですが1km4分30秒の平均ペースで走るなどということは不可能です。

不可能どころか、脚の動きが悪い状態なのでおそらく故障に繋がるものと思います。

ランマニアの場合は、疲労がある時とない時との差がとても大きいので、練習による疲労が大きい通常の鍛錬期はVDOTをほとんど無視して走らなければならなくなるのですね。

ですが、その疲労症状さえなければ、おそらくかなりVDOTに沿ったペースを維持できていると考えられることから、その低下分を差し引いて、キロ5分ちょいで走れた時でも「Eランニング」と定義しています。

しかし、そうした「安定的な」疲労症状よりも、さらに強い疲労が襲う場合があります。

レースの数日後とかハードな練習を立て続けにこなしてしまった後など。

こうした際には、5000mや10000mのタイムからは信じられないほどのジョグのペース、キロ7分近くから入り、ジョグ終了の時点でも6分をようやく切れるくらいのペースになってしまうことが稀にあります。

こんな時は、もはや「Eペース」などとは口が裂けても言えないので、単なる「ジョギング」、「J」の表記にしています。

このような背景から、とにかく社会人になってからは「ジョグが遅すぎる人」として仲間内では有名になっていて、たまに合同練習などで数人でアップをしようものならフツーに追いていかれるのですね。

5000mをそのタイムで走っておきながら、なぜそのアップ?と周囲からは苦笑されます。

まあ、自分自身の中では「アップで温存して、本番で全エネルギーを出し切る」というのが鉄則になっているので、このスタイルがベストなんですけどね。

8月振り返り

こんにちは、ランマニアです。

暑さの中でどこまで安定的に走れるかが鍵となった8月ですが、久しぶりに故障もない状態で一ヶ月をしっかり走り切ることができました。

今月は、距離を踏むジョグを中心に据えながらも、週一で体に速い動きを思い出させたり、心拍数を上げたりする短めのレペティションを取り入れながら基礎体力を戻していく月間にしました。

今日、豪雨と気温低下で久しぶりに「暑さ」が影響しない練習を経験しましたが、昨日までの脚のだるさを考えると、これは相当に暑さがパフォーマンスに影響していたな、と改めて実感しました。

なので、ジョグが中心とはいえ、この一ヶ月は結構厳しい練習を積んだ印象が残っていたのですね。実際には大した練習ではないのですが。

さて、今月は当然ここ数ヶ月では最も走行距離が伸び、今年1月以来の久々の月間300km超え(350km超え)を達成したことについてはそれなりに達成感はあるのですが、個人的に最も手応えを感じたのは、1週間の同程度(の負荷)の練習サイクルを約5週繰り返すことができたことでした。

週80km程度の走行距離の中に、週1回比較的強度の高いレペティションを取り入れつつ、この負荷を5週間継続できたことが、最も大きな成果でした(心理的にも自信を持てたし、走行中の脚へ伝わる衝撃もだいぶ軽くなり脚の強靭さを実感できるようになってきた)。

週80km程度のサイクルの中にレペを取り入れた週を5回繰り返せました

この一月で最も大きな変化を感じたのは、一回の練習で距離が伸びてもその練習が楽に感じるようになった、というのではなく、少し高めの負荷をかけた後にもそれほど疲労が残らず練習を継続できるようになってきたことです。

まあ、簡単に言えば「疲れにくく回復しやすい脚になった」ことですね。

これにより、例えば400mのレペが入ったとしても、その週にロングを入れられたり、逆にロングを入れた後にも強度を上げたレペができるようになったり、そんな効果を体感できました。

数ヶ月ぶりにRペースの練習を継続することができました

そして振り返ると、7月下旬に練習を再開してから、疲れ方や回復の度合いが明らかに改善された実感を得られたのは、8月も下旬に入ってからでした。

つまり、1度や2度長いジョグを入れたり、久しぶりに速いスピードで走ってみても、そうそう体が戻ることはなく、やはり一月からそれ以上の時間は必要であることがわかります。

改めて「時間をかけて衰えた力は、時間をかけて戻すしかない」ことを実感したところです。

今年1月以来の月間350km超え。

そして「時間をかける」というのも、それなりの練習(90分や120分のジョグを織り交ぜつつ)を繰り返しながら継続する、という条件も付け加えます。

90分以上のジョグとなると、1度の練習でかなりの疲労が残ります。脚へのダメージも自分が思っている以上に大きいものがあります。

そうした練習を入れながらも、長い休みを必要としないほどの回復力を身につけ、また次の練習を継続できる体を手に入れなければ「時間をかける」ことすらできなくなります。

今月は久しぶりにこのように速やかに回復していく体を実感し、「練習を継続できる体」というものがどのような感覚だったかを思い出すことができました。

8月にここまで走れてしまうと、9月はさらにステップアップして400km、と行きたいところですが、これまで300kmすら走れていなかった体が、突然350kmを超えてきましたので、ここはあまり欲張らず(30日しかありませんし)、もう一度350km程度を目安にするのでちょうどいいと思っています。

ただ、9月はレペのような高い強度の練習は一旦中止し、今度はやや強度の低めのLTレベルの練習を取り入れていき、持久的能力のベースを固めていこうと思います。

今日の満足感か、未来の達成感か

こんにちは、ランマニアです。

さて、故障がちだった今シーズン前半は思い通りの練習ができず、何かとフラストレーションが溜まる毎日が続いていました。

そうした中、ここへきてようやく日々「練習できるのが当たり前」の日常が戻ってきて、なんだか最近は「毎日走れるだけでも十分」な、随分安上がりな自分になりつつあります。

とはいえ、ジョグを中心に据えながらも、徐々に走れるようになっていく体と対話をしているうちに「やっぱりスピードを上げたい!」と言う欲が出てくるのですね。

7月は軽いジョグで済ませ「走ることに体を慣らす」ことを念頭に置き、8月は引き続き長く走ることに体を慣らす一方、時には心拍数を上げ、体に対して「もっと負荷のかかる日常が来るぞ」と適応を呼びかける機会にしようと思っていました。

こうした体へ「変化のスイッチ」を起動させればいいだけなので、特にガチガチなインターバルや閾値走を入れると言うよりは、短い距離を少し速いペースで走り「ハアハア」と息が上がる機会を定期的に取り入れようと試みました。

それが、8月に入ってから始めた週1回のショートレペ(200m〜400m)ですね。

第1週は試しに8本ほど入れてみたのですが、驚くほどこのスピードに脚が慣れてなく(たかだかキロ3ペースですよ、たった200mで)、自分自身の劣化具合に愕然としました。

もちろん、1本や2本そのペースで走る分にはなんともないのですが、4本、5本と本数を重ねていくうちにいわゆる「脚が止まって」、呼吸も苦しくなりました。

おいおい、キロ3ペースで200mを4、5本だぞ、となんとも情けない気持ちになったのですが、よくよく考えれば半年以上もこうしたペースが封印されていたわけですから、自分自身がただの「ジョギングおじさん」になってしまっていることを認めなければならないきっかけにはなりました。

ただ、こんなおじさんでも一度こうした「刺激」が入ると、ちゃんと体は応えてくれるのですね。

翌週はトラックでしたが、同じく200mをもう10本軽快に走れるようにはなりました。もちろん、終盤は努力度も増し、それなりに脚は止まりかけましたが、一歩一歩力強く地面を蹴り進め、ギリギリフォームも崩れない程度にこなすことができました。

そして今日は、このショートレペティションの3回目。今回はいつもの200mではなく、400mのレペにしてみました。

目的としては、これまでのように絶対的スピードを高めて(と言ったって自分にとってはたかだかキロ3ペースですが)、神経系と筋の連携、筋の収縮速度、高い心拍数を維持する、と言うよりは、1分以上VO2よりは速いペースを維持して、無酸素系のエネルギー供給系が優位な状態でしばらく走る、ということを目指しました。

これは、いずれLTペースやVO2ペースでの、ちょっときつい練習を入れなければならない時が来るまでに、体に「生活の中にこういうことも入ってくるんだぞ」と働きかけ、体に「変化のスイッチ」を起動させるためなのですね。

前述したとおり、今回は故障期間があまりにも長く続いたことで、気持ちは「ガチなアスリート」でも、体は「ジョグおじさん」なのです。

気持ちとしてはまた以前のような3分Iペースを5本とか、LT走をトータル8kmとかを今すぐにでもやりたいと思うのですが、今の体の回復力や筋力では「即故障」になるのは目に見えています。

今はとにかく、軽い練習でもそれを確実にこなし、一定期間継続していくことが重要だと思っています。

ところで、今日の練習では当初400mを10本ほど走ってみようかなと思っていました。

前回の200mの感じでは、一本を400mに伸ばしても10本くらいはいけそうな感覚だったのです。

しかし、ちょっとここのところの疲れもあり、脚の動きも悪く、またその状態で無理にペースを維持しようとするものですから、ふくらはぎにも負担がかかってきてしまったので、まだまだ余裕のある5本で練習を切り上げました。

10本の予定が5本で終了ですから、これは相当な「敗北感」ですね。

しかし、過去のブログでも何度も書いてきたように、練習の最終目的は「持久的パフォーマンスを向上させること」にあり、ひいてはレースを走って記録として残すことにあります。

今日の練習を予定通りこなして一時的な「満足感」を得るためではないのですね。(いえ、そのために走ってる人はそれでいいのですが)

いわば「今日の満足感ではなく、未来の達成感」を目標に日々の練習に取り組んでいるわけで。

これも何度か書いてきましたが、本当に長距離という競技は「満足の遅延」「遅延的な報酬」を意識しないと、決して続かない競技だと思っています。(その中にも、軽快にスピードを感じられる楽しさ、気持ちよさ、そんな「目先の満足」も見出すこともできるのですが)

今日の練習、400mを10本こなせば、間違いなく充実感でいっぱいになる。その後の飯も美味いに決まっている。ドヤ顔でツイートもできる(笑)。

それはわかってるのですが、もしその代償として再び故障を誘発し、しばらく練習から遠ざかる羽目になり、積み上げてきたものがまたリセットされると思うと、「今日の満足感」などどうでも良くなるのですね。

学生時代になかった考えとしては、練習は今日1日のそのメニューで考えるのではなく、昨日からの疲労や明日のメニューへの継続性、もっと言うと一週間、さらには一ヶ月単位でどう続けていくか、と言うことまで考えて取り組まなければならないということです。

昨日のジョグを90分でやめたのも、今日の400mを5本でやめたのも、全ては明日のため。次の一週間のため。最終的には8月の一ヶ月をトータルとして考えるため。

なぜなら、トレーニングによって体が変化していくには数週間から数ヶ月を要するからなのですね。

今日1000m×5やったから5000mのタイムがさらに縮まった!って言うのは、はるか昔中学高校の頃の話。

時間をかけて失ったものは、時間をかけて取り戻すしかないんですね。

後ろにつくか、前に出て引っ張るか

こんにちは、ランマニアです。

さて、色々と盛り上がった東京五輪も終わってしまいました。

とにかく今年は日本人の活躍もさることながら、どの種目でも大記録続出で、陸上に携わってる我々にとってはたまらない毎日でしたね。

長距離を専門としているランマニアにとっては、もう当然、3000m障害から始まり女子1500m、10000m、フルマラソンと日本人の中長距離種目での活躍に刺激を受けたのですが、実は一点、男子4×100mリレーのバトンミスに関してちょっとしたエピソードを思い出すきっかけがあったのですね。

これはSNSへの書き込みで思い出したのですが、高校時代に母校のリレーチームがその年部内で唯一インターハイ出場を果たしたのですが、当時2走を走った同級生が、今回の日本チームと全く同じバトンミスをおかしてしまったということがありました。

日本チームのバトンミスを見ているときには全く思い出せなかったのですが、あの日にたまたま同級生が別のSNSに「俺もこれやったんよ」と書き込んであり、「そういえば!」と思い出したのですね。

いや、インターハイの大舞台ですから。しかも4人の中では最年少の同級生が、このリレーを最後に引退する3年生3人の思いを背負ってしまったのですから、これは相当しんどかったものと思います。

オリンピックとは舞台の規模やレベルが全く違いますが、やっている本人にとっての「重さ」みたいなものは、今回のリレーメンバーも高校時代の彼も、おそらく変わらないものがあったと思いますね。

さて、そんな懐かしいエピソードを思い出すきっかけにもなった東京オリンピックですが、今回中長距離種目を一通り見ていて、ある一つのテーマがずっと自分の中で引っかかっていました。

これはもう、最初の3000m障害から最後のマラソンまでどの種目でも議論されるテーマだったと思うのですが、我々中長距離に取り組んでいれば多かれ少なかれ考えることのある「ペース配分」についてです。

もっと言えば、「引っ張るか」「後ろにつくか」にも関係することですね。

ランマニア自身の経験からいえば、ランマニアはもう圧倒的に「後ろにつく」タイプのランナーで、これは高校時代以降成功した(あるいはベスト記録が出た)レースの9割以上は「人の後ろについて」走ったレースです。

なので、これまで様々な世界大会で日本人選手が自らの力もかえりみず、いきなり先頭を引っ張ったり、実力不相応なペースで集団を掻き乱したりして、最終的には下位に沈む例を見ながら「なんで一流の力を持ちながら、こんな初歩的なミスをするんだろう」と首を傾げていたのですね。

また、テレビ中継の解説者も「いや、このチャレンジは素晴らしかった。この心意気は必ず次につながります」とか言っているのを見て、「は?目標としているレースなんだから次も何もないでしょう」と突っ込んでいたものです。(実際「次」があったランナーはほとんどいない)

しかし、今回のオリンピックを見ながら、これまでの自分の信じてきたことが少し揺らぎ始めました。

長距離種目は「絶対に人の後ろについて走った方が好記録が出る」という自分の中における確固たる信念があったのですが、今回のオリンピックではこれを覆す場面に幾度も遭遇したのですね。

3000m障害の三浦選手、1500mの田中選手、5000m、10000mの廣中選手は、すべてこのオリンピックで自己ベスト(日本記録、廣中選手は5000mのみ)を叩き出したのですが、3人ともレース中必ず一度は「先頭を」引っ張っていました。

走ることに限らず、自転車でも車でも、空気抵抗の関係で確実に前に選手がいた方が省エネで同じペースを維持することができます。

なので、同じペースを維持するなら間違いなく「何かの後ろ」にいた方が有利なわけです。

しかし、今回のこの3人の選手は、レース中「そこそこの」時間先頭を走り続けました。

正直、レースを見ながら「なんで出ちゃうかなぁ」と疑問に思ったのは事実です。

ところが、その後メダリスト級の選手がペースアップをして抜かれてしまっても、最後までペースが急激に落ちることなく、全選手が自己ベストを出して終えることができました(全員日本記録)。

で、これらの結果を見て、素人なりに色々考えてみました。

その結果、後ろにつく、前に出る、という議論ではなく、そもそも自身の持つ能力から逆算して得られる「ペース配分」の問題なのではないかと推測したのですね。

ここで、話をわかりやすくするために、3000mを9分ちょうどで走り切るレースを考えてみます。この人のこの時点での自己ベストが9分ちょうどだという仮定です。

まず、この人が3000mを9分ちょうどで走り切れるギリギリのペース、この人の持久的能力で3000mまでギリギリ持つ程度のイーブンペースで走ってみると、以下のようになります。

イーブンペースで9分ちょうど

ランマニアも経験ありますが、実際このパターンで自己ベストを出したことが何度かあります。実は実際のレースでこれをやると結構きつんですけどね。

次は、序盤やや抑え気味で入り余力があり、終盤ペースアップして9分ちょうどでゴールするパターン。

序盤の温存が後半効いてくるパターン

このパターンで自己ベストを出したこともあります。ラスト1kmは自己ベストへの執念で、ほぼ「気持ち」で持っていった状態です。

実際、人の後ろについて前半温存し、後半ペースアップした集団にできるだけついていって最後のスパートで滑り込む、というこのようなパターンは結構あるのではないかと考えています。

個人的には、記録を出すならこれでもいいんじゃないか、と思っているくらいです。

しかし、今回注目したのが以下のパターンです。これはオリンピックや順位だけが目的になるレースなどでよくみられる「序盤は自重して抑えに抑える」パターンですね。

ちょっと極端ですが、ケニヤ勢なんかはこのパターンもありそう。

ケニヤ勢の10000mなんかでは、最後の1kmだけとんでもペースになるのが見受けられますが、順位狙いだと極端な例ですがこのパターンはよくあると思います。

ここで注目したいのが、色をつけた最後の1kmです。

最初の入りを抑えに抑えたので、同じ自己ベスト9分ちょうどを出すためには、最後の1kmを2分45秒でいかなければならなくなりました。

どうでしょう、3000mを9分ちょうどで走るような選手にとって、レースの終盤に1000mを2分45秒で走るということは可能でしょうか。

一つ前のパターンにある2分50秒ですら、実力的にはかなりギリギリなはずです。そのような選手が、レース終盤に2分45秒で1kmをまとめるというのは、おそらく不可能なことだと考えます。

そう考えると、例えば先頭を走ると体力を消耗すると考えて、レースの序盤は極端なスローペースにも関わらず、選手の後ろについて走ってしまった場合、このように自分の持つ持久的能力では取り返し不可能な「借金」が生じてしまう可能性があります。

いくら体力を温存できたとしても、本人の持つ絶対的な持久的能力(VO2MaxやLT)の限界から、自己ベストを出すために必要なペースで走ることは不可能な状態になってしまう、という状況が生じてしまいます。

さらに、以下のようなパターンもあります。

いわゆるペースの上げ下げ、揺さぶり。

最初はそこそこのペースで1kmを入ったのですが、集団が落ち着いたらみんなが牽制しあって極端にペースダウン。しかし、その後実力のある選手が揺さぶりをかけて急激にペースアップ。

この例では、3分10秒のペースが一気に2分50秒になったことで、最終的に9分ちょうどに収まる設定です。

しかしこれもどうでしょう。

先程の2分45秒にペースアップでも同じことがいえますが、ここでも1kmあたり一気に20秒ものペースアップがあります。

残り1kmになった時点でいきなりキロあたり20秒のペースアップは物理的に不可能ですから、どんなに速い選手でも徐々に加速をしていきますね。

この「加速」をする時がとても重大なフェーズだと考えています。

上の図ではピンクの矢印で表していますが、ペースを上げる際には、どうしても自身の持久的能力を超えたエネルギーを使う必要が出てきます。

おそらく、3分00秒、3分00秒、と同じペースで2kmを走っていれば使わなかったであろうエネルギー供給系を多く使ってしまい(もちろんその後の2分50秒ペースでも)、多分、9分でゴールするにはエネルギー供給が足りない状態になってしまっているはずです。

このようにして考えてみますと、後半の2例については、おそらく事実上不可能なレース展開ということになります。

不可能であるなら、つまりこのレース展開では「自己ベスト」を出すことはできなくなるということです。

これが今回イメージした「後ろについて温存してもダメなパターン」ですね。

さて、そうすると自己ベストを出すにはできれば1番目のパターン、最悪2番目くらいのパターンには抑えたいところです(今回は「前半かっ飛ばして持ち堪えるパターン」は除外しました)。

ここで、今回のオリンピックでの「前に出ても自己ベスト」のパターンが見えてきました。

結局、自身のベストの力を出し切るためには、序盤後ろについて温存してしまうと終盤取り返せないほどの借金が溜まってしまう(文字通り「取り返しのつかない」)状況を回避するため、いかに「自分のペース」を維持するかが鍵になってくるだろうな、と。

その「自分のペース」(このブログの例ではキロ3分ちょうど程度)を維持しているうちに、結果的に「先頭に立った」という状況は十分にあり得るな、と(多分田中さんや3000m障害なんかは位置どりの面が大きいと思いますが)。

後ろについていたら、自分のベスト記録のペースを下回ってしまう、という危惧から。

そして、こうして考えてみるとさらに重要なことに気がつきます。

それは、この人たちの自己ベストの力が、すでに世界水準にまで到達してきているということです。

当然ながら、いくら自己ベストを出したからといって、絶対的なタイムが劣っていれば入賞などできるはずがありません。ずーっと後ろについているペースが、自己ベストのペース、ということだってあり得ますからね。

そしてさらにランマニアが凄いと感じたのは、その最高の力を、この最高の舞台で発揮できてしまう彼らのピーキングの力です。

このオリンピックの決勝の舞台で自己ベストやら日本記録やらが出てしまうのですよ。

もちろん、これまでも世界水準のタイムで五輪に臨んだ中長距離選手は何人もいましたが、結局は自分の力を出しきれずに(それはレース展開ということ以前に)舞台を後にした選手も数多くいました。

なので、今回自身の実力かそれ以上の力を発揮してレースを終えられた選手たちの凄さは、「先頭を引っ張った」とか「積極性」だとかで形容できるレベルではないと、個人的には思っています。

結局、もう彼らの実力が「後ろについて温存する」などという戦術を用いる必要がないほど、世界でも十分渡り合えるほどの力を身につけてきたのだと考えられるのですね。(そういう意味では、逆に今回の大迫選手のような戦術はベストの選択だったと思っています。なんと言っても先頭は2時間1分台の自己ベストを持つ世界No.1の選手ですからね)

そうすると、次なるステージは、先程の例でいえば最後に2分45秒ペースまで一気にペースアップして他の追随を許さないほどの圧倒的な強さを身につけ、今回ではハッサン選手のような走りを目指すというところになるのでしょうか。

次の世界大会で、もし田中選手がそんな走りをしてしまったらそれはもう大興奮ですよね。