ジョグが遅すぎる人

こんにちは、ランマニアです。

さて、今日は毎回Twitterに上げている練習記録ですが、そのペースが遅過ぎる件について。

古くからブログを読んでいただいている僅かな方々はご存知だと思いますが、ランマニアは少し通常のランナーとは違った事情を抱えていて、それが競技に対して相当に影響しているという現状があります。

簡単に言えば、学生時代に発症した慢性疲労症状がほぼ完治しない体になってしまい、その症状の軽重によってパフォーマンスが大きく変動する、というものです。

疲労がそこそこ抜けて体が軽い時にはそれなりのタイムで走れるのですが、少し負荷の高い練習を続けてしまった時などに疲労が一気に溜まると、途端に信じられないほどパフォーマンスが低下してしまいます。

一例を挙げると、直近では昨年末に走った「川内杯栗橋関所マラソン」の10kmでは、非公認ながら33分45秒と、そこそこのタイムで走ることができました。

言ってみれば、この辺りがここ数年のベンチマークとして妥当なところだろうと思います。

単純にこのタイムをダニエルズさんのVDOTに当て嵌めますと、だいたい63前後になります。同年の5000mは16分11秒というのがあり、これでも64に行くかどうか。

まあ、この辺りに自身の持久的能力の壁がありそうです。

そこで、このVDOT64とか63で例えば「Eペース」を参照してみますと、3’59”〜4’34”/kmという恐ろしいペースが弾き出されます。

いくらダニエルズさんのEペースが速いと言ったって、これはランマニアにとっては衝撃的なペースです。

ここで白状すると、いつもランマニアがTwitterで報告している「Eランニング」のペースは、通常1km5分を普通に超えるペースです。

はい、Eペース詐欺ですね。

この要因の一つは、最初に述べた疲労症状の影響が大きく、通常の鍛錬期における練習内容では、普段の疲労症状がかなり大きくなり、本来の「VDOT」レベルを発揮することができなくなるからなんですね。

疲労がすっかり抜けて、疲労症状が限りなく少ない時などは、ジョグの終盤に軽々1km4分30秒くらいで巡航できることはあります。これはかなり稀なことですが。

なので、このVDOTの数値とペースは、多少のずれはあるものの、だいたい自分の持久的能力をうまく表していると考えています。

一方で、そこそこハードな練習を積んで疲労を抱えた状態で普段のジョグを行おうとしても、とてもじゃないですが1km4分30秒の平均ペースで走るなどということは不可能です。

不可能どころか、脚の動きが悪い状態なのでおそらく故障に繋がるものと思います。

ランマニアの場合は、疲労がある時とない時との差がとても大きいので、練習による疲労が大きい通常の鍛錬期はVDOTをほとんど無視して走らなければならなくなるのですね。

ですが、その疲労症状さえなければ、おそらくかなりVDOTに沿ったペースを維持できていると考えられることから、その低下分を差し引いて、キロ5分ちょいで走れた時でも「Eランニング」と定義しています。

しかし、そうした「安定的な」疲労症状よりも、さらに強い疲労が襲う場合があります。

レースの数日後とかハードな練習を立て続けにこなしてしまった後など。

こうした際には、5000mや10000mのタイムからは信じられないほどのジョグのペース、キロ7分近くから入り、ジョグ終了の時点でも6分をようやく切れるくらいのペースになってしまうことが稀にあります。

こんな時は、もはや「Eペース」などとは口が裂けても言えないので、単なる「ジョギング」、「J」の表記にしています。

このような背景から、とにかく社会人になってからは「ジョグが遅すぎる人」として仲間内では有名になっていて、たまに合同練習などで数人でアップをしようものならフツーに追いていかれるのですね。

5000mをそのタイムで走っておきながら、なぜそのアップ?と周囲からは苦笑されます。

まあ、自分自身の中では「アップで温存して、本番で全エネルギーを出し切る」というのが鉄則になっているので、このスタイルがベストなんですけどね。

8月振り返り

こんにちは、ランマニアです。

暑さの中でどこまで安定的に走れるかが鍵となった8月ですが、久しぶりに故障もない状態で一ヶ月をしっかり走り切ることができました。

今月は、距離を踏むジョグを中心に据えながらも、週一で体に速い動きを思い出させたり、心拍数を上げたりする短めのレペティションを取り入れながら基礎体力を戻していく月間にしました。

今日、豪雨と気温低下で久しぶりに「暑さ」が影響しない練習を経験しましたが、昨日までの脚のだるさを考えると、これは相当に暑さがパフォーマンスに影響していたな、と改めて実感しました。

なので、ジョグが中心とはいえ、この一ヶ月は結構厳しい練習を積んだ印象が残っていたのですね。実際には大した練習ではないのですが。

さて、今月は当然ここ数ヶ月では最も走行距離が伸び、今年1月以来の久々の月間300km超え(350km超え)を達成したことについてはそれなりに達成感はあるのですが、個人的に最も手応えを感じたのは、1週間の同程度(の負荷)の練習サイクルを約5週繰り返すことができたことでした。

週80km程度の走行距離の中に、週1回比較的強度の高いレペティションを取り入れつつ、この負荷を5週間継続できたことが、最も大きな成果でした(心理的にも自信を持てたし、走行中の脚へ伝わる衝撃もだいぶ軽くなり脚の強靭さを実感できるようになってきた)。

週80km程度のサイクルの中にレペを取り入れた週を5回繰り返せました

この一月で最も大きな変化を感じたのは、一回の練習で距離が伸びてもその練習が楽に感じるようになった、というのではなく、少し高めの負荷をかけた後にもそれほど疲労が残らず練習を継続できるようになってきたことです。

まあ、簡単に言えば「疲れにくく回復しやすい脚になった」ことですね。

これにより、例えば400mのレペが入ったとしても、その週にロングを入れられたり、逆にロングを入れた後にも強度を上げたレペができるようになったり、そんな効果を体感できました。

数ヶ月ぶりにRペースの練習を継続することができました

そして振り返ると、7月下旬に練習を再開してから、疲れ方や回復の度合いが明らかに改善された実感を得られたのは、8月も下旬に入ってからでした。

つまり、1度や2度長いジョグを入れたり、久しぶりに速いスピードで走ってみても、そうそう体が戻ることはなく、やはり一月からそれ以上の時間は必要であることがわかります。

改めて「時間をかけて衰えた力は、時間をかけて戻すしかない」ことを実感したところです。

今年1月以来の月間350km超え。

そして「時間をかける」というのも、それなりの練習(90分や120分のジョグを織り交ぜつつ)を繰り返しながら継続する、という条件も付け加えます。

90分以上のジョグとなると、1度の練習でかなりの疲労が残ります。脚へのダメージも自分が思っている以上に大きいものがあります。

そうした練習を入れながらも、長い休みを必要としないほどの回復力を身につけ、また次の練習を継続できる体を手に入れなければ「時間をかける」ことすらできなくなります。

今月は久しぶりにこのように速やかに回復していく体を実感し、「練習を継続できる体」というものがどのような感覚だったかを思い出すことができました。

8月にここまで走れてしまうと、9月はさらにステップアップして400km、と行きたいところですが、これまで300kmすら走れていなかった体が、突然350kmを超えてきましたので、ここはあまり欲張らず(30日しかありませんし)、もう一度350km程度を目安にするのでちょうどいいと思っています。

ただ、9月はレペのような高い強度の練習は一旦中止し、今度はやや強度の低めのLTレベルの練習を取り入れていき、持久的能力のベースを固めていこうと思います。

今日の満足感か、未来の達成感か

こんにちは、ランマニアです。

さて、故障がちだった今シーズン前半は思い通りの練習ができず、何かとフラストレーションが溜まる毎日が続いていました。

そうした中、ここへきてようやく日々「練習できるのが当たり前」の日常が戻ってきて、なんだか最近は「毎日走れるだけでも十分」な、随分安上がりな自分になりつつあります。

とはいえ、ジョグを中心に据えながらも、徐々に走れるようになっていく体と対話をしているうちに「やっぱりスピードを上げたい!」と言う欲が出てくるのですね。

7月は軽いジョグで済ませ「走ることに体を慣らす」ことを念頭に置き、8月は引き続き長く走ることに体を慣らす一方、時には心拍数を上げ、体に対して「もっと負荷のかかる日常が来るぞ」と適応を呼びかける機会にしようと思っていました。

こうした体へ「変化のスイッチ」を起動させればいいだけなので、特にガチガチなインターバルや閾値走を入れると言うよりは、短い距離を少し速いペースで走り「ハアハア」と息が上がる機会を定期的に取り入れようと試みました。

それが、8月に入ってから始めた週1回のショートレペ(200m〜400m)ですね。

第1週は試しに8本ほど入れてみたのですが、驚くほどこのスピードに脚が慣れてなく(たかだかキロ3ペースですよ、たった200mで)、自分自身の劣化具合に愕然としました。

もちろん、1本や2本そのペースで走る分にはなんともないのですが、4本、5本と本数を重ねていくうちにいわゆる「脚が止まって」、呼吸も苦しくなりました。

おいおい、キロ3ペースで200mを4、5本だぞ、となんとも情けない気持ちになったのですが、よくよく考えれば半年以上もこうしたペースが封印されていたわけですから、自分自身がただの「ジョギングおじさん」になってしまっていることを認めなければならないきっかけにはなりました。

ただ、こんなおじさんでも一度こうした「刺激」が入ると、ちゃんと体は応えてくれるのですね。

翌週はトラックでしたが、同じく200mをもう10本軽快に走れるようにはなりました。もちろん、終盤は努力度も増し、それなりに脚は止まりかけましたが、一歩一歩力強く地面を蹴り進め、ギリギリフォームも崩れない程度にこなすことができました。

そして今日は、このショートレペティションの3回目。今回はいつもの200mではなく、400mのレペにしてみました。

目的としては、これまでのように絶対的スピードを高めて(と言ったって自分にとってはたかだかキロ3ペースですが)、神経系と筋の連携、筋の収縮速度、高い心拍数を維持する、と言うよりは、1分以上VO2よりは速いペースを維持して、無酸素系のエネルギー供給系が優位な状態でしばらく走る、ということを目指しました。

これは、いずれLTペースやVO2ペースでの、ちょっときつい練習を入れなければならない時が来るまでに、体に「生活の中にこういうことも入ってくるんだぞ」と働きかけ、体に「変化のスイッチ」を起動させるためなのですね。

前述したとおり、今回は故障期間があまりにも長く続いたことで、気持ちは「ガチなアスリート」でも、体は「ジョグおじさん」なのです。

気持ちとしてはまた以前のような3分Iペースを5本とか、LT走をトータル8kmとかを今すぐにでもやりたいと思うのですが、今の体の回復力や筋力では「即故障」になるのは目に見えています。

今はとにかく、軽い練習でもそれを確実にこなし、一定期間継続していくことが重要だと思っています。

ところで、今日の練習では当初400mを10本ほど走ってみようかなと思っていました。

前回の200mの感じでは、一本を400mに伸ばしても10本くらいはいけそうな感覚だったのです。

しかし、ちょっとここのところの疲れもあり、脚の動きも悪く、またその状態で無理にペースを維持しようとするものですから、ふくらはぎにも負担がかかってきてしまったので、まだまだ余裕のある5本で練習を切り上げました。

10本の予定が5本で終了ですから、これは相当な「敗北感」ですね。

しかし、過去のブログでも何度も書いてきたように、練習の最終目的は「持久的パフォーマンスを向上させること」にあり、ひいてはレースを走って記録として残すことにあります。

今日の練習を予定通りこなして一時的な「満足感」を得るためではないのですね。(いえ、そのために走ってる人はそれでいいのですが)

いわば「今日の満足感ではなく、未来の達成感」を目標に日々の練習に取り組んでいるわけで。

これも何度か書いてきましたが、本当に長距離という競技は「満足の遅延」「遅延的な報酬」を意識しないと、決して続かない競技だと思っています。(その中にも、軽快にスピードを感じられる楽しさ、気持ちよさ、そんな「目先の満足」も見出すこともできるのですが)

今日の練習、400mを10本こなせば、間違いなく充実感でいっぱいになる。その後の飯も美味いに決まっている。ドヤ顔でツイートもできる(笑)。

それはわかってるのですが、もしその代償として再び故障を誘発し、しばらく練習から遠ざかる羽目になり、積み上げてきたものがまたリセットされると思うと、「今日の満足感」などどうでも良くなるのですね。

学生時代になかった考えとしては、練習は今日1日のそのメニューで考えるのではなく、昨日からの疲労や明日のメニューへの継続性、もっと言うと一週間、さらには一ヶ月単位でどう続けていくか、と言うことまで考えて取り組まなければならないということです。

昨日のジョグを90分でやめたのも、今日の400mを5本でやめたのも、全ては明日のため。次の一週間のため。最終的には8月の一ヶ月をトータルとして考えるため。

なぜなら、トレーニングによって体が変化していくには数週間から数ヶ月を要するからなのですね。

今日1000m×5やったから5000mのタイムがさらに縮まった!って言うのは、はるか昔中学高校の頃の話。

時間をかけて失ったものは、時間をかけて取り戻すしかないんですね。

後ろにつくか、前に出て引っ張るか

こんにちは、ランマニアです。

さて、色々と盛り上がった東京五輪も終わってしまいました。

とにかく今年は日本人の活躍もさることながら、どの種目でも大記録続出で、陸上に携わってる我々にとってはたまらない毎日でしたね。

長距離を専門としているランマニアにとっては、もう当然、3000m障害から始まり女子1500m、10000m、フルマラソンと日本人の中長距離種目での活躍に刺激を受けたのですが、実は一点、男子4×100mリレーのバトンミスに関してちょっとしたエピソードを思い出すきっかけがあったのですね。

これはSNSへの書き込みで思い出したのですが、高校時代に母校のリレーチームがその年部内で唯一インターハイ出場を果たしたのですが、当時2走を走った同級生が、今回の日本チームと全く同じバトンミスをおかしてしまったということがありました。

日本チームのバトンミスを見ているときには全く思い出せなかったのですが、あの日にたまたま同級生が別のSNSに「俺もこれやったんよ」と書き込んであり、「そういえば!」と思い出したのですね。

いや、インターハイの大舞台ですから。しかも4人の中では最年少の同級生が、このリレーを最後に引退する3年生3人の思いを背負ってしまったのですから、これは相当しんどかったものと思います。

オリンピックとは舞台の規模やレベルが全く違いますが、やっている本人にとっての「重さ」みたいなものは、今回のリレーメンバーも高校時代の彼も、おそらく変わらないものがあったと思いますね。

さて、そんな懐かしいエピソードを思い出すきっかけにもなった東京オリンピックですが、今回中長距離種目を一通り見ていて、ある一つのテーマがずっと自分の中で引っかかっていました。

これはもう、最初の3000m障害から最後のマラソンまでどの種目でも議論されるテーマだったと思うのですが、我々中長距離に取り組んでいれば多かれ少なかれ考えることのある「ペース配分」についてです。

もっと言えば、「引っ張るか」「後ろにつくか」にも関係することですね。

ランマニア自身の経験からいえば、ランマニアはもう圧倒的に「後ろにつく」タイプのランナーで、これは高校時代以降成功した(あるいはベスト記録が出た)レースの9割以上は「人の後ろについて」走ったレースです。

なので、これまで様々な世界大会で日本人選手が自らの力もかえりみず、いきなり先頭を引っ張ったり、実力不相応なペースで集団を掻き乱したりして、最終的には下位に沈む例を見ながら「なんで一流の力を持ちながら、こんな初歩的なミスをするんだろう」と首を傾げていたのですね。

また、テレビ中継の解説者も「いや、このチャレンジは素晴らしかった。この心意気は必ず次につながります」とか言っているのを見て、「は?目標としているレースなんだから次も何もないでしょう」と突っ込んでいたものです。(実際「次」があったランナーはほとんどいない)

しかし、今回のオリンピックを見ながら、これまでの自分の信じてきたことが少し揺らぎ始めました。

長距離種目は「絶対に人の後ろについて走った方が好記録が出る」という自分の中における確固たる信念があったのですが、今回のオリンピックではこれを覆す場面に幾度も遭遇したのですね。

3000m障害の三浦選手、1500mの田中選手、5000m、10000mの廣中選手は、すべてこのオリンピックで自己ベスト(日本記録、廣中選手は5000mのみ)を叩き出したのですが、3人ともレース中必ず一度は「先頭を」引っ張っていました。

走ることに限らず、自転車でも車でも、空気抵抗の関係で確実に前に選手がいた方が省エネで同じペースを維持することができます。

なので、同じペースを維持するなら間違いなく「何かの後ろ」にいた方が有利なわけです。

しかし、今回のこの3人の選手は、レース中「そこそこの」時間先頭を走り続けました。

正直、レースを見ながら「なんで出ちゃうかなぁ」と疑問に思ったのは事実です。

ところが、その後メダリスト級の選手がペースアップをして抜かれてしまっても、最後までペースが急激に落ちることなく、全選手が自己ベストを出して終えることができました(全員日本記録)。

で、これらの結果を見て、素人なりに色々考えてみました。

その結果、後ろにつく、前に出る、という議論ではなく、そもそも自身の持つ能力から逆算して得られる「ペース配分」の問題なのではないかと推測したのですね。

ここで、話をわかりやすくするために、3000mを9分ちょうどで走り切るレースを考えてみます。この人のこの時点での自己ベストが9分ちょうどだという仮定です。

まず、この人が3000mを9分ちょうどで走り切れるギリギリのペース、この人の持久的能力で3000mまでギリギリ持つ程度のイーブンペースで走ってみると、以下のようになります。

イーブンペースで9分ちょうど

ランマニアも経験ありますが、実際このパターンで自己ベストを出したことが何度かあります。実は実際のレースでこれをやると結構きつんですけどね。

次は、序盤やや抑え気味で入り余力があり、終盤ペースアップして9分ちょうどでゴールするパターン。

序盤の温存が後半効いてくるパターン

このパターンで自己ベストを出したこともあります。ラスト1kmは自己ベストへの執念で、ほぼ「気持ち」で持っていった状態です。

実際、人の後ろについて前半温存し、後半ペースアップした集団にできるだけついていって最後のスパートで滑り込む、というこのようなパターンは結構あるのではないかと考えています。

個人的には、記録を出すならこれでもいいんじゃないか、と思っているくらいです。

しかし、今回注目したのが以下のパターンです。これはオリンピックや順位だけが目的になるレースなどでよくみられる「序盤は自重して抑えに抑える」パターンですね。

ちょっと極端ですが、ケニヤ勢なんかはこのパターンもありそう。

ケニヤ勢の10000mなんかでは、最後の1kmだけとんでもペースになるのが見受けられますが、順位狙いだと極端な例ですがこのパターンはよくあると思います。

ここで注目したいのが、色をつけた最後の1kmです。

最初の入りを抑えに抑えたので、同じ自己ベスト9分ちょうどを出すためには、最後の1kmを2分45秒でいかなければならなくなりました。

どうでしょう、3000mを9分ちょうどで走るような選手にとって、レースの終盤に1000mを2分45秒で走るということは可能でしょうか。

一つ前のパターンにある2分50秒ですら、実力的にはかなりギリギリなはずです。そのような選手が、レース終盤に2分45秒で1kmをまとめるというのは、おそらく不可能なことだと考えます。

そう考えると、例えば先頭を走ると体力を消耗すると考えて、レースの序盤は極端なスローペースにも関わらず、選手の後ろについて走ってしまった場合、このように自分の持つ持久的能力では取り返し不可能な「借金」が生じてしまう可能性があります。

いくら体力を温存できたとしても、本人の持つ絶対的な持久的能力(VO2MaxやLT)の限界から、自己ベストを出すために必要なペースで走ることは不可能な状態になってしまう、という状況が生じてしまいます。

さらに、以下のようなパターンもあります。

いわゆるペースの上げ下げ、揺さぶり。

最初はそこそこのペースで1kmを入ったのですが、集団が落ち着いたらみんなが牽制しあって極端にペースダウン。しかし、その後実力のある選手が揺さぶりをかけて急激にペースアップ。

この例では、3分10秒のペースが一気に2分50秒になったことで、最終的に9分ちょうどに収まる設定です。

しかしこれもどうでしょう。

先程の2分45秒にペースアップでも同じことがいえますが、ここでも1kmあたり一気に20秒ものペースアップがあります。

残り1kmになった時点でいきなりキロあたり20秒のペースアップは物理的に不可能ですから、どんなに速い選手でも徐々に加速をしていきますね。

この「加速」をする時がとても重大なフェーズだと考えています。

上の図ではピンクの矢印で表していますが、ペースを上げる際には、どうしても自身の持久的能力を超えたエネルギーを使う必要が出てきます。

おそらく、3分00秒、3分00秒、と同じペースで2kmを走っていれば使わなかったであろうエネルギー供給系を多く使ってしまい(もちろんその後の2分50秒ペースでも)、多分、9分でゴールするにはエネルギー供給が足りない状態になってしまっているはずです。

このようにして考えてみますと、後半の2例については、おそらく事実上不可能なレース展開ということになります。

不可能であるなら、つまりこのレース展開では「自己ベスト」を出すことはできなくなるということです。

これが今回イメージした「後ろについて温存してもダメなパターン」ですね。

さて、そうすると自己ベストを出すにはできれば1番目のパターン、最悪2番目くらいのパターンには抑えたいところです(今回は「前半かっ飛ばして持ち堪えるパターン」は除外しました)。

ここで、今回のオリンピックでの「前に出ても自己ベスト」のパターンが見えてきました。

結局、自身のベストの力を出し切るためには、序盤後ろについて温存してしまうと終盤取り返せないほどの借金が溜まってしまう(文字通り「取り返しのつかない」)状況を回避するため、いかに「自分のペース」を維持するかが鍵になってくるだろうな、と。

その「自分のペース」(このブログの例ではキロ3分ちょうど程度)を維持しているうちに、結果的に「先頭に立った」という状況は十分にあり得るな、と(多分田中さんや3000m障害なんかは位置どりの面が大きいと思いますが)。

後ろについていたら、自分のベスト記録のペースを下回ってしまう、という危惧から。

そして、こうして考えてみるとさらに重要なことに気がつきます。

それは、この人たちの自己ベストの力が、すでに世界水準にまで到達してきているということです。

当然ながら、いくら自己ベストを出したからといって、絶対的なタイムが劣っていれば入賞などできるはずがありません。ずーっと後ろについているペースが、自己ベストのペース、ということだってあり得ますからね。

そしてさらにランマニアが凄いと感じたのは、その最高の力を、この最高の舞台で発揮できてしまう彼らのピーキングの力です。

このオリンピックの決勝の舞台で自己ベストやら日本記録やらが出てしまうのですよ。

もちろん、これまでも世界水準のタイムで五輪に臨んだ中長距離選手は何人もいましたが、結局は自分の力を出しきれずに(それはレース展開ということ以前に)舞台を後にした選手も数多くいました。

なので、今回自身の実力かそれ以上の力を発揮してレースを終えられた選手たちの凄さは、「先頭を引っ張った」とか「積極性」だとかで形容できるレベルではないと、個人的には思っています。

結局、もう彼らの実力が「後ろについて温存する」などという戦術を用いる必要がないほど、世界でも十分渡り合えるほどの力を身につけてきたのだと考えられるのですね。(そういう意味では、逆に今回の大迫選手のような戦術はベストの選択だったと思っています。なんと言っても先頭は2時間1分台の自己ベストを持つ世界No.1の選手ですからね)

そうすると、次なるステージは、先程の例でいえば最後に2分45秒ペースまで一気にペースアップして他の追随を許さないほどの圧倒的な強さを身につけ、今回ではハッサン選手のような走りを目指すというところになるのでしょうか。

次の世界大会で、もし田中選手がそんな走りをしてしまったらそれはもう大興奮ですよね。

7月振り返り

こんにちは、ランマニアです。

今月は毎日激動の日々で心理的な余裕がなく、ブログもかなり滞ってしまいました。

また、大した故障ではないと思っていた臀部の痛みが予想以上に長引いてしまい、7月最終週になりようやくまともに走れるようになった状態です。

とはいえ、前回のブログに書いたような腱や付着部の炎症ではなく、梨状筋症候群による坐骨神経痛だった可能性が高く、ストレッチやマッサージで急激に回復していったのは幸いでした。

さて、そんな7月ですが、本来ふくらはぎの肉離れから復帰して、いよいよ本格的な練習を再開しているはずでしたが、蓋を開けてみればこの1年半で最も走行距離の少ない月となってしまいました。

久々の200km切りです。

ただ、7月は仕事に復帰したことで、そうした練習不足が全く気にならないほどの毎日を過ごしていたので、「そんなに走れていなかったのか」と実際にはここまで走れなかった実感はありませんでした。

とにかく、今はようやく仕事をして帰ってきて練習に向かう、というかつてならなんでもなかった日常が戻ってきたことがとてもありがたく、練習不足だとかそういうことは二の次の状態です。

トータルで二週間ほどレストを入れた7月。さすがに脚はしっかり休めました。

今回は中途半端に休んで故障の再発を繰り返したくなかったことから、かなりまとまってレストを入れました。

少しでも痛みがあればジョグすらも入れなかったため、ふくらはぎを痛めていた頃よりもさらに走行距離が減りました。

急激に走行距離が落ちた7月。200kmを切ったのはここ数年記憶にありません。

とにかく、社会人ランナーになって25年目にもなると、こうしたアクシデントは度々訪れますので、後から振り返ればなんて事のない1ヶ月のうちの一つなんですが、それでも故障して走れない時期は長く感じるものです。

もう何ヶ月もジョグだけの生活を送っていますが、先日のWSでは思ったよりもスピードの低下は感じませんでした。

さて、8月は夏休みもあり、かなりまとまった距離を走れる一月になると思います。

ここのところ、安定して走れる期間が継続できていないので、8月こそは満足のいく練習をこなしたいなと考えています。

もちろん、練習をこなすことが走る目的ではありませんが、本格的な練習をこなせる体に戻すためにはどうしたってある程度の練習を継続できなければなりません。

その足掛かりを得るためにも、この8月は久しぶりに体を変えるほどの練習を継続できればと思います。

もちろん、やりすぎによる故障には細心の注意を払いながら、です。

故障の大半は治りにくい「腱」

こんにちは、ランマニアです。

更新、だいぶ滞ってしまいました。

さすがにこの2週間は怒涛の2週間で、ちょっとこっちに思考のリソースを振り分けるのは無理な状態でした。

さて、肝心の競技ですが、今回の故障も結構な重症で、前回のふくらはぎ同様2週間程度の休養が必要な状態になっていました。

先週まるまる1週間レストにし、少し走ったところなんとなく治りが悪い気がしたので結局合計10日ほどのレストになりました。

現在、最も酷かった時のように足を上げられないほどの痛みはないものの、片足でハーフスクワット状態から膝を伸ばしていくと、まだ患部が痛むので再開の時期に迷うところです。

ただ、何もしなくても劇的に良くならないのが、これまで痛めてきた筋の付着部「腱」に共通した症状で、ある程度の休養を経たのちには、徐々に走っていくうちに治っていく場合がほとんどでした。

なので、今回もその辺りを様子見すべく、今日は久しぶりにウォーキングをしてきたのですね。

ここ数年、ランマニア的に最も苦しんだ故障は、3年前の「足底筋膜炎」です。

これをやった人ならわかると思いますが、とにかく「最悪」な故障ですね。

まず治りが遅い。さらに治ったかに見えてすぐに再発する。

結局、通常の練習に戻るまでトータルすると半年くらいはかかった印象です。

足底筋膜炎、と言っても、痛む部分は足底筋が踵の骨にくっついている部分、「腱」に近づいている部分です。

ここが炎症して、目で見てわかるくらい腫れます。

指で押すと猛烈に痛いですし、その部分に体重をかけて立っているだけで徐々に痛みが増していきます。

しっかり休んだ後、ゆっくりとジョグから再開しましたが、再開時点でも指で押すと痛みましたし、立っていて痛みがなくなるまではかなりの時間がかかりました。

つまり、走ることでの炎症は引き起こされなくても、患部の損傷は相当な期間続いていたことになります。

同様の症状は、昨年だましだまし付き合った「アキレス腱炎」にも言えます。

こちらも接地のたびにアキレス腱が痛み、指でつまむとのたうち回るほどの痛みが走ります。

この痛みも、走ることで傷まなくなったとしても、圧痛(押して引き起こされる痛み)は1年くらいは引きませんでした。

このように、筋が骨にくっつく部分、「腱」を痛めてしまうと、部位に限らずとにかく治りにくく厄介なのですね。

そして今回の「ハムストリングス付着部炎」。

こちらも、「大腿屈筋群」である、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋がまとまってくっついている部分ですから、筋が腱になっているところです。

だからこうして、いつまで経っても痛みが消えてくれないのだなと推測しています。

ただ、これまでの経験からは、ある程度痛みが引いて、もう休んでもあまり変わらなくなってきたあたりから、徐々に運動を再開していくと、いつの間にか走れるようになっている、ということがよくあります。

どのあたりの痛みか、というのはなかなか難しいのですが、なんとなく「痛みの質」が変わってきた、という感覚がわかるので、その辺りの「感覚」に任せてしまっています。

本当なら、しっかりMRIとかで損傷・炎症の状態をみた方がいいのでしょうけど。

ところで、年齢を重ねてきてから、このような「腱」を痛めることが急増しています。

もちろん、年末からのふくらはぎの肉離れもあるにはあるのですが、ここ数年で最も多い故障は、この腱の故障です。

ネットなんかで見ると、どうやらこれにはコラーゲンが関係しているらしく、加齢とともに次第に減っていってしまうようですね。

確かに、食事だけで意図的にコラーゲンを補給するのは結構大変で、サプリとかをあまり使わないランマニア的には、練習量に比して圧倒的にコラーゲンが足りてなかったようにも思います。

もちろん、体の回復力を無視してハードなトレーニングをすれば、どんなにいい食事をしてたって故障はするのでしょうけど。

そんなことで、今回の故障も治りが悪いなぁ、と思っていたら、そういえば「腱」を痛めてた、と改めて気づいたのですね。

今週からは少しは仕事にも慣れてきて、終業後のウォーキングを行う元気も残っていそうですので、夕涼みがてら歩きながら様子を見ていこうと思います。

戻るか、日常

こんにちは、ランマニアです。

大したことないと思っていた脚の痛みですが、思ったよりも深く傷めていたようで、少し走ってしまったことで治りが悪くなってしまいました。

いつも傷める膝から下ではなかったので、すぐ良くなるかなと思っていましたが、3、4日では良くならない程度の損傷(炎症)だったようです。

ところで、今週はそれよりも大事な(走れるないこともかなり大事なんですが)ことがひとつありました。

色々ご心配おかけした、休んでいた仕事に昨日から復帰したという出来事です。

4月から仕事ができなくなり、この3ヶ月は何事もないようにランツイを細々と続けてきましたが、正直先行きが全く見えずにメンタル的にはちょっとしんどかったですね。

そんな中、昨日からようやく(というかどうにか)仕事に戻ることができ、ひとまず生活に不安は無くなった状態です。

ただ、数ヶ月ぶりの仕事復帰で、まだまだ日々綱渡りな状態が続いていますので、現在の故障と相まって、なかなか走ることに気持ちを全振りするのは難しい状態ですね。

それでも、ひとまずは毎日自分の行き先があり、所属先があり、収入先が確保されている、というのは「走ること」に代表されるQOLに関わることの土台になるものだな、と改めて実感しているところです。

そして、そうした激動の3ヶ月を送ってきて、現在もその延長線上にある状態ですが、こんな時でもやはり「走ること」は自分の中では重要な「日常」なんですね。

いくら忙しくても、これまでよりも仕事にエネルギーとリソースが奪われても、「走ること」がない生活は、ちょっと考えられないです。

故障については、もう休むしかないわけで、ひとまずジタバタしても仕方がありません。

しかし、「早く走りたいな」と思っているだけでも「走ること」が「日常」にあるのが不思議な感覚です。

去年までは、仕事に行って帰ってきて走りにいく、なんていうことはなんでもないことだったのですが、今やものすごく難易度の高い、実現したら奇跡みたいに思える大イベントになってしまいました。

それこそ、お祝いでもしたいくらいの大イベントですね。

逆に言えば、そんなことでも実現すれば、この歳になって久々に味わう大きな達成感になるかもしれません。

と、心穏やかに、走ることを存分に楽しむにはもう少し時間がかかりそうですが、そうした「日常」がもう少しで戻ってきそうな、とりあえずの近況報告でした。

6月振り返り

こんにちは、ランマニアです。

ここのところツイートやブログが滞り気味で、なんとなくランニングの方から意識が疎遠になっている感じでした。

ハムストリングス付着部炎が再発したこともあり、こういう時はツイートやブログのネタがあまり浮かんでこないのですね。

さて、そんな状況ですが6月もあっという間に終わってしまいました。

次回のブログで触れようと思いますが、ちょっと6月は仕事がらみで色々ありまして、気持ちのリソースをランの方に割く割合が減っていた状態です。

決して、モチベーションが下がっていたというのとは少し違うのですが、気持ちのエネルギーを別のところに使う必要があったのですね。

長年「社会人ランナー」を続けていれば、こういうことは度々起こるので、今に始まった事ではないのですが、やはり年に一度か数年に一度くらいはこういう時が訪れるので、社会人として競技を続けていくことはなかなか難しいものがあると思っています。

6月は、半年間泣かされたふくらはぎの肉離れも完治して、いよいよ本格的に距離を踏めるかな、と思って月間の走行距離もそこそこ伸びるかと思われた矢先、ここへきて古傷が再発してしまって、また足止めをくってしいました。

自分でも驚きましたが、6月はまさかの5月を下回る走行距離になってしまい、なかなかうまくいかないものだな、と。

故障も癒えた6月は走行距離を伸ばせるかと思いきや、まさかの5月以下の252km。

ふくらはぎに比べれば、深刻さの程度は軽いとはいえ、やはり休みを入れなければならないほどの故障であるには変わらず、走行距離は一旦落ちますよね。

練習内容としては、基本はジョグで、嬬恋の分のトレイルが次いで多く、さらにようやくLT付近のファルトレクが入ってきたという状況。

嬬恋前後で距離が低下し、その後の故障でレストが続きました。
嬬恋の分がトレイルの割合を高めました。

本来であれば、7月からは強度の高いVO2インターバルやLT走を徐々に入れていこうと思っていましたが、ちょっと今の状態ではそれがひと月くらい先に伸びそうです。

何か目指している大きなレースがあるわけではないとは言え、やはりこれだけ長い期間「ジョグおじさん」を続けていると、自分が一応の「アスリート」である意識がだんだん薄れてきてしまうのが怖いところです。

とは言っても、休むしかないわけですし、強度を上げるにもまずはジョグで基礎体力、基礎筋力を身につけなければ先には進めないのは変わりなく、またしばらくは負荷の低いジョグから続ける必要があります。

昨日少し無理して90分走ったところ、若干痛みが増してきてしまったので、もう少し休みを入れたほうが良さそうでした。

練習の方がなかなか軌道に乗っていきませんが、今はあまり焦らずに、脚に無理をかけないようにしなければなりませんね。

衝撃はどこで受け止めても大きさは変わらない

こんにちは、ランマニアです。

先週は31kmものトレイルレースを走りましたが、懸念されたふくらはぎはもうすっかり元に戻り、痛みや違和感など全く感じることなくレース後の一週間を過ごすことができました。

4月下旬に練習を再開してから約2ヶ月が経ちますが、やはり組織の再生にはそれくらいの時間がかかるのだなと、改めて感じているところです。

しかし、ここまでくる間は、やはりどうしても患部が「弱々しい」感覚がしていて(多分これは感覚だけでなく、実際の筋組織も元通りに戻りきっていなかった)、右ふくらはぎに力を込めて走るのははばかれる状態が続いていました。

なので、しばらく下腿に力を込めて走ることは控え(ランマニアは元々ものすごく下腿を使って走るタイプでした)、大腿部から臀部にかけての筋肉を多く使えるよう心がけていました。

なんとなくですが、下腿よりも大腿の方が丈夫なイメージがあったのですね。(接地時の筋収縮がどちらかというとコンセントリックな収縮が優位なイメージがあり。ただ、ここ数年、上り坂のようなコンセントリックな収縮でも故障が多くなってきた)。

普段のジョグでは、下腿の力を抜いて接地の瞬間はなるべく体に近い部分(大腿部から腰にかけて)に力を入れて反発を得るように意識し、この走り方もだいぶ板についてきた感覚がありました。

この意識で走ると、確かに下腿への負担が減り、ふくらはぎが張ったり「危うい感じ」がしたりすることも無くなっていきました。いかに、普段からふくらはぎに負担をかけてしまっていたのかがよくわかりました。

しかし、この意識によってちょっと無理がかかってしまったのが、5月下旬に何度か練習で走ったトレイルでした。

登山道のような登り区間を駆け上がる際には、どうしてもふくらはぎを使って小刻みに走った方が楽に長く走れるのですが、ここでもふくらはぎをいたわって、無理やり大腿部を引き上げ、階段を登るように「ぐいっぐいっ」と体を押し上げるフォームで登っていったのですね。

こうした登り方をしているうちに、いつの頃からか、昨年8月に痛めたハムストリングスの付着部がなんとなく痛むようになってきました。

もちろん、平地を走る分には全く問題ないのですが、あの登り坂で足を上げたくないような感覚です。

結局、ふくらはぎを庇えば、着地衝撃が別の部分に移動するだけなので、フォームを変えたり力の入れ方を変えたりしても、痛める場所が変わるだけなのですね。

ただ、相変わらずジョグでは問題ないので、若干下腿に力を分散して走る方法にもどし、練習を継続してきた結果、痛みの方も次第に引いていきました。

また、最も心配された嬬恋のレースでもレース中はもとより、レース後も痛みが悪化するようなこともなく、大腿部に大きな力をかけなければ徐々に良くなっていく様子が見られました。

なので、このままジョグで様子を見ようかとも思っていたのですが、先週久しぶりにスピードを上げてWSをやった見たところ、ジョグでは感じないような明らかな痛みが続くので、これはやっぱり休んだ方がいいな、ということになりました。

ふくらはぎの肉離れのように、周辺組織もダメージを受けてきて、いきなり「ピキッ」となるわけではないので、ジョグならやれそうな気もするのですが、中途半端に続けていくと、またいつまで経ってもスピードを上げられなくなってしまうので、ちょうどレース後ということもあり、少しの期間休むことにしました。

そして、嬬恋の疲労が思ったよりも大きく、今日もかなり脚が重たかったのですね。

こういう時は、大人しく休むのが一番だと思います。

さて、昨年かなり強めに痛めてしまった時は、1週間の完全休養に加え、1週間のとぼとぼジョグを経て回復していきました。

今回は、その時に比べるとはるかに軽い痛みなので、数日休めばよくなっていくものと思われます。

昨日一日休み、今日にはだいぶ軽快してきていることから、明日もう1日休めばジョグでは悪化しない程度まで回復しそうな気がします。

いずれにしても、しばらくレースはないので、今後のトレーニング内容を考えれば、ここで一旦休みを入れるのはちょうどいいかもしれません。

嬬恋スカイラン

こんにちは、ランマニアです。

今日はスカイランニングジャパンシリーズのSKY部門第2戦、嬬恋スカイランに出場してきました。

このジャパンシリーズは、SKY部門とVK(バーティカル)部門それぞれを年間5戦戦い、そのうち上位3戦で獲得したポイントを競うシリーズ戦です。

中学から始めた陸上競技ではこういった「シリーズ戦」方式が珍しく、ランマニアが初めてこの世界に足を踏み入れたときにとても斬新に感じた企画だったのですね。

初めの頃は、ポイント獲得順位である30以内に入ることがなかなか難しく、去年あたりからようやくコンスタントにポイントを獲得できるようになってきました。

今年も、第1戦である上田バーティカルレースでは、SKY、VK両種目とも30位以内に入ることができ、なんとかポイント争いの土俵に上がることができたのでした。

さて、そんなジャパンシリーズの第2戦ですが、今回はVKとSKYは別会場、別日程となっていました。

VKは東京は御前山へ駆け上る「東京バーティカルレース」

こちらは緊急事態宣言延長により秋に延期となりました。せっかく試走をしていたのですけどね。

そしてSKYは、今日の嬬恋スカイランの種目の中でも最も距離が長く過酷な「スカイリッジ ロング」の部だったのです。

https://www.tsumagoiskyrun.com/

今回のコースは、四阿山の山頂直下まで一気に駆け登った後、標高2000m級の稜線(「リッジ」:尾根)を御飯岳まで行って帰って来るという、ヨーロッパの山やまを彷彿とさせる壮大なコースでした。

これは、スカイランナーなら「是非走ってみたい!」を思わせる素晴らしいコースでしたが、残念ながら悪天候によりコース変更となりました(実際山頂近くで土砂降りになり、気温2度ほどで走行不能になったら確実に低体温の危険性がありましたね)。

そして今回のコース変更により、もともと四阿山山頂直下まで登って帰りはゲレンデを下ってくる「ミドル」のコースを2周することになりました。

いやいや、今さらっと2周って言いましたが、このコース、走ればわかりますがものすごい急登が続くのですよ、1周だったとしても。

それを2周ですからね。

悪天候プランの方がコースがキツくなるとか、もうさすがは松本会長(日本スカイランニング協会)です。

この結果、本来の走行距離38km、累積標高差±2550mのコースが、走行距離31km、累積標高差±2300mに変更になりました。

数字だけ見ると、楽になったように見えるじゃないですか。

ところが、トレイルレースの難しいところはこうした数値(量的情報)よりも中身(質的情報)の方がレースのタイムに影響をするところなんですね。

1周目は晴れていたのでこのような絶景も拝めましたが・・。

元々のロングコースでは、最も上りが長く続き、最も勾配がきついのが、この序盤に設定されている四阿山までの一気登りです。

途中、両手で地面を掴みながら攀じ登る急斜面が2回ほどあり、これに加えて走るのは厳しい急坂がかなりの時間続きます。

それ以外が比較的なだらかな稜線沿いのトレイルだったり、緩斜面の下りだったとしても、こうした急斜面が一定時間続くと、猛烈に足にきてしまうのですね。

累積標高が大したことがなくても、こうした区間が長いとダメージも大きいのです(フルスクワットに近い状態になるので最大筋力も必要ですし、有酸素系のエネルギー供給系だけで補えないパワーが必要となるため)。

さらに、今回のレースはスタート地点がすでに標高1500m以上あり、コースの半分は2000mを超えるところを走ることになります。

前日入りして高所順応しているとはいえ、さすがに2000mでの「駆け上り」は呼吸がキツく、足も思うように動きませんでした。こうした中での急坂登りなわけです。

実際にコースは見たことはありませんでしたが、試走をした松本代表が「かなりきつい」というくらいですから、今回も序盤から無理して飛ばさず、「きつさ」をコントロールしながら走り続けることを意識してレースを展開しました。

この坂はまだ楽な方ですが、標高は2000mを軽く超えているので呼吸はかなりキツくなりました。

さて、そんな「悪天候バージョン」のコースでレースがスタートしました。

スタートしていきなり、ほとんどの選手が猛烈にダッシュを仕掛けて緩やかなゲレンデを上り始めたのには大変驚きました。

いやいやいや、それは持たんだろう、と。(ですがほとんどの選手は「持ちました」。エリートは凄い)

こちらはとにかく長丁場となるのがわかっていたので、終盤必ず逆転できると信じてペースを抑えに抑えて1周目の登りをクリアしていきました。

スタート地点をコース上からみて撮影。大した坂に見えませんが、こんな坂でも標高が高いと苦しいのです。

ちなみに、トレランで同じコースを2周というのは、練習でも経験したことはなく(というか経験したくない)、これの何が辛いかというと、1周目を走りながら「ここにもう一度来るんだよな」という「きつさ」を一度学習してしまうことなんですね。

これをもう一度やる、と頭に入れながら、常にペースは自重しながら上り続けなければなりません。

こうした時にランマニアがいつも意識しているのは「ジョグでこの距離を走るとしたら、こんなにきついペースでは走らないでしょ」と言い聞かせること。

冷静に考えて、31kmのロードジョグに出かける時、あるいは30kmのロードレースに出場するときに、絶対に「苦しくて仕方がない」ペースで走ったりはしないわけです。

「これなら30kmはもつ」というペースで走るに決まっていますよね。

これはトレイルでも同じです。

30kmのジョグができないペースで、30kmのトレイルを走れるわけがないのです。

では、ペースの把握ができないトレイルではどうやってペースをコントロールするのか。

これは以前も書きましたが、とにかく自身の体感による「きつさ」を常にモニタリングして、それをコントロールしながら走り(登り)続けるのですね。

登山道のような急な登り坂でも、ペースを抑えれば絶対に「はあはあ」息が上がってしまわないペースというものはあります。

今日のような高標高であっても、ペースこそ落ちますが、呼吸が乱れない程度のペースというのは必ず存在するのです(トレーニングを積んでいればですが)。

ライバルたちはどんどん先に行って見えなくなってしまうのですが、それを追っても仕方がないばかりではなく、確実に終盤撃沈しますから、それを無視してとにかく自身の「きつさ」に注意を集中します。

こんなところでも、極力息が上がらないように注意深くペースを維持します。

そうしてできるだけ「ジョグしている気分」を維持しながら、1周目を終えました。

そして、問題の2周目。

1周目にしっかりとペースを抑えたつもりでしたが、やはり最後の山頂までの急登(ほとんど崖)では完全に大腿部の筋肉が終わってしまい、「攣る寸前」まで行ってしまいました(まあ、練習不足ですね)。

それでも、体力的には比較的余裕があったので、転ばないように気をつけながらなんとか足を動かし続け、下りもそこそこのペースで下って来れました。

さまざまなトレイルレースでよくある「最後のゲレンデ下り」は、ランマニアの最も苦手とする区間ですが、そこで抜かれたのも珍しく一人だけでしたので、脚は残っていたといっていいでしょう。

序盤に相当数のランナーが自分の前を走っていたので、さすがに30位以内は無理かな、と思いましたが、どうやら1周目にかなりのランナーを追い抜いたのが効いていたようで、結果的に24位(後から修正されてました)にはいることができました。

どうにか、ポイント獲得です。

以前は、こうしたロング系の種目では終盤脚が止まりランク外に入ることが多かったのですが、ここのところ「きつさに注意を向ける作戦」が効いているようで、最後までよく足が持ってくれるようになりました(補給も意識しているというのもあります。過去記事参照)

タイム的には4時間40分というのが速いのか遅いのかはわかりませんが、トップ3の若者たちが3時間30とかのバケモノ記録で走ったのは別としても、女子の上位が4時間30分〜40分くらいまでに入っているのを考えれば、まあまあ健闘した方なのかもしれません。

さて、今日が終わるとしばらくトレイルレースへ出走予定はありません(遠征費含めると、結構「カネがかかる」スポーツなんですね、トレイルランニング)。

6月はじっくりトレーニングにあて、7月8月はトラックレースにでも出ようかと思っています。

また、冬にはロードレースにも出ようと思っているのですが、今回このトレイルレースで意識した「きつさに注意を向ける」というペース配分方法は、距離が正確にわからないロードレースや駅伝なんかでも有効だと思うので、普段の練習から意識していこうと思っています。